古楽器製作家の思うこと いろいろ

昔の楽器製作家がそうであったように、様々な楽器を製作しています。そうすると、いろんな楽器の事が良く分かってきます。特にモダンギターについて考えていることを書かせていただこうと、思っています。

演奏会を聞いて

沢山コメントいただいていますが、すこしずつコメントいただいたことについて書かせていただきます。


ということで、最初は演奏会の感想です。

うーーん、と考え込んだ演奏会がこの間ありました。
ルネサンスギター,19世紀ギター(ロマンティックギター)モダンギターを使った演奏会があったのです。
昔から良く知っている演奏家なので、聞きに行かせていただきました。
曲も、良く弾かれる曲でなく、自分で編曲したものや、あまり演奏されない曲も沢山ありましたので。

そこで、うーーーーん、となったのがモダンギターです。
昨年も同じ会場で同じ演奏家の演奏を聞きました。

その時は,モダン楽器は東京から何台かギターを運ぶので、適当なモダンギターを持ってきた、
と思い込んでいました。

でも、聞いてみると昨年も,今年も同じ楽器だったそうです。

その楽器とは,私が最も素晴らしいモダン楽器と思っている、フリアン・ゴメス・ラミレス
の名器です。

一般のお家で弾かせていただいた時は、感激した楽器です。
そして、古いピアノの響板を使った数少ないギターの内の一台かな?と思った楽器です。

それが、オリジナルのロマンティックギターを聞いた後では、音が平板で、どの和音を弾いても
色が変わらず、非常に表現の幅が狭いのです。また、音も沈んでいるのです。

(また、ここで念を押させていただきますが、あくまで私が聞いた感想ですので、
でも、会場で聞いていた、プロのギタリストの方で、ロマンティックギターを弾いている
演奏家は同じ感想でしたが)

私の好きなイダ・プレスティが弾いていた、(CDでその音も聞けますが)あの、ゴメス・ラミレスが
こんな音だったのかと,驚くとともに、うーーーんとうなってしまったのです。

会場は絵を展示するギャラリーですので、非常に良く響く天井の高い、30人ほどの小さな会場です。

演奏会が終わって、私の楽器を使いたいという,ギタリストの方も来ていたので、私のギターも
同じ会場で音を出しました。(チェンバロとボッケリーニやポンセの曲を合わせるので、バロックピッチ
でも音が出る楽器ということで,私の楽器を使いたいとのことでしたので)
そして、そこでほっとしました。

音の出方,明るさ,和音の分離の良さなど、ロマンティックギターと同じだったのです。
もちろん低音はもっと広がる低音でした。



そこで、良い楽器を探されている方のコメントがありましたが、モダンスペインギターでは
求めても,そこに無いものを求められているのではないかと思ったのです。

音楽的に弾こうと思えば、名器と呼ばれるギターでも、モダンスペインギターでは無理なのでは
ないかと思ったのです。これも、もちろん私の考え、思いです。

音楽的に弾こうと思えば、時代,国,製作家が違えば、いろんな楽器があるロマンティックギター
(19世紀ギター)同じ製作家でも、さまざまな楽器がありますので、この中から選ぶしかないかな?
と、思ったりします。

CABOTINさんのおかげで、たくさんロマンティックギターを見せていただきました。
同じ,ラコートでもモダンギターのような鳴りのギターもありましたし、今CABOTINさんが
使ってられる、パノルモのように、10年前に作られたのではないかと思うほど、
若々しい音がする、元気な楽器もありますし。

それか、私の宣伝はしたくは無いのですが、ロマンティックギターの延長線上の楽器
を探すとか。と言っても、この方向でギターを作っている人は私以外ではいなさそうですが。

ロマンティックギターを作っていて,モダンギターを作っている友人達のギターも
モダン楽器だけを作っている人の楽器に比べると、良い楽器だと思いますが、
はっきり、ロマンティックギターにつながるモダンギターを作りたいと思っては、
作ってられないように感じますし。



それと、ブログメールでいただいたコメントですが、ギターの横板の厚みと言うか、
幅についてです。

かなり以前面白い楽器を見ました。ルイス・パノルモさんの甥の楽器だと思うのですが、
ほぼルイス・パノルモさんの楽器と同じ,大きさ(表面積)で同の厚みと言うか,幅が広い楽器を
見ました。
この楽器は、楽器の大きさは変えずに、胴を厚くして深みのある音を作ろうとしたのだと思うのですが、
胴に音がこもって,前に音が出ていませんでした。

