古楽器製作家の思うこと いろいろ

昔の楽器製作家がそうであったように、様々な楽器を製作しています。そうすると、いろんな楽器の事が良く分かってきます。特にモダンギターについて考えていることを書かせていただこうと、思っています。

コメントを頂いて そして 考えること その?


baroque さん コメントをありがとうございました。

永遠に解決しない、難しい問題かもしれませんが、簡単な問題かもしれません。

もともと、このブログは一般的に通用していることや、常識とされていることを書くのではなく、
私の思っていることを書かせていただくブログですので、あくまで、私の考えていることを
書かせていただきます。

baroque さんが最初に書かれているように、十人十色でしょ。
それで話が終わるような、話題かもしれません。

何が本物で、偽物そして善し悪しという問題ではないように思います。
また、それは問題にもならないように思います。

私は若い頃 何年も朝から晩まで グールドさんのバッハを聴いていたことがあります。
そして、20世紀の巨匠の ピアノでバッハを聴いていました。

もちろん、もとはほとんどがチェンバロ曲です。中にはオルガン曲もありましたが。

チェンバロで聞くバッハとピアノできくバッハは違う音楽だと認識して聴いていました。
(グールドさんは ピアノでチェンバロ音楽を表現しようとしていたと感じていましたが。)

その頃、チェンバロで同程度の音楽性の演奏をしてくれるチェンバリストは ランドフスカさん、
イゾルデ・アールグリムさん(お二人共楽器はモダンチェンバロでしたが)やっと、ローランス・ブーレイ
さんがオリジナルのルッカースなどで演奏をしてくれていた程度でした。(レンハルトさんもいました)

このブログを読んでくださっている方は、ほとんどがモダンスペインギターをやってられると思うのです。

このブログがもとで、原曲を当時の楽器で演奏している、演奏を聞いていただくキッカケになればいいな、
思っています。

バロックの曲を弾く機会も多いと思いますので、ギターの名演を聞くだけでなく、
リュートなどの演奏を聴いて頂ければいいな と。

ギターにはギターの表現もあると思いますので、リュートの音楽をそのままギターに
置き換えることはできないと思いますが。

良い時代になったので、オリジナル楽器を用いた演奏で、素晴らしい演奏も増えました。

聞くだけなら、好きな方を選ぶことができる時代になりましたから。

それと、オリジナルというか原曲指定の楽器で演奏をする場合も、少しは問題があるようです。
些細な問題ですが。

数百年前のオリジナル楽器は当時の音はしていないのではないだろうかという問題です。

当時の楽器は、作られてそんなに年数の経っていない楽器を使っていたと思います。
ですので、経年変化のたった当時のオリジナル楽器を使うと、当時の音はしない。

でも、ルネサンスの楽器をラバルマン(改造)してバロックの楽器にすることは、当時でもしていましたが、
(リュートやチェンバロで)でも、それはとても少数のことだったと思います。

ギターでも、今皆さんが聞いている、トーレスさんの楽器も経年変化によって作られた音が
ほとんどではないかと思っています。ですので、オリジナルのトレースさんを使うより、
忠実なコピー楽器(寸法が忠実な楽器ではありません)のほうがタレガさんの弾いていた、
作っていた音、音楽に近いかもしれません。
屁理屈だと言われそうですが。

奏法や音楽解釈についてはどんどん研究が進んでいますので、当時の演奏に近くなっていると思いますが。

ギター以外でも、モダン楽器をやっている人は、驚くほど、自分が弾いている曲が作られた頃の楽器
のコンディションを知りませんし、知ろうともしません。

その点,古楽器やオリジナル楽器をやっている人(古楽器というより、時代楽器、ピリオド楽器という方が
ロマン派の時代までくらいは使えそうですね)当時の楽器のこと、
楽器以上に当時の音楽をものすごく勉強しています。

彼らの勉強ぶりを見ると、ギターの方はほとんど勉強していないと思えるほどです。

ギターの方がテクニックも音楽性も素晴らしい演奏しても、当時の楽器で演奏したほうが良い、
と言われるのも、その勉強の差があるのかもしれません。

昔よく仕事していたチェンバリストが「ギタリストが弾くバッハの組曲は、様式感がなくて 早いサラバンドか
おそいサラバンドだけだ」と言っていたのを思い出します。

リュートの方はバロック時代の勉強だけしていれば良いのだけど、
ギターはそれ以外の時代の曲も勉強しなければいけないので、
バロックの勉強がおろそかになってしまう、と言ってはいけないと思うのです。

リュート奏者は通奏低音やアンサンブルやいろんな場面で仕事をします。当然そのための勉強もします。
その勉強がかなり大変なのです。勉強だけでなく演奏も。

話が、長くなってしまいましたが、書いてきたこれらのことは、プロの世界のことで、
アマチュアは音楽を楽しむ方向で考えたほうが良いと思います。

(プロは、たくさんの難しい曲を弾かなければいけないので、むしろアマチュアの方が
時間をたっぷりかけて、音楽的な勉強をして、音楽的な演奏すべきだと思うこともあるのですが) 
 
でも、ギターでも、よく弾かれる ソル、アグアド、ジュリーアーニ、カルカッシなど19世紀ギター
、ロマンチックギターの時代に書かれた曲は、19世紀ギターで弾いて欲しいと思うのは、
製作家の願いです。というか、私の願いです。

親しいギタリストでも ソルなどはモダンスペインギターでは弾きたくない、というか弾けない
という方はいます。

話があちこちに行きましたが、善し悪し、正しい、正しくないということではなく、
良い音楽を聞いていただければ、良い音楽を演奏していただければ、
それが一番かな?と思っています。






  1. 2015/04/20(月) 00:41:31|
  2. ギター
  3. | コメント:1
<<baroque様のコメントをいただいて | ホーム | 皆さんのブログを読ませていただいて>>

コメント

十人十色?

平山さま、拙いコメントに、懇切丁寧なご返信をいただき、ありがとうございました。

 仰ること、ごもっともなところです。所詮、楽器の選択や演奏も自己満足の世界というものがあるように思うのです。その奏者のした選択に共鳴する聴衆が楽しめれば、それでいいという考えもあります。

大昔、某リュート奏者が申されていました、「・・・・だいたい、リュート音楽を聴きにくる輩は、評論家の類でしかなく、・・・・だから、楽しめる部分を取り入れなければならないね・・・・」

 非常に意味深なお言葉でした。もちろん、大変に有名なリュート奏者の大家の言です。その方でさえ、そういう表現をされたことに、当時の私は、ショックと同時に、ある意味、そういうものかなあ、と感じたものでした。

堅ぐるしく、咳払いひとつできない雰囲気の中で、演奏するのが演奏家の仕事ではなく、むしろ聴きにきてくれたお客さまとの一体感こそ大事だということでしょう。お客さんを置いてきぼりにしない演奏、
演奏でお金を取るプロとしての心構えとしては、たしかにそうしたものなのでしょう。

 ですが、これは、平山さまならおわかりになると思うのですが、例えば、剣の修行、それも居合道などは、防具を付けた剣道の、ひたすら打ち合う剣法で、真剣の神髄を会得できるものでしょうか。
やはり、真剣を使うことにこそ、居合の本筋がつかめるのではないでしょうか。
 試し切りをやったことが無い人が、防具剣道しかやったことが無い人が、巻き藁を刃筋正しくちゃんと切れましょうか。
 僕は、できないと思います。

同じように、少なくとも、20世紀に入って、ギターのために作られた音楽以外では、(19世紀ギターは、良しとしましょう) 時代背景を踏まえた楽器(コピーでも可)を使っての演奏がより良いと思うのです。
しかし、この選択も奏者や演奏を聴きに来る聴衆の意思次第です。どちらを好むか、好まないのか、
拘らないのかは、まったくその人の自由です。

 僕が言いたかったことは、本筋に逸れたままで、そのまま時代が流れていくことへの危機感です。
オリジナル音楽は、その時代のオリジナル(または、それに近い)楽器を使ってこそ演奏が生きてくると思うのです。それが蔑ろにされ、忘れ去られ、挙句の果てに、似ても似つかないものに変質されてしまうことが怖い。編曲もそう。
古いものへのリスペクトの精神こそ大事なことだと思うのです。ただ、これも、どう思うおうと、感じよとも、その人の自由。
 ・・・・・だから、、すべては十人十色のなかなあ・・・。
長駄文すみませんでした。
  1. URL |
  2. 2015/04/20(月) 17:22:06 |
  3. baroque #tW1Co9mA
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

kogakki

Author:kogakki
ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、チェンバロ
と言った、古楽器を仕事として製作して
30年以上になりました。

最近はギターに興味を持っています。
最初に作った楽器は、ギターです。
昭和42年でした。 18歳の時です。

古楽器製作家 平山 照秋 

最新記事

最新コメント

月別の記事です

カテゴリ

ギター (334)
演奏会 (10)
その他 (20)

私へのメールはこちらから

名前:
メール:
件名:
本文:

訪れてくださった方々

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR