古楽器製作家の思うこと いろいろ

昔の楽器製作家がそうであったように、様々な楽器を製作しています。そうすると、いろんな楽器の事が良く分かってきます。特にモダンギターについて考えていることを書かせていただこうと、思っています。

第4回南港ギターフェスタ 報告

いつも、展示会など案内ばかりで、報告がなかったものですから、
今回は早めに、報告させていただきます。

ここでお断りをさせていただきますが、ここに書かせていただくのは
あくまで、 私の思ったこと、感想ですので

やはり弦長65センチのモダンスペインギターが並んでいましたが、
一台、関東の高橋さんが63センチのギターを持って来られていました。
本当はもっと弦長の短いギターも持ってきたかったそうなのですが、
無理だったそうです。

彼は、短い弦長の方が作りやすい、大きな楽器を鳴らすのは、難しい
と、言ってられました。
やはり楽器を鳴らそう、としている方です。
でも、63センチの楽器でも、65センチの楽器でもよく鳴っていました。

45年ほど前に、一緒にギターを習っていた、兵庫の沢田君も良い楽器を作っていました。
彼も、今は製作と演奏の教室を持っているくらいに、演奏も上手です。
(コンクールでも入賞していますし)
高橋さんも 田部井さんに10年くらい習っていたそうです。

やはり、演奏がちゃんとできる人の楽器は、弾きやすいし、
音楽も作りやすい楽器を作ってられます。

私が唯一、尊敬している楽器製作家の佐藤一也さんは、つねづね
「演奏できない,製作家の作った楽器は、楽器ではなく箱だ」
とおっしゃっていますが、ギターでもそれは良く感じます。

ちなみに、もう一つ名言を下さっています。
それは、私がプロでやっていこうとして、お邪魔していろんな話をした時です。
「平山君 ひとつだけアドヴァイスをあげる。それは、人の言うことを聞かないこと。
見てもらった人が、1弦が鳴らない、と言ったら、その人が1弦が鳴らないように弾いているだけ、
低音が鳴らないと言っている人は、低音が鳴らないように、弾いているだけ。だと」

楽器を作っている人は、誰よりも自分の作った楽器がどんな楽器なのか、
分からないといけないと思っています。
難しい曲は弾く必要がありません。
楽器の能力、性能が分かれば良いのです。

この2日は、普段弾かないくらいに、ギターを弾きました。
1日に何時間もギターを弾くことはないですから。

でも、ギターを弾かせていただく時は、その楽器の最高の音を出したい、と思って弾いています。
最高に美しい音、最高のボリュームで、また、最小に小さな音で音楽が表現できるかどうか?
このポジション、この弦でどこまで、音が出るのか、声部の弾き分けはどの程度できるのか?
和音は濁らない?音の立ち上がり、減衰は?など、山のように色んなことを考えて、
弾かせていただいています。

でも試奏されている方を見させて頂くと、あまりそんなことは考えておられないようです。

近所迷惑なくらいに乱暴に大きな音で弾いている人や、小さな小さな音で、弾いてられる方、
いろんな方がいらっしゃいました。

楽器屋さんでも、これだけの数のギターを弾くことはできませんから、
面白い経験ができたと思います。

やはり、私のギターはこういう会場向きではないということも、確認できました。
私の楽器は、基音がしっかり出て、それに倍音が付いてきて、
響きになっているという楽器ですので、周りで 大きな音がしていると
響きが消されてしまって、おとなしい音になってしまう。

一般的な、というかほとんどの楽器は、本体、ボディが鳴っていなくて、
表板の、小さい面積でなっている楽器なので、倍音の多い楽器です。
6弦などは鳴らせるような、努力もしていないような。
でも、音は聞こえるのです、溶け合わない音なので聞こえてくる。

これは、モダンヴァイオリンや、モダンヴィオラ、モダンチェロでもよく感じます。
モダン楽器は、どの楽器でもそうなっていくのでしょうか?

1日め10弦ギターに興味を示してくださった方は、ほとんどいなかったので、
高橋さんのリクエストもあったので、お弟子さんが作った 59センチのギター
を2日めに展示しました。

モダンスペインギターの鳴り方ではなかったので、
小学生や小柄な女性の方に弾いてもらいましたが、
どうだったのでしょうか?

モダンスペインギターの構造で小さな楽器を作ると、
アルトギターやレキントギターのような、高音しか出ない
楽器になってしまいますから、とは、説明させていただきました。

あと、期待通りの楽器が、以前から知り合いの大工さんが作った、
古い家を解体した時に出た、杉の天井板で作ったギターです。
反応も良く、ギターが鳴っていました。バッハを弾いても何を弾いても
楽しく弾けるのです。

文章ばかりでは申し訳ないので、少しだけ写真を。

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こんな感じの会場です。大きな会議室という感じの部屋の周りに楽器が展示されています。

1432526165409.jpg

私の展示ブースです。となりの沢田君のブースも一緒に写っています。(ピンボケですが)

来年の第5回南港ギターフェスタは、4月16日、17日の 土日に開催されるそうです。

次回は、会場でもギター製作教室のようなところで、アコースティックギターを作ってられる
方とも出会いましたので、アコースティックギターのことを書かせていただきます。




  1. 2015/05/26(火) 01:04:29|
  2. ギター
  3. | コメント:1
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コメント

本当にそうでしょうか?

こんにちは。

なかなか考えさせられるお話です。
そこで、失礼かとは思ったのですが、私の考え、感想を述べてみたいと思います。

特に、「演奏できない製作者は、箱を作っているのと同じだ」という部分に、いささか疑問を持ちました。

 ギターにしても、リュートにしても、現在、ご自身では一切、弾かないという製作家もおられます。それはなぜかと問われると、「購入して頂いたお客様に、自分の音の押し付けをするから」だそうです。製作者が演奏もよくする場合、どうしても、自分の信ずる音というもの(個性といってもよいと思います)を楽器に込めることになるのは間違いないでしょう。だから、それがどうなのか、という疑問だと思います。そういう風に考える製作家も存在するということです。

 反対に、楽器というのは製作家の個性を売る商売なのだ、それをお客が気に入って買うものではないか、なんで演奏できない人間に、理想の音がわかるというのかという考えですね。

ですが、演奏しない製作家は、ちゃんとその点は理解していて、プロ奏者とコネクションがあり、作ったギターの評価をもらいながら日夜、改善に努めているのですね。
このことは、ドイツのハウザー1世氏もそうです。セゴビアに定期的にギターを届けてその評価をもらっていましたし、ラミレス氏もそうでした。たしかに調弦したり、つま弾く程度はできるのでしょうが、必ずしも演奏できないから、「箱を作っているのと同じだよ」という言には、私は抵抗があります。

 ギター製作の先達である佐藤氏も、ご自身の信ずる信念を確固にお持ちの方なのでしょう。私はよく存じあげませんが、本当にそうなのか、と疑問を持ちました。
弾けなくとも、世界に冠たるプロ奏者のアドバイスをもらいながら、逆にそのことが、無垢のままで純粋にプロに愛奏される楽器を改善しながら、試行錯誤しながら造りあげられるものではないでしょうか。
 ハウザー氏も、ラミレス氏もそうでした。

平山様もご尊敬される方ですので、私のような製作のイロハも知らない生意気な者がでばしゃる筋合いもありませんが、失礼の段、お許しください。
正直に感想を述べました。不愉快に思われましたら、どうぞお忘れになってください。
  1. URL |
  2. 2015/05/26(火) 16:18:44 |
  3. 通りすがりの素人 #jIvsoQFE
  4. [ 編集 ]

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プロフィール

kogakki

Author:kogakki
ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、チェンバロ
と言った、古楽器を仕事として製作して
30年以上になりました。

最近はギターに興味を持っています。
最初に作った楽器は、ギターです。
昭和42年でした。 18歳の時です。

古楽器製作家 平山 照秋 

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