古楽器製作家の思うこと いろいろ

昔の楽器製作家がそうであったように、様々な楽器を製作しています。そうすると、いろんな楽器の事が良く分かってきます。特にモダンギターについて考えていることを書かせていただこうと、思っています。

コメントをいただいて ユーチューブその他 そしてまた


早速、演奏に対して、そして楽譜についてコメントいただいて、ありがとうございます。

演奏は、本当に練習もしていなくて、お聞かせするのは、恥ずかしい演奏ばかりで、
暖かいコメントをいただくと、穴があったら入りたい、と言う心境です。

最初に習った、渡辺範彦さんを育てた、植木先生の教えを守って、「ギターは旋律楽器である、
音楽の基本は歌にある」ということを、心がけて演奏はさせていただいています。


パッサカリアの楽譜は、ギターで弾くと,ロンドン版はかなり無理がありそう、というか
一般的なギター楽譜に慣れてしまっていると、切り替えがかなり難しそうです。

ヘルズミュア版にロンドン版のスラーの位置や,装飾をつけて、自分なりのパッサカリアを
作ろうと思っています。



それと、ヴァイオリンの話ですが、20世紀までは,ヤコブ・シュタイナーのほうが値段は
高かった,と言う話しはよく聞きます。

ストラッドの値段が上がったのも、戦後急激に上がったようです。

ストラッドは,他の製作家と違って、リュートも、ギターも、弓も,ガンバも,ハープも
マンドリンも作っていますから、ヴァイオリンも他の製作家とは違う楽器を作れたのかもしれません。

同じような製作家は、ヨアヒム・ティルケさんくらいでしょうか?


経年変化で,ドイツ松,ドイツトウヒは切ってから,250年と言うのが,通説ですが
ストラッドさんの楽器は、とうにその年数を過ぎています。

でも、ストラッドさんは特にしっかりした木を選んで、いるので250年以上経っていても、
素晴らしい楽器なのだ。と言われたりします。

でも、これは、一つの原因,一つの要素,一つの考えかもしれませんが、
今は、経年変化から行くと、デル・ジュスさんのほうが素晴らしい楽器の時期なのですが、
ストラッドさんの楽器のほうが圧倒的に沢山の楽器が残っているので、ストラッドさんの楽器を
最高としているほうが,商売になる。
という話もあります。

それにしても、ヴァイオリンの本は,楽器屋さんが書いた本が多いので、以前にも書かせていただき
ましたが、神秘的なもの,だと言うことを、オールドの楽器のもっている、魔法のようなものを
広めるための本が多かったように思います。




ということで、また、調子に乗って、ユーチューブにアップさせていただきました。

今まで,アップさせていただいた楽器は,よく考えたら,私が作った楽器がなかったので、
3年前に作った、10弦ギターの演奏をアップさせていただきました。

10弦ギターを作っても,あまり弾いてくださる方がいなくて、3弦を半音下げて、バラールや
ブザールの曲を弾いていましたが、バッハさんの 998番のプレリュードの最低音が A 
なので、ちょうどオクターブ下げると、10弦で弾けると言うことで、編曲しました。

ほとんど、出回っている,6弦用の楽譜の最低音をオクターブ下げたような楽譜ですが、
バッハさんが作った プレリュードとほぼ、同じ響きになります。

ラウテン・クラヴィーア,リュートチェンバロのために作られたと言われていますので、
原曲からは音を減らさないと弾けませんが、最低音は変更なく弾けますので、
雰囲気はかなり伝わると思います。(演奏は別にして)

それと、原曲は Es dur ですが ギターでは D dur で編曲されます。
それで、たまに1フレットにカポタストを付けている人がいますが、バッハさんの頃は
A=415だったので(バッハさんが弾いていたジルバーマンのオルガンが 415だった
らしいのですが、平均律のG#の音が415.3ヘルツなので、チェンバロの鍵盤を
一つずらすと、バッハの頃の音高になるので、バロックピッチとして、A=415
を使っています)ちょうど半音低いことになります。

ということは、モダンピッチのギターで弾く場合、D dur で弾くと,
バッハさんが作曲していた頃の Es dur の響きになるわけです。

ということで、5線譜ではないのですが、6線譜で楽譜公開させていただきます。



img094.jpg
img095.jpg


前回アップさせていただいた曲も、最初は6線譜で作りました。
後から、5線譜に書き換えて、今 清書していただいています。

10弦ギター用の楽譜なので、とりあえず、6線譜でアップしました。

ほとんど、最低音をオクターブ下げた感じですが、22小節目は1弦を使った
運指だと、低音がどうしても切れるので、2弦も使いました。

そして、昨年 この曲に気がついて、編曲した頃はよく練習していたのですが、この1年くらい
ほとんど、弾いていませんでしたので、たくさんミスもありますので、
10弦ギターの音のサンプルとして聞いてください。


http://www.youtube.com/watch?v=yZeffb0kiBc


ただ、楽譜にも休符は書かせていただいていますが、チェンバロや鍵盤で弾く場合、
この休符が問題になるようです。

バッハさんが書いたように弾くのか、また、違うのか?
それが、よく勉強しているチェンバリストには、大きな問題だそうです。
ユーチューブや、CDで聞いても、ちゃんと考えを持って、演奏しているチェンバリスト
は少ないようです。有名な人でも。

どう休符を捕らえるかが問題と言うことは、休符をつけるのが、前提です。
私も鍵盤楽器であれば、必ずつけることは当たり前のように思います。
(それで、練習不足なのに、無理して消音しています)

ギター、リュートではどうでしょう?
かなり、早いテンポで弾ききる場合は、休符は必要ないでしょうが、普通のテンポ、
ゆっくり歌うようなテンポだと、つけたほうが良いと、私は思います。
バッハさんは必要のないものは付けませんから、と言う理由もありますが、
実際に休符を付けると、バッハさんの音形の意味が分かります。

9,10小節や18,19,21,22小節などは、低音が響いている時は
和声的に、低音を消音したところでは、旋律的になっています。
(部分的にですが)

休符を入れて弾き始めると、休符のない演奏は、少し間が抜けて聞こえます。
(私だけかもしれません)

そして、1小節 11個の旋律をどうグループ分けにするかも問題です。

そんな、問題を考えるより、とにかく間違えずに弾きなさい!
との声も聞こえてきそうですが、楽器つくりと同じで、最終目標があったほうが
演奏の練習も楽しく、気長に出来ますので。

演奏していると、低音は指向性がないため、弾いている自分によく聞こえるので、
あまり低音を出すと、品がなくなる、と思いあまり出していませんでしたが、
パソコンのスピーカーで聞くと、もっと低音をはっきり出していたほうが良かったようです。



次に、10弦ギターを作った目的です。


私のギターの構造だと,6弦をレ、やドに下げる以上に、ラまで下げても充分鳴ると
言うことを、分かってもらうために,よく6弦を下げていました。

でも、10弦を作れば,いちいち下げなくてもよい、と言うことで作ったのです。
10弦も9弦も6弦用の弦を使っています。

それと、今まで見た10弦ギターが,あまりにも8,9,10弦が鳴っていないので、
10弦まで鳴る、10弦ギターを作りたかったというのも、一つの理由です。
(モダンスペインギターでは,6弦も鳴っていませんから、10弦は無理ですね)

また、この楽器で初めて、樹脂フレットを使いました。
弦長は63センチです。

楽器が鳴っていれば、弦は何でも良い,と思っているので、3年間弦は替えていません。
ただ、1年ほど前に5弦が切れましたので,5弦は替えています。

今まで、ラミレスさんと河野さんの10弦ギターを使っているギタリストさんには
見てもらったのですが、もっと10弦ギターを弾いている人に見てもらいたいと思っています。

ブログとか,Hpで10弦ギターの8,9,10弦が鳴っていない、と言う記事はよく
見るのですが、そんな方には、ブログとかhpで連絡がとれません。

最低音まで、力を入れなくても鳴る10弦ギターに興味がある方は、ある方をご存知方は
ご連絡下さい。見ていただく方法を考えますので。







  1. 2013/06/29(土) 00:47:47|
  2. ギター
  3. | コメント:1
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コメント

 リクエストに応えていただきましてありがとうございます。

10弦ギターでのバッハのプレリュード、なんともいえずその良さが隅々にまで染み入るようです。
 朝から5回ほど繰り返し聞いていました。現代のモダン10弦とは違う、むしろリュート的な響きのような印象を持ちました。
 早朝からすがすがしい気分になれました。不思議な感覚です。ありがとうございました。

 平山様の師匠の教えは、ギターというものを通りこして楽器を演奏するものの心得のようなよいお言葉です。私も見習いたいと思います。

 よき師匠を得て立派になられる人も、独学で学び大成される人もいて、ギターのマエストロと呼ばれる人のエピソードには面白いものがあります。

 ずいぶん昔に読んだ本で、A,セゴビアは、一般的には独学で学んだ方と思われていますが、実は本人が語ったところによると、最初のギターの先生は乞食だったそうです。
 オンボロのギターを抱えて、物乞いに来た乞食の弾くフレーズに心を打たれたセゴビアが金を払って習ったそうです。
 その後は、グラナダ音楽学校で正式に音楽は勉強したそうです。

 但し、乞食から習ったのは1ヶ月で、その間に乞食のテクニックの全てを学んでしまったそうです。

 しかし、セゴビアにギターを教えていた乞食とはどんな人だったのでしょうか。意外なこともあるものです。

 外見にとらわれず、本質を見抜く目、耳を持つことがいかに大事なことかを教えてくれていると思います。
 それは、ギターでも同じだと思うのです。古い19世紀ギターのお話で、そんな昔に読んだ本を思い出しました。
  1. URL |
  2. 2013/06/29(土) 16:03:16 |
  3. gavottenⅡ #-
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プロフィール

kogakki

Author:kogakki
ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、チェンバロ
と言った、古楽器を仕事として製作して
30年以上になりました。

最近はギターに興味を持っています。
最初に作った楽器は、ギターです。
昭和42年でした。 18歳の時です。

古楽器製作家 平山 照秋 

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