古楽器製作家の思うこと いろいろ

昔の楽器製作家がそうであったように、様々な楽器を製作しています。そうすると、いろんな楽器の事が良く分かってきます。特にモダンギターについて考えていることを書かせていただこうと、思っています。

弦について その4


三味線の糸が来ました。

ギターの1弦に使えるかもしれない、15-3(ギターでいう1弦の一番細い弦が
三味線では3の糸です。15は太さを表しています。厳密に言うと、
太さではないのですが、便宜上 太さとして使わせていただきます)
と、ガンバ族の中で一番高音楽器の パルデッシュ (トレブルガンバ、ソプラノガンバ
の4度上の楽器です)の1弦がガット弦でも 0.40ミリくらいで、とても細くて
(ガット弦の製造では、製造できるほぼ一番細い弦です)よく切れるので、
これに使えないかと思って、12-3の糸を取り寄せました。

結果として残念ですが、ギターの1弦に使える弦はありませんでした。
(釣り糸では、道糸として、1号以下の糸ばかりでしたので、三味線の糸しか
可能性は無かったので)

天理で手に入った、常盤の 15-3の糸が 0.57ミリで一番太く、
ちくぶというブランド では、15-3が0.45ミリ、丸三ハシモトの
寿糸は 0.49ミリでした。

0.6ミリくらいだと何とか使えると思ったのですが、駄目でした。

2の糸では、太さはあるのですが、撚っているため、雑音がすごくて
ギターには使えません。

ガンバには使える弦が見つかりました。
同じテトロンですが、常盤の糸では弓が滑りましたが、
ちくぶの糸だと、滑らず弓が使えます。

と言うことで、太いテトロンの弦を探すことにして、
とりあえず使える弦を探さないといけません。

よく考えたら、まだ普通のナイロン弦は張っていませんでした。
普通のプロアルテを張りましたが、ガット弦の音を覚えていると、
湿った音で、立ち上がりも悪いので、弦が安定するのを待って、
張り替えました。
テンションはあるのですが、音の輪郭がぼけているのです。
そこで、リュートの弦を張ってみました。
ナイロン素材ですが、リュートで使っても少しははっきりした音なので。

でも、少しは音に輪郭は出ますが、やはり湿っています。

後は、フロロカーボンしかないと思い、

定番の呉羽化学のシーガーを張りました。

12号の0.57ミリです。

張って最初は良かったのですが、張りが安定してきてテンションが出てくると
音がかなり硬く、手触りも固いのです。

そこで、テンションの計算をしてみました。


T=4xmxLxLxfxf

LxLは本当は二乗と書きたかったのですが、変換が出来ませんでしたので
変な式ですが理解下さい。

T はテンション (グラム)
m は1センチあたりの重量を 重力加速度 980cm/s二乗 で割ったもの
L は弦長 (センチ)
f は周波数 (ヘルツ)

0.57ミリのフロロカーボンを1弦に張った場合
弦長を64センチとすると

T= 4xmx64(二乗)x329.63(二乗)

mは 0.0285センチの2乗に3、14をかけて1.80をかけた物を
(比重を1.80として)重力加速度 980cm/s二乗で割ると
0.00000463となります

結果は 8.323kgとなります。
やはりかなり高い数字です。
(ナイロン弦のハイテンションで 0.75ミリ 7.9kgぐらいです。)

10号の 0.52mmを張ると、今度は線が細く1弦だけ音が違います。
ちなみに0.52ミリのテンションを計算すると 6.7kgです。
テンション的には一般的な2弦の5.5~5.8kgに比べると高いのですが、
楽器が鳴りません。

2弦は16号の0.66mmが3弦は26号の0.84mmがぴったりです。

何とか、この2弦3弦に合う1弦は無いかと探していたら、
同じフロロカーボン素材の サバレス社のアリアンスを思い出しました。

張ってみるとちょうど良い音色で2弦、3弦とも合います。

ゲージを測ると、0.61ミリで フロロカーボン100%だと
テンションがきつすぎます。
ギターの弦用に、材質を変えているのでしょうか?

弦を買うときに、ギターショップのアウラさんの弦の注文表に
ゲージとテンションが出ているので、これを参考にさせてもらうと

アリアンスは 0.62ミリで7.9kgとあります。
ところが、カンティガのほうでは同じアリアンスが0.57ミリ 8.6kg
となっています。(私の計算では釣り糸だと8.3kgですが)
〈カンティガは低音弦だけのブランドで1,2,3弦はアリアンスと同じ弦
と書かれています)

手元にあったのは、0.62mmでテンションも適当だったので、
0.62mmのテンション7.9kgのほうでしょう。

0.57ミリと書かれているほうでは、2弦、3弦は0.66mm、0.82mm
で釣り糸の16号26号と合いますので、こちらは釣り糸と同じ材質なのでしょうか。



今まで、ガット弦を使っていて、フロロカーボンを使った感想です。
その差が無ければ、安いし切れないので、フロロカーボンで良いのですが。

弾いていると、むしろフロロのほうがしっかりした音で、音の輪郭もあり
音楽の組み立ても分かりやすい感じます。
ガットのほうがなんとなく、雰囲気は良くて響きもあって、柔らかい感じなんですが、
正面から音が聞けるように、正面でなくても出ている音を聞くように工夫すると、
やはり音の芯があって、中身のある音がしています。
それに比べると、フロロの前に出ている音は、弾いている本人が聞いている音より、
より少しぼける感じです。

でも、フロロはナイルガットもそうですが、音の減衰が長いので、ガットに無い、
利点もありますので、値段などのことを考えると魅力的でもあります。

ここまで書いていて、それなら、サバレスのアリアンスやカンティガを使えば良いでは
ないか?と言われそうですが、私の楽器にはアリアンスの1弦を張ると、
2弦3弦はテンションが弱く感じます。
1弦の音色、テンションに合わせると、フロロカーボンを使ったほうが
バランスが取れるのです。

ギターに限らず、弦メーカーは1弦はかなりテンションを上げて、2弦以降は
ゆるくするのが常識のようです。
特に3弦はどの楽器でもゆるいようです。

フロロカーボンのギター弦については、ほかのメーカーもありますし
また、違う弦も出てきそうですので、楽しみです。

テトロンの弦は、またいつか使える弦が出てくるまで、待ってみることにします。

でも、使えもしない可能性の多い、三味線の糸を取り寄せて、何をしているのかな?
と思うこともありますが、三味線のことや、絹糸のこと色々新しい発見もありました。
そして天理の琴、三弦のお店は、もともとお琴を作っているお店で、
宮城道雄の創作というか新しく彼が考案した琴はこのお店で、作られたそうです。
私も写真で見たことがありますが、最大60弦の
お琴まで作られたそうです。いろんなお琴、三味線のお話を聞けました。




 




  1. 2012/11/18(日) 00:06:12|
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放射線照射について

思ったことですが、花コウ岩など自然界にも線量が少し高いものもあります。弦の分子構造を被ばくさせて壊す目的なら、何年か石の上に置くのも面白いかもしれませんね。一年花コウ岩(ある程度大きい大きさ)に置くとレントゲン一回分ぐらいらしいです。石の上にも三年ですか笑
http://www.nirs.go.jp/db/anzendb/NORMDB/norm_detail.php?norm=ore&en_normname=%CE%AE%CC%E6%B4%E4#kekka
  1. URL |
  2. 2015/09/19(土) 18:49:35 |
  3. クマ #-
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プロフィール

kogakki

Author:kogakki
ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、チェンバロ
と言った、古楽器を仕事として製作して
30年以上になりました。

最近はギターに興味を持っています。
最初に作った楽器は、ギターです。
昭和42年でした。 18歳の時です。

古楽器製作家 平山 照秋 

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