古楽器製作家の思うこと いろいろ

昔の楽器製作家がそうであったように、様々な楽器を製作しています。そうすると、いろんな楽器の事が良く分かってきます。特にモダンギターについて考えていることを書かせていただこうと、思っています。

沢山のコメントをいただいて



本当に沢山のコメントをいただいていたのに、ブログの更新が出来ていませんでした。

山のような雑用が押しかけてきて、ブログのほうに気持ちを持って行けなかった事や、
いただいたコメントの内容が深く、どのようなコメントを書かせていただいたらよいのか、
考えていたことも、ブログの更新が遅くなった理由でもあります。

いただいた、コメントの全てに私の考えを書くことは出来ませんが、もう少し
いただいたコメントを,読ませていただいて、私の考えていることなど書かせていただきます。


設計,製作技術がほぼおなじなら、後の大きな要素は材料になると思います。
(弾き込み、どんな方にどのくらい弾き込んでいただけるのかも、要素ではありますが)

そこで、私は材料を寝かせて使うこと、作り始めの頃は寝かせた材料を持っていなかったので、
寝かせた材料を分けてもらったりしていました。

現在は,30年ほどは寝かせた材料を沢山持つことが出来ています。

次に、経年変化によって、音質や楽器の性能がアップすることは良く知られていましたので、
日に干すことを考えました。
これは、私の初期のブログの材料編で書かせていただいています。

次に、もうすでに経年変化と弾き込みが終わっている材料として,古い名器のピアノの
響板を使うことを考え、何台かのギターを作りました。

そして、野村先生と出会い、「野村式熱還元処理法」での処理をすることになりました。


次回のブログで書かせていただく、61センチの新しい,バスバーでの楽器もこの「熱還元処理」
をしていただいたギターです。

私にとっては、弾き込みという点を除けば、ベストの材料の処理方法だと思っています。

詳しい「野村式熱還元処理法」の説明が出来れば、お分かりいただくことも増えると思うのですが、
とても、理論としても難しいことなので、なかなか私には説明が難しいのです。

処理していただくと、ほぼ1.4倍の強度になり、処理後の材料の変形や、収縮は一切無く
材質が均質化される事だけは確かなので、長年寝かしたり、材料の良し悪しもそう影響は
なく楽器が作れると言う利点は確かです。

ですので、経年変化を人工的に促進させた結果、木の寿命が短くなる、楽器としての寿命が
短くなると言うことは無いと思います。
人工的に経年変化をさせているのではなく、熱処理をすることにより、内部構造を変化させ、
均質化,強度アップを図っているからなのです。

また、一般的な人工乾燥では,酸化になりますが、野村先生のやり方は、タイトルにもありますように
還元処理ですので、木にもやさしいのです。


木の経年変化についてですが、ドイツ松においては 切ってから250年がピークということは
良く知られていますが、その後250年経ったときに、切った強度に戻ると言われています。

ですので、250年の寿命ではなく、300年,350年くらいと考えても良いのではないでしょうか?
ギター程度のテンションの楽器では。

同じような楽器として,リュートがありますが、リュートだとすでに300年以上経った楽器も存在し、
実際に使用されている楽器もあります。リュートのほうが、ギターより薄い材料の場合が多く
弦のテンションもトータルすると大きい楽器でも長年の使用に耐えていますので。

でも、材料を日に干す方法では、人間にも良くない,紫外線に長年晒していると、木の寿命は
短くしているかも?と考えたりします。


それと、コメントを読ませていただいて、19世紀ギター,ロマンティックギターを受け入れられる方
とモダンギター、それもモダンスペインギターしか受け入れることが出来ない方では条件が違ってくる
ように思いました。

19世紀ギターと言っても、ご存知のように実に様々な楽器があります。

19世紀ギターと言うと,ラコートやパノルモというイメージがありますが、イタリアの楽器では
ガダニーニのように大型の楽器でモダンの奏法でも弾けそうな楽器もありますし。

19世紀ギターを受け入れられる方は,選択肢が広がるのは間違いないようです。


もちろん、19世ギター1台で何でも演奏できるとは思いませんので、他の楽器も持つ必要は
あると思いますが。


モダンスペインギターしか弾かないと言う方には、なるべく気に入った楽器を,新作も含めて
お探し下さい、ということになってしまうでしょうか?

私の作りたいギターはモダンギターでも、スペインギターではないので。

あとは、現在作られている,モダンスペインギターと少し違ってきますが、シンプリシオとか
ゴメス・ラミレスなどの楽器を探されるとか?でしょうか?


次回は 新しい設計の 61センチギターについて書かせていただきます。












  1. 2014/04/22(火) 00:23:29|
  2. ギター
  3. | コメント:2
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コメント

憂う

平山様の楽器の良さは弾かなくてはわからないと思います。実際に本邦の京都や北海道をはじめとして、プロギタリストにも愛用されるほどのギター、モダンでありながらも19世紀の延長上にあるが、それそのものでもないギター。このようなギターこそ真のギターといえると思います。
利点、欠点を踏まえ、どうしたら最良のギターに成りえるのか、それが61cmの弦長に秘密があるのでしょう。
私個人の勝手な言い分ですが、平山様のようなすばらしいギターこそ、全国の楽器店、決められた取り扱い楽器店でもよいのですが、広く扱ってほしいです。子供でも女性でも、プロも老若男女も、ギターらしいギターを入手できるチャンスですし、正統なギターとはこのようなギターであると周知できると思うのです。
 昨今の大音量至上主義的なギターにはもううんざりするくらいです。コンクールの弊害でしょうか。音量が大きいということを否定はしませんが、無機質で無味乾燥なギターが多いのです。それを説得力と称して推奨される傾向もあります。
今の若い人たち、コンクールの登竜門を通過し、プロの道を歩む人は最初からそのようなギターを求めるべきではありません。音色の妙を実感できるギターこそ求められるべきです。世のギター教室の先生たちもよく考えてみるべきです。そして、審査員の先生方も音量偏重主義を改めてみるべきです。
 全部が全部そうとは断定はしませんが、個人の私見として、きついことを申したかしれませんが、そこはお許し願い、敢えて問うてみました。
拙文、ご勘弁の程を。
  1. URL |
  2. 2014/04/22(火) 18:30:03 |
  3. jiro #0Gt6X8Ak
  4. [ 編集 ]

19世紀ギターを含めた古いギターの価値はほんとうにすばらしいと思う。
昨日も某お宝番組で、日本の宮本金八氏作のバイオリンに似た構造のギターの鑑定があり、興味深く見てみた。幸いなことに、音出しを少しされて弾いてくれたのだが、実にすばらしい味のある音色だった。これは100万でも買えないだろうと推定したが、案の定、ものすごい高額な値段が出た。構造は、バイオリンとよく似た手法のようだが、いいギターを製作する上でのヒントになりはしないだろうか。

バイオリンは、ギターよりも歴史が古いと思うが、その材料や構造設計が参考となるように思えてならない。サウンドホールも両側にfホールがあり、裏や表もタイトに接着せずに緩く固定し、ニスの調合具合で良いものができそうである。
ただ、魂柱による音の伝導はボデーの大きさ、バランスもあり難しいかもしれないので、効果は定かでない。

 近代ギターの幕開けは、トーレスによる構造によるところが大きいが、視点を変えてみて斬新なアイデアで、より古典側に方向性をシフトしてみたら意外とすばらしいギターが誕生するかもしれない。昨今はなんでもトーレス信奉が大き過ぎる傾向にある。実績もあるので否定はしないが、同じ弦楽器属に範を取ることもありだろう。

貴重な木材は乱伐で次第に失われ、エボニー材なども近年では人工リサイクル材で似せて作られているようだし、ローズウッドもいつ伐採禁止になることか。ハカランダ材も今でも普通に出てきているが、ほとんどは雑種交配による新種のニューハカランダと称するものである。めったに本ハカランダには出会えない。19世紀のパノルモには、1枚板の本ハカランダが使用されているが、もはや19世紀ギターにしか求められないのではないか。または、親子代々続くようなヨーロッパの老舗ギター工房でないとストックはしてまい。

 ギター用材も、世界各地から従来のものに代わる新種の木材が見いだされているが、できるだけ歴史的にも定評のあるものにしたいところだ。だが、化学的にも自然な方法で良い結果になるなら、そちらにも期待したい。
  1. URL |
  2. 2014/04/23(水) 09:56:04 |
  3. バロック浪漫 #oMsIVKZw
  4. [ 編集 ]

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プロフィール

kogakki

Author:kogakki
ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、チェンバロ
と言った、古楽器を仕事として製作して
30年以上になりました。

最近はギターに興味を持っています。
最初に作った楽器は、ギターです。
昭和42年でした。 18歳の時です。

古楽器製作家 平山 照秋 

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