古楽器製作家の思うこと いろいろ

昔の楽器製作家がそうであったように、様々な楽器を製作しています。そうすると、いろんな楽器の事が良く分かってきます。特にモダンギターについて考えていることを書かせていただこうと、思っています。

経年変化 弾き込み エージング

本当に、熱心な沢山のコメントをありがとうございます。

CABOTINさんには,貴重な資料も提供していただいて,感謝しています。


このタイトルの問題については、結論などは無いかもしれませんし、
もう結論は出ているのかもしれません。

コメントをいただいた方の中では、おそらく結論は出ているのでしょう。

私の中でも、ほぼ考えは決まってきています。
でも、それが正しいとか、それが結論だとかは、思っていませんが。


私の場合、ギターに比べて,沢山のオールド楽器が残っているヴァイオリン属の楽器
を見ることのほうが多いので、それらのことを少し。

生きていた頃から,名工,名人と呼ばれていた製作家の楽器は、多くの楽器が素晴らしい
物でした。

でも、中には製作学校の学生の作品、(後の名工の学生時代の作品かもしれませんが)
で、良いものもありました。

教えられたことを守り、良い材料を与えられた結果かもしれません。

名も無い作家,ラベルの無い楽器では,なかなか素晴らしい楽器は見つかりません。

表から見ると、素晴らしい楽器に見えるのに、内部を開けると、雑い仕事をしていて、
鳴らない、と言う楽器もありました。

表も中も,材料も素晴らしくても、鳴らない楽器も沢山あります。

表板の厚みや、楽器の構造としては鳴るはずなのに、鳴らない楽器もあります。

ヴァイオリン属ではバスバーは1本しかありませんので、ひたすら 表板や裏板の削りだし
、厚みが重要になって来ますが、この材料でこの削り方だと鳴るはず、と言う楽器でも
鳴らないものも沢山見てきました。

楽器になってからの、弾き込みが悪かったかもしれません。

時代に合わなくなって弾かれなくなって、鳴らなくなったのかも、と言うこともあります。

ヴァイオリンであまりにも鳴らないので、何台もの楽器を削りなおして,作り替えたことがあります。

表から見ると、完成されているのですが、裏は 鑿のあとが残ったまま、
もちろん、厚みも削り足りない,楽器も結構あります。

そんな楽器(おそらく100年から150年経っていると思うのですが)を削りなおして
別の楽器のように、作り替えました。

弾き込まれてはいましたが、鳴らない状態で弾かれていては、弾き込みは期待できないようです。

これは、最近ガンバやチェンバロを調整していて良く感じます。

長年使われていた楽器でも、鳴らない状態だと、10年弾き込んでも,数年弾き込まれた状態に近い
、と感じることもよくあります。

こんな楽器を,鳴る状態にしてあげると,短期間のうちに鳴るようになってきますので。



話が取り留めの無い感じになってきました。

古い家具や、建物の再利用という話で,少し聞いていただきたいことがあります。

今から,35年ほど前,初めて材料を仕入れに、ヨーロッパと言うか,ドイツに行った時の話です。

幸い、日本で楽器材料も扱っている,会社の偉い方と一緒に行って,紹介してもらったと言うのも
あるのでしょうが、大きな体育館のような,倉庫で材料を選んでも良いということになりました。

1日かけて、一つの倉庫を全て見せてもらって、おそらく何千枚か見たのですが、
その中で選んだのは15枚ほどでした。

次の日は何千枚かのうちの、10枚ほどを選んだだけでした。

楽器用の(ギター用の)材料として製材されたドイツ松の中からです。

それほど、よい材料と言うのは少ないものです。

古い家具や、建物の木を再利用する場合も、同じように考えると、古い材料で
良いものに出会えるというのは、偶然か幸運でないと、、難しいようです。

古いピアノの響板も、今まで使ったのは、ベッヒシュタインとドイツで一番歴史の古いピアノメーカー
のシードマイヤーですが、どちらの今探しても手に入らないほど,見た目も素晴らしい材料でした。

これらのメーカーに比べると、もう少し2流に近いメーカーのものだと、見た目も明らかに落ちますし、
音もあまり良くありません。

見た目が悪くても,音が悪いといっても、10年20年寝かした材料よりは良いだろう、
という考えもありますが、楽器をしての性能は,良い材料の20年寝かしたほうが良いと、
わたしは思っています。

ただ、音色は弾きこんだ音はしないのですが。


これが、結論でもないし、私の感覚的なものですが、

まず、構造 設計 が大切でこれらの要素が半分くらいかな?と思っています。

次に材料と楽器を作る技術や知識、(この場合の材料は20年ほど寝かした材料)が
残りの半分,全体の4分の1くらい。

残りの半分は20年30年寝かした材料の中でも更に良い材料を選んで、作ると
達成されそうです。(全体の8分の1)

そして、残りの半分(全体の8分の1)は弾き込まれた材料を使ったり、200年ほど
経年変化を経た材料を使ったり、野村先生の熱還元処理の力を借りると、なんとか
出来そうです。


設計が悪くても、仕事が悪くても、弾き込まれた材料を使うと、素晴らしい楽器が
出来るのはないと思うのは、一般的ではないでしょう。

でも、沢山の楽器を見ていると、作られた当時はこんなに鳴っていなかっただろうな、
と思う楽器も結構あります。

とりとめも無く、考えていることを書かせていただきました。










  1. 2014/03/28(金) 02:33:08|
  2. ギター
  3. | コメント:9
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コメント

早速にご意見をいただけて、ありがとうございます。

第一線で製作、演奏までこなされている平山様のお考え、実体験に基づく経験則には説得力があります。
良い技術と設計、とびきりの材料を使い、そして良い弾きこみで年数を経過した楽器なら、すばらしい楽器といえそうですね。

なかなか頻繁にお目にかかれるものではないのですね。
  1. URL |
  2. 2014/03/28(金) 09:12:31 |
  3. gavottenⅡ #0eZBK.wI
  4. [ 編集 ]

雑感

かなりの要素があるように思います。総合しますと、設計・製作技術・材料そして弾き手。
昔から名器と呼ばれる楽器は、当時から名器であり、簡単には入手できないものだったのです。当時の古い教本類には、その当時の名工の名前が紹介されているほどです。つまり、名器は初めから名器であり、よく鳴る(バカ鳴りではなく、内面的に)楽器だったということであり、古い材料は名器ができるための何パーセントかの要素に過ぎないということかもしれません。
古ければ良いというものでもない、ということです。

私も、良い楽器は初めから良い楽器であり、初めに良く鳴らない(主観的要素もありますが)楽器は、10年、20年経っても弾き手を満足させるものではないのかもしれないと思いはじめました。その証拠に、クラシックギターの世界でも、名手と呼ばれる演奏家は、その時代の最新作を最初から使っていたという事実があります。
 製作家は毎年のように、名演奏家に使ってもらおうと新作ギターを届けに来ます。しかし、気に入らなければ、アドバイスを与えて返却します。また次の年も。そしてやっと演奏家の気に入るものができ、コンサートで本領発揮となるわけです。そして、その評判が全世界を駆け巡り、アマチュア愛好家が同じメーカーのギターを我も我もと買い求めることになるわけです。

上記のことを踏まえれば、第一に、世界の著名な演奏家を唸らせるような良いギターは、そんなに数多く出来上がるものではないということ、第二に、アマチュア愛好家は、多分に先入観でギターを選んでしまっていることもあることです。特に第二の点は大事なことで、「あの著名な演奏家が使っているギターは文句なしに良いから、私も同じギターを買う。」という視点である。
 名工が何百台もギターを製作しても、マエストロと称されるほどの演奏家を唸らせるギターは、1台か2台であろうということ。そういう現実を重視したほうがよいと思います。(もちろん、良いギターの定義には、主観がありますので十人十色なのは言うまでもありません)

であるならば、我々は尚更のこと、弾かれてきた個体で、100年、200年経過した自分にとっての良いギターを選んだほうが良さそうです。私は、経年変化という要素に賭けたほうが得策だと確信しています。

 現代に製作されるギターも新しい状況に入っています。還元法なる方式で製作されるギターも楽しみな方向性です。いずれ木材の枯渇化は必須となります。幼木を4、5ピースで張り合わせるようなことも起こるかもしれません。前記事にもありましたが、化学的な合成で新素材ギターも出てくるかもしれません。
 しかし、歴史的に弦楽器に使用できる木材は決まっていますし、ストックも大事です。歴史的事実もリスペクトしながら、新しい方向性を模索し、良い成果を残すことも未来への財産となることでしょう。そういう方向性も私は期待したいです。
  1. URL |
  2. 2014/03/29(土) 12:17:52 |
  3. バロック浪漫 #.BpvtLh2
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オールドの魅力

こんばんは。古楽関連をサーフィンしていてこちらにお邪魔しました。オールドギターの魅力とその秘密めいた話題で面白そうなので参加します。
まじまな話、この手の話はピンキリで、サイト主様が言っておられるように結論などあるはずもありません。この世界は恐ろしいくらいに深くて底なしです。いろんなサイトで自己所有のオールド物がいかにすばらしいかを語る、薀蓄がもりだくさんです。
意見を述べてる方々には、もう結論、持論はもちろん持っていて当然です。ですが、それを強調すると、そう思っていない人を傷つけたり,不快にさせる場合もあるので、どうとでも取れる曖昧な表現で、やんわりと述べられているようです。
オールドギターに対する感想は千差万別なのは言うまでもありません。個体差も相当にありますし、当然です。

そこで僕の個人的感想です。
ムッとしたらスルーしてください。一個人の一私見としてご理解願います。

木材は、どうやら古くなればなるほど結晶化して、年数によって内部応力が増加して、つまり剛性が高まっていくらしい。特にネックはこの影響をダイレクトに感じとれる部分。言い換えれば、順ぞりや、逆ぞりで長年経過していれば、その状態で安定化して固まっているということ。多少の温度、湿度変化ではビクともしない。
 つまり、ネックがとても重要ということで、ボデイーとの接着状態とも相まって、ダイレクトに弦振動を増幅させる効果がある。
要は、オールドの価値は、表面版や裏板の木目、フィギアの出方とか、古色蒼然の色合いとか、そういう魅力もあるけれども、安定化したネックにこそ価値があるように思えるのだ。
 安定化したネック、これこそがオールドギターのもう一つの大きな魅力だと思っている。
  1. URL |
  2. 2014/03/30(日) 20:55:23 |
  3. 飛鳥蝶 #-
  4. [ 編集 ]

帰還中で資料もない書き込みで失礼します。

飛鳥蝶さまのおっしゃること、実はわたくしも指摘したかったことでありがとうございます(棹と接着についてはすこし疑問があるけれど
管理人さんがくわしいので)。とても大切なことなのですが、アマチュアのかたにとってはそれほど大切な要素ではない
かもしれません。演奏家にとってはきわめて重大なことです
職業演奏家にとっては「運んで演奏ができる」という素朴なことがなによりも大切なことです。
かつてシュタルケル先生(チェロ)の授業を聞いていて、最初の数時間が世界各地アフリカ アジアで
気候に対応した弓や楽器の使い方に終始しました。さいごに「楽器は職業としては湿度の変化を
受けにくい古いものを選ぶように」と締めてられました。


ほどよくエイジングされた木をつかってよい製作家がつくったあたらしい楽器を数年かけて育てる
楽しみ、これもとてもよいものですね。よい楽器は最初から良い、ということは実際には稀です。
もちろん古い楽器の楽しみもあります。
ストラドの時代の黎明期のバイオリンと今のギターの時代は似ているかもしれませんね。大衆の楽器として
あまり見向きされなかったものが注目されはじめた。ストラドが流行にのって価格をつりあげたのかもしれません
当時のギターはバイオリンのすくなくとも十倍以上の価格でした。すでに高騰したバイオリン、ビバルディ以降の時代でも
その施設への納入文書 (仏訳あり 英語訳もあると思います) 現代の超名器は 給料換算ですと
五万円以下で納入されていて破格のストラドはその数倍ですね。ほかのフランスの資料でもそんなもので
アンシャンレジムのギターやハープはそれに比しておそろしく高かった。パノルモのラベルにあるギニー表示の定価は(私もかつて勘違いしていたのですが)当時のストラドより少し安い程度だから高い価格だとおもいこんでいたのですが、ひょっとすると、それは逆で「ほら! ギターにしてはこんなに安いでしょ」というアピールだったのかもしれません。そしてギニーの表示について根拠のない確信・・妄想ですね・・でいうと当時の商人たちの取り分 をあらわしているのかもしれません。トクヴィルの当時の記事を読むと、、ありうるかもしれないことです。

でも現代の価格が不条理だ、とは申しません。
値段、てそんなものだと思います。音楽には関係ないことです。私にはイワシがいちばんの高級魚なのものでして・・・
  1. URL |
  2. 2014/03/31(月) 11:41:13 |
  3. CABOTIN #ArGM.iJY
  4. [ 編集 ]

世の中には、華美なものと、質素なものがあると思うのです。時代によって、前者が好まれていた時代、後者に価値が置かれた時代がります。たとえば、茶の湯の世界。千利休の究めた侘びさび、が好例です。簡素な中にも美を求め、そこに価値を置くような世界です。
 ギターにも似た感じ方があるのではないでしょうか。ビンテージギターにも似たような世界観があるように思います。

いくつかの事例を挙げてみます。

都会生活に疲れた若い夫婦が、過疎地の田舎屋を買い取って、自給自足生活を送ることです。150年は経過したであろうその藁葺屋根の家屋とすっかり黒色化した4寸床柱に、過ぎた時間に思いをめぐらしたり、古い物に対する思いです。日本人ならではの望郷の念もあるでしょう。

あるいは、曽祖父の代から受け継がれた金無垢のスイス製機械式時計に伝統と重みを感じてみたり。旧車と呼ばれる50年前の自動車を手に入れて、ガレージで眺めてはニンマリしながら磨いて楽しんだり。

祖父から貰ったドイツ製の高級万年筆を日常に愛用してみたり。

ビンテージギターの良さというのは、音色とかいう要素以外にも、上記のような事例に似たトリビュートの思いの要素が多いのではないかと思えるのです。プロ演奏家の方たちでさえ、正直そうではないでしょうか。
 誰しも現代には無い何かを感じ取っているのです。その何かは、人それぞれかもしれません。表現は難しいと思います。

今現代に作られているものは、自動化され、コンピューター管理され、画一化され、手作業による誤差が極力出ないことが尊ばれ、最新のものが最良だ、という世界です。古いものが淘汰される時代です。
しかし、物づくりの原点は、そういうものではなくて、手作業のバラツキこそがよいのだという感じ方、朴訥だけど、ぜいたくな材料がふんだんに使用されて作られていた時代、過剰品質とまで言われた時代、ハカランダの1枚板をまるまる使用できた時代のギター、
そういう時代の物たち、ギターたちです。

古い物が尊ばれる背景には、現代ではとても使用できない材料や手間、作り、重厚さ、時間経過という重みがあるように思えるのです。もし、そういう要素が無いなら、単に中古のオンボロ品でしかないでしょう。

ギターは音を出す楽器、弾き手とともに音楽を創りあげる楽器ですから、古いだけでは用が足りないのはいうまでもありません。いつの時代でも、人を惹きつける要素があるからこそ、古いギターが尊ばれると思います。
この傾向は、バイオリン、チェロ、クラシックギター、リュートだけではなく、電子楽器、とりわけエレキギターの世界でさえあるようです。1950年代のエレキギターには、数千万円という値のものもあるそうです。
まさに、ビンテージは永遠に不滅です。
  1. URL |
  2. 2014/03/31(月) 19:56:27 |
  3. バロック浪漫 #LC3d00c2
  4. [ 編集 ]

帰還しまして・・もう花がさいていますね。
 エイジングについては私の書き方が
よくないので、コメントを拝見すると意図するようには伝わっていない
ようです。視点として大切な部分だと思うのですが・・
古いギターの復活をたぶんほぼ最初に喧伝しはじめた私がいうのは
説得力がないのですが、深い本心としては現代の楽器、そしてそれが
友人のものであればもっとうれしい、、それを弾いて、それが代々数百年受け継がれるとうれしいな〜
と願います。でも、好ましい経年変化であってもそれは緩慢な老化(老化は悪い側面だけではない)・・結晶化によってほんとうに不思議な力を得るのですが・・
と思うと、新作の材料を寝かせて熟成すること・・これは今まで歴史で経験があることなので多分大きな問題はないでしょう。
ここから先は私には知識がなくて疑問なのですが・・適度な熟成(へんな言い方だけれど 時間と日光浴)以上の操作が
その材料の寿命を縮めることはないのでしょうかね〜?
親しい製作家が その操作によってとてもよい楽器を感性したとしても、その引き換えにその楽器の寿命を売り渡すことになったとしたら
どうなんだろうな・・ファウストのような難問かもね。

ちがうことを書いて恐縮、まえにお見せしたコストさんのギター。あの小指の飛び込み台にも
感心をもっていただきたくおもいます。その時代のテクニックなどは絵や当時の教本だけから
は類推できない部分があるようにかんじます。いつの時代も様々な技法が並行していて、過去も
現代もさほどの違いはないのではないか? と思うのですが、、具体的な反論を期待してあえて
ちがう話題でした。蛇足 コストさんはガチガチのフリーメーソンの会員だったのですが、彼の残した多くの楽器を
見ているとメーソンの方向と正反対の意図をみます。多弦ギターは新しいものへの挑戦ではなくと、アンシャンレジムの
音楽(メーソンの反対方向)に向かうための道具だったのでは・・それが あの悪あがきの飛びこみ台に現れている、
のでは・・コストのファンがおられましたら強烈な反論を期待します。
  1. URL |
  2. 2014/04/03(木) 21:33:56 |
  3. CABOTIN #ArGM.iJY
  4. [ 編集 ]

人工的な熟成が、その楽器の寿命と引き換え? ・・・・、それは私にはわからないです。なんとも。
たしかに、自然的経年変化ではなく、人工的な操作は、遺伝子操作ではないですが、中長期的視点ではどうなるか見当もつきません。
だからこそ、実験なのでしょう。枯れた味わいのあるトーンを得られるのなら問題なしとするか、いや長い保存に耐えうるのではなくてはダメだかは、演奏者(購入者)の価値観となると思います。

しかし、何事も自然に任せる、ということは凡そ無理のない純な自然なことです。ですから、長年寝かした材料で製作する楽器はもっとも自然だと思います。
日光浴が不自然だとは思いません。燻すことも不自然とは思われません。野球の木製バットは、焼きを入れると粘りが出るとか聞いたことがあります。それと似た現象でしょうか?

田舎屋の家屋の大きな親柱が、長年の燻した煙、蒸気等により、焦げ茶色になっている貫禄の状況を見ることがありますが、相当に粘りと強さがあると思います。あのような柱を薄く製材して、3ピースほどの表面版、裏板に使ってみるのも面白そうです。

いずれにしても、意欲的な実験を多く行い、安くて、貫禄のある良い枯れた味わい深い音色のギターの登場を望みたいです。私は高額なビンテージ楽器を購入するのも悪くないと思いますが、現代でそのような楽器が登場してくれることのほうを切望します。
  1. URL |
  2. 2014/04/04(金) 21:16:13 |
  3. バロック浪漫 #mIFbSuhg
  4. [ 編集 ]

とてもシンプルな選択なのでは?

濃密な難しい内容が続いていて、興味がますます湧いてきます。私は、以前のとおり、良い設計と材料で、良い演奏者の手により弾きこまれてきた楽器が一番という感想は持っていますが、バロック浪漫様の事例を読んでみて少し思いが揺れています。

それは盲目的ではないのですが、古いものに対する敬意、尊敬の気持ちというのはあると思います。人間が思うところの楽器の印象、良さは実際に弾いた場合の音色と、ぱっと見た瞬間の印象(好感度があるかどうか)で決まってくると感じられます。

一度形づくられた印象は、その後ずっと引きずるのではないかと思うのです。ちょうど初対面の人に最初に抱く印象と似ています。
私は難しいことは言えませんが、より感性的ではないか、ぱっと最初の印象で7割が決まり、実際に弾いて3割といった感じです。素人判断かもしれません。
有名なストラドの例をまた出すことになりますが、プロ演奏家といえども、ストラドなら何でもいいのかもしれないです(笑)。あのストラドなら間違いのある楽器はないはずだという先入観です。とにかく所有することで箔がつく。レコードジャケットに使用楽器として記載できる、演奏家にとっての一生もののステイタスの世界です。もちろん実際は音色も随一なのでしょう。又は当たりハズレもあるのでしょうか?

ストラドに限らず、プロなら世界でも超のつく名器を所有することで得られるメリットもあることもあります。
楽器の世界は奥が深いと思いますし、ネームバリューの効果も大きいです。全く純粋に先入観を無くし、目隠しして、自分にとっての本物を選べるものでしょうか?そして、そのようにして選んだ楽器を一生ものとして所有できるでしょうか?
 
 長々と駄文をすみません。要は言いたかったことは、楽器の良し悪しの選択には先入観と第一印象の占める割合が大きすぎることを言いたかったのであります。
特にオールド楽器の世界について考える時いつも感じることは、その点なのです。人間臭く、泥臭いのです。人間同士対して抱く印象や感情にとても似ているのです。一目見て、あの人は、私の好みのタイプではないとか、そういった部類の範疇なのだと思うのです。楽器の選択というの実はとてもシンプルなことなのかもしれないです。
  1. URL |
  2. 2014/04/05(土) 20:59:57 |
  3. gavottenⅡ #23NbynF2
  4. [ 編集 ]

時代の重み

古いギターについての見解について思ったことを少々述べさせていただきます。
 ギターの音色の決定要因は様々なことがありますが、第一に材料の種類、第二に寝かせ期間、第三に構造です。
これらのどれかの要素が欠落しても良いものができません。さて、いろんな方々が最も興味あるところの経年変化という視点ですが、もちろんその影響も多分にあるものです。一般的にクラックが生じていても何ら問題はありません。適切な接着剤・方法により振動の伝達に支障なく修理可能です。
どんなに優れた構造設計であっても、経年変化だけはマネできるものではないのです。勘違いしていただきたくないのですが、それこそ分子レベルで一から完璧な再現をしないかぎり、経年変化は再現できるものではないのです。
唯一その点がマネできないのです。言い換えれば、たびたび他の方々が述べられているように、最初から古いギターの中から自分に気にいるものを購入されるのがベストな選択となるわけです。
但し、表面上のエイジ度具合はいくらでも作りだせますが、それが音色にまで影響するかといえば、絶対に無いとはいえません。それは塗装の塗膜を極限まで薄くすることなのです。
ギターのボデーを厚く輝きのある艶のある普通の塗装を行えば、振動体のボデーをゴムで包むことと同じですので、振動しにくいのです。ですから最初から薄く、要は全体をリュートの表面板に行うような塗装にしておくことが良いのです。
 さて、次は材料の寝かせですが、もちろんヨーロッパの伝統ある工房のように100年以上も寝かせた材料なら文句なしにすばらしい楽器が出来上がることになります。私個人は、30年の期間でもどうかなという疑問はあるのです。できれば100年は欲しいところなのです。なかなか入手は困難なのですが。
 先の投稿記事に、ヨーロッパの家屋分解の材料を使えないかというご提案もありましたが、個人的には文句なしに良いとまではいえません。やはり、実際になんらかの響板としての機能を果たしていたほうが望ましいと考えます。もちろん、家屋の内外で数百年の風雪、温度、湿度変化を経験し、結晶化も進んで強度も高まっていますが、楽器として使えるかどうかはそう単純なことではないのです。家屋の戸板や塀、床板、柱等がスプルースの良材とは限りません。樹種のこともあり、なかなか厄介なのです。
さて、ここまで音色に関わる一部の要因をざっと俯瞰してきた中で、安直な結論なのかもしれませんが、私はアマチュア愛好家、熱心な専門家の方々が簡単に苦労なく、音色の妙を味わえる方法は、やはり19世紀ギターやバロックギターの6弦への改造楽器などを求めることが最も良いと思います。
 様々な観点から考慮しても、時代を経た楽器を迷わず選択することが長い目でみた場合、ロスも少なく良い結果が得られ、それなりの満足感もあるものです。しかし、いわゆる3大名器と呼ばれるギター以外の無銘のギターでも所有欲を満たすような個体がだんだん少なくなってきている気がします。世界のコレクターやマニアなど、オーナーがなかなか手放さないこともあり、かつ値段もそれなりに高額でもあるからでしょう。
しかし、200年近い年月を経た音色には何にも代えがたい音色と人を魅了する時代の重みがあるのは確かなことだと思います。

  1. URL |
  2. 2014/04/08(火) 20:43:12 |
  3. Luthier #/YsRHNao
  4. [ 編集 ]

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プロフィール

kogakki

Author:kogakki
ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、チェンバロ
と言った、古楽器を仕事として製作して
30年以上になりました。

最近はギターに興味を持っています。
最初に作った楽器は、ギターです。
昭和42年でした。 18歳の時です。

古楽器製作家 平山 照秋 

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