表板からほとんどの音が出ているはずなのですが、サウンドホールから出ている音も大切な要素なのだな、
と思いました。(この楽器特有の問題だったかもしれませんし、胴の厚みだけの問題では
無いかもしれませんが)


逆に、モダンギターですが、何台か,見た楽器の中にあったのですが、ワイス・ガーバーの楽器に
胴の薄い楽器がありました。この楽器は音が良く前に出ていたように思います。



話は変わりますが、同じ時期だったと思います、スタイルと言うか、
胴の形はパノルモさんの形で、表板の面積を大きくした楽器を見ました。
これもパノルモさんの子孫の楽器だと思うのですが、
そんなに大きくはしていなかったのですが、音はロマンティックギターの音ではなく、
完全にモダンのようなぼけた音でした。

この楽器を見て、楽器を大きくしてしまうと,パノルモさんの流れを受け継ぐ人であっても、
ロマンティックギターのような締まった音は出ないのだな、と思ったのです。
もう、15年ほど前でしょうか。それから、ずっと考えていたわけはないのですが、
10年以上、考えていて4年ほど前から、なんとか出来るのではないかと思い、モダンギターを
作り始めたのです。



話は戻って、胴の厚みの話です。

擦弦楽器で魂柱も立っているので、比べるのは違うかもしれませんが、バロックヴァイリンと
トレブルガンバはほぼ同じ音域で、同じような大きさです。(パルドッシュというトレブルガンバ
より4度上の楽器のほうが近いかもしれませんが)
ヴァイオリンは胴の厚みが、3センチと決まっていて、ガンバは色々あるのですが、7センチくらいです。

ガンバとヴァイオリンを比べると,やはりヴァイオリンは音が前に良く出ますが、ガンバは響きが
豊かです。

私の楽器も横幅は、92ミリくらいですが、これで裏板からの音の還りや、位相の問題、響き、そして
弾きやすさ(構えやすさ?、小さくても胴の幅があると楽器を構えるときに,私などは少し無理が
あります。モダンスペインギターを弾いていて、楽器の大きさもあるのですが、どうも厚みも
私には厚すぎるように感じています)も問題が無いので、この厚みで当分は行こうと考えています。

あと、横板に演奏家に音が聞こえやすくする目的だと思うのですが、穴が開いている楽器もありますが
少しは,演奏するほうに音がするように思います。でも、美的な問題から、
私はやろうとは思っていませんが。


ヴァイオリンについては,バロックヴァイオリンは作ったり、修理をしたりしていますが、
このブログでは、簡単に書かせていただいたほうが良さそうですね。
ヴァイオリンに関しては、ギター以上にいろんな考えや楽器がありますので。

でも実際,大昔ですが、東京方面の楽器屋さんが、ノーラベルの100万程度の楽器を見て、
「この楽器だったら、ラベルを貼ったら500万で売れる」と言って買っていったことも、
ありましたし。

ヴァイオリンについてはこの程度で終わりにしたいと思うのですが。

ギターの名器,名器の条件などについてはまた次回以降で書かせていただこうと思います。











  1. 2013/04/07(日) 00:34:19|
  2. ギター
  3. | コメント:1
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コメント

やはりそういう悪徳業者がおられたのですね。日本にも。
 オールドバイオリンには、特にラベルが貼ってあり、クレモナの本物とかいうのは絶対に手をだすべきであはありません。今までにどれほどの人が泣かされてきたことか。
 無名だけど、19世紀頃のドイツ製とかいうのがまだ良心的です。

 また、オールドギターの類はどうなのでしょうか。今の印刷技術、コピー技術なら、ニセラベルも容易いかもしれません。不思議なことにバイオリンほどには圧倒的に、ギターのニセモノを摑まされたという話は聞きません。
 外見、作り、音など、真偽が比較的容易にわかるからかもしれません。サウンドホールから覗けば一目瞭然です。

 今、オリジナルの19世紀ギターで、ラコート、パノルモとか楽器店で普通に売られているが、自分はギターを選んでよかったと思います。バイオリンなんかにのめりこんでいたら、必ずオールド物が欲しくなると思うのです。この怖い世界には足を入れたくない。
  1. URL |
  2. 2013/04/08(月) 18:28:35 |
  3. 小鍛冶屋 #-
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プロフィール

kogakki

Author:kogakki
ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、チェンバロ
と言った、古楽器を仕事として製作して
30年以上になりました。

最近はギターに興味を持っています。
最初に作った楽器は、ギターです。
昭和42年でした。 18歳の時です。

古楽器製作家 平山 照秋 

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