古楽器製作家の思うこと いろいろ

昔の楽器製作家がそうであったように、様々な楽器を製作しています。そうすると、いろんな楽器の事が良く分かってきます。特にモダンギターについて考えていることを書かせていただこうと、思っています。

読み物 ギターの歴史


読み物 ギターの歴史


モダンスペインギターについて、いろいろ書いていくと、
ギターはスペインの楽器で、伝統的にスペインとギターは切っても切れない関係にあり、
スペインこそがギターを生み育てた国である。
との認識がモダンギターを本来の姿から少し変えてしまったのでは
ないかと思えるようになりました。

これも、私の知識不足とか、深く考えていないからとか、
思い込みかもしれませんので、おかしなことがありましたら、
指摘くださるようお願いします。

なるべく資料を基に客観的に書かせていただこうと思っています。

ギターの歴史について、古い時代から書いていくと、
それこそ何冊かの本になってしまうでしょうし、何年かかるかもしれません。
私は学者でもありませんので、そんなことは出来ません。
どのようなことを書いても違う考えの方もあるでしょうし。
また、時間をかけて調べてもこのブログの主旨から外れそうです。

そこで、ここではギターの形が現れた、ルネサンス、バロック期そして、
19世紀ギターのことを書かせていただきます。


ルネサンス時代のギターは、どんな楽器でどんな国で使われたのでしょうか


よく知られていることは、ルネサンスギターは今、
ハワイでよく使われているウクレレの先祖だと言うことです。
かなり以前、学者さんが時代も地域も違う、
ウクレレとルネサンスギターが同じ調弦なのは不思議だ。
と言っているのを聞きました。

弦の数も、4本(ルネサンスギターは復元なので4コースですが)で、調弦も同じです。
でも、ウクレレは、ルネサンス時代にヨーロッパのルネサンスギターが
東南アジアを伝ってハワイに伝わったものと考えられています。
ですから、ルネサンスギターは今のウクレレのように、
主にストロークで和音をかき鳴らす奏法の楽器でした。

イギリスではシターンがその役目もしたようですが、
リュートが王侯貴族、上流階級の楽器だったのに対して、
庶民の楽器がギターだったようです。

間違ったことが言われているのが、ギターの前身楽器がリュートだったということです。
リュートもギターもルネサンス時代から共存していました。
そしてそれは、住み分けがありました。
庶民の楽器と言うだけあって、今のフォークギターのように、
散髪屋さんで待っている間、ギターを弾きながら待っていたと言う話もあります。

では、この頃のギターはどんな国で使われていて、どんな作曲家がいたのでしょう?
モダンギターでも弾かれるご存知の作曲家では、残念ながらほとんど、
ギターのための 曲は残っていません。
例外的に アドリアン・ル・ロワそして、ギョーム・モルラーユくらいでしょうか。
この二人とも、フランスの作曲家ですがフランスでは1550年以降ギターがもてはやされ、
出版もかなりされたようです。

ですから、16世紀はフランスがギターの国だったと言えます。

そして、ギターについては、ロンサールの詩にも、
マ・ギタール(わがギター)として登場します。

フランス以外の国では、その代わりに、リュートがそして、
スペインではヴィウエラが多声楽器として用いられていました。

ヴィウエラをこの頃のギターとしてしまうと奏法でも音楽的にもかなり違いもあるので、
また、弦の数も6コースで12弦ですので、形の違ったリュートとするほうが自然です。

リュートもこの頃は6コースの楽器が多く使われていました。
ドイツのハンス・ノイジードラーのリュート教則本はドイツタブラチュアで書かれています。
このタブラチュアを見ると、5コースまで、それぞれの音に一つずつ
記号が与えられていますが、6コースは後から付け加えたので、
記号に下線を付けて、表しています。

リュートの作曲家では、

ハンス・ノイジードラー(ドイツ)1508~1563
ヴィセンシオ・ガリレイ(イタリア)1520~1591
F・カローゾ(イタリア)1527~1605
ジョン・ダウランド(イギリス)1563~1626
フランシス・カッティング(イギリス)?~?

そして、スペインのヴィウエリスタ

ルイス・ミラン(1500?~1586)
L・de・ナルバエス1510?~?)
A・ムダラ(1510?~1580)
あと、生没年が分かっていないのですが、出版年を書くと
エンリケ・デ・バルデラバーノ(1547)、ミゲル・デ・フェンリャーナ(1554)、
デイエゴ・ピサドール(1552)、エステバ・ダサ(1576)などがいます。


次にバロック時代はどうだったのでしょうか

ギターは4コースから5コースになりました。
でも、ここで1コース増えますが、リュートのように低音弦が単純に
増えたわけではなさそうです。

バロックギターの作曲家としてよく知られている、
フランスのコルベッタ、ド・ヴィゼーなどは、5コースがオクターブ上に、
つまり最低音は4コースのレ です。

スペインのサンスなどは、4コースもオクターブ上がって、3コース
3弦のソが最低音だったようです。

ですから、バロックギターの曲をモダンギターで弾くときに、
6コース、6弦まで使っている楽譜は、本来の音でないのです。
でも、それでは、モダンギターとして音楽が作りにくいので、
本来はオクターブ上がった音をオクターブ下げているのだと、
思っていただいていれば良いように思います。


そして、この頃の作曲家はどうだったのでしょう?

フランス

ロベール・ド・ヴィゼー(1650~1725)
太陽王ルイ14世お気に入りの作曲家

イタリア

F・コルベッタ(1620?~1681)
R・ロンカリ(?~?)

チェコ

J・A・ロジー(1650~1721)

スペイン

G・サンス(1640~1710)
サンティアゴ・デ・ムルシア(1714 出版)

ルネサンスと違って、ラスゲアード奏法だけでなく、リュート的な爪弾き奏法も
取り入れられ、5コースギター特有の音楽が生まれました。

博物館などで見られる美しい楽器に、ギターラバッテンテと呼ばれる、裏板が
膨らんだギターがありますが、バッテンテは打ち叩くの意味があるので、
ラスゲアードが多用されていたことを示していると思います。

古典時代

ギターはいよいよ6弦(6コース)の時代に入ります。
調弦も今のモダンギターのように、6弦が一番低い調弦が一般的になりました。

この古典時代も、ギターが盛んに使われたのは、特に1760年以降のパリでした。

研究した結果ではないのですが、有名なフェルナンド・ソルのグラン・ソロは
6複弦のギターのための曲だったという事を聞いたことがあります。

運動性や、時代の好みからいよいよギターも現代のギターに近い、
6単弦のギターが登場します。
これも、1780年前後からフランス、イタリアあたりで始まったと言う説もあります。

でも、1799年に出版された、イタリア人の(スペインで活躍)
フェデリコ・モレッティは単弦ギターの教則本で6単弦の優位性を説いています。

ただ、同じ1799年に出版されたフェルディナンド・フェランディエレは
複弦ギターの教則本ならびに曲集です。

19世紀初頭には、スペイン、イタリア、フランス、オーストリアなど
でギターは単弦という形が定着したようです。

ということで、この頃活躍した作曲家は

イタリア

フェルディナンド・カルリ(1770~1841)
フランチェスコ・モリーノ(1775?~1848)
フイリッポ・グラニアーニ(1767~1812)
そして
マウロ・ジュリアーニ(1781~1829)
マテオ・カルカッシ (1792~1853)
ルイジ・レニアーニ(1790~1877)

とそうそうたる顔ぶれです。

スペイン

フェルナンド・ソル(1778~1839)
ソルはスペイン、バルセロナ生まれだが1813年以降はパリで活躍し、
パリで亡くなっている。
ディオニシオ・アグアド(1784~1849)

オーストリア

ジモン・モリトール(1766~1848)
アントン・デアベリ(1781~1858)
レオナール・ド・カル(1768~1815)

その他の作曲家
ギターだけの作曲家ではありませんが、ギターを含む室内楽曲を書いた
ルイジ・ボッケリーニ(1743~1805)イタリア
ニコロ・パガニーニ(1782~1840)イタリア
もギター音楽以外でも有名な作曲家ですが、スペインの作曲家ではありません。

ベルリオーズ(1803~1869)フランス もギターを弾いている肖像画があるように、
ギターも演奏したようです。
そして、パガニーニとベルリオーズが表板にサインしたギターも残されています。
このギターはパガニーニが使っていたものをベルリオーズが使った楽器と言われています。

ロマン派時代

この時代も、ナポレオン・コスト(1806~1883)フランス
ヨハン・ガスパル・メルツ(1806~1856)ハンガリー
そして、イタリアのM・A・ツァーニ・デ・フェランディ(1802~1878)
ジュリオ・レゴンディ(1822?~1872)ウイーンで生まれた
レオナルト・シュルツ(1814~1860)などスペイン以外の国で
ギターは用いられていました。

そして、いよいよスペインでのギターの黄金期に繋がる作曲家も出てきます。

ホセ・ブロカ(1805~1882)
アントニオ・カーノ(1811~1897)
フリアン・アルカス(1833~1882)
ホセ・フェレール(1835~1906)

そして、スペインがギターの国と言われる時代を作った、
フランシス・タレガ(1852~1909)が出てきます。
作曲家そして演奏家、またギター以外の曲を素晴らしいギター曲に編曲した功績が、
スペインをギターの国に作り上げたと、私は思っています。

さらに、ギター製作家 アントニオ・トーレスの出現です。
一般的なギターの歴史では、トーレスが楽器を大型化し、
大きな音でホールでの演奏を可能にした、となっていますが、
私の考えでは、(あくまで私の考えです)
ホールでの延達性では、19世紀ギター(パノルモ、ラコートなど)のほうが
はるかに優れています。
特にオリジナルは弾いている本人や、近くで聞いているとほとんど鳴っていないような音ですが、
ホールで聞くと、感覚的には何倍もの、大きい音がします。

ホールで聞くと、チェロかピアノか!と言う音に聞こえたことがあります。
私の耳には5倍くらい大きいと感じることがありました。

客観的な数字ではないのですが、京都バロックザールと言う数百人程度の小さなホールで、
パノルモを使った(パノルモのなかでも特に素晴らしい楽器ですが)
演奏会の2週間ほどあとに、トーレスのオリジナルを2台使った演奏会がありました。
演奏はイタリアの名手です。パノルモは西垣正信さんです。

私は、西垣さんの演奏会は、後ろに近い席で、イタリアの名手の時は、
前列3列目で、中央で聞きました。

同じ楽器(トーレスオリジナル)を、1メーターくらいの距離で
この演奏会の2年ほど前に聞いたことがあります。

その時は、楽器もよく鳴っていて、響きも充分にありました。

ただ、ホールで聞くと、ほとんど聞こえてこないのです。
わずか、4メーターくらいしか離れていないのに。

2週間前の、西垣さんの10分の一も聞こえてきません。
でも、休憩時間に周りの人の反応を聞くと、「さすが、トーレス、ホール中に
響いていたな!」という感想です。

それに、対して私は心の中で、2週間ほど前のパノルモはこの10倍、20倍も鳴っていたのに、と思っていました。

そして、面白い話があります。
両方の演奏会を聞いていた、数少ない友人が「あの楽器の中に、スポンジでも詰めているの?」
と真顔で聞いてきました。
本当にその表現がぴったりの鳴りでした。

同じようなことが、20年以上前にありました。

篠山の小さな、ログのホールでしたが、
10台以上の19世紀ギターのオリジナルを使った演奏会で、
1台だけモダンを使った演奏家がいました。

モダンと言っても年数が経っていて、楽器も鳴っているドイツの、
エ*ドガー・メ*ヒでしたが、ほとんど鳴っていなくて、音が湿っているのです。
この楽器を弾いたギタリストも、結果は分かっていたけど、
その事を実証したかったので使った。と言っていました。

でも、この時も、これほどの差があって、19世紀ギターが何倍も鳴っているのに、
普通のモダンスペインギターを弾いている、ギタリストの耳には
メ*ヒのほうが鳴っているように聞こえる、と言ってました。
先入観は恐ろしいな!と思ったのも、この時でした。

19世紀ギターオリジナルは、経年変化の差があるので、モダンギターのほうに、
ハンディが無ければいけないと考えると、19世紀ギターのコピー楽器
または、19世紀ギターの設計で作られたギターはどうでしょうか?

4年ほど前の話です。

大阪の茨木市でギターフェスティバルがあって、沢山の製作家が展示をして、
展示楽器を使った演奏会がありました。

その時、19世紀ギターを展示して、演奏された製作家は、私と同じ篠山市の
田中清人さんだけでした。

私はなるべく遠くで聞きたいと思ったのですが、
演奏が終わると製作家はステージに上がらないといけないので、
ホールの真ん中の少し後ろで聞きました。

私の耳には、モダンスペインギターの名器より私の楽器のほうがはるかに、
音が聞こえてきました。

客観的な判断として、このホールが、両側側面が真平らで、
これでは定在波が起こりそうと思っていましたが、私のギターの時は、定在波が起こっていました。
それほど、音のエネルギーが届いていたのだと思います。
でも、他のモダンギターの名器でも定在波は起こっていませんでした。

最近、私のギターを見ていただいて、弾いていただいたギタリストの方が、
その演奏会を聞いていらして、
「一番後ろの席まで、19世紀ギターは音が飛んできていました」と話してくださいました。

あくまで、私の感想ですが、ホールでは19世紀ギターのほうがはるかに、
音が大きく客席まで届くと思っています。モダンスペインギターの何倍も
音が通ると思います。音の分離性、立ち上がり何をとっても、19世紀ギターが
優れていると思います。

ただ、演奏している人には自分の音が聞こえにくいのが、
そして低音の響きが少ないというのが、欠点でしょうか。

ここで、トーレスさんが使っていた頃の、ギターを取り巻く環境を考えて見ましょうか。

写真でよく、タレガを取り囲んで、演奏を聴いているサロンのような演奏会を見ます。
タレガの頃に、500人1000人のホールで演奏する機会は少なかった、
いや無かったと思います。

演奏する本人が弾いていて気持ちの良い楽器、小さな空間でよく鳴る楽器を、
トーレスさんは目指していたのでは、ないでしょうか?

確かに、イタリアの名手の演奏を間近で聞くと、素晴らしく良く鳴っています。
そして、本人が言っていたのですが、
「私は自分の演奏に酔わない、客観的に聞きながら演奏している」と、
でも演奏会で聞くと、自己陶酔して聞く人のことなど考えずに、
演奏していると私は感じました。と言うか、そうとしか聞こえませんでした。

最近も、その名手の演奏会がありました。私はもちろん行っていませんでした。

私の楽器を弾いてくださった、前出のギタリストは、一番前で聞いていたそうです。
でも、音がぜんぜん聞こえてこなかったし、音楽も自分が楽しんでいるだけで、
伝わってこなかったと、言われていました。
私もその判断が正しいと思って、聞いていました。

音楽で無く、ギター音楽と言う特殊な音楽だと、私も思っていましたから。
でも、隣で聞いていた人が「素晴らしい楽器で、素晴らしい演奏ですね」
と言ってきたので、「はあ、そうですね」とくらいしか言えなかったようです。

このギタリストの方は、ピアノのコルトーを何万回も聞いているそうです。
そして、同じ演奏会を聞いた友人も、素晴らしい演奏で感激した!と年賀状で伝えてくれました。
普通にギターを好きな方はこの感想なのでしょうか。

ギターの本を見ると、ホールで使えるようにするために、
楽器を大型化したと書かれています。
どの本を見てもそう書かれていると、この考えが刷り込まれてしまうのでしょうか。

演奏家が弾いていて気持ちの良い楽器を作り出した、トーレスさんの考えは
先日,弾かせて頂いた、ハウザー、フレータ、ブーシェさんたちの作った、
名器でも伝わっているようです。
弾いている自分には、ものすごく鳴っていて、よく聞こえるのです。
鳴り過ぎるほど。
でも、演奏会で聞くと、そうでもなくむしろ細い線の楽器に聞こえてきました。私には。

大型化についても、イタリアの楽器でトーレスよりもっと早く、
大型の楽器は作られていました。ただ、モダンスペインギターではありませんでしたが。

トーレスさんは2台と同じ楽器を作っていません。
試行錯誤の連続だったのかと思います。
(でも、私が考えると、前提条件の変わっていないことが、
そんなに沢山の試行錯誤では無かったと思います。)

ですから、彼の作ったギターは全て名器だったと思うのは、不自然だと思うのです。
なかには、すばらしい楽器もあると聞いていますが。

かなり、ギターの歴史から横道に逸れてしまったようですが、この次の時代は、
スペインギターの黄金期になります。

近・現代

タレガの出現以来、スペインではミゲル・リヨベート(1878~1938)
エミリオ・プジョール(1886~  )
ダニエル・フォルテア(1878~1953)
ドミンゴ・プラト(1886~1944)
そして、アンドレス・セゴビアの出現により、ギターの国はスペインとなって行ったと思います。

でも、20世紀にはいるとギターは更にグローバルな楽器となって行くのは、
皆さんご存知のとおりです。

楽器製作でも、スペイン以外の国でもモダンスペインギターではありますが、
沢山作られるようになりました。


最後に

19世紀後半から20世紀前半のスペインでのギターの発展が素晴らしかったので、
ギターはスペインと言うイメージがありますが、
19世紀前半まではむしろ、8スペイン以外の国でよく用いられた、
と言うことを考えていただきたくて、長くなってしまいましたが、
ギターの歴史を少し書かせていただきました。

19世紀ギターの使われていた、1830年くらいまでは、
むしろフランスとかイタリアのほうが、ギターの国だった考えられます。

ギターを作っていた国も、
イギリスのパノルモ、フランスのラコート、イタリアのファブリカトーレ
とこの時代を代表するギターを作っていたのは、スペイン以外だったのです。
スペインにもパヘなど、トーレスに繋がっている製作家はいましたが、楽器が作られて
演奏されていた頻度を考えると、
スペインがギターの国では無かったと思いますが、皆さんはどう考えられますか?

そして、私はルネンサンスギター、バロックギター、19世紀ギターと続いてきた、
ギターの歴史を繋げる、19世紀ギターの延長線上のモダンギターを作って行きたいと考えるのです。
(19世紀半ばに突如出てきた、歴史的にはそれまでの楽器とは関係が無い、
モダンスペインギターではなく。) 

そして、特殊なギター音楽でなく、本来の音楽を表現できる楽器を作って行きたいと考えています。

参考文献

現代ギター社 浜田滋郎・編著 「絵でたどるギター音楽の歩み」

雑誌 現代ギター

その他 
  1. 2013/01/03(木) 12:01:04|
  2. その他
  3. | コメント:10
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コメント

