古楽器製作家の思うこと いろいろ

昔の楽器製作家がそうであったように、様々な楽器を製作しています。そうすると、いろんな楽器の事が良く分かってきます。特にモダンギターについて考えていることを書かせていただこうと、思っています。

貴重なコメントを頂いて

いつも、このブログを読んでくださっている方を
対象に考えてしまうので、初めて読んでくださった方には、
分かりにくいと言うお言葉をいただきました。

カステラミルク様のコメントは、5月22日の展示会の案内の
ブログのコメントです。

そして、通りがかりの素人様は展示会の報告 5月26日の
ブログ記事に対していただいたコメントです。

カステラミルク様
いつもコメントをありがとうございます。
古典の曲に限らず、静かにゆっくり弾くと、弾いている本人も
自分の音楽を充分に聴きながら演奏できるので、
聴く人にも伝わるのではないかと思ったりします。
私の10弦ギターは、楽器が鳴るように作りましたので、
低音も基音が出ていて、弾いていても気持ちが良いです。


通りすがりの素人様

貴重なコメントをありがとうございます。

あくまで、私の考えを書かせていただいたので、
これが正しいとか、本当だとかは、全然考えておりません。

ベターか、ベターでないかというレベルの問題でもないくらいに、
製作家の考えは、人それぞれで良いと思いますし、また、
そうでなければいけないと思っています。

いろんな考えで作っている製作家のなかで、私は演奏ができたほうが
良い楽器、音楽が表現できる楽器が出来ると考えています。

ハウザー1世さんや ラミレス3世さんがセゴビアさんのアドヴァイスで
素晴らしい楽器を作られたのは、よく知られた話です。
他にも、ブリームさんとロマにロスさんとの関係も良い楽器が生まれる
バックボーンだったと思います。

でも、製作家がこのような素晴らしい演奏家に出会うかどうかはかなり難しい問題です、

演奏家でも楽器のことが分かる人は少ないと思っています。
また、たくさんの名器を弾きこなしてきて、良い楽器というものを
よく知っている演奏家は少ないと思うのです。

楽器の構造や、設計に詳しくなくても、楽器の音色、バランス、楽器の鳴り、弾きやすさ、
音楽の作り易さ、などアドヴァイスを製作家にすれば、演奏家と制作家の良い関係は
生まれると思いますが、その演奏家が正しく、その楽器を弾いて、正しい判断を下せるか
が問題だと思っています。

ギター製作に関しては、付かず離れずという関係で、たくさんのギター製作家とは知り合いました。

その中には、出来た楽器をいろんな演奏家に見てもらい、いろんなことを言われて、
時には逆のことも言われて。
結局自分の楽器がどういう楽器か分からなくなり、楽器製作をやめてしまったり、
とんでもない方向の楽器を作ったりした人を知っています。

本当に楽器のことが分かる、演奏家に出会うかどうかは、運の問題かもしれません。

ギターで話を広げていくと、問題発言も出てきそうなので、ギター以外の話をすると、
ピアニストでも楽器のことがわかる演奏家はほとんどいません。
鍵盤から向こうは、ブラックボックスという演奏家が結構いますし。

逆に、楽器のことが分かるピアニストは、楽器の話が、
音楽の話ができる調律師がいないと嘆いています。

関西では、スタンウエイの調律師の方が、いろんな音楽会に出かけ、いろんな音楽を聴き、
弦の振動が目で見てわかる装置を作ったりされている方がいます。
でも、この方がとても、貴重な方で、このような方はほとんどいません。

音楽の好きな、音楽を理解しようとしている、調律師も少ないのです。

ヴァイリンでも同じような感じだと思っています。

セゴビアさんやブリームさんクラスでなくても、アドヴァイスを受けて良い楽器は作れそうに思いますが、
沢山の良い楽器を弾いてきて、楽器の善し悪しが分かる、
音楽も分かる演奏家に出会わないと、難しいと思います。

それなら、自分で演奏できる方が、運がなくても、自分が作りたい楽器を作れるのではないかと思うのです。

私は、もともと自分が作りたい楽器があって、楽器を作り始めました。

そうなので、楽器製作に関しては誰にも習っていませんし、絶対に習おうとは
思いませんでした。

誰かに習うと、その人の考えを受け入れてしまって、自分で考えなくなってしまい、
結局自分の楽器を作る妨げになると思っていたからです。
例えば、3年誰かに習うと、うまくいって3年回り道になる、うっかりすると
5年も6年も回り道になって、自分の楽器が作れなってしまうと思っていました。

それは、楽器を作っている人と話をしているとよく感じます。
誰にも習わずに、楽器を作っている人はほとんどいないので、
なにか、一つをとっても、それはなぜそうするのか?
と聞いても、答えが返ってくることが少ないのです。

