古楽器製作家の思うこと いろいろ

昔の楽器製作家がそうであったように、様々な楽器を製作しています。そうすると、いろんな楽器の事が良く分かってきます。特にモダンギターについて考えていることを書かせていただこうと、思っています。

コメントのお返事、九州でのお話

九州から帰ってきたのですが、帰ってからも演奏会や雑用が追いかけてきて、
ばたばたしていて、ブログを書くのが遅くなりました。確定申告も終わりましたので、
少し書かせていただきます。

と言うことで、trioさん、 gabottenⅡさん コメントありがとうございました。

お二人が書かれていたような事と、少し違うことを書きたかったのですが、
このようなことを言っている人間はいないので、もう少し説明が必要かな?
と感じました。

以前、弦のことで、モダンヴァイオリン属、モダンヴァイオリン、モダンヴィオラ、モダンチェロの弦が、
スチールのため、(スチール以外の材質の弦も使われていますが、同じような感じなので)
しなやかさがなく、ヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバが現れて、魂柱の立った時から
数百年、常識とされてきた、駒と魂柱の関係が、崩れていることを、お伝えしたいという、
気持ちがあったのです。

戦前まで、そして数十年前まで、魂柱と駒の位置関係はその間の距離を、魂柱の直径分か
駒の、脚の幅分離すと言うのが、常識だったと思います。
私はそう思っていました。
ヴァイオリンで6、7ミリくらい、チェロで10から12ミリくらい。

ただ、この常識で、スチール弦を張った、モダンヴァイオリン、モダンヴィオラ、モダンチェロ
を調整すると、弦の硬さからくるのでしょうが、音がはっきりせず、音程すらも分からない音に
なってしまうのです。

それで、仕方なく、駒と魂柱を近づけると、音がはっきりしてきて、音程も取れます。
ただ、弦が振動して、駒に振動を伝えますが、魂柱がつっかい棒となって、表板が振動しません、
と言うか、振動しにくくなります。

そして、弦だけの音や、表板は振動していても、部分振動で、倍音ばかりの音になります。
それは、時にチェロやヴァイオリンを聞いていて、ハーモニカのような音に聞こえることがあります。
(決してハーモニカが悪い音、倍音ばかりの音だと言っているのではありません。御喜美江さんのフアン
になった頃から、ハーモニカの崎元譲さんも好きで、お二人が作った、ポエム・ハーモニカという
CDも持っていますし、良く聞いています。スティービー・ワンダーのハーモニカも好きですし、
ただ、ヴァイオリンの演奏で、ハーモニカの音は聞きたくないのです)

そして、その音は私が作りたい、基音がしっかりしていて、その周りに
倍音が、響きが付いている音と、正反対の音なのです。

ですから、楽器がホールの条件に合っていなくて、鳴っていないとか、湿度の問題とか
楽器が良い悪いの問題でなく、弦の問題だと思っているのです。

今井さんも、良い楽器を使われていると思います。
そして、信頼のおける楽器メンテナンスの方に、楽器の調整も任せていると思います。
あれだけの、演奏をされる方ですから。

でも、モダンの楽器のコンディションで、スチール弦を使うと、こうなってしまうのは
無理が無いというか、普通にそうなってしまうと思います。程度問題はあると思いますが。

もっとしなやかな、モダンの弦が現れると、こんな問題はなくなると思います。
ギターの弦のような、フィラメントの芯の弦とか。
どうしてそのような弦が無いのだろうかと思います。

でも探せば、多分あると思っています。しかし、
弦を選ぶ演奏者がその弦を選ばないのだけかもしれません。

このような、ハーモニカのような倍音だらけのヴァイオリンの音は異質な音なので、
客席には聞こえてくるのです。他の楽器の音とも異質なので、溶け合わず聞こえてくるのです。

それが、音が通っている、楽器が鳴っていると勘違いしている演奏家の方もいるように、
感じたことがあります。

いつも言っていることですが、これもあくまで、私の感想です。
私だけが感じていることなのかもしれません。

モダンヴァイオリンの世界に、どっぷりと浸っている、その専門家の方には
普通のことなのかもしれません。

でも、演奏を聞きながら、あと1ミリでも、できれば2ミリ魂柱と駒の距離を離せば、
楽器も鳴ってくるだろうなあ、音程も取れる程度の音のしまりで。と思っていました。

なんども、言ってすみませんが、これはあくまで私の感想、考えですので。



また長くなってしまいましたので、九州のお話は次回にさせていただきます。


  1. 2013/03/15(金) 22:35:44|
  2. その他
  3. | コメント:1
<<コメントのお返事と九州の話 その2 | ホーム | 今日から九州です。>>

コメント

いつも参考になります。一流のバイオリニストといわれる人なら、バイオリンの歴史的構造とモダンにおける相違、響き方、反応に全て通じていることでしょう。
 矛盾を感じながらも現代に生きる人間は現代の感覚で弾けばよいというのでしょうか。バッロク時代のバイオリンの本来の響きなぞ、ヒストリカルなオタクさんにお任せで良いのでしょうか。
 あのストラドも改造を受けていますし、それをよしとして良いのかどうか、奏者の判断によるのでしょうが、私は断然に過去の歴史的事実をリスペクトし、改造されたものは元にもどして堂々と現代のステージにかければよいとさえ思うのです。そうできないもどかしさ、矛盾を抱えながら演奏せざるを得ないのが現代奏者の宿命なのでしょうか。「聴こえる」人には聞き難いと思われることもあります。
 今の世の中はとかく、音量重視の傾向が強く、古の響きをないがしろにされることがまかり通っています。
 魂柱と駒の距離との関係も重要な事実でしょう。トップ奏者の方々には本来の姿にもどして、その音を我々に聞かせてほしい。それが願いです。
  1. URL |
  2. 2013/03/16(土) 22:06:43 |
  3. gabottenⅡ #-
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

kogakki

Author:kogakki
ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、チェンバロ
と言った、古楽器を仕事として製作して
30年以上になりました。

最近はギターに興味を持っています。
最初に作った楽器は、ギターです。
昭和42年でした。 18歳の時です。

古楽器製作家 平山 照秋 

最新記事

最新コメント

月別の記事です

カテゴリ

ギター (329)
演奏会 (10)
その他 (20)

私へのメールはこちらから

名前:
メール:
件名:
本文:

訪れてくださった方々

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR