古楽器製作家の思うこと いろいろ

昔の楽器製作家がそうであったように、様々な楽器を製作しています。そうすると、いろんな楽器の事が良く分かってきます。特にモダンギターについて考えていることを書かせていただこうと、思っています。

7月に作ったギターを少し改造しました。

7月、東京の方のために、2台作ったうちの1台、
3年ほど天日に干した表板の楽器を思い立って直ぐに、改造しました。

UNI_0012.jpg


この楽器です。(右側だったと思います)

糸巻きがペグなので、機械式糸巻きを使っている方には、扱いにくいことと、
響きが良い方向に変わりそうなので、機械式に替えました。


UNI_0064.jpg


UNI_0063.jpg


ヴィオラ・ダ・ガンバ では、頭のスクロール(頭部の渦巻き)をオープンスクロールと言って、
くり抜いています。
ヴァイオリン族はクローズスクロールと言って、くり抜いてはいません。100%。

でも、ガンバ族でもオープンスクロールにしていない楽器や、頭部に人の顔などを
彫刻している楽器も沢山あります。(最近の私のガンバはほとんど彫刻の楽器ばかりです)

これは、好みもありますが、オープンスクロールにしたほうが、音が軽く、響きも
軽くなります。

ガンバは、例えばバスガンバだと、3弦の太さがピラストロの弦では、1.15ミリくらいです。
イタリアのトロ社の弦では、1.16ミリから1.26ミリまで用意されていますが。
チェロの1弦 A線は トロ社でも、1.16ミリから1.20ミリです。

ガンバの場合、この3弦の上に 2弦 (0.94ミリくらい) 1弦 (0.72ミリくらい)
の細い弦を張って、鳴らさないといけませんから、軽く響く楽器で無いといけないのです。
と言うか、そのほうが細い弦に反応してくれます。

ギターでも、私はなるべくヘッドの形を小さくして、本体が軽く、
小さい事とバランスをとっています。

でも、今回ヘッドに機械式の糸巻きをつけることによって、
密度のある音に出来ないかと、考えました。

ヘッドが重くなっても、全体を軽く作っていますので、反応の鈍さなどはカバーできると
考えたのです。

結果、リュートのようだった楽器が、(リュートのように軽く弾いても音が出る楽器が)
軽く弾いても、楽器の軽さも手伝って、軽く鳴りますし、ギターのようにかなり力を
入れても、鳴ってくれる楽器になりました。
もちろん、音の密度も少し、増したように感じます。

こうなると、弦もリュートのように細いガット弦でなく、立ち上がりは悪くなるが、減衰の長い
テンションのきつい、フロロカーボンにしました。1弦 0.57ミリ、2弦 0.69ミリ
3弦 0.84ミリです。
低音弦もプロアルテのメディウムと6弦はハードテンションに。

弦高も12フレットで、1弦2.2ミリ6弦2.6ミリだったのを、それぞれ2.5ミリ
2.9ミリにしました。
ギターのように力をいれて弾くと、振動が大きくなるので、それに対処したわけです。
弦高を上げることによって、押さえた時のテンションもあがりますし。

その結果、非常にしっかりした音の楽器になりました。

弦のテンションを上げることのデメリットは、弱く弾く事が難しくなる、減衰が短くなる。
(音が大きくなりますが、普通はピークの音が大きくなりますが、減衰が早くなってしまいます)
ということが考えられますが、私の楽器はもともと、1kgくらいしかなく、反応の良い楽器で
表板も、構造的に減衰が長くなるように作っていますので、デメリットは感じません。

今までは、ギタリストの方でも、リュートも弾けるような、脱力やテクニックのある方には
弾きこなせる楽器だったと思いますが、普通に力で弾いている方にとっても、普通に弾ける楽器に
なった様に思います。

どのような楽器を作るか、作りたいか、イメージを持っていれば、
方法は自然と出てきます。

ちょうど絵を描いていて、何をどう描くか、描きたいかが決まれば、
ほぼその絵は完成しているのと、似ているように思います。

イメージとどんな楽器に仕上げたいかの意思が大切な事だと、
今回も思いました。





  1. 2012/12/17(月) 23:46:48|
  2. ギター
  3. | コメント:4
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フロロカーボン弦について

「フロロカーボン、1弦 0.57ミリ、2弦 0.69ミリ、3弦 0.84ミリです」とありますが、どのメーカーの弦でしょうか?、よろしかったら教えてください。
熊本県在住の67歳のギター初心者ですが、ブログ最初から最近のものまで、すべて興味深く読ませていただきました。平山さんの作られるギターがどのような音色なのか興味津々です。
  1. URL |
  2. 2012/12/23(日) 19:41:49 |
  3. 中岡 #-
  4. [ 編集 ]

中岡様

コメントありがとうございます。
興味深く読んでいただいているという事、ありがとうございます。

弦については、うっかり書かなかったのですが、私は釣り糸の
フロロカーボンを使っています。

理由も書かなかったのですが、ナイロン弦だと、音が湿っていて
音に芯がないので、私は フロロカーボンの弦を使っています。

リュートやハープにその他の楽器にも使いますので、
釣り用のテグスを50メーターのリールで買って、使っています。

主に 呉羽化学の シーガー、シーガーエースと言うブランドですが、
ゲージによっては、トーレのトヨフロンも使っています。
フロロカーボン100%なので、メーカーが違っても差はありませんので。

楽器用の弦の需要は、釣り糸などに比べると、少ないものですから
釣り糸を転用していると思います。(ナイロン弦やリュート用の弦も)

ギターショップのアウラさんのHPに、弦のコーナーがありますが、
そこで、サバレス社のアリアンス ノーマルの弦を見ていただくと、
1弦 0.57ミリ 2弦 0.66ミリ 3弦 0.82ミリ
(同じ アリアンス ノーマルですが コラム、カンティガと言う低音弦
だけ違うブランドではそれぞれ、 0.62 0.69 0.84 となっています)

これは、釣り糸のゲージと同じです。

ですので、同じ フロロカーボンという事で、もし試されるなら
サバレス社のアリアンスの1から3弦と同じ弦を使われると良いとおもいます。
(価格も定価はもっと高いですが、205円から290円で買えます)

ちなみに、釣り糸は シーガー 12号 0.57ミリ 18号 0.69ミリ
26号 0.84ミリ を使っています。

釣り糸は 50メーター巻きですから、 12号でも定価は4200円もしますので、
(26号だと8000円)同じものですから、ギター用では サバレス社のアリアンス
で良いと思います。

それと、余談になりますが、来年度は天草のコレジオ館に楽器のメンテナンス
のために、熊本まで行きます。(ほぼ毎年熊本は行っていますが)
その時、ギターを持っていきますので、ご覧になられますか?
その頃には、弦長の短い楽器も出来ていますので。
  1. URL |
  2. 2012/12/25(火) 09:13:47 |
  3. こがっき #-
  4. [ 編集 ]

詳しく教えていただき感謝します。第3弦の開放の音と1フレットの音の音程のくるいが大きいのは、ナイロン弦の直径が大きいのが原因の一つではないかと思っています。フロロカーボンの弦が自分の古いギター(1966年製作)に合うか、サバレス社のアリアンスの1から3弦を試してみます。
 来年天草に来られるとのことですが、日程が合えば平山さんのギターに会いに行きたいと思います。
  1. URL |
  2. 2012/12/25(火) 19:16:25 |
  3. 中岡 #-
  4. [ 編集 ]

ギターの3弦については、何かと問題が多いようです。

まず、なんと言っても 1弦、2弦に比べると、テンションの低い
メーカーが多いことです。(弦メーカーや、ブランドによっては2弦と同じくらいのテンション
もありますが)
これは、ギター以外の楽器でも良くあることです。
そこで、最近は弦のテンションを揃えてみようと、言う動きもあります。
テンションが同じだと、響きも揃って、良い面も沢山あります。

そこで、3弦が合わないということですから、太さからきている要素もあると思います。
まず、3弦だけ比重の大きい、弦の直径が細いフロロカーボンに替えてみては、
どうでしょうか?

他の弦が問題無いようでしたら、少しは良くなると思います。

他の弦も問題あるようでしたら、1フレットの位置がおかしいか、
ナットの位置が合っていないと思います。
  1. URL |
  2. 2012/12/26(水) 23:22:19 |
  3. kogakki #-
  4. [ 編集 ]

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プロフィール

kogakki

Author:kogakki
ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、チェンバロ
と言った、古楽器を仕事として製作して
30年以上になりました。

最近はギターに興味を持っています。
最初に作った楽器は、ギターです。
昭和42年でした。 18歳の時です。

古楽器製作家 平山 照秋 

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