楽器製作を習ってしまった、弊害をよく感じます。

同じようなことが、楽器を演奏しなくて、演奏家にアドヴァイスをもらって楽器を作っている
製作家にも感じるのです。演奏できなくても、音楽は勉強しておかないといけないと思います。
それが、演奏しないとなかなか勉強できないのです。ひょっとすると、演奏家以上に音楽は
知っておかないといけないのでは?と思ったりすることがあります。

楽器が演奏できる製作家の利点ばかりを書いてしまったようですが、
演奏できる製作家にももっと問題があるのです。

それは、自分の演奏技量、能力で楽器を判断してしまうことです。
それが、合っていれば良いのですが、素晴らしい演奏家ほどその楽器の
持っている能力の最大限は引き出せていない場合が多く、
極一部の面しか見ていない場合が多いのです。

このような製作家も結構知っています。

出来た楽器を弾いて、「こんな楽器が出来てしまった、失敗作だ。
次は違う風に作ろう」 と考えてしまうのです。
でも、こちらが弾けば全然違う評価なのです。

その結果、表板を5ミリにしたらどうだろうとか、チェロのように削り出したらどうだろうとか、
それはどう考えても、ギターではない、楽器ではないという楽器を作ってしまいます。
そして、本人しか弾けない楽器を作ってしまいます。
その人の周りには、正常に判断できるギタリストもいませんでしたが、
変なアドヴァイスしかしない楽器屋さんとかはいました。
楽器屋さんは売ることしか考えていない人が多いですから。

私の考える、良い楽器を作るための条件、環境は

自分で自分の作った楽器を正確に判断できる、演奏技術を持って、
音楽の勉強をして、(ギター音楽だけでなく)自由に楽器について
話のできる、幅広い音楽の知識と卓越した演奏技術を持ったギタリストと
出会うことだと思っています。

幸いにして、私はそういう素晴らしいギタリスト、音楽家と出会うことができました。
幸運だったと思います。

























  1. 2015/05/27(水) 01:21:06|
  2. ギター
  3. | コメント:1
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コメント

道を究めんとする者の基本とは

早速に、私の拙い感想に、率直なお考えを頂き、ありがとうございました。
平山様のお考えがわかったような気持ちです。

同様に考えますと、ギターやリュートのイロハも知らない素人が、先生を探して習う場合にも同様なことがいえましょうか。

プロもピンキリです。下手なとんでもない師についたら一生棒にふる、たとえ、見識豊かな師に付いても、結局、その師の個性を真似ぶ(学ぶに同じ)だけだということになりますね。

ギターやリュートも誰にも習わずに、師も持たずに一流の演奏家になれましょうか。一部のごく限られた天才でもないかぎり、絶対に不可能ではないでしょうか。

セゴビア氏は天才です、100年か200年に一度いるかいないかの稀有な天才です。なにしろ、独学でギターを学んだということですから。
少なくとも一般の凡人は、自分の求める理想のレベル(レコードから聴こえてくるセゴビアと同じような音でうまくなりたい)なりたいなら、やはり師を見つけて、師事することが近道ではないでしょうか。
でも、その一流の稀有な天才のような人が、そこらにゴロゴロおられるかというと、これも運かもしれません。

うまくなる最良の方法は、最良の教則本と、それをきちんと指導できるたしかな師、そしてあらゆる年代の曲をコピーすることしかないと思います。余程の天才でもないかぎり、独学、独流で一流になるのはまず不可能と思います。
そして、もうひとつ。

最後は、師から離れて、自分の個性の確立をすることだと思います。物真似でない自分の個性(偏執的独尊に陥らない、誰からも評価されるような個性)です。

そこにまで到達できた時に初めて、他の誰でもない唯一の自分の音楽表現が可能になると思うのです。

物事には、初めは学ぶ(真似ぶこと)が基本だと思うのです。そこから離れて、自分の工夫を加えて、唯一無二の境地を作り出すことが理想でしょう。
ですから、師には10年も20年も師事するというのは本末転倒でしょう。基本を学ぶ5年くらいが良いかもしれません。石の上にも3年と申します。長くて5年、みっちり基礎を修練し、いすれは師から独立して、後は自分で仕上げに入っていくということが、何事の「道」にも通ずるものだと確信します。
  1. URL |
  2. 2015/05/27(水) 17:54:16 |
  3. 通りすがりの素人 #AgKEIqug
  4. [ 編集 ]

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プロフィール

kogakki

Author:kogakki
ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、チェンバロ
と言った、古楽器を仕事として製作して
30年以上になりました。

最近はギターに興味を持っています。
最初に作った楽器は、ギターです。
昭和42年でした。 18歳の時です。

古楽器製作家 平山 照秋 

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