古楽器製作家の思うこと いろいろ

昔の楽器製作家がそうであったように、様々な楽器を製作しています。そうすると、いろんな楽器の事が良く分かってきます。特にモダンギターについて考えていることを書かせていただこうと、思っています。

お礼とお知らせ

いつも、貴重なコメントをありがとうございます。

食の世界でも、昔は教えてもらわず、鍋にの残った少しの煮汁などをなめて自分で
考えて、自分の味を作って行ったという様な話は良く聞きます。
それに比べて、最近は何でも教えてくれるから、最近の弟子は良いなあ、と言う話も
聞きますが、どちらが良かったのでしょう。

そう言えば、このような話以前にも書かせていただいたように思いますね。

それと、リュートの製作のことなどですが、このブログを始めたのも、今一般的に使われている
モダンスペインギターへの不満からでしたが、その大きさ、構造、材料などまだまだ、これからも、
本来のギターのあるべき姿を、さらに追い求めて行きたいと思っています。

他の方で、こんな楽器を作ろうとしている製作家もいないようなので、私が作るしかありませんから。
そして、もっと演奏しやすく,音楽を作りやすいギターが増えて欲しいのです。

弦長が61センチや63センチのギターを作る製作家も以前に比べると増えてきたように思います。
でも、その方々は大きな,重いモダンスペインギターを基にされていますから、弦長が短く
小さな楽器で弾く易くなっているとは思うのですが、私の作りたい楽器とは違います。
しかし、そのような小型モダンスペインギターを弾きたいと思っている人のほうが、多いと思います。

今使われているギターは,ほとんどがモダンスペインギターです。
小さくても,そのモダンスペインギターの雰囲気が残っている楽器でなければ
いけないのでしょう。

モダンスペインギターが100%近く、98%くらいだとすると,残りの2%くらいが
19世紀ギターかもしれません。

でも、19世紀ギター,ロマンティックギターは私には、
その頃の曲を弾くにしても少しイメージが合わないのです。

ソルの頃、アグアドの頃,ジュリアーニの頃、カルリの頃、レニアーニの頃に使われていたから、
その頃の曲を弾くなら,ロマンティックギターが良いとされるのでしょうが、特にソルなどの
音楽は私の作りたい,ロマンティックギターの延長線上のモダンギター,それも少し小型の
楽器が一番ふさわしいように思うのです。

でも、この間来られた,19世紀ギターを主に演奏されるプロのギタリストの方もおっしゃっていましたが、
ギターと言うと、モダンスペインギターのイメージが強くて、19世紀ギター,ロマンティックギターは
受け入れられにくいようです。

その隙間を埋めようと、19世紀ギターの延長線上のモダンギターを作ったのですが、
私の作るギターでも,なかなか理解を得ることは難しいのですから。


19世紀ギターはオリジナルに忠実な良い楽器を作られている製作家はいますので、私が作らなくても
良いように思いますし。そして、まだまだオリジナルの楽器も,1900年前後のパーラーギターなども
沢山残っていますし。

リュートは最近では、とても良い楽器も作られていますし、これからもよい楽器を
作られる方は出てくると思うのです。(日本に限りませんが)

ですので、撥弦楽器ではギターを主に作って行きたいと思っています。


ただ、自分用に小型のアーチリュートは作ってみたいと思っています。

調弦はルネサンスリュートと同じで、指板がついている、弦長は59センチくらいで、
番外弦は70~90センチくらいの小型のアーチリュートです。

弦はもちろんシングルです。
シングルでも,充分リュートの響きはすると思います。

リュートもアーチリュートはどんどん大型化していますし、ルネサンスリュートは
どんどんオリジナルな方向に行っています。

オリジナルに近い楽器は作る人も多いと思いますので、私は使い勝手の良い、音楽の作りやすい
持ち運びも簡単で,メンテナンスも簡単な楽器を作って見たいと思います。
これもギターと同じで,この方向では多分作る人がいないと思いますので。



それと、お知らせです。

もっと早くお知らせしないといけなかったのですが、ガンバフェスタのお知らせです。


9月21日に新大阪駅近くの 大阪市立青少年センター ココプラザで
午前10時30分から16時30分まで、ガンバのレッスンやコンソートがあります。

私はいつものように、楽器のメンテナンスで参加します。
楽器の展示も少しはすると思います。


img110.jpg
img111.jpg

ギターのようにフレットもついている、擦弦楽器です。

旋律楽器をやってみたい方や、古楽器に興味をお持ちの方はどうぞおいでください。

  1. 2013/08/08(木) 10:01:29|
  2. ギター
  3. | コメント:3
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コメント

今後の方向性などありがとうございます。少々さびしい気もします。ホームページを拝見いたしますと、古いピアノ修復を含め、古楽器の制作をされる方と理解しておりましたので、ギターがメインとのことで、残念な気もします。
 現在、リュートを制作される人もそんなに多くはなく、むしろ少数派だと思います。言い換えれば、需要の問題かとも思われます。19世紀ギターやそれにインスピレーションされたギターのほうが需要がまだ多いということだと思います。

現在、リュートを制作する日本人も数えるほどですし、それも修復、ギター、ガンバなど、いろんな制作をする人もおられるようです。

 平山様のような確固たる信念をお持ちの方にこそ、意欲的なリュート制作もしてほしかったです。
  1. URL |
  2. 2013/08/08(木) 22:15:19 |
  3. 老紳士 #-
  4. [ 編集 ]

歴史的回帰の意義は

はじめまして。古楽関係のブログなどは、ひととおり見ています。
かなり深い内容で、感心してしまいます。
 ところで、ひとつ気になりましたことがあり、あえて書かせていただきました。

それは、アーチリュートについてです。最近の傾向としまして、ほとんどの演奏家がシングルで弾かれている場合が多いのですが、弾き易さ重視の傾向にやや疑問を持ってしまうのです。
 歴史的には、複弦であったわけです。多くの一般の聴き手には、どうでもよいことなのかもしれませんが、「アーチリュートとは、そういうものであった」という認識が広まってしまうのが怖いのです。
今の時代には、それなりの今風のアレンジというものも考えられますが、行っている分野は、まぎれもなく当時の音楽ですから、楽器は複弦であるべきだというのが私の考えなのです。
音の捉え方、聴こえ方、考え方は、もちろん演奏者、製作者の自由でありますから、それは仕方のないことだとは思います。しかし、せめてこういった古楽の分野では、正統なオリジナルに忠実で、当時の仕様に適ったあり方が大事なことであると思うのです。
 アーチリュートのシングル仕様だけではなく、バイオリンの改造、リュート的多弦ギターなど、いろんなギターが発明されています。それでも聴衆が楽しんでくれさえすれば目的は達成されたという考え方もあるのかもしれません。そのようにして、時代とともに、楽器の仕様も進化、変化していき、それがその時代のスタンダードになっていくなら、それも良し、という考えですね。
 現代のクラシックギターが、そのいい例です。リュートから複弦4コース、5コース、6コース、そして6弦シングルと進化したのですから。ここ1世紀以上、クラッシクギターの形状、弦数は、このスタイルで落ち着いています。

 コメントを書きながら、なにか矛盾してきてしまいました。文章を書きながら、なにか平山さまの方向性が理解できてしまいました。

支離滅裂ですみません。要は、歴史的古楽と今後の方向性といったことを、楽器製作の方向性と関連させながら、どうなんだろうかということを問題提示したかったわけです。
  1. URL |
  2. 2013/08/09(金) 07:43:14 |
  3. のりお #-
  4. [ 編集 ]

のりお 様のコメント、、なにか核心をついてられてますね。
外からの知識ではなくて、感覚で見られていることを尊敬します。

歴史的には意外とシングルがありますね。ダブルと思い込んでいるから、写真集には収録されにくいのとちがうかな。
アーチはとくにモンテベルディの初期バロックのバスシフラで活躍するわけだけれど
実践の場所ではそれが必要かな? という疑問もぬぐえないのです。
あの超大型のバスとしてのダブルハープと重なっているわけです。
オルフェオなかはそれに任せたほうがよいかな~とも感じるのですが、
特大ダブルハープとのコンビではシングルのほうが適しているかもしれません。断定はできませんが。
  1. URL |
  2. 2013/08/10(土) 19:37:35 |
  3. CABOTIN #ArGM.iJY
  4. [ 編集 ]

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プロフィール

kogakki

Author:kogakki
ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、チェンバロ
と言った、古楽器を仕事として製作して
30年以上になりました。

最近はギターに興味を持っています。
最初に作った楽器は、ギターです。
昭和42年でした。 18歳の時です。

古楽器製作家 平山 照秋 

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