古楽器製作家の思うこと いろいろ

昔の楽器製作家がそうであったように、様々な楽器を製作しています。そうすると、いろんな楽器の事が良く分かってきます。特にモダンギターについて考えていることを書かせていただこうと、思っています。

表板の素材について

ロマンチックギター愛好家様 気を使わせてしまったようで、申し訳ありません。

前回長いブログで書かせていただいたように、私の作りたい楽器は、ファンブレース
 それもパノルモさんのファンブレースを基本にした楽器だけを考えていました。

しかし、それで良いのだろうか?と少し思い始めましたので、あのようなブログを書きました。

でも、基本的にはファンブレースを中心に考えていますし、その素晴らしさはよく分かっているつもりですので。

二つのギター その2のベラスコさんのギターでも、ファンブレースの楽器は
ファンブレースも斜めバスバーも、平行バーもないベラスコさんのギターに比べて、
軽くは鳴ってくれないのですが、音の密度や、響きがあります。

バッハの曲や、バロックリュートの曲を編曲したものなどは、単弦なのですが、
弾いていて雰囲気もあり、複弦楽器を弾いたような満足感があります。

ということで、今回は遅くなりましたが、表板のことです。

2012年1月10日に私が長年やっている、表板の処理方法 日に干すことを中心に書かせていただいています。

そして、2012年5月23日に野村隆哉先生の野村式還元熱処理方法による
表板の処理について、7月25日には処理していただいた材料で作った楽器の報告、
11月29日には西垣さんに熱処理された材料の楽器を弾いていただいた、感想を書かせていただいています。

そして、以前はこの野村式還元熱処理方法による処理を設備を持っている会社にお願いしていましたが、
今、野村先生の研究所の敷地内に楽器専用の処理設備 炉 を建設中です。

私も手伝えることを手伝っています。
建設前の土の整地とかブロック積みの墨出し、コンクリート打ちの手伝いなど。
写真は建設中の炉の外観です。

140116_1157~01


140116_1210~01

ただブロックを積んだように見えますが、下の写真の手前に見える少し小さい建物が
燃焼室で奥の大きい建物が燻煙室です。春には完成しますので、データを取りながら、
さらに野村先生の理論を実践させていただこうと思っています。

今、野村先生の考え、実際のデータを一般の方に分かりやすいように、説明書を製作中です。
出来れば、このブログでも紹介させていただこうと思っています。

私が今作っているギターの表板は35年から40年寝かせたものです。

更に、古い材料として手に入れる方法を考えたのが、古いピアノの響板を使うことです。
幸い、150年以上弾き込まれたベヒシュタインの響板が手に入りましたので、
3台作ることができました。

150年以上ピアノとして、弾かれていたのですから
ギターにして、直ぐに鳴ってくれました。それも、150年弾き込んだような音で。
でも、ベヒシュタインの音がするのです。素晴らしいことですが。

ベヒシュタインの表板以外にも、ドイツで一番古いピアノメーカーのシードマイヤーの響板
などが手に入っていますが、でも、これらは偶然に近い形でしか、手に入りません。

古い材料で作る方法として、古い家具などを使う方法も考えられますが、
これでは、古いだけで弾き込んだ音はしてくれません。

20年ほど前でしたか、フランスの古いお城から、トラベルソが出てきたそうです。
作られてそのままの状態で、保管されていたので、200年以上経っているのですが、
吹いてみると現在作られているコピー楽器と変わらなかった、という話を聞いたことがあります。
実際にその笛を見たわけではないのですが、そうだろうなと、とその時に思いました。

古い材料ということで、少し参考になることを書かせていただきます。
(以前のブログで書かせていただいたかもしれませんが)

40年ほど前に200年は経っているヴァイオリンの材料ということで、手に入れた表板があります。
この表板を使って、2台のトレブルガンバを作りました。
今から、15年ほど前でしょうか。

確かに200年は経っていたようです。
出来てすぐに鳴ってくれましたし、県の文化祭ということで、大きな体育館での
演奏会でしたが、遠達性もあり、オリジナル楽器のように聞こえました。

でも、弾いてみると200年以上経ったオリジナル楽器とは違うのです。
弾き込まれた音はしていないのです。当たり前のことですが。

本当はどうかは分かりませんが、ブーシェさんの楽器で一番良いものは、
ブーシェさんが入ったレストランのテーブルがとても古くて良いドイツ松だったそうで、
それを、分けてもらって作った楽器が一番良い楽器だそうです。
ありえる話です。

でも、私はただ単に古い材料というのでなく、それを日光に当てたり
(紫外線に当てるのは良くない、という話も聞きますが)
野村先生の熱処理をしていただいたり、古い弾き込まれた、ピアノの響板を使うことで、
少しでも良い楽器が出来れば、と考えています。

材料については、40年近く前にドイツで楽器専門の材料屋さんと知り合い、
昔だったら、手紙、それからファックスに代わり、今ではメールを送るとすぐに良い材料を送ってくれます。
あまりよくない材料が届いたときは、あまり良くなかったというと、直ぐにさらに良い材料を送ってくれます。
ですから、材料の入手に苦労したことがありません。お金さえあればの話ですが。

材料の処理としては、一般に知られているのは、ヤマハのA.R.E技術がありますが
http://research.yamaha.com/superior-sound/are/、
なぜか、ヴァイオリンとアコースティックギターにしか利用されていないようです。
素晴らしい、技術ならピアノとかクラッシクギターにも使っているのが普通だと思うのですが。

説明を読ませていただくと、反応は早くなるが,高音の減衰が早くなるというのが、ネックなのでしょうか?
それとも、ヴァイオリン、アコースティックギターが古い楽器の付加価値があるので、
売れるということで使っているのでしょうか?

ギターでは、かなり以前からスーパーウッドという存在を聞いていましたが、私は実際に見たり聞いたり
したことがありませんので、どのようなものかは知りません。

その他、電子レンジやオーブンで焼いてしまう方法とか、昔のつげ櫛の製法で知られる、一般的な燻煙方法。
(野村先生の 燻煙方法 野村式還元熱処理法とは違います)などがあります。

他にも、いろいろ研究されていると思うのですが、私は野村先生の方法で更に良い材料にして、
良い楽器を作りたいと考えています。




  1. 2014/02/19(水) 11:01:35|
  2. ギター
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プロフィール

kogakki

Author:kogakki
ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、チェンバロ
と言った、古楽器を仕事として製作して
30年以上になりました。

最近はギターに興味を持っています。
最初に作った楽器は、ギターです。
昭和42年でした。 18歳の時です。

古楽器製作家 平山 照秋 

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