古楽器製作家の思うこと いろいろ

昔の楽器製作家がそうであったように、様々な楽器を製作しています。そうすると、いろんな楽器の事が良く分かってきます。特にモダンギターについて考えていることを書かせていただこうと、思っています。

やさしい曲を弾くために

当分、ブログ更新が出来そうにありませんので、演奏会のリハーサルとか、
旅行中のホテルなどで書かせていただいた、原稿で今回、更新させていただきます。

時間を置いて書いてみたり、日が変わると考えも少し変わったりしているのでですが、
とりあえず、原稿どおりでアップさせていただきます。



頂いたコメントを読み返させていただいて

何も、大したことは書かせていただいてないと思っていますが、ギターを作っている人だけでなく、
演奏している方にも、何か役に立てばと思って、書かせていただいています。
演奏や、音楽のことについては、私が書かなくても、とも思っているのですが。

それと、かなり以前にも書かせていただきましたが、
私のことは「平山さん」と呼びかけていただけますでしょうか?
私もトーレスさんとかセゴビアさんと言わせていただいていますし。
平山様とか先生と呼ばれると、自分のことではないみたいですし、とても恐縮します。  

このブログも 演奏会のリハーサル中に書かせていただいて、
続きを九州のホテルなどで書かせていただいています。


ギターは確かに難しい楽器だと思いますが、難しい曲を弾かなければ、
そんなに難しい楽器ではないかもしれません。

リュートやリコーダー、ガンバといった古楽器には、テクニックは簡単でも、
音楽的には満足できる曲が沢山あります。

そんな曲をギターで弾けば、あまり難しく思わなくてもよいように思います。
モダンの楽器だと、(ギターも含みますが)簡単な曲イコール練習曲や、
子供の曲になってしまうと思うのですが、
ルネサンスやバロックの曲では、そうではない曲も沢山あります。

そんな曲を弾くと、ものすごく練習しなくても、音楽を楽しむことができます。
そして、時間や体力、気力のある人は難しい曲に挑まれたらよいのでは?
と考えるのです。

そんな簡単な曲を音楽的に弾く方法の一つを、
演奏の専門家でもない私が書くのもおこがましいのですが、
今まで、教えていただいた先生たちへの恩返しのつもりで書かせていただきます。
(本当に初歩的なことばかりです)

分かっている人や、もっと深い考えで演奏されている人には、
そんな分かりきったことは書かなくても、誰もが知っているのではないか!
と言われそうですが、たまに、時々?ガンバやリュートの手ほどきをさせていただくと、
それまで、リコーダーや他の楽器をやられていた人でも、
案外そんなことは教えてもらっていなかった、という方がいらっしゃっいましたので。

ギターのレッスンでも、(ピアノでも?)とりあえず、間違わなければ、
だいたい音符の音が出てれば、次に行きましょう、というレッスンをよく見かけました。

初心者に音楽的な事を言っても、無駄と考えている先生も多いのでしょうか?
ギター以外でも、初歩の方、ある程度弾ける方、(プロでも?)
ただ、楽譜をなぞっているだけの演奏が多いように思います。

合唱でも、普段ルネサンスやバロックの曲をやっていない合唱団が、
ルネサンスの譜面面は簡単なので、ただ、音譜どおりに、ベタっと演奏しているのを、
聞いたことも度々ありました。

美術というか、絵の世界では、(初心者の人でも、)この絵で何が表現したいのか、
何を書きたいのか、はっきりさせている人が多いと思います。

音楽もこの曲で何を言いたいのか、分かるように演奏すればよいと思うのです。
音楽的に難しいことを考えなくても、なぜ、この曲を弾いてみたいと思ったのか、
例えば、旋律がとても綺麗で弾きたいと思ったのなら、旋律を綺麗に歌うことを。
リズムが面白いと思えば、そのリズムを面白いと感じるように弾くこと。

あるいは、その曲のこの箇所が好きなので,弾きたいと、思っているのなら、
その箇所を好きなように弾けば良いのです。
その代わり、ほかの場所は、抑えて弾くとか、目立たなく弾けば、
好きな箇所、聞いて欲しい箇所が出てくると思います。

私も植木先生に出会った時は、禁じられた遊びくらいしか弾けませんでしたし、
好きだったので、弾かせていただきました。
それに対して、植木先生はその曲が好きな事が伝わってくる、丁寧に弾いているし、
歌っているから、とても良いと言われました。

レッスンで新しい曲を弾かなければいけないのかもしれませんが、
好きな曲を弾くことができれば、練習も楽しくなると思うのです。

絵でも、この箇所を見て欲しいと思う箇所は、力を入れて描き、
そうでないところは力を抜いて、ある意味手抜きをして書いています。

ギターの演奏では、すべての箇所を同じように弾いている人が多いようです。
それは、ギターの音量が小さいので、小さな音では聞こえないと思ってらっしゃるのかもしれません。
(少し被害者意識もあるように思いますが)

でも、大きな音という事では、暴力的なピアノには到底勝てません。音の数でも。
ギターはギターなのですから。でも、クラビコードに比べるとはるかに大きな音です。

小さい音で、思い出したことがあります。
植木先生に習って、かなり経った頃です。植木先生が嬉しそうな顔をされて、
「平山君、ピアニッシモの出し方が、やっと分かった。これなら、小さい音でも、
ホールの端まで、飛んでくれる。」と話されました。

当時の私には、完全には理解できないことでしたが、今ならよく分かります。
ピアニッシモで力のある音、ホールの端まで届く音を作るのは、大変なことですから。
ピアノでも、難しいことです。
でも、20世紀の巨匠と呼ばれる、ピアニストは皆そんな音が出せていたと思います。

「アルハンブラ宮殿の思い出」などは、まるで、トレモロ練習曲になっているように思います。
日本ではあまり有名ではないのですが、ギリシャ出身の歌手 ナナ・ムスクーリさん
 のベストアルバムにアルハンブラ宮殿の思い出や、愛のロマンスを歌っているものがあります。

彼女の歌を聞いてもらうと、参考にはなると思います。
以前のブログでも書かせていただきましたが、私が手ほどきをさせていただいている方には、
歌うことの参考に聞いてもらっていました。西垣さんも同じことをされていたと聞きました。

では、全体が好きだとか、雰囲気が好き、という場合はどうしましょう?
子供ような考え方かもしれませんが、こんな初歩的な考え方でも、音楽は作れますし、
聴く人は納得してくれると思います。(本当に初歩の初歩ですみません)

それは、音が高くなれば、音楽的に緊張して盛り上げる。
音が低くなれば、緩める。

和音が変われば、特殊な和音が出てくると強調する。
作曲家がここは聞いて欲しいと思う箇所に、特別な和音や、臨時記号を使っている場合が多いので。

そして、音が跳躍すると、やはり実際に跳ぶように、エネルギーを使う。
5度やオクターブも上がっているのに、何事もないような演奏だと、
(それがかっこいいとか、スマートだと思ってられるのかもしれませんが、)
何のために作曲家が跳躍の音型を作ったのか、分かりませんし、
聞く方に音楽が伝わらないと思うのです。

逆に、和音も動かず、音の跳躍や、音型の変化が無いところでは、
聞いている人に休んでもらう箇所と考えて、少し抑えて弾く。

付点や、短い音がある場合は、原則として次の長い音に繋いでしまう。
ギターなどの場合は、(器楽はその傾向がありますが)付点は、
ダブル付点のつもりで弾いたほうが良い場合が多いように思います。
もちろん旋律的なところで、ダブル付点にしては不自然なこともありますので、御注意を。

繰り返しも、2回目にブリッジよりの硬い音にするとか、いつもピアノにするとか、
ワンパターンにならずに、工夫すればよいと思うのですが、
ルネサンス・バロックの時代にはリピートは、ディヴィジョンするとか、
装飾するとか、そのために繰り返しがあったのです。

ルネサンスとかバロックの曲を、それも、簡単な曲の時は、
練習がてらリピートの時に装飾を加えるとか、ディヴィジョンするとか、
いろいろやってみると、結構、簡単な曲が楽しい曲になってきます。

思いつくままに書かせていただきましたが、こんな初歩的なことでも、
音楽は変わると思います。

ここに書かせていただいたことに、リズムを守る。旋律を歌う。
休符は意味を考えて守るべきところは守る。

2声の曲は、2声に弾き分ける。3声は3声に。

そして、旋律と内声を分ける、低音の動きなどに気をつけて。

そして、出来ればですが、舞曲だと、様式感を出す。
(有名なタレガさんのアデリタはタイトルのアデリタの横にマズルカと書かれています。
メロディーを歌わせることだけでなく、舞曲のマズルカを意識して弾くと、
タレガさんが作った曲に近づくと思います。
もちろん、分かって弾いてられるギタリストも、沢山いらっしゃいます。
(西垣さんなど)それに、フレーズやアーテティキレーション、
タッチなどを合わせていくと、聞く方が納得する演奏に近づくと思います。

こんなことを考えて弾くと、知らない曲も自分なりの演奏ができます。
むしろ、そのほうが面白いかもしれません。

プロの方なら、一目見て全てが理解できると思いますが、
私たち素人は何回も、何十回も見ないと分からないことが沢山あります。
よく楽譜を見て、よく考えると言うのも大切なことでしょうか。

それと、ギターの演奏でよくあるのですが、弾きやすいところ、
弾きやすいパッセージは早く弾いたり、
大きな音で弾き易いパッセージは、大きな音で弾く。

音楽的に大きな音ではまずいところでも弾き易い、
大きな音が出しやすいところでは、大きな音で弾いてしまう、こんな人をよく見かけます。
有名なプロでもそう思うことがあります。

参考に色んな演奏を聴くことをやっていらっしゃる方もいると思います。
良い演奏もそうでもない演奏も。

感激した演奏を再度聞いて、参考にするのは良いかと思いますが、
あまり良い演奏でない場合や、沢山色んな演奏を聞くと、自分の演奏ができなくなりそうです。

楽器製作に関して、私は絶対に人に教えてもらわないと、決めていました。
自分の目指す楽器が作れないと思っていたからです。

演奏もそんな感じはします。良い先生が見つかれば、習えば良いのでしょうが、
なかなかいないと思います。そんな場合は、自分で考えて、音楽を作れば,
聞く人はその人の音楽が聞けるわけで、その人らしい、その人でなければ、
という演奏に感激してくれると思うのです。

感激までしてくれるのは、難しかもしれませんが、その演奏を気に入ってくれる、
また聞きたくなってくれるかもしれません。

自分らしい演奏があっても良いのではないでしょうか?
音楽的に間違った演奏でなければ。

本当に、厚かましく、演奏家でもない私が、演奏のことを思いつくままに書かせていただきましたが、
今まで、教えていただいた先生方の教えの一部です。(大切なことが抜けているかもしれませんが)

演奏の参考になればと思い、厚かましいことですが、書かせていただきました。

今回も長くなりましたが、最後まで読んでくださってありがとうございます。


  1. 2014/12/09(火) 01:21:20|
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プロフィール

kogakki

Author:kogakki
ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、チェンバロ
と言った、古楽器を仕事として製作して
30年以上になりました。

最近はギターに興味を持っています。
最初に作った楽器は、ギターです。
昭和42年でした。 18歳の時です。

古楽器製作家 平山 照秋 

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