古楽器製作家の思うこと いろいろ

昔の楽器製作家がそうであったように、様々な楽器を製作しています。そうすると、いろんな楽器の事が良く分かってきます。特にモダンギターについて考えていることを書かせていただこうと、思っています。

私の考える理想のモダンギターとは

まず最初に、私がどんなギターを作ろうとしているのかを、お話しします。
長くなると思いますが、お時間のある時に、どうぞ。

楽器ですから、音楽が表現出来るギター。ギター音楽でなく、音楽そのものを表現できるギター。
今作られている、又過去に作られたギターを見ても、ギター音楽は作れても、
音楽そのものは作れないようなギターを見かけます。
音楽そのものを作ることの出来るギターとは、どんなギターでしょうか?

ギターのレパートリーは、ルネサンス時代のリュートやルネサンスギター、ヴィウエラの曲から、
現代曲そして中南米の音楽まで、非常に幅広いです。
全てのレパートリーをカバーできるギターは、逆にどの時代の音楽にもぴったり来ないかもしれません。

ギターのレパートリーで重要な、バッハの曲は多声部を明確に引き分ける事が大切になってきます。
特に低音の動きがはっきりしなくてはバロック音楽にはなりません。
ギターと同じように、弦を弾く機構のチェンバロは、左手の楽器と言われているように。
その点、モダンギターはほとんどが、輪郭の無い、良く言えば、柔らかい、悪く言えば、ぼけた音。
に私は思います。響きはあるが、幅があって、バロックの音楽は作りにくいと思います。

逆に、19世紀ギターは音ははっきりしていますし、構造的な音楽は作りやすいです。
ただ、低音の響き、倍音等が少なく、弾き手にも、モダンギターのような手応えというか、
鳴っている感じ、重い低音はありません。

19世紀ギター(ヨーロッパではロマンチックギターと呼ばれています)の主なレパートリーである、
カルリ、モリーノ、キュフナー、ソル、ジュリアーニ、ディアベリ、アグアド、レニアーニ、カルカッシ
などの作曲家だけを弾くのなら、良い楽器だとおもいます。

30年以上、沢山の19世紀ギターを見てきて、又、20台以上は修理してきて、弾いてきて、
奇跡のような、モダンの曲が弾ける、ラコートや、パノルモも見てきましたが、やはり限界があります。
何も、無理して19世紀ギターでモダンの曲を弾く必要は無いのですが、良いモダンと言うのは、あまり
ありませんから。

それは、お前が良いモダンを見ていないからだろうと言われそうですが、今は、超有名になった
福田進一さん、稲垣稔さん、岡本一郎先生、私のギター、リュートを使って下さっている西垣正信さん
皆さん、40年近い付き合いで、いろんな楽器を見せていただきました。
ブーシェさんが作ったギターが多かったですが。
そして、40年以上前になりますが、最初に習った、植木義法先生はハウザー2世を使っていました。
最初の名器はハウザーでした。


レニアーニさんがギターを弾いて、作曲をして、晩年にはギターとヴァイオリンを作っていたと聞いて言います。
自分が作る音楽に合った楽器を作りたかったのだろうと、思います。

私は、作曲も演奏もしませんが(演奏は少しはしますが)私が考える音楽を作ることのギターは
製作家ですから、作る事が出来ます。

19世紀ギターの構造では無く、もちろんモダンギターの構造でもない。
私の今まで作ってきた、リュート、ヴィオラ・ダ・ガンバ、チェンバロなどの構造、
経験を生かして、作りたいのです。

ルイ・パノルモの甥だったと思いますが、ルイの楽器より少しだけ大きく作ったギターも見たことがあります。
形は19世紀ギターだったのですが、19世紀ギターの良い所はありませんでした。
音がぼけてしまうのです。
又、違うパノルモの子孫が(甥だったかもしれません)横板だけ幅を広げて作ったギターも見ました。
音が前に出ていませんでした。
その時は、19世紀ギターはこれで完成した姿、大きさなのだから、大きくして響きを付けるのは無理かな?
と思っていました。名工パノルモの関係者でもそうなのですから。

でも、彼らにはない、他の古楽器を作ってきた経験があります。
どんなギターを考えているのか、次から具体的に書いていきます。



  1. 2012/01/08(日) 18:56:15|
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プロフィール

kogakki

Author:kogakki
ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、チェンバロ
と言った、古楽器を仕事として製作して
30年以上になりました。

最近はギターに興味を持っています。
最初に作った楽器は、ギターです。
昭和42年でした。 18歳の時です。

古楽器製作家 平山 照秋 

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