古楽器製作家の思うこと いろいろ

昔の楽器製作家がそうであったように、様々な楽器を製作しています。そうすると、いろんな楽器の事が良く分かってきます。特にモダンギターについて考えていることを書かせていただこうと、思っています。

ソルのエチュード 60-1 について

演奏会のリハの時などに、作っていた原稿でブログアップさせていただきます。
すみません、また、調子に乗って、音楽のことです。

それは、ソルのエチュードです。

昔、45年ほど昔。植木先生に習っていた頃、
確か音楽之友社からソルのエチュード全集が出版されていました。

単旋律を歌うことが終わると、ソルのエチュードやほかの方のエチュードでかなり長い間、
2声の曲を練習させてもらいました。

ギター以外でも、20歳前に音楽を始めたものですから、チャンスがあれば、
いろんなところに出向いて、勉強させていただきました。
というか、音を聞く訓練のようなこともさせてもらいました。

最初は旋律を聞くことしかできませんでした。
次にオーケストラで最低音ばかりを探して聞くようにしていました。

西宮に張源祥先生いう先生がいらっしゃいました。
マーラーとブルックナーの当時の最高の研究者だった方です。

当時まだ、マーラーもブルックナーもそんなに有名な作曲家ではありませんでした。
今でも、マーラーは好きではないのですが、ブルックナーは私に合いましたので、
よく研究所にお邪魔してブルックナーを聞かせていただきました。
(張先生が、昔は誰もブルックナーなどは聞いてくれなかった。
こんなにブルックナーを聞く人が増えて、とても嬉しい。と話されていたことを
思い出します)


最低音が聞けるようになると、内声の音や、動きを聞くようにしました。
少しづつですが、だんだん沢山の音が聞けるようになりました。

でも、演奏している最中は、自分の音は聞けません。
ですので、テープに録音して聞きました。

当時、オープンリールのテープデッキから、カセットに変わる頃だと思います。
もっと前かもしれませんが。少なくとも、私はオープンの時代から使っていました。

演奏している最中はかなり良い演奏だと思っても、後で聞くと聞くに耐えない演奏でした。
今は、録画も簡単にできます。もっと活用してもよいように思いますが。

また、話があっちの方に行ってしまいましたが、ソルのエチュードです。
ソルさんが沢山のエチュードを作られましたが、難しすぎると言われ、
だんだん簡単な曲にしていって、最後にOP60の練習曲集を作ったと言われます。

でも、ギタリストにとって、OP60の1番が難しいと私は思います。

とりあえず、譜面です。

img220.jpg
(ブライアン・ジェフリーさんのソルエチュード集からの引用です)

アドレスからまた、ユーチューブに行ってもらわないといけませんが、
次の演奏を聴いていただけますか?( ユーチューブで sor op-60 と検索していただくと沢山出てきます)

https://www.youtube.com/watch?v=GXgcsGGtrQk

よく、初心者やアマチュアのやる間違いというか、正しくないリズムのことです。
(プロでもこのような演奏ですから。多分プロ?)

4部音符の後の8部音符2個、2部音符の後の4部音符2個の場合に起こりやすい音型です。
でも、この方は後の、2声以上の曲はこんなにずれたリズムではないのです。

今までのブログで書かせていただいた、旋律だけを単旋律で正しく弾けるかどうかが問題、
そして難しいということが、よくわかる例です。

https://www.youtube.com/watch?v=CeEdAqRxnjc

むしろ、アマチュアの方でしょう、この方の演奏の方がエチュードとしては、良い演奏だと思います。
ソルさん自身が最初の6曲は始めはゆっくりと自分で弾けるテンポで始めなさいと、
書いているように、もっとゆっくり弾かないとこの曲の練習にはならないように思います。

ちょっと面白い演奏を聞いていただきます。

https://www.youtube.com/watch?v=_bKsaYuHTDc

評価も少ないのですが、ちょうど良い、悪いが半々の評価です。
私はとても良い評価をしたいと思います。

リズムが正確で、旋律はシンセかキーボードなのでしょうが、
ギターで、指先で細やかな表現が出来るギターより、
歌ってくれています。(上手な人の弾くギターと比べてはいませんが)

この演奏に合わせて、練習をすれば、リズムがずれた演奏はできませんので、
エチュードとしては良い使い方だと思います。
この練習で正確なリズムが身についてから、単独で練習すれば、良いように思うのですが、
いかがでしょうか?

同じ音型の曲は、私たちの世代だとよくご存知の曲、
黛ジュンの「霧の彼方に」があります。
サビの部分が「まーどの、あーかり、とーもして、あの人を待つの」という曲です。
ご存知でしょうか?

