古楽器製作家の思うこと いろいろ

昔の楽器製作家がそうであったように、様々な楽器を製作しています。そうすると、いろんな楽器の事が良く分かってきます。特にモダンギターについて考えていることを書かせていただこうと、思っています。

コメントをいただいて 楽器をコピーすることなど

いつも、沢山の熱心なコメントをいただいてありがとうございます。

まず、コピー楽器のことですが、モダンスペインギターを作っている人に、
トーレスのコピーを作ることを、勧めた理由です。

モダンギターを作っている方は、そのスタートがトーレスさんということですから、
トーレスさんが何を考え、どうしたかったかが、分かると、その方が作る楽器も
変わってくるのではないかと、思うのです。

トーレスさんの楽器をコピーするなら、それまでの楽器、スペインだとファン・ミュノア、
ファン・モレーノ、マヌエル・ナルシソ・ゴンザレスそして、もっとさかのぼると、
パヘ一族、フォセフ・ベネディート、ディオニッシオ・グエラ、
などの、調べる必要があると思いますが、トーレスさん自身が、ほとんどマドリッド派の
影響で楽器を作っているように思うので、トーレスさんスタートで良いかな?
とも思います。

19世紀ギターでは、コピー楽器をつくる製作者の考えも入っていると思いますが、
楽器の大きさや構造はほぼ、忠実に作られていると思います。

トーレスさんのコピーを作ることは、私はトーレスさんの考えていたことが分かることが
大切だと思っているのですが、職業でギターを作っている人には、トーレスのオリジナルは
手に入らないから、オリジナルに近い楽器ということで、売れるだろう、と思って作っている
ように思えます。もちろん、研究目的で作っている人もいると思いますが。

ブーシェモデルや、ハウザーモデル、ロマニロスモデルなどはその目的で作っているようの
思いますので。

19世紀ギターでは、モデルになる楽器によって、音はかなり変わってくると思います。
19世紀ギターを作っている製作家は、いろんなモデルで作っていますが、出てくる音は
モデルごとに違った音、響き、性格の楽器を作ってられるようです。
それぞれの、モデルとなった製作家の考えなども、分かって作っておられると思うのです。


現存する、トーレスさんの忠実なコピーといっても、ほとんど作る楽器が違う寸法や
設計で作られているので、何台かは作らないといけなさそうです。

また、1グラムまで同じように作っても、今使われている、トーレスさんの楽器とは
全然違う音だと思います。
それは、一番大きな差が 経年変化の違いがあるからだと思います。

トーレスさんが作った頃は、出来たばかりの楽器の音はこうだった、という
サンプルにはなると思います。

また、良く知られているように、最高の材料を使ったプロ用に作った楽器ばかりではないので、
そう沢山無いと思うのですが、彼が作った良いとされる楽器のコピーで無いと、
意味は無いかもしれません。

何か取り留めの無い話しになってしまいましたが、セゴビアさんのような音楽を作るのなら、
トーレスさんの楽器では、無理だったように思います。

トーレスさんも死ぬまで、試行錯誤されていたようですが、20世紀のハウザーさんや
ラミレスさんたちも、名工と言われてからも、研究熱心に更に良い楽器を作ろうとされていました。

1時的なものだったかもも知れませんが、ラミレス3世さんのデ・カマラギターや、
ニスに対する研究など、結論は私とは違いますが、名声を得てからも、研究意欲はすごいと
思います。

私は、かなり以前に英語版のロマニさんが書いた、トーレスさんの本を見て、一番役に立ったと言うか、
一番良く見たページが、90ページ、日本語版だと、111ページのパノルモさんの表板を
裏から、撮った写真です。それ以外は、92ページ、日本語版だと116ページの沢山の修理跡の
あるトーレスさんの表板の裏からの写真です。

それ以外は、「なんとけち臭い、肝心のことは何も書いていない本だな!」と感じました。
でも、この本を読んで、何度も読み返して、ギター製作のことが良く分かったという方もいますので。
私だけの感想かもしれません。

ギターを作る前から、何千、何万とギターが作られてきて、パノルモさんだけが、バスバーが
バスバーとして機能していると感じていました。

ラミレス3世さんは、彼の著書に「力木や響棒は表面板を保持する骨格としてのみ働く、
あまり害の無いものであり、表面板が変形するのを防ぐ」と書いています。

また、力木とは止むを得ない障害物にすぎない とも書いています。

ラミレスさん以外のモダンギター製作家も同じような考えなのでしょう。

また、話があっちのほうに行ってしまいましたが、
楽器をコピーする時は、何の目的でコピーするのか、
それが大事なことだと思います。

他のご意見とか、コメントにはまた次の機会に触れさせていただきます。






  1. 2013/06/26(水) 00:29:39|
  2. ギター
  3. | コメント:1
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コメント

平山様、含蓄のあるコメントで考えさせられました。
 物事の 「 学ぶ 」とは、「 まねぶ 」から転じたものだそうです。なにごともまずは、模倣することから出発するのは正しいことだと思いました。コピーから学び、欠点を知り、より理想に近づくことが大事なのですね。
 何のためにという目的を知り、製作することは大事なことだと思いました。

 製作者の中には、実際、作っている楽器が弾けない方もおられます。ですから完成しても、指で音をはじくことはしても、音が前に出ているとか、鳴ってないとか、そういうことはわからないわけです。
 私の考えも、製作者は、作っている楽器は弾けたほうがよいに決まっていると思います。

 音の良し悪し、評価は誰によって、どう決まっていくのでしょうか。ここからは、所有者(何代もオーナーは変わっていくのですが)です。どちらかといえば、巨匠と呼ばれるようなプロが使用すれば、アマチュアも右へ倣えとなっていくでしょう。そして長く愛奏されていけば評価は定まったも同然です。
 ところが、オークション類などを見ますと、プロが録音で使用した後、すぐに売却されたものとか、所有証明書付きで高額な値段のついたものだとか、すぐに手放したものも多い。
 プロの使用したものは、「評価」が定まったといっても、すぐに飛びつかないほうがよいと思います。
 やはり、1台をセゴビアさんのように20年以上は弾き込むような楽器が本物だと思うのです。

 私の結論は、巨匠の所有歴20年以上の楽器、これなら間違いないでしょう。
CABOTINさんのご所有の平山様製作のリュート楽器も20年以上使用ですから、ギターもこれからの新作も含めて、私もたいへんに楽しみなことです。
  1. URL |
  2. 2013/06/26(水) 11:00:23 |
  3. gavottenⅡ #-
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プロフィール

kogakki

Author:kogakki
ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、チェンバロ
と言った、古楽器を仕事として製作して
30年以上になりました。

最近はギターに興味を持っています。
最初に作った楽器は、ギターです。
昭和42年でした。 18歳の時です。

古楽器製作家 平山 照秋 

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