古楽器製作家の思うこと いろいろ

昔の楽器製作家がそうであったように、様々な楽器を製作しています。そうすると、いろんな楽器の事が良く分かってきます。特にモダンギターについて考えていることを書かせていただこうと、思っています。

コメントを頂いて  調律、フレッチングについて

sen様 CABOTIN様 コメントありがとうございます。

このブログ自体が、私の思うことを書かせていただいていますし、一般的でないことも
沢山書かれています。

他の方からの、受け売りのような事は書かないようにさせていただいていますし。

ですから、コメントもそれぞれの方のお考えを書いてくださって結構なのですが、
他の方の考えを否定されるような、表現は控えてくださった方がありがたく思います。

他の方の考えを持ちあげてくださいとは言いませんが、それぞれ皆さんがお考えになったことを
書かれていると思いますので。

調律については、固定フレットの楽器以外では、特にチェンバロなど今では、平均律で調律する人は
ほとんどいません。演奏家が、表現しやすい音律で調律して演奏するのが当たり前のことになっています。

ピアノでは、ほとんど平均律ではないかと言われそうですが、巨匠と言われるピアニストの中には、
専属の調律師を連れてくることがあります。
これなども、日本に調律師がいるのだから、なぜ わざわざ連れてくるのか?という声も聞きます。

ピアノでも、機械的にチューナーから音をとって、調律するのではなく、耳で聞いて調律しますから、
演奏家の音楽が最大限に表現出来る調律師を連れてくるのです。

巨匠でなくても、演奏家は誰々に調律を頼みたい、という声はよく聞きます。

これは自己満足などではなく、聞いてくださっている聴衆のためなのです。

作曲家は更に、自分の音楽が表現できる音律を捜し求めています。


そして、ギターでも同じ事が言えると思います。

音楽家は自分のために演奏しているのではありませんから。

ほとんどの演奏家は平均律のフレッチングで問題なく演奏できていますし、聞いている側も
聞き苦しいことは何もありません。書かれてていますが、ほとんどの演奏家でない演奏をしようとすると
音律の問題に突き当たるのではないかと思います。

曲がったフレットが奇異で、音楽に集中できないという方と、まだお会いしたことがないので、
そんなことは思ったこともないのですが、多くの方は、そこまでこだわって、自分の音楽を表現されているのか、
との感想だったように思います。

チェンバロもたくさん作ってきて、演奏会の調律も日常的にやっていると、ほんの少しの音律の違いが
大きな音楽の表現の差につながるのを、よく実感します。

逆に、ギターの場合、左手の押さえ方が悪くて、特に和音など弦を引っ張るように押さえて、音程が上ずっている
演奏などもよく見かけます。これは、調律以前の問題でしょうが。

と言うことで、ここで少し音律と音色について書かせていただきます。

モダンギターを弾いていて、音律の問題に興味を持たれる方は少ないかな?と思います。リュートや19世紀ギター
だと、少し問題があると考えられる方がいるように思います。

これは、モダンスペインギターやモダンピアノの音色は、音が丸くて輪郭がはっきりしない音色だからでしょうか?

これはリュートを弾いたあとギターを弾くと、チェンバロのあとでピアノを弾くととてもよく感じます。
逆に、ギターのあとでリュートを弾くと、ピアノの後チェンバロを弾くと、「なんと鋭い音、きつい音」
だと感じてしまいます。

チェンバロのようなクリアーな音だと、平均律の欠点が出てしまうようです。
でも、ピアノだとそんな欠点はあまり出てこないように思われます。

ピアノを出荷する時に最初に平均律で出荷したのは、イギリスのブロードウッド社だと言われています。
これは、平均律が最もよい調律方法だから、採用されたのでなく、演奏家がそれぞれいろんな調律法で
調律する場合に、平均律だとどの調律法に変えても、一番凸凹が少なかったからだと、私は思っています。

でも、時代が現代に近づくに連れ(調律師によって平均律といっても差はありますが、)
平均律のピアノが多くなってきています。それは音楽的な要求もあったからなのでしょう。

これは、鶏と卵の関係のように、平均律でもそんなに気にならないように、丸い音色のピアノが段々と作られ始めます。
そうなると、平均律でもあまりおかしくないので、平均律が使われるようになっていったのではないかと
思っています。あくまで私の考えですが。

リュートでも、フラット系の曲を弾いていて、シャープ系の曲を弾くと、「え!」と思うほど、
フレッチングがおかしい時があります。そんなときはリュートのように巻フレットだと、少しなら
修正できます。

少し話がそれますが、リュート、ガンバ、バロックギターなどは巻フレットを使っています。
これらの楽器は本来はガット弦ですから、弾いているうちに左手が汗をかいて、弦が湿気ます。
そうすると、太さや比重が変わります。

そなると、巻フレットだとフレットを動かして音程が合わなくなったのを修正出来るのです。

どの提度、太さが変わるかというと、フレット用ガットを少し水に漬け、さっと拭き取っても、
1.0ミリのフレットガットが1.05ミリくらいになります。少し水に付ける時間が長いと、
1.1ミリくらいになってしまいます。

リュートはナイロン弦やナイルガットフロロカーボンなどをよく使いますが、ガンバはガット弦なので
巻フレットは助かります。



本当に話がそれてしまいましたが、ギターでも、モダンスペインギターだとモダンピアノのように
平均律でもあまり問題がないと思う方が多いのでしょうか?

もっとも、私の周りではモダンピアノを、ベルクマイスターやキルンベルガーに調律する人もいましたが、
それは、それで美しい響きをしていました。

と言うことで、また、話がそれましたが、ご自身のお考えも穏やかな表現にしていただくと、助かります。

よろしくお願いいたします。














  1. 2014/03/06(木) 02:08:50|
  2. ギター
  3. | コメント:3
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コメント

お恥ずかしいかぎりです。誤解があったようです。
考え方は人それぞれですので、それを否定するものではありません。
拙い私見とお受け取りください。

さて、演奏家は、仰るように専属のリペアマン、ローダー、調律師といった自分の好みの調整・修理をしてくれる人を持っています。バンドマンや楽団などの海外遠征には確かにそういう人を高額なギャラで雇っています。クラシック系、電子系楽器を演奏する人にとって、楽器のコンディションは重要であり、調律も同様でしょう。もちろん、自分の楽器は自分で調整・修理する人もおられます。

調律もそうですが、大事なことは、きちんとした状態、音程、出音の確かな状態でお客様にいい音色で音楽を楽しんでもらうことが本来の目的ですから、演奏家は常に、心いたさねばならない事だと思います。
 
それにしても、リュートという楽器の移動できるフレットはすばらしい発明です。やはり昔の人は頭がいいです。
  1. URL |
  2. 2014/03/06(木) 16:22:04 |
  3. sen #Y4NnK9Cs
  4. [ 編集 ]

たぶん 長文ゴメン sen様 音律の話は微妙な部分・・いずれキチンと説明しますが・・があって
私もキツイ表現になってすみません。気を悪くしないでいただければうれしいことです。
日本では・・とりわけ日本といってもよいのですが・・
音律の話をすると必ず理解せずに両極端に振れる方達に別れます。私は理解のない両極端には与しませんので、
つい攻撃的に話してしまいます。一部分でもご理解いただければうれしいことです。
音律の話をすると、それを齧っただけの害を増やすだけのようなので控えてきたのですが、資料としては残すことも大切かもしれません。
「琴の糸は強く張っても弱く張っても美しくは響かない」とおっしゃったのは紀元前のブッダでした。

ここからは確信ではない私の考えも含めて、平山さんの話に蛇足を描きます。
私の古典音律のフレットをできる限り直線に近くするための、数値演算をするプログラムの実現は
信頼する平山さんと田中さんの二人の製作家だけに委ねています。私もsenさんの危惧される部分を怖れてのことです。
変ったことをしている・・という 自己満足の輩を排除したいからです。
平山さんとも初期から・・ま、若い時から(笑)・・音律を一緒に考え実践してきました。
今はある程度、声高に唱えなくても実現できるようになったことを、すこし誇りとしています。

付け加えること、12乗根平均率は決して新しい考えではありません、中国でも日本でもヨーロッパでも
ネピアの対数表以前から算出され簡単に実現されていましたが、採用されていなかった(たぶん美的に許されないものだった)。
現代ヨーロッパの実際のピアノの調律について・・私が今でもよく見かけるのは・・リハーサルの間
客席で彼らの仕事ぶりをながめていることが好きなのです・・「あ。。平均率でいいかね?」 といって
作業を始めると、彼らの仕事は平均率ではなく昔ながらのヤングよりの五度をとりはじめます。日本の平均率とほど遠いものです。
しかも調律曲線もなだらか・・というよりフラットにちかいものです。アメリカと日本はそれが急峻なので、その差は
とても大きいのです。これは簡単に、実際の演奏を聞いていただければすぐに分かることです。
現代の名演奏家ランパルやラリュー先生、、一緒に弾いていて、私の音律(充分なだらかなのです)よりはるか下にもぐりこまれて
びっくりすることがすくなくありません。ヨーロッパの調律師のいう平均率が平均率であるかどうか? もすこし疑っています。
すこし前(50年ほど)まえのハープの調律方もほとんどはヤング系(字面が愉快だな(笑))でした。

音律のことは、けっして算数的な対象だけではなくて、もうすこし深い意味と、もっと浅い意味の両面をもちます。
浅い側面・・私には古典音律のほうが実用的なのです。本質的に調性の固有性が存在しない(金太郎飴率)平均率にくらべて
表現が容易。そして、もっと卑近なメリットは、もともと均一でないものは「破れ」が目立ちにくい・こと・これは本当に大きな優位です。

もうすこし深い意味としては・・説明が長くなるのでたとえ話からご理解いただきたいのですが・・ちょい生き方、哲学的・・
感じること・・算数的平均率は19世紀オスマン計画にも似ている、均一、清潔、時代全てが似ています。ご承知のように
オスマンによって均質で清潔な都市は実現されました。しかし・・そこから、つまり曲がった道や袋小路に
本当は大切な美があったのではないか、光りや色や陰翳・・

ま・・しかし・・街路がきれいに直線整備された町(算数的平均率)にあっても、そこから陰翳を想像できます。
オスマン通に立ってもユーゴの世界は感じることはできます、でも想像力が必要です。
  1. URL |
  2. 2014/03/08(土) 02:10:31 |
  3. CABOTIN #ArGM.iJY
  4. [ 編集 ]

CABOTIN様、こちらこそ、先日の私の不愉快な言動をお許しください。
恥ずかしいかぎりの駄文、すみませんでした。

音楽に向き合う真摯なCABOTIN様のことがよくわかりました。ご解説をいただき恐縮です。
音律の話、またぜひご解説ください。

因みに、あれから私自身も確認のため、書店で「音律のはなし」という趣旨の古い時代からのわかりやすく書かれた本を見つけて購入してみました。
今、はじめから読んでみています。
私も、少しでもCABOTIN様のご説明の内容をできるだけ理解して勉強してみようと思っています。
どうぞよろしくお願いいたします。
  1. URL |
  2. 2014/03/08(土) 21:42:09 |
  3. sen #XHhURuTc
  4. [ 編集 ]

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プロフィール

kogakki

Author:kogakki
ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、チェンバロ
と言った、古楽器を仕事として製作して
30年以上になりました。

最近はギターに興味を持っています。
最初に作った楽器は、ギターです。
昭和42年でした。 18歳の時です。

古楽器製作家 平山 照秋 

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