古楽器製作家の思うこと いろいろ

昔の楽器製作家がそうであったように、様々な楽器を製作しています。そうすると、いろんな楽器の事が良く分かってきます。特にモダンギターについて考えていることを書かせていただこうと、思っています。

アコースティックギターの不思議

続けて、予告させていただいていたアコースティックギターについて書かせていただきます。

私は19世紀ギター、ロマンチックギターの延長線上のモダンギターを作りたいと思って作っています。
スペインギターの歴史とは違う歴史の楽器を作りたいと思っているのです。

19世紀ギターの延長線上の楽器は、マーチンにもあるのです。
マーチンは1828年くらいまでウイーンのシュタウファー(アルペジオーネを作った製作家です)
の下で、ギターを作り、1831年からニューヨークでギターを作り始めました。

そのギターがパーラーギターと呼ばれる、小型のギターです。
構造は、ほとんど19世紀ギターで、時代が現代に近づくと少し大型化しました。

ポピュラーで使われるため、スチール弦が張られていましたが、楽器の大きさや
弦長、弦幅などは19世ギターに近いものです。

主に、コードをかき鳴らす奏法なので、弦幅などはそのままの方が良かったのでしょう。

私は、今ではあまり顧みられなくなった、パーラーギターをオークションなどで
集めています。そして、修理して楽器として使えるようにしています。

私の場合は19世紀ギターの延長線上の楽器として使いたいので,ナイロン弦を張っています。

ここで、そろそろ本題です。

日本では、アコースティックギターと言うと、私たちの若い頃だと、
フォークギター、今だと 一般的なアコギ、マーチンのドレッドノート
と言われるような大きいギターばかりです。(ドレッドノートの語源は向かうところ敵なし
と言うことで、戦艦や潜水艦の名前に使われたそうです)

でも、アメリカでは 主にブルースの人たちでしょうか、
パーラーギターを使っています。

日本でパーラーギターを使っている人をほとんど見ないというか、
楽器屋さんでも見ることありません。

弦長は 63センチくらいでテンションが低くても鳴る楽器なのですが。
なぜ日本では使わないのでしょうか?

一般的なアコギを見ると、ひところ流行った、ランドクルーザーやパジェロのような
重い、高い、走らない車を思い出します。

大きくなれば、表板も強度が必要ですから、バスバーもエックスバーになって、
(エックスバーは19世紀ギターでも使われていました)
裏板、横板とも頑丈になってしまいます。

その結果、鳴らないので太い弦を張ることになって、演奏が大変。
音も弦が太くて、楽器が重いのでどうしても鉄の音がします。

普通に作られた楽器だと重くて鳴らないので、1930年ころとか
昔作られた名器だと鳴るので、高くてもそのような名器を買って
演奏することになるようです。 

そんなことをしなくても、パーラーギターだと軽くて、小さくて
よく鳴るので、高い楽器を買って、太い弦をはらなくても済むのに、
と思ってしまいます。


そこで、楽器のサンプルです。

https://www.youtube.com/watch?v=9tFgyWhW6r0

以前の ブログでも紹介させていただいた 台湾の曲
我家在那裡 です。台湾ギター協会の理事の林正言さんが
ギター用に編曲されたものを下に編曲させていただきました。
ギターは 1920年ころと思います、
ドイツで作られたパーラーギターです。

本来のスチール弦を張ってみました。

ゲージは ダダリオの エレキギター用のエキストラスーパーライトゲージ

 .008 .010 .015 .021 .030 .038

です。それでもテンションがきついので、全体を1音下げています。

一般的な アコギの弦のゲージはダダリオの エキストラライトゲージで

.010 .014 .023 .030 .039 .047

カスタムライトでも

.011 .015 .022 .032 .042 .052

です。

異様な弦の細さですが、充分に鳴っています。
左手も、右手も非常に楽です。

もう1曲 楽譜を頂いたので、
ほんの少し練習しただけで申し訳ないのですが、
ユーチューブにアップさせていただきました。


1930年代に台湾で流行った、 雨夜花 です。
編曲は クラシックギター界の大先輩の 鈴木巌さんです。

https://www.youtube.com/watch?v=sm5ZZAcmDHw&feature=youtu.be


演奏は別として、パーラーギターはどうでしょうか?

良いギターだと思うのですが。




  1. 2015/05/27(水) 02:54:02|
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kogakki

Author:kogakki
ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、チェンバロ
と言った、古楽器を仕事として製作して
30年以上になりました。

最近はギターに興味を持っています。
最初に作った楽器は、ギターです。
昭和42年でした。 18歳の時です。

古楽器製作家 平山 照秋 

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