古楽器製作家の思うこと いろいろ

昔の楽器製作家がそうであったように、様々な楽器を製作しています。そうすると、いろんな楽器の事が良く分かってきます。特にモダンギターについて考えていることを書かせていただこうと、思っています。

コメントをいただいて

老紳士様

製作の中心がギターになりそう、と言うことでリュート製作の数が少なくなるのを
心配されていますが、今までも、リュートはあまり作っていませんでした。
むしろ、ガンバが一番多いと思います。
今も、ガンバはバスガンバ3台、5弦チェロ、ギター3台を早い段階で、作らないといけません。

古楽器に限らず、弦楽器でも良い楽器を作っている人がいれば、外国の方でもよいのでは?
と思っています。

リュートも、外国の方で素晴らしい楽器を作ってられる方も、沢山いらっしゃいますし。

それに反して、ギターは100%近くが、モダンスペインギターしか、世の中に
存在しません。

19世紀ギターを作っている、ギター製作家の方も、モダンギターと言うと、19世紀ギターに
ヒントを得ている方も、いらっしゃいますが、スペインギターのイメージです。

リュート、ガンバ、チェンバロなどをヒントに、モダンギターを作ろうとする製作家は
今のところいないように思いますし、これからも出て来ないように、思います。

今の、モダンスペインギターを、重たくて、音がぼけて、音楽が表現しにくいギター
と認識している、製作家もいないようですし。

ほぼ、1キロの重さ、弦長64センチを標準の形にしてきましたが、日本人にとって、
男性だと61センチくらい、女性だと59センチくらいを標準とする時代がやって
くれば、もっとギターを弾く人口も増えるでしょうし、ギター音楽でなく音楽の
質も向上すると思います。

長年独学でやってきた人、あまり良い先生につくことが出来なかった方の、
演奏を聞かせいていただくと、右手も左手も、力が入りすぎている場合が多かったです。

特に左手は、私の5倍から10倍は力が入っているのではないかと思うほど、
力を入れて押さえている人が沢山いました。

これも、体に合わない大きな楽器、長い弦長の楽器を弾かないといけないことから、
無理に手を拡げて、力を入れて拡げた結果ではないかと思います。(もちろん、
一つの要因ですが)

小学生のコンクールなどでも、ほとんどが体に合わない、大きな楽器を演奏しているのを
良く見かけます。

楽器として、性能の良くない子供用の楽器だったら、無理してでも、楽器として優れている
大きな、大人用の楽器を使うほうを選んでいるのかもしれません。

弦長や、楽器の大きさだけだったら、最近はショートスケールと言って、
弦長が61センチ、62センチ、63センチくらいの楽器も作られています。

でも、これらはモダンスペインギターの縮小版です。
モダンギターの欠点も持っていますし、さらにその欠点が強調されている楽器が
多いように思います。

私も、今年で64歳です。あと10年か15年楽器を作られたら、よし としないといけないような
歳になりました。

(本当はあと20年は楽器を作り続けたいところなのですが。)

私が理想とするギターを作ることが、私しか出来ないことだと思いますので、
これからも、ギターは着くって行きたいと思います。

現在、この61センチ、59センチのギターの注文はありません。
リュートを作っているほうが、注文は多いと思います。

まだ、61センチの楽器は私が設計して、お弟子さんに作ってもらっただけです。

私が作らなくても、私の設計で作れば、充分に音楽的な表現が出来て、弾きやすい
楽器が出来ることも、証明したかったので、この目的は叶えられたと思っています。

更に、61センチ程度の楽器の性能を上げて、弾いてみたいという方を探したいと、
思っています。



リュートのシングル弦の話ですが、私が自分用に作るとしたら、こんな楽器を作って、
そんなに練習もせず、音楽を楽しみたいと思って書いたのです。

でも、実際アーチリュートを弾いている人で、たまたま、今月始めにピンチヒッターで
チェンバロを運んで調律させていただいた演奏会でも、アーチリュートをシングル弦で
使ってられてました。

オリジナルが、あまりにも大きいので5分の4くらいに縮小してもらったらしいのですが、
(それでも、番外弦は155センチくらい。)オペラなどで使う場合は本来の大きさの楽器で
ドーンと大きな通奏低音を弾きたい、と言われていました。

リュートも、楽器のコンディションを昔に戻して、使っている竹内太郎さんなども、
いらっしゃいますし、ガンバもバーゼルなどでは初期のガンバコンソートはルネサンスガンバ
でやっているようです。

古楽器の世界、ピリオド楽器の世界も、多様化していって良いように思います。

チェンバロなども、以前の鳴らない楽器だと、8’8’4’を使っていたのが、
8’8’だったり、8’シングルで充分音楽が表現できるようになりましたし。
(クープランさんも、まずシングルで音楽を作る練習をしなさいと書いていたように思います)

でも、バロックオケでも日本ではまだフレット付きのコントラバスを使っている、
人は少ないようですし。まだまだ、楽器の形態、使い方は変わっていくのでしょうか?

  1. 2013/08/17(土) 22:32:21|
  2. ギター
  3. | コメント:1
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コメント

益々のご活躍を

ご回答をありがとうございました。
今後の方向性や将来性がわかりました。ギターを愛好する方々が、弾きやすく音楽表現のしやすい良質な楽器を入手して、楽しむ日もそう遠くないと思います。
平山様には10年でも、30年でも現役で良い楽器を作り続けていってほしいと願っています。
 でも、かつて熱心にやられていたリュートについても、外国人にはできない平山様だからこそ、成し得る楽器ができると思うのです。注文有無に関わらず、いくつか製作されてみてはいかがでしょうか。毎年の展示会に新作発表もしてほしいです。
気が向かれたら、ぜひいつかお願いしたいものです。

 これからも健康第一に、益々のご活躍を祈念いたしております。
  1. URL |
  2. 2013/08/18(日) 10:04:00 |
  3. 老紳士 #-
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プロフィール

kogakki

Author:kogakki
ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、チェンバロ
と言った、古楽器を仕事として製作して
30年以上になりました。

最近はギターに興味を持っています。
最初に作った楽器は、ギターです。
昭和42年でした。 18歳の時です。

古楽器製作家 平山 照秋 

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