器楽曲でなく、歌だと後の4部音符が短くなることは、まずありません。
この曲を弾くときは、黛ジュンさんの曲を思い出すと、リズムは完璧です。

この、黛ジュンさんの曲にソックリなのが、イギリスの古いリュート曲の「What if a day」です。
出だしは。霧の彼方とそっくりというか、同じです。

この曲を弾く場合でも、練習曲でないということもあるのでしょうか、
音型があがっていく音型なので、後の音が短くなりにくいのでしょうか、
後ろの2拍が短くなる演奏はあまり聞いたことがありません。
(リュートでもギターのように後ろの2音が早くなる演奏を聞くことがあります。
ギター出身であまり合わせものをしていないリュート奏者なのかもしれません)

たとえ、簡単な練習曲であっても、単旋律の曲であっても、
歌っていれば変なリズムにはならないという良い例のようです。

この曲を面白くないという方がいらっしゃいますが、この曲を楽譜通りに弾くのは、
不可能なくらいに難しい曲で、面白い曲です。

歌で歌うように弾くということは、前の音が残ってはいけないことです。
モンゴルのホーミーではないのですから、歌うときに同時に2声が存在していはいけないのです。
上手な消音の練習曲とするとよいかもしれません。

また、音が切れてもいけません。

楽譜は単旋律ですが、月光のように2声にしてしまうと、少し簡単になりますし、
1小節同じ和音ですから、一つの和音を分散しただけ、と考えるともっと楽になります。

でも、楽譜通りには弾けません。

OP60の2番は最後に、ソルさん自身が2声にしてしまっているので、
1番もそんなに難しく考えなくても、よいのでは?と思ったりします。

そんな事を考えると、とてもじゃないけど早くは弾けません。私は。
ということで、時間があるときにソルさんのOP60は
順番にユーチューブで演奏をアップさせていただこうかと考えています。

このソルの一番簡単な曲が難しいということで、思い出したことがあります。

今から、30年ほど前に、有名なチェンバロ、オルガン奏者とよく遊んでいた時期があります。
いろんな話をしながら、食事をしたりお酒を飲んでいたりしていたのですが、チェンバロも
そこにあったので、「平山くん何か1曲弾こうか?」と言ってくれました。

そこで、そんなに深い意味や、考えはなかったのですが、「バッハのインベンションの1番を
弾いてくれますか?」と頼んだところ、「そんなに難しい曲は2週間くらい前に言ってもらって
練習してからでなければ弾けない。音楽性やテクニックが全てわかってしまう曲だから」
と言われました。「そんなん。もう音楽性もテクニックもわかっているやん」と言いましたが、
結局弾いてもらえませんでした。もちろん、テクニックも音楽性もものすごい、というか
とてつもなくある演奏家なのです。

簡単な曲ほど難しいというか、恐ろしいということを考えさせられた出来事とでした。
実は他の超有名なチェンバリストにも頼んだことがあります。
(親しくさせていただいていたので)この時も、断られました。
同じ理由です。


練習曲でなくても、弾いている人が多い、スタンリー マイヤーさんのカヴァティナでも、
同じように、短い音符が早くなっている演奏をよく聞きます。プロの方でも。
この曲はアルペジオの伴奏がついているのですが、旋律だけ単旋律で
弾いている感じになるので、早くなってしまうのでしょうか?
短い音符ほど大切にしないといけないと思うのですが。

私などは聞いていて、違和感を感じるほどリズムのズレがあるのですが、
プロの方がユーチューブでアップしているということは、本人はそれを感じていない
ということなのでしょうか?

でも、ありがたいことに ユーチューブで様々な演奏を聞かせていただけます。
いろんな演奏を聴かせていただくと、一流の演奏家はリズムも歌うことも、理論もしっかりしていること
を確認させていただけます。

最後にブリームさんのマスタークラスの映像を見ていただけますか?

https://www.youtube.com/watch?v=v4R82HxBLKo

マスタークラスを受けるくらいですから、プロの方ですし、リサイタルもされているようです。
でも、アマチュアギタリストが犯しやすい演奏の見本のような演奏に思えます。
リズムや細かいところを大切にしていなところなど。


また、演奏のことについて長々と書かせていただきました。すみません。

でも、簡単な曲を正確なリズムで、歌うことがとても大切で、必要なこと、
また、難しいことをなのだということを伝えたかったものですから。

  1. 2014/12/30(火) 01:18:41|
  2. ギター
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この曲をタイトルにして、かなり前にフランスの音楽小学校(リセムジカル)といっても高学年 12才くらいかな?
に出した試験を日本語にしてアップしておきました。だいたい全問で制限は15分。
小学生といっても、いちおう専門を目指しているから 楽に即答して欲しい、
でもこれらはアマチュアに
必要な知識ともいえない(決して差別ではなくて・・)
小学生たちは、ほぼ皆 よい解答を書いてくれた記憶があります。
www.koube.jp/public/examOp60Sor.jpg
  1. URL |
  2. 2015/01/01(木) 05:33:11 |
  3. CABOTIN #ArGM.iJY
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  1. |
  2. 2015/01/08(木) 17:55:44 |
  3. #
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kogakki

Author:kogakki
ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、チェンバロ
と言った、古楽器を仕事として製作して
30年以上になりました。

最近はギターに興味を持っています。
最初に作った楽器は、ギターです。
昭和42年でした。 18歳の時です。

古楽器製作家 平山 照秋 

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