古楽器製作家の思うこと いろいろ

昔の楽器製作家がそうであったように、様々な楽器を製作しています。そうすると、いろんな楽器の事が良く分かってきます。特にモダンギターについて考えていることを書かせていただこうと、思っています。

ケンプス ジーグ とやさしい曲を難しく弾くテクニック 

少しだけ時間ができたので、前から気になっていたことをアップさせていただきます。

よく、独学でギターをやっている人や、先生についている人から「左手の運指が難しくて上手く弾けない」とか
「手が小さいのでちゃんと押さえられない」とかの話を聞くことがあります。

そんな場合、運指を変えたり、左手の押さえ方を変えたりして、解決したこともありました。

でも、かなり多くの場合は簡単に弾けるところを、難しくして弾いているのです。

やさしい曲を難しく弾くテクニック その1

押さえる必要がない時まで、というか離さなければいけないところまで、押さえているために
難しいことになってしまうことが。

リュート曲で有名な ケンプス ジーグ という曲がありますが、その中で

img040.jpg

添付譜面の1段目の 13小節のところ、

旋律の レ ラ ファ# ラ 全部と 低音の レ 特に3拍目のオクターブ上の レ を全部
押さえないといけないので、とても指が開かない、押さえられないと。
この場合だと、この3拍目は当然5弦の5フレットを小指で、
4弦の4フレットを薬指で押さえることになります。

でも、この場合は 旋律があるので、1拍目の旋律の レ は次の ラ の音が始まると同時に
離さなければいけません。歌うように弾くのが器楽の基本だと思いますので、レ の音を鳴らしながら
同時に ラ も鳴っているということはありえないことなのです。

これは、植木先生に習って、一番初めに教えて頂いたことです。

同様に、ファ# の音の直前に ラ の音は切れて、ファ# に繋がっていかないといけません。

そういうふうに弾くと、3拍目の低音の レ は3の指 薬指で ファ# は2の指 中指で
押さえることができますので、しっかりした低音が出しやすいと思います。
3拍目の ファ# の音も4拍目の ラ の音が鳴る直前に離すと、14小節目の
2弦3フレットの レ の音も準備がしやすくなります。

音楽的にも旋律がはっきりしますし、動きも出ます。その上指も押さえやすくなるのですから。

この場合のように、残してはいけない音を残すために難しい運指で弾いている人を多く見てきました。

次に

やさしい曲を難しく弾くテクニック その2

編曲の問題です。

ここで、添付の楽譜のもとになった ケンプスジーグを聞いていただきます。

リュートはほとんど弾いていませんので、脱力が足りず、力が入った演奏になってしまって、
音が綺麗な音でなくてすみません。

今回の一連の ケンプス ジーグは 練習数回 1回録音で撮ったもので、相変わらず練習なしのミスありの
映像で申し訳ありません。



今回は私の編曲 演奏ですので 画像貼り付けさせていただきました。

楽譜は

img035.jpg

次に リュートと同じ調弦になるように、といっても3度下になりますが。
3弦をファ#にしてギターで演奏しています。

このギターは録画する1時間前に完成したもので、弦も張ってから時間も経っていませんので、
調弦も怪しいところがありますが、よろしくお願いします。
新しい楽器の紹介ということで。





楽譜は 

img036.jpg

リュートタブラチュアをそのままギターの楽譜にしています。

次は 同じ楽譜を使って 3フレットにカポタストをはめて、3度上げ リュートと同じ音にして
弾いてみました。




この方が、少しリュートの響きに近いようです。


次に、いくら弾きやすいといっても、3弦をファ#にするのはとても大変で
弾きにくいと言われる方のために、3弦をソにしたままで、編曲してみました。

ほとんど練習していなかったので、弾き始めてから3弦はソなんだと、
気がついて弾いているようなところがあります。そこもよろしくお願いします。




音の変更は少しありますが、なるべく原曲に近い雰囲気にしました。

楽譜はこちらです。


img037.jpg


でも、これでもまだ難しいという人のために得意の イージーヴァージョン を作りました。





楽譜はこちらです。


img039.jpg

そして、3フレットにカポタストを付けて,リュートと同じ音高にしてみました。



この程度の難易度が楽しく弾くには良さそうで、3フレットにカポが私には良いように思います。




そして、この楽譜を見てこんなに難しい編曲をされてはこの曲を弾く人がいなくなる、
と今回のブログのきっかけになった楽譜の一部です。最初の楽譜と同じです。


img040.jpg

まず、6弦を レ に下げるようになっていますが、原曲は6コース 6弦の曲です。
おまけに、ジーグですので重い響きはあまり必要がないと思います。
3弦がファ#でなく、ソ のために、6弦を レに下げたのでしょうが、
運指の楽には繋がらず、ただ弾きにくくなっているだけのように思います。

1段目の 装飾音符も この音型はは初めて出てくるところなので、必要ないと思います。
繰り返しのところに使うのが一般的だと思います。

また、ファ#の代わりに ラ を使って2フレットのセーハを指示されていますが、
セーハをすると動きが悪く、響きも悪くなりますので。リュートの複弦のオクターブ弦
のイメージにしました。(イギリスのリュートは皆ユニゾンだったという話もありますが、
ここでは置いておいて)
13,14小節以降も折角6弦をレに下げているので、それを利用したほうが、
と思って、下の段のようにしました。

また、4,15,7,23,12,20小節のように6弦をレにすると、左手が大変なことになります。

サラバンドやパヴァーヌ シャコンヌやパッサカリアなどだったら、6弦を レ に下げる
メリットはあると思いますし、リュート曲をギター用に編曲する場合に、低音が不足する場合など
はレに下げざるを得ないと思いますが、このケンプさんのジーグに関しては、ただ難しくなり
曲に合わないと思います。

わざわざ、簡単に弾ける曲を難しい編曲にすることはないと思いますが、
いかがでしょうか?


  1. 2015/10/02(金) 01:15:18|
  2. ギター
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プロフィール

kogakki

Author:kogakki
ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、チェンバロ
と言った、古楽器を仕事として製作して
30年以上になりました。

最近はギターに興味を持っています。
最初に作った楽器は、ギターです。
昭和42年でした。 18歳の時です。

古楽器製作家 平山 照秋 

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