古楽器製作家の思うこと いろいろ

昔の楽器製作家がそうであったように、様々な楽器を製作しています。そうすると、いろんな楽器の事が良く分かってきます。特にモダンギターについて考えていることを書かせていただこうと、思っています。

製作編 2 材料

講習会で作らせていただいた原稿がありますので、材料編もアップさせていただきます。

材料について

ギターを作るには、どんな材料が必要でしょうか?
このブログを読んでいただいている、皆さんは既に、ギターは弾いてられると思います。
ですので、だいたいどのような材料が必要かお分かりだと思います。
そこで、主な材料とその入手先などを書かせていただきます。

1)表板(表面板)

① ドイツ松 
一般的に楽器製作の人たちは、ドイツ松と呼んでいますが、ドイツトウヒ、
ドイツ(ジャーマン)スプルースとかヨーロピアンスプルースとも呼んでいます。
昔はドイツに沢山ありました。いわゆる黒い森と呼ばれる、シュバルツ・ヴァルトの木です。
最近はドイツ以外の国のものが日本に入ってきています。
ヴァイオリン属の表板や、本来のピアノの響板も同じドイツ松が使われています。
軽く、粘りがあって、ヤング係数も高く、西洋音楽に不可欠な減衰の長い音が作ることが可能です。
ヨーロッパの材料屋さんは、楽器の表板に使う木は、すべてスプルースと呼んでいる人もいます。
後で、書くホワイトスプルースとは違いますので。

② エンゲルマン・スプルース
ドイツ松より軽く、木目も細かく綺麗な材料。
ドイツ松より入手しやすい。

③ シトカ・スプルース
ドイツ松に比べて、少し重く、色も少し濃い。
強度はあるので、使い方次第では良い材料になります。

④ アラスカ・スプルース(ホワイト・スプルース)
建材やパルプの材料としても使われます。高級なギターではあまり使っていないが、
量産のギターやピアノでは使っています。

⑤ エゾ松
最近では入手しにくくなりましたが、製品になると,ドイツ松と見分けがつかないほど、
よく似ている木があります。価格がドイツ松に比べてかなり安い。
立ち上がりは早いのですが、減衰も早く、ヤング係数もドイツ松などに比べて小さくなります。

⑥ ウエスタン・レッド・セダー
ラミレス3世が使い始めて、一般的に使われるようになりました。
それまで使われていたのが、ドイツ松、松ということだったので、それに対して
杉、米杉と呼ばれていますが、ヒノキ科の木です。日本の杉とは全然別の木です。

⑦ その他の材料
レッド・ウッドも使われます。ホセ・オリベさんが使っています。レッド・スプルースと呼ばれる木も、
フレタ、サントスさん達が使っているようです。
私は、ガンバも、チェンバロも、リュートも、ギターも、フィーデルも、レベックも、フォルテピアノも、
ヴァイオリンも、チェロもドイツ松しか使っていません。
それが、私の作りたい音が作れるからです。


2)裏板、横板

① ローズウッド

a)インデアンローズ
よくギターに使われている、材料で一般的な材料です。
安定していて、暴れることが少なく、仕事もしやすい材です。
音も、値段が安いからハカランダに劣る、というではなくインディアンローズ
の音が好きな製作家はハウザーさんのように、この材が好きだから、
使っている製作家も多いと思います。私もほとんどインディアン・ローズを使っています。

b)ハカランダ
木材関係の方は、ジャカランダと言っているようです。
最近は、中南米ローズと表記することが多くなりました。
ワシントン条約の関係で、輸入できなくなりましたが、
ワシントン条約以前に輸入した材が流通することもありますが結構高値で取引されています。
それでも、ハカランダを使う製作家も多いのですが、ハカランダ信仰というのがあるように思います。

c) マダカスカル・ローズウッド
ハカランダが手に入りにくいということで、ハカランダの代用として使っている人もいるようです。
ハカランダに比べて、暴れることも少なく、安定した材料で木目の美しいので、代用ということでなく、
使っている人もいます。価格も、ハカランダに比べてかなり安いです。

d)その他
ココボロ-- 個体差があるがハカランダに似た木目の木もあり、
密度もあるので使っている人もいます。
他に、ソノケリン、ジリコテ、ウエンジ、など言った以前は使われなかった、
新しい材料も材料屋さんには登場しています。
アコースティックギターでは、マホガニーやウオールナットなど言った、材料も使われますが、
クラシックギターでも使っても良いように思います。
重い音や、輪郭のはっきりした音ではなく、
響きや柔らかい音の楽器をつくろうとしている人には良い材料かもしれません。

楓 
ヨーロッパの比較的柔らかい楓、ヴァイオリンや、チェロでは当たり前の材料です。
軽くて、強度もありますので、楽器本体がよく鳴る楽器を作りたい時に、使うと良いと思います。
私は,ガンバやヴァイオリンも作りますので、ヨーロッパの楓は沢山持っていますので、
何台か作りましたが、一般的なモダンスペインギター的な音ではなく、弦楽器という音になるようです。

ヨーロッパの楓に比べて、固くて重いのが、日本の楓です。
ヤング係数も落ちますので、音の伸びとか膨らみはないかもしれませんが、
はっきりした音の楽器ができると思います。
日本の楓に近いのが、カナダや中国のハードメープルです。
カナダのハードメープルはボーリング場のレーンで使っています。
昔の文献を見ると、同じ楓でも、中国の楓は固くて、重いので楽器には使わないように、
との文章があります。
今の時代から見ると、そんなにヨーロッパと中国は縁があったのか?と思われるかもしれませんが、
大きな鍵盤楽器でも、ヨーロッパで作って、中国で漆を塗って、またヨーロッパに運んだことをよくやっていました。
ですので、ついでに沢山ある、中国の楓を使おうという人がいても、不思議ではありません。
でも使った結果は良くなかったのでしょう。

擦弦楽器のような音の伸びの必要な楽器ではなく、ギターだと硬い楓は有効だと私は思います。
極端に違う、ローズ系と楓系の中間の材料かもしれません。

3)ネック材
これは、一般的に使われているセドロ、マホガニーが良いようです。
仕事のしやすいさは、セドロですが,逆目のあるマホガニーも仕事はしにくいですが仕上がった時は、美しいです。
個体差が非常にあって、特に比重はかなり差があります。
自分が作りたい音を出せる、材質を選ぶことが出来ます。

4) 指板

これは、黒檀が一般的で,手に入りにくい場合は縞黒檀やローズウッドを使っていますが、
特に手に入りにくいと言うわけでもないので、黒檀を使うことをお勧めします。
材料によって,木目が逆目になっていたり、節のようなものがあるととても削りにくいので、
なるべく、素直な材料を選ぶと良いと思います。

5) 駒、ナットなどその他

駒も,ローズや、いやローズでなくハカランダを使いたい、と色んな考えはあると思いますが、
ほとんど、ローズかハカランダです。まれに、楓とか黒檀(楓はリュートも作る製作家に、
黒檀は19世紀ギターを作る製作家が使っているようです)

ナットや、駒の骨棒は 牛骨か象牙を使っています。音も少しは違うので、
自分が作りたい音に近いものを使ってください。

材料については、私のこのブログの最初にかなり詳しく,私の考えを書かせていただきましたので、
興味のある方はそちらもご覧下さい。


6) 入手先

最近だとネットで調べると,小さなお店もあるようですが、ほとんどの材料が揃って便利な会社は
『大和マーク』さんです。

ロゼッタから糸巻き,表板や,裏板フレットまで,私もよく利用させていただいています。
アマチュアの方にも、販売してくださるようです。

そして、アメリカですが,ネットでも検索できますし,カタログも送ってくれます。

『 Stewart-Macdonald』 さんです。材料もありますが、工具や道具も山のようにあります。
値段も比較的良心的です。

あと木材に関しては、兵庫県小野市にある『ダイキン』さんです。
唐木のダイキン ということですので、ローズ系統,黒檀,楓などは手に入りますし、
値段も安くしてくれているようです。

私が紹介させていただいた,西川栄明さんの 『樹種事典』にも、入手先は載っています。

このブログを読んでいただいている皆さんは、ネットの検索も自在でしょうから、
昔に比べると,材料の入手は楽になっていると思います。


では、次回は工具、道具編です。
  1. 2014/08/14(木) 14:52:42|
  2. ギター
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プロフィール

kogakki

Author:kogakki
ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、チェンバロ
と言った、古楽器を仕事として製作して
30年以上になりました。

最近はギターに興味を持っています。
最初に作った楽器は、ギターです。
昭和42年でした。 18歳の時です。

古楽器製作家 平山 照秋 

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