古楽器製作家の思うこと いろいろ

昔の楽器製作家がそうであったように、様々な楽器を製作しています。そうすると、いろんな楽器の事が良く分かってきます。特にモダンギターについて考えていることを書かせていただこうと、思っています。

新しいギターを弾いていただきました。

このギターのことも前回のブログで書かせていただこうと思っていましたが、
長くなりましたので、ここで書かせていただきます。

9月に野村先生に見ていただくために、急遽作ったギター、7月に作ったギターなど
いろんな方に見ていただきました。

9月の楽器は、始め、ガット弦を張っていましたが、バスバーを大きくして、プレテンションが
更に大きくかかるようにしていたこと、そして裏板を更に薄く、2ミリ以下にしたことなどから
フロロカーボンに張り替えました。
もともと軽い楽器で、反応もよく、立ち上がりも良いので、ガット弦の立ち上がりの良さを借りなくても
充分 使える楽器でしたので。
そして、音の芯、輪郭もガット弦が優れているのですが、音の芯とか輪郭も、そのように作っていることや、
野村先生の還元法による処理をしていただいていることから、ガットでなくても良いように思ったのです。

フロロカーボンはガットに比べると、立ち上がりの良さ、音の芯という点では、
少し劣りますが、減衰の長さはガットよりはるかに長いのです。

その結果、1弦、2弦、3弦の音の伸びがとても良くなり、ただ単に音が伸びるだけでなく、
音が膨らんでいくのです。

オリジナルの19世紀ギターで、たまにこのようなギターを見かけるのですが、モダンギターでは
ありませんでした。
声部を弾き分けたり、歌ったりしている演奏家には、とても音楽が作りやすい楽器になりました。

普段、ジョン・ギルバートを弾いている、若手のギタリストの方は、直ぐにこの楽器の特徴を
分かってくださいました。

そして、1942年のサントス・エルナンデス、1959年のハウザー、1964年のフレータ
1979年のブーシェ、とのどから手が出るほど欲しい名器を使ってられるギタリストの方も、
時間をかけて弾いていただくと、だんだんこのギターの良さが分かってくださったようです。

もちろん、私もサントスや、ハウザー、ブーシェなどは弾かせていただきました。
演奏会でもそう思ったのですが、私はサントスが一番好きでした。
19世紀ギターのように、弾いている人にはほとんど帰ってこないのですが、
広い会場で聞くと、遠達性も、音の分離もとても良いのです。

弦長が640ミリで、家での練習用に使っていて、本番に使ったのは、
私が聞いたこの間の演奏会が始めてとのことでした。

確かに、弾いている本人にはほとんど音が聞こえませんから、演奏会で使って
鳴っているのだろうか?お客さんに聞こえるのだろうか?
と思ってしまう鳴りですから。

そして、西垣さんに見ていただきました。

私が奇跡のギターと言っているパノルモやコッフと比べてもらったのです。

その結果は、モダンギターでは決してなかった、音の伸びや音の立ち上がり、
ピアノでの音の頭の雑音のなさがこのギターにはあると,言われました。

そして、この方向で間違いはないので、この方向で煮詰めて行って欲しいとも、
言われました。

私の考えている方向は、間違っていなかったと確信させてくださいました。

西垣さんはお化けギターとも言っている、パノルモ(音が若くて、作られて
10年くらいの音がするのです。そして、限界がないほど、音がいくらでも
大きくなるのです。まさにお化けです。)
そして、妖艶な、つやのあるいくらでも音が伸びていく、音が膨らんでいく、
コッフのギターのちょうど、真ん中のギターだと言って下さいました。

いくらがんばっても、コッフやパノルモのような楽器は作ることは不可能だと思って
いました。作ることが出来るのは、長い時間と良い演奏家の力を借りなければ、
出来ないと思っていたのです。

での、この方向で行けば少しは近づけるかな?と思わせてくれたギターでした。

12月22日はこのギターで、このギターに一番合った、曲を弾いてくださるそうです。
(22日は別の演奏会があって、チェンバロを運んで調律をしないといけないので
当日は聞けるかどうかわかりません)

でも、観客は私一人という贅沢な演奏会を2時間ほど聞かせていただきました。
楽器に合った曲を選んでくださって。

本当に贅沢でしたが、良い経験をさせていただきました。








  1. 2012/11/29(木) 00:14:06|
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プロフィール

kogakki

Author:kogakki
ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、チェンバロ
と言った、古楽器を仕事として製作して
30年以上になりました。

最近はギターに興味を持っています。
最初に作った楽器は、ギターです。
昭和42年でした。 18歳の時です。

古楽器製作家 平山 照秋 

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