古楽器製作家の思うこと いろいろ

昔の楽器製作家がそうであったように、様々な楽器を製作しています。そうすると、いろんな楽器の事が良く分かってきます。特にモダンギターについて考えていることを書かせていただこうと、思っています。

素晴らしいコメントをいただいて

素晴らしいコメントをいただきありがとうございます。

コメントをいただいた方の、音楽に対する考え、そのぞれのお立場からのコメント、
今までに培われた音楽歴からのお考え、本当にありがたく思っています。

私は製作する立場から、こんな音楽を作って欲しい、そのような音楽を表現できる楽器を作りたい、
という考えから書かせていただいていますが、演奏される方、教えていらっしゃる方からの
考え、いろんな考えをお聞かせいただけることが出来て、嬉しく思っています。

その素晴らしいコメントを読ませていただいての感想ですが、
このブログを読んでいただいている皆様は、同じような考えをお持ちだったようですね。

簡単な単旋律を歌えないことが、ギター以外の音楽をやっている人にとって、
ギター音楽は音楽から離れていると言われる事の一つでしょうか。

でも、他の旋律楽器の方も、旋律を歌うことは苦労しているようです。

古くからの友人で声楽家の彼のところに、(全国規模のコンクールの審査員をやっているレベルの人です。)
「最近、フルートとか、ヴァイオリンの生徒が増えている。習っている先生では、
歌うことが習えないので、教えてもらいに来てる」と、言うことで、歌うということを習う人もいるようです。

でも、こんな人はまだ少数派なのでしょうが。

旋律を歌うことを忘れた音楽はギター以外でも聞くことがありますが、コメントいただいたように、
ギター音楽が特殊な扱いを受けることがあるのは、
やはりリズムの悪さ、というかリズムの無さ、間の悪さ、でしょうか。

これは一流と言われる、プロの演奏でも良く感じます。
一流でもそうなのですから、レッスン中心のプロの方でもそうなってしまいますし、
その方にレッスンを受けているアマチュアもそうなってしまうのは仕方がないことかもしれません。

その一因が難しい曲を弾くことにあるようですが。
どうしても、ソロ楽器としての使い方が多いギターでは仕方がないことなのかもしれません。
ですから、余計にリズムについては気を付けないといけないと思います。

私が他にやっている楽器、ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、リコーダーはソロもありますが、
基本はアンサンブルだと思うのです。

アンサンブルしていると、自分勝手なリズムや,間の悪さでは、アンサンブルできません。
ギターでも、超初心者の頃に、リズムの良い先生に伴奏してもらって、単旋律を楽しく、
正しく歌うということを、やっていれば、もっとギターを楽しんで弾く人が増えるのではないかと思うのです。
そして簡単な曲でも楽しむことが。
しかし、もうほとんどの人は、超初心者の段階は過ぎていると思うのです。
でも、ここで初心に帰って、誰かに伴奏してもらって、簡単な曲を楽しんで歌うことをすると、
結構楽しいものです。

そこで、思い出しました。かなり以前に、楽器屋さんの店主で店番をしながら、
いつもギターを弾いている方がいらっしゃいました。
それだけ練習しているのですから、指は回りますし、難しい曲も弾いてられます。
楽器屋さんの店主ですので、ギター以外の音楽も聞いてられます。
でも、演奏を聴かせていただくと、リズムが悪いのです。
本人はそんな自覚はないのですが、とても悪いのです。
コンクールに出たりもしている方なのですが。
そこで、簡単な曲を弾いてもらいました。それも充分にリズミに気をつけて弾いてもらいました。
本人は「ものすごくリズムに気をつけて、完璧に弾いた」と言っているのですが、
非常に悪いリズムなのです。

アマチュアギタリストには自分がものすごくリズムが悪いとは自覚していない方が多いように思います。
ユーチューブでも見かけますが、自分の演奏を聞いてもわからない方もいるようです。
演奏を録音したり、録画するのは自分の演奏を客観的に見ることが出来る良い機会だと思うのですが、
どうでしょうか?演奏中に自分で自分の演奏を客観的に見れるのは、半分以下だと思うのです、
それを、録画、録音では100%聞くことが出来るのですから。



話しが横道にそれましたが、楽譜がなければ、なかなか弾けない、
伴奏ができないという方のために、こんな本があります。

中央アート出版社から出ている、「ギターで歌う みんなの愛唱歌」という本です。
(年に何回か老人ホームに行っているので、このために買いました。
歌と簡単なアルペジオなどの伴奏が付いただけの本です)
これ以外にも沢山簡単な伴奏が付いた本があるでしょう。

