古楽器製作家の思うこと いろいろ

昔の楽器製作家がそうであったように、様々な楽器を製作しています。そうすると、いろんな楽器の事が良く分かってきます。特にモダンギターについて考えていることを書かせていただこうと、思っています。

もう少し 具体的に作りたいギターの事を

現在、一般的に使われている、また、作られているモダンギターは重く、
楽器全体が鳴っていなくて、倍音の多すぎる楽器というイメージを私は持っています。

私の今まで作ってきたリュート、ヴィオラ・ダ・ガンバ、バロック・ヴァイオリンそして、
鍵盤楽器のチェンバロ、初期のフォルテ・ピアノでさえ、弦,響板だけでなく、
楽器本体、胴も良く鳴っています。

それに比べて、モダンギターは胴、本体が鳴っていなくて、
響板も一部分しか鳴っていない楽器が多いように思います。
(もちろん、どの楽器でも、響板全体が鳴っているわけでなく、
鳴っていない節のような、箇所はありますが)

そして、さらに、最近は側板、裏板も厚く、しっかり作り、
スピーカーのように響板だけを鳴らそうという楽器も見かけます。
(与えられたエネルギーを響板だけに使って、効率よく音にしようという考えなのでしょう。)
スピーカーでなく、人間が使う、演奏する楽器ですので、私は楽器全体を鳴らしたほうが良いと考えます。
重い楽器も重い音を作るうえで有利かもしれませんが、楽器全体で鳴らしたほうが、
深い、本来の音の成分、低い音の成分が出るように私は思っています。

ギターという楽器はかなりの低音楽器です。知っている方は知っている話です。
楽譜のト音記号に惑わされて、音の高い楽器のイメージですが、実音はオクターブ下の音が鳴っているのです。
あの大きなチェロで最低音はギターの最低音の2音下のC、ドです。
ヴィオラ・ダ・ガンバのバスで、最低音はギターの最低音のEの一音下のD、レです。

他の楽器(ヴィオラ・ダ・ガンバ、バロック・チェロなど)と同じように、
ギターを、基音をしっかりと鳴らし、その周りに倍音と響きが付く作り方をすると、
一般的なスペインギターのような楽器に比べて、倍音と響きが少ないため、
弾いている人が物足らないと感じるようです。
このために、側鳴りする、倍音の多い楽器が作られているようです。
また、このような楽器がギターらしい楽器、ギターの音と認識している人が多いように思いますが、
私はこのような楽器は、バロックギター、19世紀ギターから伝わる、本来のギターの音ではないと考えます。

私の楽器を使って下さっているギタリストの方は、「基音がしっかりしていると、タッチで倍音の多い音は作る事が出来るが、基音が少なく倍音の多い楽器だと、音や、音楽を作ることが出来ない」と言ってくださいます。

私が考えるモダンギターは、楽器がまず、鳴るということ。(コンサート会場で充分に使えること)
そのために、楽器の大きさ、表板、横板、裏板の厚さ、削り方、バスバーの形状、大きさ、
ライニングの大きさ、形、ネックの形,厚さ、ヘッドの大きさ、ナット、骨棒の材質、
フレットの材質、糸巻きの軸の材質などあらゆる、部材の大きさ、形状、材質について考えてみました。

そして、弾きやすい楽器である事。これは、楽器の大きさと大きな関係があると思いますが、
後で書かせていただく設計の所で触れますが、楽器を小さくすれば解決する事が多いように思います。

もちろん、ギターだけを作ってられる,製作家の方は、私の何倍も、何十倍もこれらのことについて考えてられると思いますが、40年以上ギター以外の楽器を作り続けてきた私でなければ思いつかないこともあるかと思いますので書かせて頂こうと思います。

そして、ギターも楽器なので、100年200年と、ただ使える楽器でなく、
100年200年と経つにつれて、音が良くなっていく楽器を作りたいと思っています。
200年以上使い続けられた、ヴィオリンとかヴィオラ・ダ・ガンバと同じような、
発想、構造で作れば、可能なことだと思います。

最近のモダンギターでは、20年30年経つと、もう寿命とか、
楽器によっては10年しか持ちませんと、製作家が言っていたりします。
折角長い間育って、楽器になる材料になったのに、100年も使えないような、
楽器では、長い間風雪に耐え育った木に申し訳ないように思います。

ピアノで言えば、今の時代に受け入れられにくい楽器の、エラール、プレイエルと言った、
誰が弾いても鳴るという楽器ではないのですが、深い所でしっかり鳴る楽器。
そして、19世紀ギター(ヨーロッパではロマンチック・ギターと呼ばれていますが)のような音の太さ、
遠鳴り(19世紀ギターのオリジナルは、近くで聞いたり、弾いていると小さな音ですが、
ホールで聞くと、チェロのような、ピアノのようなしっかりして、太い、重い音がします)がして、
モダンギターのような、弾いている人が満足のする、近くでの鳴り、幅のある低音そして響き。
と矛盾することを何とか、解決したいと私なりに考えた事をまとめたのが、このブログです。

このブログが、ギターを弾いている人にとって、ギターのことを考えて下さるきっかけになれば幸いです。

直接ギター作りには関係ない話、ギターの事を考える参考になりそうな話を、
「お話」として書かせていただきます。時間のあるときにでも、お読み下さい

思いつくままに書かせていただいたので、話しがまとまっていなくて、
申し訳ありません。
  1. 2012/01/09(月) 23:36:03|
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プロフィール

kogakki

Author:kogakki
ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、チェンバロ
と言った、古楽器を仕事として製作して
30年以上になりました。

最近はギターに興味を持っています。
最初に作った楽器は、ギターです。
昭和42年でした。 18歳の時です。

古楽器製作家 平山 照秋 

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