古楽器製作家の思うこと いろいろ

昔の楽器製作家がそうであったように、様々な楽器を製作しています。そうすると、いろんな楽器の事が良く分かってきます。特にモダンギターについて考えていることを書かせていただこうと、思っています。

近況報告そして 楽器を独学で作ること、習って作ること について

あっという間に、12月になってしまいました。

今手元に、修理の楽器が ルネサンスリュート、バロックリュート2台、テオルボ
大修理のヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ2台、ガンバ1台、ギター2台あります。

順番に片付けて行って自分の楽器に取り掛かりたいと思っていますのですが、
また大きな楽器の大きな修理が入ってくる予定です。

仕事以外にも、先週は ネットが繋がらなくなって 回復させたり、私のところは
井戸を使っているのですが、出なくなったのを修理したり、本当は年に一回
ペンキ塗りや家のメンテナンスをしなくてはいけなかったのを、何年かサボっていて
いよいよやらなくてはいけなくなったり、車のヘッドランプが切れていたので直したり、
(これは、久しぶりに交換しましたが、バッテリーを外したり手間がかかりましたが15分ほどで
出来ました。なんとなく覚えているものですね。こんなことがさっと出来ると気持ちが良くなります)

これ以外にも、民生委員の仕事や雑用があったりしています。

昨日は、チェロをやっている方に、4分の3のチェロはいかに弾きやすいか、音も良いかを
証明するために、中国から安いチェロを買ったのですが、4分の4の楽器が届いてしまい、
交換するために、英語でメールをしていたら、電話がかかってきて 10分ほどは話しましたが、
英語を聴くのは得意ではないので、結局メールして下さい、ということにしました。

中国からは郵便で送れるのに、日本からだと郵便は使えず、フェデックスなどなってしまって、
ダンボール一つ送るのに、7万円以上かかってしまいます。(こんなことを調べるだけでも時間がかかります)
それで、どうしようかというややこしい話だったので。

こんな雑用もありますし、演奏会や 楽器の調整で土、日、月は出ていましたし。


ガンバの修理をしていて、思い出すことがあります。

それは、某音大に ガンバが20数台あるのですが、そのうち半分は私の作ったもの
半分は私以外の方が作ったものです。

私の楽器は、もう20年以上前に作ったものです。(30年近く前でしょうか)
今まで、私の楽器は1台も修理したことがなかったのです。ほんの少しも。
でも、私以外の人が作った楽器は、1台につき3回以上は修理しています。
中には、裏板が完全に剥がれて、波打って学校の方が「これは修理出来るものなのですか?」
と聞くくらいに酷いものもありました。

裏板と横板の剥がれや、裏板の剥ぎの剥がれ、表板の割れやネックの剥がれ
ありとあらゆる修理がありました。

でもここ数年は、ほとんどなくなりました。何度も修理しているのでなんとか収まったようです。

同じ楽器庫に保管していて、なぜこんなに壊れるのか?不思議でした。

私以外の楽器で、長年チェロやコントラバスを作っているプロの方の楽器は
大修理して、その原因が分かっていました。

今回はもう一人の方の楽器を、大修理してその原因が分かりました。
(所有者の方があまりにも裏板凸凹が汚いのと、楽器の厚みと言うか横板の幅が
ありすぎて弾きにくいということで、また音も良くして欲しいということで、横板を切って
裏板も外して削り直しました)

この方の楽器は、まず製作技術が無いために、あらゆるところが隙間だらけ、接着不良なのです。
それは、横板、裏板とも厚すぎて、きれいに曲げることや接着ができていないのです。

厚みを削るのに、ドリルの先に円盤を取り付け、サンドペーパーを付けて回転させて板を削っているのです。
ですから、デコボコも出るわけです。
また、厚みを落とすのも大変ですから、厚いまま楽器を作っているのです。

ガンバは裏板がフラットなので、松等で当板をしますが、この当板が大きすぎ
幅がありすぎるので、バイメタル効果で裏板が曲がってきます。
それで、横板と裏板が剥がれていたようです。

裏板が薄いと、バイメタル効果で裏板が曲がってきても、クランプで押さえれば
なんとか修理は出来ますが、厚いとその力はとても大きくて、修理が難しくなります。

そして彼の作った楽器は、表板がテルピース部分、で必ず割れてくるのですが、これも
原因が分かりました。

ギターでもついているのですが、一番おしり部分にエンドブロックが付いています。
これが非常に小さいのです。そのため、弦のテンションを受けきれず、表板が割れてきたようです。

ネックブロックも非常に小さくしています。

なぜ、このようにしたのかは、本人に聞かないとわかりませんが、小さくしたほうが楽器が良く鳴ると
思われたのでしょう。

楽器を作ることだけに限った事ではないかもしれませんが、人に習わず物を作るということは
習って作る人の何倍も考え調べて、研究して技術を磨かかないといけないと思っています。

でないと、この方の楽器のようになってしまうと思います。

私が楽器を作り始めた時は、ガンバやリュートに関しての製作法の本や資料はありませんでした。
それで、ヴァイオリンやチェロの製作法の本をまず集めました。ネットもない頃に、東京や大阪の
洋書を扱う古本屋や大きな本屋で探しました。
ほぼ、ダンボールにいっぱいの本が集まりました。

木工の本も手に入る限り集めました。でも結局は1冊の本が私の先生になりました。
そして、木に関する本も。

木を削ること曲げること、もいろいろ考えました。楽器の材料の楓はとても仕事がしにくい木です。
普通の木工のようには行きませんでした、自分で考えるだけです。


逆に 長年 プロで チェロやコントラバスを作ってられる方は、40年以上前に
お師匠さんから作り方を学んだと思います。

そのやり方、設計を何十年も変えずに作られています。

この方の楽器は、裏板が薄すぎて、また当板も薄いので、バイメタル効果で 裏板が大きく凹んでしまうのです。

前に書かせていただいて方は、裏板が厚すぎて(4.5ミリから5ミリもありました)曲がってしまうと
処置ができませんでしたが、(この方の楽器は削り直して、3,5ミリ程度にしました。
重さも780グラムあったのを520グラムまで落としました)
でも、この方の楽器は裏板が薄すぎて、
強度不足やバイメタル効果で大きく曲がってしまうのです。


私の楽器の裏板くらいがちょうど良かったようです。

この厚みを決めたのは、音のことや強度、曲げのことを考えて決めました。

音を聞くと、適切な厚みが分かってくるようです。

ということで、習ってしまうと なかなか自分で変更はできない、自分の考えで作るのは
怖くなる。習わないと、自分の技量や技術を磨くことが難しくなり 独善的な考えで作ってしまうようです。

習わなくて、自分で考える,充分に考えることが一番のようです。

それと、後になってしまいましたが、日が迫ってきています、西垣さんの演奏会の詳しいお知らせです。

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京都です。

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高松です。






  1. 2015/12/03(木) 10:13:23|
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プロフィール

kogakki

Author:kogakki
ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、チェンバロ
と言った、古楽器を仕事として製作して
30年以上になりました。

最近はギターに興味を持っています。
最初に作った楽器は、ギターです。
昭和42年でした。 18歳の時です。

古楽器製作家 平山 照秋 

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