古楽器製作家の思うこと いろいろ

昔の楽器製作家がそうであったように、様々な楽器を製作しています。そうすると、いろんな楽器の事が良く分かってきます。特にモダンギターについて考えていることを書かせていただこうと、思っています。

古楽器製作家の思う事 そしてコメントをいただいて

あっという間に、6月になってしまいました。

5月も演奏会や楽器の修理、調整で走り回っていました。

案内させていただいた、芳仲さんの演奏会も,芳仲さんらしい
心のこもった演奏を聞かせていただきました。
1曲1曲好きな曲を選び、時間をかけて練習されたのが
分かります。

トレモロで爪の音が気になった、と言う方がおられましたが
付け爪をされていたようで、付け爪だとどうしても爪の音が結構入ってしまいます。
付け爪の材質なども検討しないといけませんね。

5月も久しぶりに会った友人が、まじめに長期間勉強されてきたのがよく分かる
演奏も聞かせていただきました。とても、嬉しかったです。

そろそろ、コメントをいただいていることにコメントさせていただきます。
コメント欄でなく、こちらの本文にする方が、多くの方に知っていただけそうなので。

高橋様のコメント

リュート奏者のフレットが歪んでいるとの件。
ちょうど先日、バロックギターも演奏されるギタリストの方の
バロックギターのフレッチングについて考えさせていただきました。

モダンギターや19世紀ギターは、特別な楽器でなければ平均律でフレッチングされています。
でも、バロックギターは巻きフレットなのでもう少し何とかならないかという事で、見せていただきました。

古楽の歌の方と、レコーディングをされているとの事で、平均律では違和感を感じる、もう少し
チェンバロで使っている、ヤングなどの調律に近づけないか?とのこと。

ガンバ、リュートでは大きな問題がドの音 Cの弦があることです。
私もよく演奏会で使う、ヤングの調律法ではドが約6セント高く、ド#が4セント低いのです。
でも、ギターにはドの弦がありません。

フレットを曲げないで、何とか使える方法は無いものか、考えました。

とりあえず、バロックギターは5コースまでなので、1コースから順番に考えました。
(6弦の楽器だと、6弦にまたミが出て来てフレットを曲げないといけなくなります)

1,2フレットのフレット間の長さを約3センチとすると、(計算を簡単にするため)
1弦1フレットのファは4セント高いので、1半音の100セントでは、
ほぼ直線で考えてもそう誤差は無いので、4セント高くするには
100分の4×30ミリとなります。計算値は1.2ミリボディ側に近づけます。

2フレットはファシャープなので、6セント低くなります。
同じように計算すると、1.8ミリ糸巻き側に近づけます。

3フレットはソなので、4セント高くします。これも約1.2ミリほどボディに近づけます。

後よく使う5フレットまでくらいこの計算をして(フレット間の長さも考慮して)

次に2弦で考えてみると、1フレットは6セント高いので約1.8ミリボディ側に
2フレットはドのシャープなので4セント低くすると糸巻き側に約1.2ミリ

後も同じように計算して、ほぼ中間値、で1.5ミリくらい動かしていくと
かなりヤングに近い調律で弾く事ができました。

私も西垣さんのギターをヤングにして、フレット打ち替えたことがありますが、
複弦のバロックギターだと、あのようにフレットを曲げなくてもかなりヤングに近い響きを
得る事ができるようです。(完全にユニゾンにするのは難しいので)

michimat様

単純な問題ではないと思いますが、弾きやすさという点から考えさせていただきます。

河野ギターを長年弾いてこられて、バルベロ・イーホの楽器に持ち替えられて20年苦労されているとか。
河野ギターは、弦長が660ミリイーホは650ミリだと思うので、弦長から来るテンションは河野さんのほうが
強いと思います。
イーホはほとんどフェルナンデスの構造に近いと言われていますので、弦が硬いという印象はないのですが。

弾きにくい原因の一つがブリッジ側の弦幅だとお考えのようですが、私の持っている資料だと
イーホの楽器はブリッジでの弦幅が56ミリから56.5ミリの物が多いように思います。
河野さんの楽器は58ミリから58.5ミリくらいだと思いますので、2ミリは狭いかもしれません。

でも名器と言われている楽器でも、ブーシェさんは56.5から57ミリくらいですし。
フレドリッシュなども57ミリから57.5くらいです。

確かに多くの楽器は58ミリくらいの物が多く、中には59ミリと言う楽器もあります。

弦幅の問題ではないような気もします。

弦幅を拡げるために、ブリッジの骨棒に溝をつけるという方法はいけないと思います。
以前、プロの方が使うハウザーが調整してから鳴らなくなったので見てほしいと言われた事があります。
この楽器が有名な楽器屋さんで調整されたそうなのですが、骨棒に溝が掘られていました。
原因はこれだとすぐ分かりました。そして、溝を無くすと完全にもとの音がするようになりました。
名器でなくても、溝が掘られた楽器が鳴らないという事は度々経験していますので。

ナットでの弦幅については逆に広すぎると思います。
標準と言うものはないかもしれませんが、多くの楽器は42.5ミリから43.5ミリくらいだと思います。
私の楽器の多くは42ミリくらいです。

michimat様の身長がいくらくらいか分かりませんが、日本人の平均的な身長の
170センチくらいだと、42.5ミリくらいでも良いと思います。
それと、よくあるのがナットの溝が高くて左手が押さえにくいコンディションの楽器です。
これは、溝を適正にしてあげれば簡単に解消します。
これだけでも、左手は圧倒的に弾きやすくなります。

河野さんの音が雑音が多いとか音の分離が悪いとか言われているそうですが、
弾いている本人がそう感じなければ、何の問題も無いように思います。

ナットの調整や作り替えなどはさせていただきますので。

それと、ダブルトップのギターについて。
私は、製作方法、製作家の考え次第でダブルトップの楽器も
ラティスの楽器も良い楽器があるように思います。

少なくとも、友人達の作るダブルトップは自然な響きをしていますし。

ダブルトップやラティスの構造を最初に考えた人は、モダンギターの立ち上がりの悪さ
音の暗さ、を改善しようとして考えたのだと思います。
これは、私もモダンギターの大きな問題点と考えていますので、
改善しようとして、私が作る楽器の構造になりましたし。

音さえ良ければ、ダブルトップでもラティスでも何でも良いと思っています。

長くなりましたが、最後に今日から始まっているトライアルウイークでギターを修理している所、
と同窓会で同級生がベンチャーズバンドで演奏している所です。




2017 6 5-2


2017 6 5
  1. 2017/06/06(火) 02:33:57|
  2. ギター
  3. | コメント:1
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コメント

弦幅と弾きやすさについて

平山様
貴重なコメントありがとうございました。再度、1-6弦間の弦幅をチェックしました。貴台のご指摘通り、バルベロ・イーホ(第1世モデルですが)のナット付近では約43mm、ブリッジ付近では約56mmでした。身長は171cmなので寸法的には問題なしということになりますね!ブリッジに溝を付けるのは良くないとのこと理解いたしました。河野30号の方がテンションが高いはずとのご指摘ですが、感触としては、右手に感じる圧力はバルベロの方が高いです(特に1,2弦)。少し頭を冷やして考え直してみます。
  1. URL |
  2. 2017/06/06(火) 19:36:25 |
  3. michimat #HuGXX0hM
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プロフィール

kogakki

Author:kogakki
ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、チェンバロ
と言った、古楽器を仕事として製作して
30年以上になりました。

最近はギターに興味を持っています。
最初に作った楽器は、ギターです。
昭和42年でした。 18歳の時です。

古楽器製作家 平山 照秋 

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