古楽器製作家の思うこと いろいろ

昔の楽器製作家がそうであったように、様々な楽器を製作しています。そうすると、いろんな楽器の事が良く分かってきます。特にモダンギターについて考えていることを書かせていただこうと、思っています。

2つのギター その3

もう一つの 二つのギターの話です。


ギターを楽しむ,音楽を楽しむのなら、ファンブレースはないほうが良いのでは?
の話に繋がる楽器です。

もともと純粋な、19世紀ギター、ロマンチックギターには、あまり関心がなかったので、
19世紀ギターの延長線上の楽器を作りたいと思っていた私は、1900年前後の
パーラーギターのほうが興味がありました。

最近は更に、1930年代,1950年代のパーラーギターにも興味を持つようになりました。

構造は,19世紀ギターで大型になった楽器です。

最近、オークションで素晴らしい表板の大型の楽器と、良く弾き込まれた少し大型の楽器
が手に入りました。

弾ける状態になるまで、かなり時間がかかりましたが、とても気に入った楽器になりました。


/a>
FJ3100080001.jpg


弦長は 右が 62.5センチ 左が62センチです。

胴の大きさは右が 25.5、22.5、34.5 胴長 46センチ 厚み 8.8センチです。
左は 26.5、19.5、32.5 胴長 47.5 厚みは 6.5から7.8センチ。

重さは それぞれ、1.3キロと1.15キロ程度です。

FJ3100090001.jpg
FJ3100090001.jpg



FJ3100100001.jpg

 
ラベルは 右の楽器はないのですが 左のは バイロイトで作られたものです。

おそらく 右は1950年くらい,左は1930年頃の楽器と思います。

音は、予想通りの音で、音に不思議や、神秘的なものはあまり無いようです。

右の大きい楽器は 柔らかく甘い音がします。
もちろん楽器が大きい分,低音の基音もしっかりしています。

それに比べて,左の楽器は ボディが薄いこともあるのでしょう、実に音が
はっきりしています。音が前に出ています。

弦の中央で弾いても、音がぼけずにクリアーなままです。

今まで弾いた楽器の中でも,一番はっきりした音の楽器だと思います。

和音を弾いてもはっきりしていますので、情緒で弾くより、バッハなどの音楽を
構築するほうが合っているようです。

この二つの楽器を弾いていて、スペインギターがギターの主流にならなかったら、
もっと、ギター音楽が健全な方向に行っていたのではないかと思います。

二つとも,自己陶酔型の楽器ではありませんから。

でも、古い楽器ですので、音に情緒も響きもあって,弾いているのが楽しい楽器なのですが。


これらの楽器もまたアップしようと思っています。

アップ用に,楽譜も作っていますが,少しは練習しないといけない編曲になってしまいましたから。


一応,弾ける程度の編曲が出来たのは、

バッハのコラールプレリュード BWV 639 と平均律の9番のプレリュード、
マタイ受難曲のコラール スカルラッティの k32番のソナタ、
そしてパッヘルベルのカノンなどです。

しばらくお待ちいただくことになりますが、よろしくお願いします。



  1. 2014/02/07(金) 01:09:59|
  2. ギター
  3. | コメント:3
<<コメントを頂いて ファンブレースについて | ホーム | 二つのギター  その2 マヌエル・ベラスコ>>

コメント

ファンブレーシング

こんばんは。私は少し違う意見を持っています。こういう話題は、たぶんに価値観、好みの問題があるように思いますが、敢えて少し述べます。

 ファンブレーシング構造に関しては、決して出音、音色ともこれならではの響きと赴きがあります。代表格は、ご承知のとおりパノルモです。
 音色の妙も、音量も現代ギターと全く変わらないですし、当時の画期的構造だと思います。
 もちろん、斜めバーのラコートにも良さもあります。ただ一概にはファンブレーシングを以ってして音楽、ギターを楽しむなら、そうではないほうが良いとは結論できないと思うのです。
私も随分、いろんな無銘19世紀、ラコート、パノルモ、シュタウファーを弾いてきましたが、音が前に出る瞬発力、拡張感、アタック、どれもファンブレーシングならではの特質が出ていたのは事実です。かといって、無機質ではなく、音量だけではない温かみも充分にあるものです。

