古楽器製作家の思うこと いろいろ

昔の楽器製作家がそうであったように、様々な楽器を製作しています。そうすると、いろんな楽器の事が良く分かってきます。特にモダンギターについて考えていることを書かせていただこうと、思っています。

コメントを頂いていて それと、最近のこと

あっという間に、2月が終わって3月もはや、1週間が過ぎてしまいました。
相変わらず、バタバタバタしていて、ブログの更新も出来ずに申し訳ありません。

CABOTIN様 カステラミルク様

コメントを沢山いただきありがとうございます。

それぞれのお立場で、考えておられることを書いていただいて、私も色々と考えさせていただいています。

CABOTIN様は 実際に巨匠の演奏を生で沢山聞いてられるので、本当にありがたく思っています。

バッハのチェロ組曲その他が話題になっているのですが、楽器製作の立場から、楽器を通して音楽を見ると、
全ての楽器がそう思えるのですが、特にヴァイオリン属の楽器は、楽器がどんどん変わっていってしまって、
これで良いのだろうか?といつも思っています。

音量(と言っても、楽器が鳴っているとか、表現力があるとかは別で)を大きくしたい、音程の安定
を求めるあまり、全然別の楽器になっているように思えるのです。

昨年の夏、古楽器のコントラバスをやっている、若い音楽家と出会いました。
彼は、一度 古楽器のコントラバスを聞いてしまうと、(ガット弦を張った、古いコンディションの楽器)
もう、スチール弦を張った、モダンのコントラバスには戻れないと言って、ドイツで古楽器のコントラバスを
勉強してられます。

私も、特にチェロやコントラバスで、ガット弦の響きや、立ち上がりの良さを知ってしまうと、
暴力的によく鳴る、モダンの楽器にはついていけません。

例え話で、申し訳ありませんが、と言うか、私の考えですので。

モダンの、スチール弦を張った、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスを聞くと、
弦が切れないから、音が大きいから、音程が安定しているからと、
ガット弦を張ったクラシックギターの曲であるタレガやソルの音楽を、
アコースティックギターやフォークギターで弾いている感じに
聞こえてしまうのです。

その原因のひとつは、弦にあると思います。
現在の弦は、左手の摩擦音を極力無くそうと、
何段にも弦を巻いて、1番上にきしめんのような、平麺を張って
弦が振動しにくく、しなやかさもない、反応の鈍い弦のように思えます。
音程すら聞き取りにくい鈍い弦です。

ですので、CDとか聞くことはできますので、20世紀の巨匠の演奏はお勧めです。
まだ、楽器がまともなコンデションで、弦も少しはしなやかな弦の上に、
演奏が素晴らしいのですから。

私の好きな演奏は、フォイヤマンさんとピアテルゴスキーさんですが、
フルニエさん、ナバラさん、カサドさん、もちろんロストロポーヴィチさん
素晴らしい演奏家が山のようにいらっしゃいますので、お聞きになって
自分の好きな演奏を聴くのも楽しいと思います。

モダンの楽器の対極にある、バロックのヴァイオリンやチェロも素晴らしい演奏も
聞けますので、好きな演奏を探して聞くのは、楽しいものです。

それと、福田さんのプロ志願のギタリストは沢山の弾くべきだということ。
私も同じ考えです。でも、これは、プロを考えているギタリストに望むことで、
アマチュアの方には当てはまりませんので。

友人の一応、アマチュアのギタリストは(プロの方のように、外国でもちゃんと勉強された方です。)
若いプロ志望のギタリストが来て、プロになりたいと相談を受けると、
「ギターのレパートりーはとても少ないのだから、全曲レパートリーにしてからプロになると良い」
と言っているそうです。

沢山の曲を弾くというと、私たちアマチュアは片っ端から弾いて、たくさん弾くことをイメージしてしまいますが、
私たちのようなアマチュアが1曲を1年かけて、いやそれ以上に時間をかけて、その曲の勉強をして、
練習して、レッスンを受けてもまだ、はるかに届かないようなレベルの演奏で沢山の曲を弾くことです。
それも、短時間のうちにマスターして、
いとも簡単に弾くことが出来ること、が必要だと思います。

以前CABOTINNさんが書かれていた、初心者のチェロのプロの話に通づると思いますが、
ただ、ギターが好きでプロになることは出来なさそうです。

でも、何年前でしたか、バッハイヤーの年に、バッハのリュート組曲を全曲レパートリーにして、
直ぐに弾けるというギタリストは、ほとんどいませんので、CABOTINさんが引っ張りだこだった
という話を思い出します。そして、昨年だったと思うのですが、CABOTINさんから聞いた話で、
フランスでの演奏会、彼の先生から、当日「今日の演奏会の曲目を決めておいたから、バッハの
リュート組曲全曲」との話があると、CABOTINさんはすぐOKしたという話。

