古楽器製作家の思うこと いろいろ

昔の楽器製作家がそうであったように、様々な楽器を製作しています。そうすると、いろんな楽器の事が良く分かってきます。特にモダンギターについて考えていることを書かせていただこうと、思っています。

野村式熱化学還元法と日光によって処理された材料で作られたスピネット

野村式熱化学還元法と日光によって処理された材料で作られたスピネットが2台完成しました。
少し、仕上げ等が残っていますが、演奏は出来る状態になりました。

       UNI_0009.jpg


向かって右が、野村式熱化学還元法によって、処理された響板のスピネット。
左が 日光に当てた(といっても3ヶ月くらいですが)響板のスピネットです。

見た目は変りません。
響板以外は、30年以上寝かせた朴の木でケースを作っています。
響板も、処理方法の違いで厚みを変えることはせず、同じ厚み、
ほぼ同じ材質のドイツ松(30年ほどは寝かしています)
同じ弦で、おなじ爪です。

この楽器は、お弟子さんにこちらの図面や、指示である程度作ってもらって、
こちらで仕上げるという形で作りました。

手間をかけていただいた、野村先生に違いを聞いていただこうと、
野村先生の研究所の近くに住む、チェンバリストと一緒に先生の
研究所に持って行きました。

楽器ですから、あまり弾けない私よりプロの方に弾いてもらったほうが
違いが分かるということで、お願いしました。

草津の 澤朱里さんという、関西だけでなく全国的に活躍されている
チェンバリストです。次の日からは九州に行かれるということでしたが、
20日には出発前の忙しいときでしたが、無理をお願いしました。

そして、その結果は

同じ大きさの楽器とは思えない音がしました。

日に当てたほうは、よく鳴る、明るい、また立ち上がりも良い楽器です。
スピネットらしい。どちらかというと、イタリアンのような楽器です。
日に当てる事によってかなり比重が小さくなっていますので、予想通りの
音といえば、音でした。


野村式熱化学還元法によって処理された楽器は、音に密度があり、小さな楽器の音というより
もっと大きな楽器の音がします。
音量が大きいということでなく、質量の大きい楽器の音質がします。
音に芯があるので、和音を弾いても音の分離がよく、細かな声部の弾き分けが出来ます。

どちらも、個性的な楽器でした。




チェンバロやフォルテピアノでは、わずか数ミリ違うだけで、隣り合った弦でも
かなり違う音がすることが良くあります。
弦を張り替えても、解決しない事が良くありました。

でも、この野村式熱化学還元法で処理された響板ではそれが少なかったようです。

それについては、野村先生が 「野村式熱化学還元法によって処理されたいるから
木材が均質化されているからそうなって当たり前」とおっしゃっていました。

ただ、低音の3音くらいが、明らかに鳴っていないのです。
それは、普通の処理されていない材料と同じ厚みにしたので、
強度が出た分、振動しにくくなっているからだと思います。

ギターでは、野村式熱化学還元法で処理されたほうの楽器は、少し薄くするなどの
方法をとっていますので、楽器としては問題が無いように考えています。

スピネットについては、強度が上がっているということで、少し太い弦を張って、
振動のエネルギーを大きくすれば問題は無いと思います。

野村式熱化学還元法で処理された、特に針葉樹のドイツ松は、均質化された
ということを、よく実感しました。

剥ぎをして削ると、どちらかが逆目になるので、かんなを木目と
直角方向に使う、横擦りという方法でかんなを使います。

その時、どうしても柔らかい夏目と堅い冬目では、かんなが使いにくいのですが、
野村式熱化学還元法で処理され均質化された、ドイツ松では少し鉋がけが楽でした。

今回初めて、野村式熱化学還元法で処理された楽器を作りましたが、
やはり、私が作りたい、密度のある、音の分離の良い楽器には、
とても良いように思いました。



  1. 2012/07/22(日) 02:03:35|
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kogakki

Author:kogakki
ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、チェンバロ
と言った、古楽器を仕事として製作して
30年以上になりました。

最近はギターに興味を持っています。
最初に作った楽器は、ギターです。
昭和42年でした。 18歳の時です。

古楽器製作家 平山 照秋 

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