古楽器製作家の思うこと いろいろ

昔の楽器製作家がそうであったように、様々な楽器を製作しています。そうすると、いろんな楽器の事が良く分かってきます。特にモダンギターについて考えていることを書かせていただこうと、思っています。

ショートスケールギターのこと、その他

今回、関東方面にボランティアで出かけますので、帰りに名古屋に寄ってきました。

HPや現代ギターの広告で、ショートスケールギターを沢山扱っているギターショップがありましたので。
それと、名古屋のギター製作家にも合いたいと思っていたので。

最初にギターショップに行きました。
製作に専念してから、32年になりますが、初めて楽器屋さんに自分の楽器を持って行きました。
買う気もないのに、お客さんの顔をして、楽器を見せてもらうのは気が進まなかったので。
製作家であることと、自分のギターも持参しています、
と言うことを伝えて楽器を見せてもらうことにしたのです。

出発前にHPで確認していた、61センチと62センチのギターは売れたとの事でした。
でも、アリアの61センチのギターがありました。

とても良く出来たギターで、後で見せてもらった、有名な製作家の63センチの楽器より、私には
はるかに良い楽器でした。

61センチくらいの楽器だと、モダンスペインの構造でもバランスの良い楽器が出来るようです。

トーレスさんが、少しは弦長の短い楽器も作っていたようですが、楽器の大きさだけでなく
弦長もいろいろ試行錯誤して作っていてくれたいたら、もっと弾きやすい楽器がスタンダードに
なっていたかもしれませんね?

私のギターも見たいただきましたが、まず最初に弦が古い、との指摘を受けました。
一般的には、新しい弦を張って見てもらうのが普通だと、私も思います。

でも、私は新しい弦の金属的な音が嫌いで、あのギーンとかいう音は、楽器の音でなく
弦の音だと思うのです。
少し古くなって、楽器に馴染んで金属的な音がなくなって、初めて楽器の音が聞ける、
と思っているのです。

それは、ムジカアンティカ湘南さんが扱って下さっている、トロ社のシルク芯の銀巻き線
が最初からそのような音がするのです。

でも、逆に言えば、一般的なギター弦の金属的な音がしないので、弦だけの音がしないので
鳴っているギターを使っていない人には、受け入れにくい弦かも知れません。

でも、そんな事は初対面の年上のギターショップのオーナーに言っても仕方がないことですし、
言っても分かってもらえないと思って、言いませんでした。
これからも会うこともないでしょうし。

でも、61センチのギターは、少しは気に入っていただけたようです。
モダンスペインギターとは,ぜんぜん違うギターなので,分かってはもらえないとは思っていましたので、
当然の結果でしょう。



この後、名古屋の製作家のところに行かせていただきました。

モダンギターなのですが,(19世紀ギターも作ってられます)良い楽器を
作ってられます。でも、なかなか売れないギターを作ってられるようなのです。

私が良い楽器と言うのは,一般的なモダンスペインギターではないからかもしれません。

彼も、楽器が鳴るような構造で作ってられますが、今回面白い楽器を見せてもらいました。

ギター製作家ですから,売れないといけない,と言うこともあって、トーレスコピーで
トルナボスを付けて、6弦がボンボンと鳴る楽器を作っていたのです。

トルナボスの影響で6弦が正常な振動しないくらいなのですが、この楽器は予想通り
評判が良くて、注文が来た、とのことでした。

彼本人が,これは際物と言っていましたが、確かに音楽の表現はし難い楽器です。

でも、このようなギターがギタリストには受けると言うことです。

あと、彼が横板を2ミリにすると,モダンっぽい音がすると言っていました。

確かに,横板を2ミリにすると,横板は振動せずに、モダンギターのような音がする
と思いました。


ちなみに、彼も普通にはもっと薄い横板で、楽器が鳴るように作っているそうです。




名古屋でなく、神戸でもっとショートスケールなギターを見ることが出来ました。

たまたま、フルートの発表会でロッコーマンホールでチェンバロも使うことになったので、
チェンバロを運んで調律しました。そして、ギターを空き時間に見せてもらいました。

6万円くらいの小平さんの59センチのギター、とマルティネスの3万円くらいの58センチです。

これが、とてもよい楽器でした。
うっかりすると、30万円や、50万円の65センチのギターより、音楽的な表現が出来るのです。

小さい楽器なので,楽器全体が鳴っていますし、減衰の長さ,音の表情の付け方など、
とても良いのです。これは、テンションが緩いことが良い方向に行っているのですが、
弦長65センチで,緩いテンションにすると、細い弦にしないといけませんから、
音も細くなります。その点、弦長が短いと、弦の太い音も犠牲にせず、減衰の長さ
なども、有利に働くわけです。

マルティネスは軽く、音のバランスは少し、問題はありますが、楽器全体が鳴っています。

こんな楽器を,アマチュアの方が(もちろん大人の方です)弾いてくれるともっとギターを
楽しめるのに,と思いました。
とにかく、左手が楽で、左手に力が必要ないので(指を拡げるための)右手の力も抜ける
用に思います。

福田さんも,61センチにギターを弾いて、左手がとても楽,だと言ってました。
彼ほどの,テクニックがあっても弾きやすいと言ってられましたから、
普通の人には、もっと、もっと楽に弾けると思います。

本当は,それ以上に音楽的に弾くことを楽しめると思いました。

やはり、弦長61センチや60センチ前後の楽器は、良い楽器が多いように思いました。

これからも、61センチの弦長の楽器をさらに良くしていこうと思っています。





  1. 2013/09/11(水) 00:58:13|
  2. ギター
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プロフィール

kogakki

Author:kogakki
ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、チェンバロ
と言った、古楽器を仕事として製作して
30年以上になりました。

最近はギターに興味を持っています。
最初に作った楽器は、ギターです。
昭和42年でした。 18歳の時です。

古楽器製作家 平山 照秋 

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