古楽器製作家の思うこと いろいろ

昔の楽器製作家がそうであったように、様々な楽器を製作しています。そうすると、いろんな楽器の事が良く分かってきます。特にモダンギターについて考えていることを書かせていただこうと、思っています。

セゴビアさんの右手について

セゴビアについて

HSPTさんから、コメントをいただきました。
貴重なコメントで、このブログを書かなければ、聞けないお話でした。
ありがとうございます。

短いコメントで、うっかりタレガさんとセゴビアさんを
同じような扱いにしてしまったようで、申し訳ありません。

確かに、私はセゴビアさんの生の演奏は聞いたことがありません。
ギターを弾いていて、ギターに興味があったのが、2年くらいですから、
その時にはセゴビアさんの演奏を聴く機会が無かったと思います。

でも、今から35年ほど前にレーザーディスクが出て、モンティベルディの
オルフェオを見るために、まだ高いレーザーディスクを買いました。

マリア・カラスのLDなど1枚17000円する時代でしたが。

沢山買ったLDのなかに、セゴビアの映像もありました。
今なら、ユーチューブで見ることが出来ますが、当時は貴重でした。
〈同じLDにマリア・アンダーソンの歌が入っていて、これを見るために、
聞くためにも買ったのですが)

さまざまな角度から、右手左手が写されていました。

HSPTさんがおっしゃるように、タレガさんとは違って、手首はほとんど曲げていませんでしたね。

少しひねって、リュート奏者のタッチの反対側が弦に当たるように弾いてられました。
結果的には、弦に直角ではない奏法でしょうか?

でもそんなことはセゴビアさんにはどうでも良いことだったのでしょう。
正確に、いつどの本で読んだかは覚えていないのですが、セゴビアさんが
「良い音が出るのなら、足で弾いても良い」というような意味のことを
言われていたと、読んだことがあります。

実は、ギターはセゴビア奏法でなければ、ギターではないと、
いう話を、読んだ後でしたので、ついコメントのようなことを書いてしまったようです。

セゴビアさんは、自分の奏法をセゴビア奏法とは呼んでいなかったでしょうね。


私達は,LPやCDでしか、聞くことは出来ませんが、1937年のハウザーを使うまでの、
マヌエル・ラミレス(サントス・エルナンデス改)の音は、とても硬質で、響きも少ないです。
ハウザーに持ち替えてから、響きも、つやも付いてきた様に聞こえます。

セゴビアさんはトーレスを使っていませんね。
トーレスでは大きな会場での使用、セゴビアさんの作る音楽には合ってなかったのでしょうか。

ハウザー3世の面白い話があります。
〈現代ギター No 562より)

セゴビアさんは1924年に始めてミュンヘンに来た時、セゴビアさんはスペイン的ではない音を
求めていたそうです。
スペインギターの低音にウイーンのギターの持っている透明さを求めたそうです。

ハウザー1世に バランスの良いギター、大きな会場でも通る音、正確な音程
分離の良い和音 を求めたそうです。


ハウザー1世は1924年に注文を受けて、1929年に完成させたのですが、そのギターを
セゴビアさんは裏板を明けさせ、表板のバスバーのV字形のバスバーを外すように指示したそうです。

そして、要求どおりに作ったギターは結局リヨベートのところに行ったそうです。

1937年にやっと、セゴビアさんの気に入ったギターが出来ました。
1960年まで使われたぎたーは、今はメトロポリタン博物館に入っていて、
弾くことも出来ないそうです。ハウザー3世でも。

ただ、この楽器と1937年まで使っていた、ラミレスのギターの詳細な図面手にはいります。
私も持っています。

ラミレスのギターは表板がとても薄く、元々11弦のギターだったので、リュートのように
作ったのでしょうか?

それに比べて、ハウザー1世のギターはとても、表面版が厚いのです。
おそらくギターの中で一番分厚いのではないかと思います。

セゴビアさんの演奏を見ると、かなりブリッジ寄りで弾いています。
HSPTさんのおっしゃっているとおり、あの大きな、力も強いと思われる右手で
弾いているので、しっかりした音がするのだと思います。

ハウザー1世さんも、スペインギターよりも多くのウイーンタイプのギターを作っていたから
このようなギターが出来たのでしょう。

ラミレス3世さんのことも詳しく、記事にさせていたこうと、準備していますが
楽器製作だけでなく、修理のことも、調整のことも、ヴァイオリンのことも、音楽のことも
絵のことも良く知ってられるので、セゴビアさんに合ったギターを作ることが出来たのだと思います。

セゴビアさんが、ハウザー1世さんに要求したことが、私の考えるギターでもありますので。

HSPTさん ありがとうございました。









  1. 2013/01/27(日) 03:16:29|
  2. ギター
  3. | コメント:7
<<弦のびびり、さわりについて | ホーム | リュートの右手について>>

コメント

僕の立場から話をすることには、かなり遠慮があるのです。

しかし、多分皆様よりずっと実際を見ている・・すみませんすでに高慢な目線ですね・・単純に話をします。

演奏も楽器もひとつのものさしで測ることはできないし、けっしてしてはいけないことです。皆が単純に「よりよいもの」を目指すことはけっして正しくない、音楽にとっては多様性こそ命なのです。

で・・そう、先月の弟子たちが出たコンサート、実は皆 バラバラのテクニックです。大樹はプレスティの普通の逆のテクニックと普通の斜めのテクニックを同時につかいます。こうすけ君は普通の斜めのテクニック、タクトくんは爪を使わないテクニック。。彼らの先生はいったい何を教えてんだ! て 批難をうけるはずの師匠は私ですが、ぼくは現場では総てをつかいます、プレスティ先生の反対角度のテクニックについては以前日本の雑誌に記事にしましたので参考にしていただければ、とおもいます。たぶん、まんいち・・後世私の演奏の静止画を見た人がいれば彼は「直角」「右角度」「左角度」「爪なし」 すべての資料が揃います。とうでもよいことじゃないでしょうか?
心に届く音楽と楽器があるかどうかだけが大切でたのしいことです。

セゴビアも何度も生で聞いたけれど・・・反発を受けるのを平気でもうしますと、それはすべて悲惨なものでした、リョベットさんのよう輝きは彼の晩年には聞けなかった、それで戦前の演奏だけききます、

リュートのテクニック・・・これは・・当時の楽器を見れば答えは簡単ですね。平山さんの資料の通りです。弾かれた楽器はすべて小指置きのえぐれがあります、皆が現に成功に近く演奏した・・それが正しいほうほうでそう弾かねばならない、ということの主張ではありません・・
そしてギターでも多くのギターは表板にジャンプ台のような小指置きが
作られていました。何度もいいますが、文献的な下手な古楽がただしいとは決して思っていません。今、リュートでバッハやダウランドをすぐに完璧にひいていただければそれはどんなテクニックでも正しいテクニックです。
Y先生のリュート、、たぶん僕は生で聞いた数少ない一人です。
シャモニーの先生の別荘に呼んでいただいて十日間勉強しました。
ピポーさんも先生でした・・が・・そのリュートは皆で大笑いだったのです。一つの音を弾くと2つの音が聞こえるのですからね。先生本人も「だから昔の楽器はだめなんだ」て笑ってられた。しかし 使っておられた楽器はまるでフラメンコギターのようなリュートのかたちをしたフラメンコでした。

なんどももうしますが戦前のセゴビアの録音は尊敬しています。そこを攻撃しないでくださいね。
  1. URL |
  2. 2013/01/27(日) 11:42:16 |
  3. CABOTIN #-
  4. [ 編集 ]

うん? いそいで直うちなのでわけのわからない箇所がいっぱい・・自分でも?

現に成功 ?? ハハ 弦に平行 と言いたかったんのでしょう・・ぐ。

すみません。 なにを言いたいか・・というと、、なにかに統一したり「なんちゃら奏法」のくだらなさ、を言いたいだけでした。
  1. URL |
  2. 2013/01/27(日) 11:50:47 |
  3. CABOTIN #ArGM.iJY
  4. [ 編集 ]

本当に、話が深くなって、他では聞けないことが沢山あって、
感謝しています。

元々、このブログもスペイン式ギター製作法が、ギターを作る上で
最上の方法、いや、スペイン式で、スペインネックでなければ、
ギターではない、とか言われている、型にはまった考えでなくても、
良い楽器が出来るのでは?と言うことで書き始めました。

いろんな方が、いろんな考えを持ってられるのが、
当たり前ですし、その方の考えを聞かせていただくのは、
ありがたく思っています。

私も、楽器製作はこうでなければならない、とか
演奏法は、こうでなければならないとかは、書かないようにしています。

ただ、私はこう考える、こうして来たということを書かせていただくように、
していますが、自分にとっては正しいと思って書いているので、
うっかりすると、決め付けていることがあるかもしれませんが、
そこは、「そんな事を考えているのか」ぐらいで読んでおいてください。
よろしくお願いします。

私自身は、良い楽器が作れるなら、どんな方法でも、どんな道具を使っても
良いと思っていますし、良い演奏が出来れば、爪の形がどうであれ、手の角度が
どうだと言うことは、どうでもよい事なのです。

ただ、楽器をよく鳴らしてくれて、美しい音で弾いていただければ。
楽器を作るほうとしては嬉しいのです。



  1. URL |
  2. 2013/01/27(日) 12:15:00 |
  3. こがっき #-
  4. [ 編集 ]

製作家が信念を持って入魂の作が完成されるほどすばらしいことはありません。
 良いギターが完成されるのにはおよそ2つの方法があると思います。
ひとつは、トーレスやハウザーなど偉大な先人の作りあげた楽器の構造、緒元、仕様を模倣して、多少自分なりのアイデアを盛り込んでいくこと、ふたつは、模倣せず、失敗してもなぜそうなのか試行錯誤しながら時間をかけて真実を追求して理想の楽器を作ること、ではないかなと思います。
 どちらが正かはないと思います。しかし、常になぜかという疑問を持つことを忘れたらもう進歩はありません。ハウザー1世は、セゴビアに出会う前からトーレスも研究していたといいます。そして、1937年「もうこれ以上の楽器はつくらなくてもよい」とセゴビアに言われた後でさえ、ずっと改良を試すことを忘れなかったということです。このような謙虚な態度こそ良い楽器作りの基本と思います。

 釈迦に説法で申し訳ありません。
  1. URL |
  2. 2013/01/27(日) 15:43:39 |
  3. 落葉の旅人 #-
  4. [ 編集 ]

まさか 平山さんに心得をとくかたがあらわれるとはおもわなかったのですが。
楽器のことについてだけに絞って話しますね。(演奏について彼への反論はたくさんありすぎるので(笑))また、急ぎの直書きで、すみません。
わたしは平山さんほどに過去の楽器を謙虚に研究し、分解し(笑)、多くの分野で業績を
あげたかたをしりません。博物館のにある膨大なかれの業績で一目瞭然です。
もちろん、ギターにおいてもストラドの研究もわたくしには衝撃的なものでしたね。
再現は田中名人がしてくれたのです。
トルレスの考察もわたしは平山さんから多くの示唆をえました。わたしが弾いた友人たちの多くのトルレスの印象と整合するものです。
演奏家、作曲家、製作家は思考の段階 ですこし頑なにみえる発言をするものです。
それは必要なことです。しかし、反論できない意見、これは危険だと思いますが、平山さんの意見は視点として反論がなりたつ立派なものだと思います、(賛成といっているわけではなく 立派な反論が周囲の役割だと思う)
楽器はそれをもつ人にはどんな楽器でもいちばん愛すべき大切なものです。議論の過程でその心情を傷つけないように配慮しなくてはならないですね。
しかし、トルレスの業績についてかたることは、トルレスをおもちであったとしても
心傷つけられる事ではないのと違うのかな? 

  1. URL |
  2. 2013/01/29(火) 12:53:25 |
  3. Cabotin #ArGM.iJY
  4. [ 編集 ]

まだ、目的の駅にとおいので、、
別のスレッドでのLUTHIERさんのお話し 本来のテーマではないぶぶん
「びりつき」ばず さわり、のこと、これは興味深いですね。
ご意見には組しないのですが、考えさせる面があります。
トツゼンに「とろんぼまりな」が歴史から消えたのはなぜ?
  1. URL |
  2. 2013/01/29(火) 13:42:41 |
  3. Cabotin #ArGM.iJY
  4. [ 編集 ]

平山様の楽器修復、再現等々、数えられないくらいの実験と知見には驚くものがあります。心得を説くなどとはとんでもないことです。

 ハウザー1世が登場されましたのでつい熱く持論を展開してしまいました。私はハウザーでは、過去においてずいぶん苦労をした経験があり、楽器店以外でも1世のコレクターとも会い、お話し、実際に見せてもらったこともあります。また、楽器製作の逸話などの情報も大分得ることができました。
 その上で、トーレスが基本にあるのにも関わらず、セゴビアが評価をしなかった。コンサートにトーレスを使用することも、所有することもなかった。これはなぜでしょうか。ハウザー1世はあきらかにトーレスを参考としてるのに。
 1世はドイツ的芯の強さとスペイン的な色との融合の見事な結晶といってよいすばらしい楽器を世に出しました。
 セゴビアがハウザー1世に要求したこと、これが平山様の理想であられることを知り、嬉しい思いで一杯であります。
  1. URL |
  2. 2013/01/29(火) 18:35:57 |
  3. 落葉の旅人 #-
  4. [ 編集 ]

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kogakki

Author:kogakki
ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、チェンバロ
と言った、古楽器を仕事として製作して
30年以上になりました。

最近はギターに興味を持っています。
最初に作った楽器は、ギターです。
昭和42年でした。 18歳の時です。

古楽器製作家 平山 照秋 

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