古楽器製作家の思うこと いろいろ

昔の楽器製作家がそうであったように、様々な楽器を製作しています。そうすると、いろんな楽器の事が良く分かってきます。特にモダンギターについて考えていることを書かせていただこうと、思っています。

演奏会のお知らせ

前回のブログでお知らせする予定でしたが、長くなってしまったので、
新しく更新させていただきます。

古くからの、友人がリサイタルを行います。

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関西の方はご存知かもしれませんが、
箕面のメイプルホールで 5月21日午後2時開演
茨木の 六鳴館で5月28日の午後3時開演です。
入場料はいずれも、前売り1000円、当日1500円です。

プロの、ギタリストではなく、箕面こどもの森学園の理事をされています。

プロの方のように、多くの演奏会を開く事が必要でないので、じっくりと曲に向き合い、
芳仲さんのお人柄が出ている、演奏が聞けます。

今回は、ソルとタレガと言う、ギターにとって非常に大切な二人の作曲家を
取り上げています。

興味のある方はどうぞお越し下さい。


  1. 2017/05/12(金) 22:13:43|
  2. ギター
  3. | コメント:0

コメントをいただいて、

momo様

コメントありがとうございました。
私にとって、非常に大事な事なので、
コメント欄でお答えするより、ブログにあげさせていただいた方が良いと
思いましたので、書かせていただきます。

まず、なぜ弦長65センチになったのかと言うと、ギター製作家、演奏家が神様扱いをしている
スペインのトーレスさんが65センチのギターを作ったからだと思います。
一時期、ラミレスさんは664ミリの弦長の楽器を作ったり、現在でも66センチのギターを作っている人もいますが、
ほとんどの楽器は65センチです。

もっと、体に合った楽器を弾くべきだと思い、2012年1月29日のブログに詳しく書かせていただきました。
これは、ドイツのミハエル・コッホさんの考えによるものですが、最近は身長×0.38または身長×0.37程度が最も弾きやすい
楽器の大きさではないかと思うようになりました。

この考えで行くと、165センチの男性で約63センチから61センチ、
160センチの男性、女性だと約61センチから59センチになります。

探していただくのも大変でしょうから、2012年1月の記事をコピーさせていただきます。




分数ギターとは、あまりなじみが無い言葉ですが、
ヴィオリンなどでは、一般的に使われている言葉です。
(もちろん分数ヴァイオリン、分数チェロと言っています)

ヴァイオリンは、ギターより小さい時から始める人が多く、
分数サイズのヴァイオリンが必要なのでしょう。
2分の1,4分の1と言う小さなヴァイオリンは、小さな子供のために必要でしょうが、
4分の3と言った、ほとんどフルサイズのヴァイオリンまで用意されています。
( 4分の4のフルサイズで、弦長が33センチ、4分の3だと31,5センチくらいです)
体に合った楽器が選べるようになっているのです。

また、楽器のランクもいろいろ選べます。

オールドの骨董品的価値の付いたものは別にしても、
イタリアの巨匠クラスで、200万円とか250万円。
これは、例外としても、80万円から100万円。40~50万円、20~30万円クラスと。
この20~30万円クラスでも、沢山作られ、良い楽器もあります。

これに比べて、ギターはどうでしょうか?
私の知っている範囲では、アリアのぺぺギターが定価 52、500円で、
弦長 48センチ、53センチ、58センチです。

小平ギターは、定価63000円で、弦長 55センチ、59センチ、61センチです。
これ以外は、ヤマハなどで、安い楽器も見かけますが、クラッシクの入門用としては、
問題があるかな?と言うところです。(現在小平は税抜き70000円が一番安く、弦長も
63センチと、65センチしかないようです)

学生ギターコンクールなどで、小学生の低学年でも、
弦長65センチの大きなモダンギターを弾いているのを、よく見かけます。
小学生の高学年でも、大きなサイズのギターを器用に弾いている姿もよく見ます。
楽器として、5,6万円の子供用のギターを弾くなら、数十万円の大人用のギターのほうが、
少し無理をしてでも、音が良いほうが良い。と言う事で選んでいるのでしょうか。

私でも、普通のモダンギターは弾いていて、体に負担がかかりますので、
いくら体の柔らかい小学生でも、かなりきつくて、無理があるのではないかと思います。

ヴァイオリンだと、分数サイズの楽器の適応身長、とか年齢が大体決まっています。
ギターだとどうなのでしょうか?日本ではあまり研究されていないようですが、
ドイツの、ギター研究家、教育者のミハエル・コッホ氏が具体的な数字でこれを示してくれています。

