古楽器製作家の思うこと いろいろ

昔の楽器製作家がそうであったように、様々な楽器を製作しています。そうすると、いろんな楽器の事が良く分かってきます。特にモダンギターについて考えていることを書かせていただこうと、思っています。

楽器の寿命、表板の経年変化

コメントをいただいて、私の考えを書かせていただくという形が増えて来ましたが、
今回もそのパターンです。

と、本題に入る前にお願いがあります。

コメントをいただくと、平山様と書かれているのですが、私もトーレスさんセゴビアさんと
呼んでいますので、「平山さん」「こがっきさん」でコメントやメールをいただけないでしょうか?
このブログはあくまで、私の考えているギターのこと、また、ギターを作る人の何かの参考になれば、
演奏をされている方に、楽器に付いて考えていただく、きっかけになれば、と思って書いていますので、
コメントをいただいて、新しい考えが浮かんだり、更に深く考えるきっかけにさせていただいていますので。

よろしくお願いします。

ということで、本題です。

楽器の寿命のようなことですが、

モダンスペインギターと、今でもオリジナルが良く使われているのは19世紀ギターだと思いますが、
19世紀ギターは1830年くらいまでに作られた楽器を使ってられると思います。
オリジナルの19世紀ギターについては、私が知っている多くの楽器は200年近く経っていますが、
どの楽器も、今が最高に鳴っていると思ってしまうほど、よく鳴っている楽器が多いです。
出来た時は、こんなに鳴っていなかっただろうと、思う楽器も結構あります。

特に、西垣さんの持ってられる、パノルモなどは何でも弾けるし、5年か10年ほど前に作られたのでは?
と思うほど、元気の良い音がします。
もう一台、使われているコッフの楽器は、200年近く立った、経年変化の化け物のような。
ものすごく鳴っていますし、妖艶さは20世紀のギターでは、足元にも及びません。

このように、19世紀ギター以前の楽器はメンテナンスをしっかりやってあげれば、
コピー楽器や、レプリカでは及ばない良く鳴る楽器が多いように思います。

これは、楽器の大きさ、特に表板の面積が小さいこと、楽器の強度が全体としてバランスが
取れていることなどが、取れているからだと思います。

それに比べると、20世紀のモダンスペインギターでは、50年も経つと、あまり鳴らない楽器も
あるようです。 うっかりすると、20年、30年で。

これは、構造の違いが大きいと思います。

話せばまた、とても長くなりますが、簡単に言うと、大きなライニングによって、
表板の周りが鳴らないので、ブリッジあたりをとりあえず、薄くする。
そうすると、基音は出ないが、倍音が多くなって鳴っている感じがするので、
売れる楽器が出来る。売れるので、こんな楽器を作る、それを演奏する人が使う。
という循環で、寿命の短い楽器が出来るのだと思います。

もちろん、名器と呼ばれる楽器は、このような構造ではありませんが、楽器の大きさを
大きくしてしまった、トーレスさんの功罪かもしれませんね。

また、表板の厚みをほとんど変えずに、作っている作家だと、どうしてもブリッジあたりの
強度が不足して、長年の使用に耐えないのだとおもいます。

そして、楽器全体の強度のバランスが悪いと楽器は壊れますし、長持ちしません。
モダンの楽器は、強度が大きいところと、小さいところがあるように思います。

ということで、経年変化で200年300年経った、楽器の修理をすることがあります。

そうすると、夏目と呼ばれる、柔らかいところはサクサクで、脆い感じがします。
これで、学者さんが言っている、経年変化で強度は上がっているのかな?
と疑問を持ちますが、冬目と呼ばれる、硬い部分はとても丈夫になっています。

夏目がサクサクになって、軽く反応が良くなり、冬目で強度が出ていることを感じます。

次に、割れなし、歪なしで100年200年持つ楽器は難しいと思います。

良い楽器を見ると、ほとんど例外なく、完全な正目の表板が多いと思います。
この完全な正目は、非常に割れやすいのです。

音より、割れにくい楽器を作るとしたら、追正と呼ばれる、少し斜めになった正目を使うほうが、
有利です。でも、音は完全な正目のほうが良いです。(理由は私のブログの材料編で書いていると思います)

歪も、無いような楽器を作ると、振動する余裕が無くなり、あまりよい楽器にはならないかな?
と思います。でも、これは一般的な話で、前に書いた、パノルモさんやコッフさんの楽器は
割れも、歪もありません。モダンスペインギターを前提とした話です。


次回は、トーレスさんのお話です。














  1. 2013/03/23(土) 01:09:28|
  2. ギター
  3. | コメント:1
<<トーレスさんについて 楽器の大きさ、弦長 | ホーム | トーレスさん、リュートの構造について>>

コメント

表板の面積が小さいこと、楽器の強度が全体としてバランスが取れることに秘密があったということですね。
ーーーー20世紀のモダンスペインギターでは、50年も経つと、あまり鳴らない楽器も
あるようです。 うっかりすると、20年、30年で。ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 表面積で決まってしまうというのは驚きです。楽器が小さいから鳴らないというわけではなかったわけですね。
 ため息がでるほど衝撃的事実です。モダンに限らず、リュートもそうなのですか。一般によく言われるボローニャ型とかも小さめです。かつてのラウ・マーラーが絶賛していたとか。やはり昔も今も小さめの楽器こそ音のエネルギーが遠くまで飛んでいくのでしょうか。不思議な気がします。音響物理学で説明できるのでしょうか。普通、大き目の表面板こそ、大きく鳴るのが常識的と思えるのですが、そこがなんとも不可解なのです。
 平山様(・・・平山さんなんてお呼びすると、なにか慣れなれしくて・・・恐れ多いです)、そこのところをもう少しだけご説明していただけませんでしょうか。お願いします。
  1. URL |
  2. 2013/03/23(土) 19:43:41 |
  3. trio #-
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プロフィール

kogakki

Author:kogakki
ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、チェンバロ
と言った、古楽器を仕事として製作して
30年以上になりました。

最近はギターに興味を持っています。
最初に作った楽器は、ギターです。
昭和42年でした。 18歳の時です。

古楽器製作家 平山 照秋 

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