古い楽器

こんにちは。僕もまったく同じ意見です。19世紀ギターオリジナルの音は確かに遠くに通ります。木材の経年変化の影響ももちろんあるとは思います。
 トーレスの楽器は、よい物は稀で、大抵、注文主に応じて製作されていたようです。金持ちにはとびきりの材料で豪華な螺鈿細工の凝った楽器だったそうです。当時は兵隊さんが遊びで使う楽器がほとんどだったようです。それがトーレスというだけで法外な値段がつけられ、信じられません。
 もっと歴史に忠実に尊敬の念を持って、19世紀のような楽器が製作されるべきだと思います。
 僕は、平山先生のような真摯な製作家がもっと出てきて欲しいと願います。また、大音量、要はバカ鳴りすることが、国際コンクールに合格する道とばかりに、変な傾向の楽器が増殖されないことを望みます。
  1. URL |
  2. 2013/01/03(木) 15:20:49 |
  3. ギタ夫 #-
  4. [ 編集 ]

先入観

先入観は怖いですね。スペインの楽器ではなくて音楽する楽器であるギターに賛同します。

ギターでBachだけを弾く、あるいはスペイン物を弾かない(嫌いではないですが)ことを、場合によっては説明しなければならない雰囲気っていうのは、あくまで個人的想像ですが、スペインのという形容詞が刷り込まれた結果ではないかなと思います。

先年の茨城フェステイバルのホールでは西垣さんと佐々木さんの演奏、あともう一方のセビリアの演奏を一番後ろの席で聴きました。平山さんのギターの音がさーっと私の目の前まで届いたときの感触は今でも覚えていますし、田中さんのラプレボット、たしか10年以上経過した作品では音像がそのまま崩れずに私のところまで到達したのを覚えています。
  1. URL |
  2. 2013/01/03(木) 21:43:39 |
  3. HSPT #Yqf9uHks
  4. [ 編集 ]

遠達性

そうですね、そういう楽器が本物と思います。
 楽器がビッグネームだからとか、某有名大家も使う楽器だからと盲目的に舶来物に飛びつくプロも多いのが嘆かわしいと思います。皆無とは言いませんが、かのセゴビアが使うH Ⅰ世だって、気に入ったのが37年のあの1本しかなかった。他のいかなるH を見せられても、あの1本であったといいますから、同じ製作家が心血注いでも、同じものはできないし、結構ばらつきがあるということだと思います。
それでも正規分布の真ん中を狙っていける楽器はよい製作家なら可能です。
 ギターを弾く人は、良い楽器とはという原点を常に意識して、見極められる耳と見識を鍛えるべきだと思います。
  1. URL |
  2. 2013/01/04(金) 11:34:16 |
  3. ギタ夫 #-
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モダン

なんだかコメントしにくいのだけれど・・とりあえず おめでとうございます
モダンに近い形のギターにもまだまだ可能性があるような
気がするのですね・・・ 作品によっては爆発音?が欲しい時も
あるしね。先日弾いた1963年のラミレスがとてもよいので中をのぞいたらほとんどパノルモの構造で笑ってしまいました。やはりラミレスも偉かったんだな〜進んだ方向は肯定しにくいけれど。 話がちらかりますが フランスの宮廷歌謡、これはほんとうに美しい作品がありますね、レッスンをしていて涙することがあります。

ついでに弦の話・・演奏者はできれば細い糸でフォルテに耐えるテクニックを持つのがよい(困難なことだが)と思うのです。張力だけの問題ではなくて、たぶん糸が細くなると空気抵抗がすくなくなって演奏家に委ねられる時間が多くなる。
糸の粘弾性(内部損失というのかな)と空気抵抗がいちばんの係数だとおもうのです。左手のクレシェンドにも空気抵抗が大きいとむつかしくなる・・ような気がする。
細い糸であたかも太い糸のような質感を生まなくては、と思うのですが、なかなか難しいですね。
  1. URL |
  2. 2013/01/04(金) 21:15:01 |
  3. CABOTIN #-
  4. [ 編集 ]

聞こえ方

毎度どうもです。
 含蓄のあるおはなしが続いて面白いです。

 ’’とても良い音だ’’という音の感じ方は十人十色で定義が難しい。
僕は思うのですが、時代によって当然人々の楽器に求める価値観(音の出方、音色等)は変わってくるであろうと。300年前はガット弦であったし、減衰の短い独特の音に対する感じ方は今の現代人とは全く違うと思います。古楽をやる人は別にして、少なくとも20世紀に生まれた人は、ナイロン弦と巻き弦でよく通る、音量の大きい(説得力のある)音色の音を求める方が大半であろうと思います。演奏も比較的広い場所で行われることも多い。
 だから、音量がとにかく大きくていいね、という楽器も一面では良いのかもしれない。だが、倍音がやたらと突出する楽器はうるさくて困ります。その点、19世紀ギターは、いいとこどりの理想ではないだろうか。僕自身はモダンより19世紀ギターで聴かせてくれる名手を望みたいと思います。
  1. URL |
  2. 2013/01/05(土) 13:25:31 |
  3. ギタ夫 #-
  4. [ 編集 ]

ギタ夫さん

コメントありがとうございます。
お礼とコメントが遅くなってすみません。
今、ヴィオラ・ダ・ガンバを仕上げていて、正月明けには
完成させないといけませんので、2時か3時くらいまでしています。

うっかり、ギターの歴史など書かせていただきましたが、
楽器作りなので、先生ではありませんから、よろしくお願いします。

19世紀ギターの素晴らしさは、分かっている人には分かっていると思うのですが、
やはり、側鳴りしない、倍音の少なさ、低音のドスンという倍音成分の多い大きな音が
しないと言うこと、が何より19世紀ギターを弾いてみようと思わせない要素でしょうか?

オーディオでも、ドンシャリ型の、音楽を聴く上で一番大切だと思う、中音域より
低音が出ているスピーカーが受けるのと、似ているのかな?と思うこともあります。
オーディオでも、日本人は特に、重低音と言うのが好きなようですし。

でも、私は以前にも書かせていただいたと思うのですが、純粋な19世紀ギターの
コピー楽器は作らず、19世紀ギターの延長線上の楽器を作りたいと考えています。

少なくとも、私が弾きたいのはそんな楽器ですし、こんな楽器は私の知っている範囲では、作っている人がいないようなので、私が作ろうと思ったのです。
  1. URL |
  2. 2013/01/06(日) 02:01:25 |
  3. こがっき #-
  4. [ 編集 ]

HSPTさん

茨木のイベントでの感想ありがとうございました。
あの楽器はギターの1号機で、考えていることが形にはなっていなかった
かも知れませんが、逆に19世紀ギターの素晴らしさが確認できたようです。

かなり以前になりますが、ルイス・パノルモの甥の作だったと思うのですが、
形はルイス・パノルモとまったく同じで、大きくした楽器を見たことがありますが、
音は、モダンに近く少しぼけた音がしていました。
その時は、大きくすると19世紀ギターの良さはなくなってしまうのか、
とかなり、考え、悩んだ時期もありました。
それから、10年以上経って、やっと何とかできるのではないかと、
作り始めました。
  1. URL |
  2. 2013/01/06(日) 02:12:33 |
  3. こがっき #-
  4. [ 編集 ]

CABOTIN さん

コメントありがとうございます。

演奏家の立場では、作品によっては爆発的な音も必要だと言うこと、
理解できると思います。

スペインギターでなければ、音の密度を保ちながら、なんとか近いものが出来るのでは?とも考えたりします。

細い弦で良く鳴る楽器となると、リュートのように軽くて反応の良い楽器かな?
と思ったりします。
私も弦高が低いほうが弾きやすいので、低くしているほうですが、よく「弦がびびらない
楽器を作って欲しい」と言われます。弦高を高くして、ハイテンションの弦を張れば
びびらない楽器は出来ると思うのですが・・・・・・・

12月22日の演奏会で使った、リュートお預かりしていますが、とてもテンションが低いですね。(普通のリュートに比べて)このテンションの弦であれだけ鳴っていたとは、とても思えません。
ギターよりもよく鳴っていたのでは?と思うくらいでしたから。

このリュートも出来た時はこんなに鳴っていなかったと思います。
22日に使っていただいた楽器も、9月に出来たばかりですから、
あと何年かすると、(何十年か?)もっと細い弦で鳴ってくれるかな?思うのですが。

  1. URL |
  2. 2013/01/06(日) 02:28:28 |
  3. こがっき #-
  4. [ 編集 ]

話題をながびかせてもうしわけないのです。
平山さんが昔つくってくださったあのバスリュート。
ほんとうに素晴らしい楽器であれがあるから5月はこれで
バッハを弾いてみようという気持ちになりました。

音量のこと・・これはとても難しい問題で簡単には語れないことです。
一般的な古楽の音量のイメージと正しく演奏した良い楽器のイメージは全然別物かもしれません。
クラブさんでさえ・・て叱られるけれど・・私がきいたスコットやショーリアック先生たちの音の質感は多くの古楽の方たちとは別物でした。
オルガンのように伸びることもできるし ダイナミックもあったのでした。
ただ、リュートの場合 音楽そのものの様式で ダイナミックの平均をメゾフォルテくらいに設定できる。でも、ドビッシーのときは平均をビアノかビアニッシモに設定して できればフォルティッシモで崩れるギリギリの打音もほしい。機能をならべて論じられないな、とおもうのです。それにリュートは音の伸びは楽器の胴 以上に複弦をコントロールすることで干渉をつかって仮想的な音の伸びを得られるし。。でも僕は単弦が好きです。

それで・・・やね・・平山さん僕のためににつくっていただきたいギターはですね・・
モダンの設計の矛盾を含んだままピアニッシモに耐えられて もしひつようとあれば 破綻にちかいがかろうじて音像を保った悲鳴 まれにこれが欲しいのです。なんとか ならないだろうか・・・希望希望 お願い。この美しい破綻が必要な作品というのは数曲もないのですがそれらを捨てることもできない。
  1. URL |
  2. 2013/01/09(水) 11:16:59 |
  3. CABOTIN #ArGM.iJY
  4. [ 編集 ]

CABOTIN さん
コメント、そして考えてられる事を書いていただきありがとうございます。

確かに、リュートはメゾフォルテくらいで音楽が作れそうです。ピアノやフォルテがなく
メゾフォルテ、メゾピアノで。
(ルネサンスころは、今のギターとピアノを合わせてたくらい重要な楽器
がリュートだったと思います。
そうなると、今のギターよりは鳴っていたのではないかと思います。)

それに対して、ギターは本来ピアニシモも弾けないといけないと思いますが、
ほとんどのギタリストは、楽器の音が小さいという思い込みから、よくてメゾピアノ
くらいで音楽を作っているように思います。と言うと、
何かえらそうなことを言っているとに思われそうですが、
楽器を作っている立場から、どんな楽器を作らないといけないのか?
と言う疑問への回答も欲しいのです。

LPでしか、聞くことは出来ませんが、マグリット・ロンさん達の演奏を聴いていると、
ピアニッシモの小さな音が、ホールの端はしまで届いていたような、音がしていると
感じます。

こんな音が出る楽器を作ってみたいな、と考えたりします。

そうなると、倍音だらけの、音のぼけたモダンスペインギターの方向では
ないと思います。

と言うことで、私の考えている方向の楽器で行くことを再確認します。

CABOTIN さんの考えておられるギターは、ものすごく難しいと思いますが、
材料の問題もかなりのウエートを占めていると思います。

何とか少しでも、近づけるようにがんばります。
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  2. 2013/01/10(木) 18:43:36 |
  3. こがっき #-
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kogakki

Author:kogakki
ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、チェンバロ
と言った、古楽器を仕事として製作して
30年以上になりました。

最近はギターに興味を持っています。
最初に作った楽器は、ギターです。
昭和42年でした。 18歳の時です。

古楽器製作家 平山 照秋 

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