古楽器製作家の思うこと いろいろ

昔の楽器製作家がそうであったように、様々な楽器を製作しています。そうすると、いろんな楽器の事が良く分かってきます。特にモダンギターについて考えていることを書かせていただこうと、思っています。

マンドリンの弦、ブリッジについて

少しだけ時間の余裕と、心の余裕ができてきましたので、ブログ続けてアップさせていただきます。

Enriqueさんコメントありがとうございました。
コメント欄でなくて、ブログ本文で失礼します。

ランドフスカさんは本当に素晴らしい、チェンバリストでなく音楽家だと思います。
私も何枚か、彼女のピアノのLPは持っているのですが、モーツアルトばかりです。
でも、友人のピアノ技術者がスタンウエイのグランドに最高のロールピアノの機械を
組み込んだピアノを持っていました。彼が、また沢山のロールを持っていて、
沢山聞かせていただきました。

特に、リクエストしたのがランドフスカのピアノです。
ベートーベンが多かったので、LPやSPでなく、実際のスタンウエイで彼女の演奏を聴きました。
これは、どんな音源にもないと思います。
録音はチェンバロとモーツアルトくらいしか聞けませんが、ロールだと生に近い音で聞けます。
もちろん、素晴らしい演奏です。
私も,SPやSP焼き直しのモノLPでゴドフスキーからラフマニノフ、リパッティ、フイッシャーなど沢山の
巨匠の録音は聞いていますが、ランドフスカは特に素晴らしかったです。

ランドフスカはチェンバロの第一世代と言われていますが、その前に1901年に、サン・サーンスとカサドゥッシュが
古楽協会を作り、1903年のチェンバロ、リコーダー、ガンバを使ったヘンデルなどの録音が残っています。
(私も持っていますが)でも、本格的に復興させたのはランドフスカでしょう。
新しい分野を開拓した人はものすごいと思います。
次の世代の、イゾルデ・アールグリムさんも大変好きなチェンバリストです。
この二人の演奏はもっと見直されても良いと思います。


ということで本題です。

九州からの帰り、四国に寄った時に、マンドリンを弾いてられる方と会いました。
「マンドリンの音程が合わなくて困っている、調弦も大変!」と言われていました。

そこで、以前修理たさせていただいた時に、マンドリンの弦について書かせていただいたものがありますので、
それを下に、もう少し考えていることを足して、書かせていただきます。


マンドリンの弦については以前から疑問に感じていました。

全体にテンションが高すぎることと、テンション(張力)のばらつきが多いこと。
弦のゲージが選べない、と言うことなどです。

特にテンションが低い時代の、古い名器に張る弦が供給されていないのです。

そこで、ゲージが選べる、またメッキが薄いので音も良いエレキギターやアコースティックギター
の弦を使うことを考えました。(価格も半額以下になります)

まず、現在最も一般的なオプティマの弦の張力を計算してみました。(袋の色は違っても張力は同じです)

1弦 E線 0.010  7.73キロ  (弦長33センチ) 

2弦 A線 0.013  5.59キロ

 3弦 D線 0.022 8.43キロ

 4弦 G線 0.036  8.03キロ 合計 59.56キロ

2弦のテンションがあまりにも低くて、調弦も難しいと思います。
また、押さえるのも3弦との差が3キロ近くもありますので(複弦だと6キロ近い差)
演奏も困難ですし音程も合いません。
(テンションの低い弦は、弦が沈み込みますのでピッチは高くなってしまいます)

古名器だとこの弦を張ると、楽器を押さえつけてしまって、楽器は鳴りません。
死後硬直のような音です。よく分かるのが、弦を張ってピッチを上げていくと、
1音か半音下くらいで楽器が良く鳴っていて、本来のピッチに上げると振動しなくて、
楽器が鳴っていないということもよく経験しました。
このことからも、その楽器に合ったテンションが必要だということがわかります。

これらの弦は、現在作られている、ものすごく頑丈で、重たくて鳴らない楽器を前提にした弦だと思います。

そこで、テンションの差がなく、全体のテンションも低い弦の組み合わせを考えました。

A)ローテンション

1弦 E線 0.009  5.8キロ  (弦長33センチ) 

2弦 A線 0.013  5.6キロ

 3弦 D線 0.020  6.5キロ

 4弦 G線 0.032  6.3キロ 合計 48.4キロ

もう少し張りがきついほうが良い場合は。(楽器に合わせる方が良いので)

メディウム テンション

1弦 E線 0.010  7.7キロ  (弦長33センチ) 

2弦 A線 0.014  6.6キロ

 3弦 D線 0.020 6.4キロ

 4弦 G線 0.034  7.3キロ 合計 56.2キロ



更にテンションをあげると

ハイテンション

1弦 E線 0.010  7.7キロ  (弦長33センチ) 

2弦 A線 0.015  7.7キロ

 3弦 D線 0.022 8.4キロ

 4弦 G線 0.036  8.0キロ  合計 63.6キロ

これでも、オプティマより各弦のテンションの差がないので、弾きやすいと思います。

ダダリオがフラットマンドリンの弦を販売していますが、一番テンションの低い弦でも

0.010  0.014  0.024  0.034  です。

楽器がしっかり作られている場合は、このダダリオの弦を使えば、
弦の入手は簡単です。

1弦は 0.095 と言う弦もありますので、もう少し太い弦が良い場合でしたら、
細かなサイズで選べますので。


次に、マンドリンで最も不可解な、ブリッジの骨棒の問題があります。

一般的なマンドリンはいつからそうなったのかは分かりませんが、1弦(E線)3弦(D線)が弦長が短く、
2弦4弦が長くなっています。これでは、音程が合いません。
特に、3弦の音程が上がってしまいます。チューナーで測れば、簡単に分かることです。

一番簡単な方法は、2弦と3弦の12フレットで、ハーモニックスでオクターブ上の音を出して、
12フレットで押さえることです。それかチューナーで測ってみましょう。
そうすると、3弦の方が高くなるのが分かります。
(以前測った、ビナッチャ、エンベルガーでは10セントから15セント高かったです。)

チューナーで測ることを、、マンドリンの方は誰もしないのが不思議です。

おそらく、2弦はプレーンな弦でブリッジの近くで振動しにくい、その分の弦長を伸ばす必要がある。
そして、3弦は巻線なので振動しやすいから、その分は必要ないので短くしたほうが良い、
と頭で考えたか、たまたま、その楽器がフレット、ナット、ブリッジその他の関係で、
そうした方が良い楽器があって、それ以来そうするようになってしまったかです。

ですので、私が修理、調整した楽器は全て、ブリッジの骨棒は真っ直ぐです。
チューナーで音程を測っても正確です。
あと考えられるのは、2弦はテンションが低いので、弦を押さえ込む量が多くて、
ピッチが上がってしまうので、2弦の弦長を長くしたとも考えられます。
でもこれはかなりの力で押さえ込まないといけませんが。
これも、2弦のテンションを上げて、テンションが同じようになれば解決することです。

今回は、ギターではなくマンドリンの弦でしたが、弦の問題は他の楽器でもあります。
また、時間のあるときにでも、書かせていただきます。




  1. 2015/03/31(火) 12:28:36|
  2. ギター
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kogakki

Author:kogakki
ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、チェンバロ
と言った、古楽器を仕事として製作して
30年以上になりました。

最近はギターに興味を持っています。
最初に作った楽器は、ギターです。
昭和42年でした。 18歳の時です。

古楽器製作家 平山 照秋 

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