ですが、楽器を数百台も弾いたわけではないですが、せいぜい数十台くらいですが、大局的にとらえても、構造的メリットはあると確信できました。

この辺は、持論や価値観もあり、各人で思うところがあるのは仕方ありませんが、

「ギターを楽しむ,音楽を楽しむのなら、ファンブレースはないほうが良いのでは?」 とのお考えにはちょっと賛成できかねるので、失礼とは存知ましたが敢えて意見を述べさせていただきました。

 この話題には興味がありますので、よろしければ、なぜファンブレーシングが無いのが良いのか、もっと具体的なお話を期待しております。
  1. URL |
  2. 2014/02/07(金) 21:49:53 |
  3. ロマンチックギター愛好家 #XMitvJuw
  4. [ 編集 ]

いつも興味深く拝読いたしております。

英国の音大でクラシック・ギターを学び、現在福岡で活躍中の某ギタリストの言葉を思い出しました。
氏曰く、『より大きい音を求め、そのフォルムこそ大きくはなって来たが、楽器としての本質的な機能は今日まで進化してきたとは言い難いだろう』

コメント欄(愛好家様)のご意見にも興味があります。


今回の記事とは離れますが平山様にお訊きしたいことが2つありまして!

①(過去の記事に書かれておられたフレットの溝について)
深すぎると音が悪くなるということですが、正確にはフレット・タンに対し+何㎜位が理想でしょう?
(+1㎜では深すぎますか?)

工房に打ち換えに出しても仕上がりがあまりにも酷すぎるということが続きまして…最近は自分でチャレンジしております。

②ネックヒール部分の形状について

特にスペインタイプのギターに多いと思うのですが、三角形に3㎝もせり出しているのは単にデザイン的な伝統なのでしょうか?
より薄く丸く、或いはヒールレスにすると強度やサウンドに影響しますか?

私が下手なだけでしょうが、いつもハイフレットを弾くときに頂点が引っ掛かるので薄くなるよう加工したくなります。

いつでも結構ですので、是非ご教示下さいますよう
どうぞ宜しくお願い申し上げます。

文章長くなり、すみません。
  1. URL |
  2. 2014/02/08(土) 20:23:58 |
  3. BOLIN #22hNL7Yc
  4. [ 編集 ]

ロマンチックギター愛好家様 BOLIN様 の感想
とても興味深く拝見しました。共感するとともに付け足したい部分もあります。

ヒールの専門的な返信は平山さんにお任せして・・私も_BOLINさんに同感です、
最近のギターのヒールの形は馬鹿げています、とんでもなく早い速度で
腕が動いている所に なぜあんな危険な形であるのだろう?
変ですよね、、音楽を知らない人の仕業とちがうかな。

扇骨のこと・・かなり共感するとともに・。・付け足したいこともあります
平山さんは アマチュア用の楽器 といってられる、アマチュアがどうした・・と とわれると困るんだけれど・・やっぱ すこしの区別はあります。
それに付いてはボクは平山さんに賛成です。同時に扇骨のパノルモ、ボクの
楽器をみていると。。実に惚れ惚れします。ですが、プロにとっても
斜め骨も、実に奥深いのです。そして、大切なこと、、斜め骨の大家も
扇骨の大家も同じパノルモなのです。彼は晩年も斜めをすくないのですが
作っていました。彼のよくできた作はファンの形を想像できないこともあります。
演奏しているとき 構造なんて関係ないですよね
思いも至りません。

自分の立場からの勝手な意見でした。
   
  1. URL |
  2. 2014/02/10(月) 23:01:05 |
  3. CABOTIN #ArGM.iJY
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

kogakki

Author:kogakki
ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、チェンバロ
と言った、古楽器を仕事として製作して
30年以上になりました。

最近はギターに興味を持っています。
最初に作った楽器は、ギターです。
昭和42年でした。 18歳の時です。

古楽器製作家 平山 照秋 

最新記事

最新コメント

月別の記事です

カテゴリ

ギター (334)
演奏会 (10)
その他 (20)

私へのメールはこちらから

名前:
メール:
件名:
本文:

訪れてくださった方々

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR