古楽器製作家の思うこと いろいろ

昔の楽器製作家がそうであったように、様々な楽器を製作しています。そうすると、いろんな楽器の事が良く分かってきます。特にモダンギターについて考えていることを書かせていただこうと、思っています。

材料 ⑥ ブリッジ(駒)

一般的にローズウッドやハカランダが使われていますが、音作りの方向として、
19世紀ギターのような側鳴りせず、密度のある音を作るなら、
黒檀も考えてよいのではないかと思います。
(19世紀ギターではよく黒檀が使われていました)

リュートでは、昔から洋ナシなどのように実のなる木が使われていました。
実のなる木は一般的に粘りがあるので、リュートのような楽器には良かったのでしょう。
また、本体に使われていたので、楓のブリッジも多いようです。
でも、これらはリュートの話であって、ギターの話ではありません。
知識として知っておいていただくことですので。

ローズ、ハカランダにしても、長年使っていると、特に巻線の4,5,6弦
のブリッジの穴は、大きくなり、弦を留めているところが痛んできます。
私はバロックの弓に良く使われる、スネークウッドで補強しています。


              img516.jpg


よく象牙や貝で、装飾を兼ね補強用にしている楽器を見かけます。
これは、あくまで、私の感想、考えですが。

ギターは、音を弦で振動させ、それをブリッジ(駒)で受け、
表板に振動を伝えます。
この大切な部分に、異質な硬い象牙や貝などを付けてしまうと、
音も硬くなるように思います。私には硬く聞こえます。

19世紀ギターなどに比べると、もともとの音がはっきりしないモダンギターでは、
モダンスペインギターの音を作るため、固い象牙、貝などを使って音を固めにするとか、
音の輪郭を作って、はっきりさせたり、高次倍音を増やすとか、
と言う意図があるのなら、それはそれで良いと思います。

でも、私の作るギターは19世紀ギターに近い、音色なので、
これらの必要はありません。スネークウッドは硬くても木です。
黒檀以上に硬く、また美しいので、音色を変えずに補強になるので、
私はスネークウッドを使っています。

次にブリッジで問題と思うのが、骨棒(サドル)の材料です。

普通に象牙、牛骨が使われていますが、楽器によっては、
黒檀、スネークウッドを使っても良い場合があります。

前にも書かせていただきましたが、弦の振動を本体に伝える最初の部分がブリッジ、
それも骨棒(サドル)です。
この部分を象牙のような硬いもので受けると、バランスなどは良くなると思いますが、
楽器が鳴らないように思います。

実際、何台もの楽器で試してみましたが、黒檀に替えると、
楽器が鳴ってきます。明らかに鳴ってくる楽器もありました。
(倍音ばかりで鳴っている楽器では、あまり差はありませんでしたが、
基音の多い楽器だと、劇的に鳴ってくる楽器もありました。)


ヴァイオリンの場合ですが、駒のE線(一番高音の細い弦です)
が駒に食い込まないように、下図のように、小さな3角の象牙が付けられた、駒があります。

                 img517.jpg


しっかり作られた、新作のモダンヴァイオリンでも、
この小さな象牙が付けられた駒を使うと、音が硬くなりますし、楽器が鳴らないのです。
わずかに倍音が増える感じはありますが。
この小さな三角の象牙でも音にかなりの影響を与えますので、
ギターのように大きく、使うことはどうでしょうか?

ただ、もともとよく鳴るように、作ってある楽器の場合、象牙を使うと、
音の輪郭が出たり、高次倍音が出ることが、良い方向に働く場合もありますので、
楽器によって何を使うか考えても良いと思います。

一般的に牛骨をそして高級な場合は象牙を使っているから、
象牙で良いのではないかと、簡単に決めてしまわずに、よく考えてもいい部品ではないかと思います。

ローズとかハカランダで作られたモダンギターと弾いている人にとって、
楓のギターを弾く場合は、象牙でも良いように思います。
象牙の方が、ローズなどで作られた楽器に近い感触になるようです。


黒檀より硬い(個体差はありますが)スネークウッドは、
少し油気があり、骨棒には合わないように思いました。

  1. 2012/01/19(木) 08:41:11|
  2. ギター
  3. | コメント:0
<<私を含めて、関西の木工家26人が紹介されている本が出版されました。 | ホーム | 材料 ⑤ 指板>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

kogakki

Author:kogakki
ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、チェンバロ
と言った、古楽器を仕事として製作して
30年以上になりました。

最近はギターに興味を持っています。
最初に作った楽器は、ギターです。
昭和42年でした。 18歳の時です。

古楽器製作家 平山 照秋 

最新記事

最新コメント

月別の記事です

カテゴリ

ギター (338)
演奏会 (10)
その他 (21)

私へのメールはこちらから

名前:
メール:
件名:
本文:

訪れてくださった方々

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR