古楽器製作家の思うこと いろいろ

昔の楽器製作家がそうであったように、様々な楽器を製作しています。そうすると、いろんな楽器の事が良く分かってきます。特にモダンギターについて考えていることを書かせていただこうと、思っています。

習うということ その1 音楽のレッスン

気分転換ついでに、私の楽器製作にも関連してきますので、
習うと言う事を、私はどう考えているのか、
また、長くなりますが、お時間のある時にどうぞ 

仕事柄、いろんな方のレッスンを見せていただきます。そんなレッスンの様子を。

「私は音大を出て、音楽は分かっています。ですから、楽器の奏法だけを教えてくれればいい」
と最初に言っているかのような、音楽はそっちのけ、と言うレッスン。
反対に、この生徒の段階で、プロの奏者でもそんな事はしていないだろうと、
思わず突っ込みたくなるような、細かい事までレッスンしているとか。

何か、金儲け主義のお医者さんのような。
長く患者でいてくれるほうが、儲かるので。完全に直さなくて、
長年病院通いをするように、治療しているような。

全然うまくならなくても、辞められるし、あまりすぐに上手になっても、
自分の手から離れるし、そこそこ少しずつうまくなるように、教えているのかな?
と思うことが。

私の最初のギターの植木先生は、出来の良い生徒は高校生の時に、
1年と少しでプロが出るコンクールに(日本ギターコンクールだったと思うのですが、)優勝。
社会人だった先輩は2位に。
そして、出来の良くなかった、私でも、1年目でギター教室の先生を出来るくらいに、
してくださいました。

でも、この素晴らしい先生に出会うまで、何軒もギター教室を回りました。
ほとんどが、何年も習っていても下手な生徒の教室がほとんどでした。
最後に家から歩いて3分の所に一番良い先生が見つかりました。
習い始めて半年もしていない生徒が、他の教室だと、
5年も6年も習っている人より上手だったのです。

居合いでも、そうでした。私は54歳から習い始めて、
6年後の60歳の時に、最高位の7段(宗家が8段なので、私達は7段までです)
そして、他の流派の免許皆伝に相当する免状をもらいました。
他の流派でしたら、30年以上かかると思います。
これも私の力でなく、先生の力でそうしてくださったのです。


医療の世界でも、セカンドオピニオンというのが、当たり前になりつつ
(そうでもないですか?)あると思うのですが、
学校でないのですから、他の先生のレッスンを見せてもらって、
いい先生を探してもいいのではないでしょうか? 

それと、私と同じ世代で、まだまだ忙しくしていて、
練習の時間が取れない方も多いと思います。
そんな時は、簡単な曲でもいいですから、曲を弾きましょう。
音階練習や、アルペジオなどは、時間がたっぷりあるプロに任せましょう。
いや、プロなら、毎日2時間以上は音階、
アルペジオ他の基礎練習をしなくてはいけないと思います。

時間の無いアマチュアは、一番基礎となる、音楽の大切な事、
音楽性とテクニック、同時に時間を使うべきだと思います。
テクニックは音楽性をより高めるために必要な物で、音楽が伴わない、
テクニックの練習は時間を半分しか使っていないのではないかと思います。

簡単な曲でも、好きで長年弾いている曲でも、その曲を音楽的に完成させるためには、
どのようなテクニックが必要か考えて、その練習をするのなら、意味があると思います。

楽器の演奏が上手になるためには、テクニックが上達する事も大切ですが、
それ以上に、耳がよくなることが大切だと思います。
よく、音楽を習っている人から、全然上手にならない。
と聞かされることがあります。
でも、聞いている私達には、物凄く上手になっていることが。
これは、武道でもよくあることです。テクニックより先に耳が進歩していて、
出来ていない所や、あらばかり聞こえてくるのです。

耳とテクニックが同じ速度で進歩すると良いのですが、これは難しいことです。
逆に、耳の進歩が遅くて、テクニックが先に行くと、一番悲惨です。
いずれは、壁に当たって音楽をやめると言う事になりかねません。

こんな時は良い先生に習っていると、その先生を信頼していると、
間違った方向には行かないのですが。

こんな経験を音楽をされている方はありませんか?仕事が忙しくて、
音楽を聴く時間も練習もする時間が無くて、長い間楽器を弾いていないのに、
上手に弾けることが。
これは耳の方が退化して、音楽を聞くことが出来ないため、
上手に弾けていると勘違いしているのです。 

音楽は美術と違って、基本的なテクニックが無いと表現しにくい芸術です。
美術でも、毎日何時間もデッサンしていないと、思った線が描けないという作家もいます。
この作家と、基礎のレッスンをしていない作家の作品を見極める事の難しさに比べたら、
音楽は分かりやすいと思います。
音楽を、自分の音楽を表現するためには、ある程度のテクニックは必要だと思います。
その上で、その人の人間性、今まで習ってきたこと、やってきた事が出ると思います。

よく分かった楽器製作家と話をしていると、
「音楽はまだ、レッスンをしたりして、習ってよくなることがあるが、
楽器は作っている人間性を変えないと変わらないから、大変だ」と言う話が出ます。

もちろんきれいな楽器を作ったり、
バランスのよい楽器を作ったりは習っても少しはよくなるとは思いますが、
それは枝葉のような気がします。
もっと、音楽の事を知ったり、よい音楽を聴いたり、
よい音楽家と付き合うことのほうが、大きいように思います。

そして、その延長線上に絵画や陶芸でも工芸でも、
能でも狂言でもお茶でもお花なども、あるような気がします。

 最近、ギターでも、ピアノでも、ヴァイオリンでも武道でも、
最初から間違ったことはせず、
基本をしっかり教えてくれる先生の生徒は上達が早いように、
思うことが良くあります。

よく聞く話ですが、独学でやっている人が、
最初に基本をしっかり習っていたら良かった、と言うことを。
でも、なかなか基本をしっかり教えてくれる先生は少ないようです。

でも、よい先生を探すことが出来れば、
貴方も1年でコンクール優勝!!とは行かないでしょうが、
一生、音楽を友にすることが出来ると思います。

見つけることが難しい環境の方は、「録音するのが一番いい先生だ」
と言うことを40年も前からおっしゃてられる、
リコーダーの先駆者の、長い付き合いの音大の教授がいます。
録音すれば、自分の悪い所が山のように出てくると思います。
それを、自分で治せばよいのです。
出来ることなら、悪い所を直すだけでなく、
自分の良いところは延ばしていければ、さらに良いのですが。


今まで書かせていただいたことは、あくまで演奏はプロでない私の考えと、感想です。
そんなことは無いと、思われる方もいらっしゃると思いますが、
こんなことを考えている人間もいるのだな、
と思ってくだされば、それでよいと思うのですが。
いかがでしょうか。


  1. 2012/01/15(日) 12:32:23|
  2. ギター
  3. | コメント:0
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プロフィール

kogakki

Author:kogakki
ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、チェンバロ
と言った、古楽器を仕事として製作して
30年以上になりました。

最近はギターに興味を持っています。
最初に作った楽器は、ギターです。
昭和42年でした。 18歳の時です。

古楽器製作家 平山 照秋 

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