こんな本を使わなくても,童謡や唱歌の本にコードネームが付いていれば、
アルベジオや適当な和音を付けて伴奏できれば良いのですが。

自分で簡単な伴奏をつけたいと思われる方は、
新間英雄さんが「ギター教室では教えてくれないギター奏法」と題した、
本を出されています。これは実践的な良い本なのでお勧めです。
(直接本人に送ってもらわないといけませんが)

2重奏をすればお互いのリズムがよくなるように思うのですが、
2重奏もギター用の曲は難しい曲が多いと思います。

よく知られた、ソルの「アンクラージュマン」や「二人の友」などは、
お互いに合わせることが中心になってしまって、リズムや間の練習にはなりにくいと思います。
(私達アマチュアの演奏家にとっては)

私の考えですが。周りに他の楽器をやっている人がいれば、合奏するのも良いかもしれません。
でも、この場合も問題はありそうです。ボリュームのバランスや、音色のバランスです。

よく合奏される、リコーダーとギターですが、
この取り合わせは私には一番難しい組み合わせのように感じます。
ギターはト音記号の1段譜で書かれたいるために、中にはト記号の下に8を書いて、
オクターブ下ですよ、と注意してくれている楽譜もありますが、
ついつい実音も記譜の音と思ってしまいます。
そして、リコーダーは記譜より実音は1オクターブ高い音なのです。
おまけに、モダンスペインギターは倍音が多い楽器です。
それに対して、リコーダーは純音に近い音です。

でも、近くにリコーダーをやっている人しかいない場合は、ギターを半音下げて、
A=415のバロックピッチにして、リコーダーも415の笛にしてもらうと少しは合ってくるように思います。
それか、最近は持っている人も増えている、ルネサンスリコーダーで440のピッチだと合う楽器もあるようです。
出来れば、アルトかテナーが良いのですが。

上手なピアニストの方がいらっしゃったら、ピアノと合わすのも良いかもしれません。
あくまで、上手な人が前提ですが。上手な人はリズムも良くてピアニッシモも出してくれるからです。
でも、日本にはほとんどいないかもしれませんね。伴奏ピアニストの方なら、いるかもしれません?

あとは、またピッチを半下げてもらわないといけませんが、
バロックヴァイオリンやヴァイオラ・ダ・ガンバをやっている人と、
合せることは良いことだと思います。
私の周りには沢山いますが、普通の人の周りには少ないでしょうか。
(ギターは19世紀ギターのような楽器だとさらに良いのですが)

チェンバロとギターも難しいようです。
リコーダーとギターのように倍音の多いギターとクリアーな音のチェンバロでは、
ボリューム的には合うと思いますが、音色の点で問題がありそうです。

今まで書かせていただいたことは、モダンスペインギターが前提ですので、
19世紀ギターや、スペインギターでないモダンギター(と言ってもあまりありませんが)
だと問題はないと思います。(あくまで、私の考えですが)

次に実際私が使っている、簡単で美しい曲が載っている本の紹介です。

日本版では①ドレミ楽譜の 「歌って弾ける 日本のギター曲集」小胎剛 編 
童謡、唱歌から私たちの年代には懐かしい、「若者たち」荒木一郎の「空に星があるように」
なども載っています。
編曲がその曲にあった編曲で特別難しい編曲でないところがお勧めです。
同じような本を何冊も買いましたが、編曲がワンパターンだったり、
やたら難しい編曲だったりの本が多かったです。
老人ホームでの慰問にはよく使わせていただいています。
メロディーを歌ったり、ヴァイオリンで弾いてもらったりしています。

② 次は知っている人はよく知っていると思うのですが、
ドレミ楽譜の170 FAMOUS GUITAR COLLECTIONS GRADE A です。
オリジナルのギター曲が多いのですが、編曲物は小胎さんがされています。
この曲集でも、充分に難しいと私は思っているのですが。

③ 外国版では、現代ギター社でも扱っている、EASY RENAISSANCE PIECES と
 BAROQUE PIECES 出版社は MUSIC SALES AMERICA 著者は JERRY WILLARD さんです。
CDも付いていて、演奏も参考になる素晴らしい演奏です。
ギター曲ものっていますが編曲物の方が多い曲集です。
編曲もそんなに難しくなく、原曲の雰囲気は充分残っている編曲です。

むずかしい編曲で思い出したことがあります。
数年前ですが、ユーチューブで有名な唱歌をギターで演奏している方がいました。
プロのギタリストでCDも出されている方です。その編曲が難しい編曲で、完全に器楽的な編曲です。
当然演奏も難しく、旋律も切れ切れです。

それを聞いた方が、「この歌を聴きたいと思って聞いたが、これは歌でも音楽でもない」
と言うような感想を書かれていました。正直な感想だと思いました。
聞く方は切れ切れの旋律や、沢山和音がついた曲ではなく、
普通に楽器で歌っている演奏を聞きたかったのだと思います。
他の楽器、ピアノなどでは沢山の和音がついていても、
難しい編曲でも、旋律は歌ってくれている場合が多いと思います。
でも、残念ながらギター曲では器楽曲になってしまって、
歌はどっかに行っている演奏、楽譜が多いように思います。

またまた、長くなってしまいました。
最後まで読んでくださった方、ありがとうございます。

忙しいと言いながら、長いブログ書かせていただきましたが、
雑用の一つの民生委員仕事の、留守番をしながら、書かせていただいたものです。
明日から、ほぼ2週間でアルペジオーネを作らないといけません。

演奏会の空き時間などにボチボチ書かせていただきますので、
更新が遅くなるかもしれませんが、よろしくお願いします。
  1. 2014/11/05(水) 00:45:18|
  2. ギター
  3. | コメント:2
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コメント

奥が深い

含蓄あるお考え、僕も同感です。

どなたが言われたか忘れましたが、「もっとも高貴な楽器は人間の声である」とか・・・。
歌って弾くことは、音楽をする人には必須だと思いますし、簡単な曲で、初心者のうちから訓練することの意義は大きいと思います。
慣れてくれば、複雑な曲でもできます。

 自分自身の話で恐縮ですが、僕はある時期、ブルース、ジャズ系のギターに傾倒していたのです。そこで専門校に入って2年ほど学びました。

教習過程の練習曲は、1小節の中に、8分、16分の休符や音符が入り乱れて、複雑なメロディー進行をしているのですが、パッと見ただけで初見で演奏するには、抜群なリズムセンスが無いといきなり弾けません。指定されたビートを理解して、まずはリズム譜を頭の中で即座に刻み始めます。およそ10秒以内で理解し、足でビートを刻みながら弾き始めます。その時もちろん音を声に出して拾います。

さらに、セミアコースティックギターでは、ピックも使いますので、音符一つ一つ、休符一つ一つにピックの交互奏法の順番(弦に対してピックのアップ当て、ダウン当て)を当てはめて、必ず順番どおりにしますから、リズムとピックの順番で頭とリズムが混乱しないようにしないといけません。つまり、基本は右手のピックの振りは一定のリズムを持っているというわけです。

なぜ、こんな奏法訓練をするかといえば、やはりバンドアンサンブルでは、基本のドラム進行がありますので、ドラムの進行(ドラムにはバス、スネア、ハイアットという低音、中音、高音の分担があります)に合ってなければならないからです。
このようなビートと複雑極まりない譜面で歌いながら弾く訓練は、後になってクラシックギターなどをやる場合でも大いに役立ちました。

僕の経験でも、電子楽器系のアンサンブルを経験した人のほうが、初めからクラシックオンリーでやってきた人よりかは、リズム理解が得意だと思います。
 専門学校の中には、クラシックギター専攻の人でも、エレキギター(バンド実習など)などを学ばせるところもあるくらいだし、目的はやはり上述のとおりだと思うのです。

子供の幼少時の英才教育でも、リトミックとかいう分野もありますし、教育界の中ではその重要性を早くから理解している所もあって、将来に期待がもてそうです。
勉強のやり方は、人それぞれでしょうが、プロと称する先生と呼ばれる人でさえ、失礼ながら疑問符の付く人もいるので、学ぶ場合もよく調べないといけないと思います。そういう意味では、専門分野別にその筋の一流の専門家から習ってみるのも良いかもしれない。
ギター、リトミック、声楽、ピアノ、ソルフェージュなどなど。
それにしても、音楽の勉強は奥が深いなあといつも思う。


  1. URL |
  2. 2014/11/05(水) 11:56:42 |
  3. 太郎 #TzvheK32
  4. [ 編集 ]

ギターは難しい。

私などは楽譜が読めないところからギターを始めて、音を出せるようになるだけで精一杯でした。最初の何年かはあちこち痛かったし今も痛いですがそれでいいかと…

何年か前から声部も考えていますが、全部ばらして16分音符で書くようなこともやってみますが、何十分も悩み続けて、夫に答え合わせを頼むとやっぱり間違いで、がみがみ言われるとなんにも弾けない気がします。

なまらないように練習は続けているのと、私はアルペジオが好きなので、エチュードでないアルペジオは割と熱心に弾いています。

ところで、アルペジョーネが心配です。
間に合いますように…。
なかったら、帰ります。
  1. URL |
  2. 2014/11/09(日) 12:03:19 |
  3. カステラミルク #0n3L.u86
  4. [ 編集 ]

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プロフィール

kogakki

Author:kogakki
ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、チェンバロ
と言った、古楽器を仕事として製作して
30年以上になりました。

最近はギターに興味を持っています。
最初に作った楽器は、ギターです。
昭和42年でした。 18歳の時です。

古楽器製作家 平山 照秋 

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