話が長くなってしまいました。

少し、仕事の話も。

先日終わった仕事です。

楽器の救急病院、駆け込み寺のような仕事が多いのですが、
初めて、交通事故にあって車に轢かれたガンバの修理です。
それも、何年もそのままにされていた楽器です。

動物好きの人が、かわいそうな動物を見ると放っておけないように、
かわいそうな楽器を見ると、放っておけないものですから。

1425458580481.jpg

裏板を剥がした状態です。1425458601607.jpg

それを、このようにして

1425458672956.jpg

そしてこうして

IMG_20150225_171411.jpg


IMG_20150303_121018.jpg


修理完了です。


  1. 2015/03/06(金) 11:58:44|
  2. ギター
  3. | コメント:2
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コメント

救急病棟お疲れ様です。フォイアマンさん・・ とても深く尊敬しています。ピアティゴルスキーさん・・あの自伝の面白さと背景の深さ、何度も読みました。
カステラミルクさんの話題がバッハ全曲だったので、全曲が手に入る尊敬するチェロ奏者を羅列しました。フルニエさんはなんどもライブを含めて録音されており、毎回の心の動きに感動します。古楽とは正反対かもしれないけれど、ナバラさんのジャンギャバン的演奏?にも惹かれます。フォイアマンも含めて、皆、現代の「歌舞伎風演奏」とは一線を画すような気がします。でも・・どうなんだろう・・私もわからないことですが・・愛好家が修行のように全曲を聞くことは・・どうなんだろう・・? と、同時にサンテグジュペリが書いていたように「大切なキラキラ光るものは黒い硬い岩のなかにある」も真実だと思うし、、

先週、友人の家の居間でサロンコンサートをして、典型的な立派なアマチュアロシアの文豪トルストイのワルツの自作自演から採譜編曲したワルツを試演しました。アマチュアの素晴らしさがあるように思うのです(といっても和声のトレーニングは充分積んだ人ですが)アマチュアにもすぐに弾ける編曲にしました。
https://www.youtube.com/watch?v=RXRWyaFVuCc
  1. URL |
  2. 2015/03/06(金) 13:32:00 |
  3. CABOTIN #ArGM.iJY
  4. [ 編集 ]

貴重なお名前をたくさん教えていただき、ありがとうございます。

現代チェロがやっと想像できて、
ギターで表現するチェロと現代チェロについては理解が追い付かないカステラミルクです。
平山さんもチェリストの名前を挙げてくださってありがとうございます。
CABOTIN様も、ありがとうございます。勉強になります。

チェロのCDはうちにはないと思っていたら、
ヨーヨー・マさんのベストコレクションがあったことを思いだしました。(コピーですが)

ウォークマンに長年入れていたにもかかわらず、
ピアソラのリベルタンゴとドヴォルザークのスラブ舞曲第10番ホ短調 作品72-2
ばかり聴いていて、…バッハその他は飛ばしていたので、全然聴いていませんでした。
なんという! バッハはいろいろ入ってました。無伴奏チェロ組曲第6番ニ長調BWV1012~サラバンドも!)

多分好みではなかったんですね。
京都から舞子の先生のお宅に行く途中で、あれこれ、満タンにウォークマンに入れて、
道中長いですから、好きなものだけ聴いていました。

(ヨーヨーさん、東北の震災救援プロジェクトをやってくださったのに、去年まで知らなくて…
https://www.youtube.com/user/forthepeopleofjapan
いい人なんですね。このチャンネルにはハープのアルハンブラとかあって、その時に知っていたらブログで宣伝していたのに、残念です。)

福田さんのプロ志望の若者さんへのご意見の中のいっぱい弾けは、
私も一応賛成なんですが…、それも古典をなんて大賛成なんですが…

悲しいかな、私は福田さんのタレガが好みではないんですね。
タレガを聴いてみたいと、二枚とも買って、
一定期間、それこそ一生懸命聴いたんですが、受け付けなくて、
しかも、それ以前の多くの録音も聴けなくなってしまったんです。
福田さんの演奏がすごく好きだったのに。
今だとタンゴミレニアムかセビリア風幻想曲の二枚しか聴けません。

教える方のプロの方についても、
舞子の先生が亡くなって、いろんな教室のHPを見て、
音源は必ず聴いたんですが、それもどうも納得がいかなくて。
どの先生も、きっといっぱい弾いてこられたと思ったので、どうしてなんだろうと思ったんです。

結局、HPでアルハンブラを非常にあっさり弾いておられた先生に、今は習っていて、(決めた理由は他にもいろいろあるのですが)
私はその「あっさり」がよかったのですが、
ご本人はあんまり考えずに弾いてしまったので消してしまったのだそうです。

多分、連発のコメントになりました。どうぞ読み流してくださいませ。
連日来すぎたので、しばらく遠ざかります。

また遊びに来ます。
  1. URL |
  2. 2015/03/06(金) 16:03:05 |
  3. カステラミルク #CvRBVdY2
  4. [ 編集 ]

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プロフィール

kogakki

Author:kogakki
ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、チェンバロ
と言った、古楽器を仕事として製作して
30年以上になりました。

最近はギターに興味を持っています。
最初に作った楽器は、ギターです。
昭和42年でした。 18歳の時です。

古楽器製作家 平山 照秋 

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