古楽器製作家の思うこと いろいろ

昔の楽器製作家がそうであったように、様々な楽器を製作しています。そうすると、いろんな楽器の事が良く分かってきます。特にモダンギターについて考えていることを書かせていただこうと、思っています。

材料 ⑪ 糸巻き

糸巻きなど、どのメーカーの物を選ぶか、どのランクの物を選ぶかくらいしか、
考えようがなさそうですが、材質的に見直すとすれば、
弦を受けて、留めている軸(巻き軸)の部分です。

糸巻きにとって、ウオームギヤとウオームホイルとの遊びや、
巻き軸の芯(金属、スチールが多い)とプレートとの遊び、など工作精度の良いものとか、
選ぶ基準はいろいろあると思います。

でも、材質として考え直す必要のある部品は軸(巻き軸)です。
19世紀ギターの、音に芯があって、延達性に優れている原因のひとつには、
この軸に象牙や牛骨を使っていたからではないかと考えています。
また、19世紀の終わりから20世紀初頭にかけて作られた、
パーラーギターは金属の軸です。
この金属軸のパーラーギターも、音に芯があって、延達性に優れています。

現在、一般的に使われている、軸は芯が金属ですが、周りはプラスチック、樹脂です。
この樹脂がかなり柔らかいのです。
ギター作って、糸巻きを付けるとき、
余分な軸を切ると、あまりにも柔らかいのでびっくりします。
巻線の弦のあとがこの軸についていることがあるように、かなり柔らかい樹脂です。

ナットである程度、弦は保持されていますが、やはり糸巻きで弦は留められています。
この部分が柔らかいものだと、音が吸われるような気がしませんか?
吸われるほど、ひどくなくても、しっかり留まっていないイメージはありませんか?

私は、楽器本体が軽いので、価格的には安い、糸巻きを使って、(安い糸巻きが軽いのです)
軸を象牙や牛骨に替えています。
実際、軸を替えてみると、私にはかなり音がしまり、音の芯が出るように聞こえました。

最近は軸にアルミニュームを使った糸巻きもあるようですが、
表面硬度は牛骨のほうがはるかにあると思います。
樹脂よりは良いかも知れませんが。


以上で、ギターに使われる材料はほとんど、検討したと思います。
昔から使っているから(と言っても、モダンスペインギターでの場合が多いので、150年ほどの事ですが)
皆が使っているから、と言う理由でなく、
ヴァイオリン属、リュート、ヴィオラ・ダ・ガンバ、チェンバロ、バロックギター、19世紀ギター
などの伝統楽器から、ヒントをもらって考えて、見直しました。

あくまで、私の考え、思いですので、一般的ではありませんし、
これが一番良い、普遍的なこととは考えていません。


これを読んでいただいた皆様が、
ギターについて考えるきっかけになれば、
幸いと思っています。


次回からは、いよいよ設計や構造の話しになります。
材料以上に一般的に考えられている、構造とはかなり違っていると思いますので、
なるべく分かりやすく書かせていただこうと思っています。

よろしくお願い致します。


  1. 2012/01/24(火) 11:00:44|
  2. ギター
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プロフィール

kogakki

Author:kogakki
ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、チェンバロ
と言った、古楽器を仕事として製作して
30年以上になりました。

最近はギターに興味を持っています。
最初に作った楽器は、ギターです。
昭和42年でした。 18歳の時です。

古楽器製作家 平山 照秋 

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