  ――― 現代ギター 2008年5月号 No525号 13p ―――――

     現在の身長×0.36=最適な弦長 と言う公式です。

これは、脚も手も長い、ヨーロッパ人のプロポーションでの話ですが、この式のまま計算しました。

身長 180センチ 最適な弦長 64.8センチ

身長 170センチ 最適な弦長 61.2センチ

身長 165センチ 最適な弦長 59,4センチ

身長 160センチ 最適な弦長 57.6センチ

身長 155センチ 最適な弦長 55.8センチ

そして、この弦長の割合で、楽器全体のプロポーションも小さくするのです。

弦長が短いので、胴を厚くしたり、ボディだけ大きくして低音を出そうとしてはいけません。
ボディの大きさ、厚みが弾き易さに繫がるからです。

この結果、弦長65センチの現在標準のモダンギターは、身長が180センチは必要です。
小柄な男性だと、59センチか60センチ、小柄な女性だと55センチか56センチ、
と言う事で、私は55センチと、59センチで設計しています。

ここまで話を進めてくると、良く研究はしているかもしれないが、
一学者の研究で全てを推し量ってはいけないのでは?と言われそうなので、
リュートの話をさせていただきます。

私達がリュートを始めた、40年近く前は、弦長が63センチが標準でした。
(ルネサンスリュートの場合)でも、最近は59センチ、60センチが標準です。
63センチで弾いていて、苦労した和音が59センチだと、楽に弾けるのです。
ギターとリュートは違いますが、私の身長だと、(167センチ)
59センチの弦長が非常に弾きやすいのです。

私以外のリュート奏者も、59センチくらいが弾きやすいので、
今では59センチ、60センチがスタンダードになったと思います。
ですから、ギターも59センチで良いのではないかと考えました。

そして、もうひとつの反論。弦長の短いギターの利点は分かった。
でも、現実的に、使える59センチのギターが無いではないか、との反論が出てきそうですね。
いくら値段の高い楽器を作っても、モダンスペインギターの構造では、
レキントギター、アルトギターのような、低音が出なくて、響きも少ない楽器になってしまいます。

そこで、私の考える、ライニングが小さくて、表面板が大きい面積で鳴る楽器。
横板、裏板も薄くして、楽器全体で鳴る楽器が必要となってくるのです。

この楽器だと、低音の基音がはっきりしていますので、小さくても、
音楽を作ることが出来るギターになります。

響きや音色のため、これらの小型の分数ギターは、少し比重の大きい、
重い材料で作ろうと考えています。

次回、小型でもしっかり低音が鳴る楽器を作るために、
とても重要な部材、ライニングについて書かせていただきます。

追加で分かりやすいように、図面を作りました。

手元にあった、田村満さんのギターが一番外側です。
次に、私の弦長640ミリの楽器です。私の標準サイズです。
次の内側に書いているのが、私の弦長590ミリの楽器です。
一番内側は当然一番小さい、弦長550ミリの楽器です。

      UNI_0865 の補正
         


比較のために、表面板の面積を求めました。

550ミリ ---  928.9平方cm  (私の640ミリの楽器の 74.6%)
590ミリ --- 1096.9平方cm  (      〃     88.1%)

ちなみに、パノルモは 弦長 630ミリ 986.8 平方cm、
私の640ミリの楽器の 79,2% です。

偶然ではないのですが、下図を見ていただくと、パノルモと、私の550ミリの楽器とは、
上部膨らみ部分と、下部膨らみ部分はほぼ一緒です。

                 
UNI_0873.jpg

パノルモより少し胴長が短く、面積も少し小さいですが、このサイズで、
パノルモより、響きのある低音を出そうと考えています。

次に、2013年9月に弦長の短いギターについて書かせていただいていますので、
これもコピーさせていただきます。




たまたま、フルートの発表会でロッコーマンホールでチェンバロも使うことになったので、
チェンバロを運んで調律しました。そして、ギターを空き時間に見せてもらいました。

6万円くらいの小平さんの59センチのギター、とマルティネスの3万円くらいの58センチです。

これが、とてもよい楽器でした。
うっかりすると、30万円や、50万円の65センチのギターより、音楽的な表現が出来るのです。

小さい楽器なので,楽器全体が鳴っていますし、減衰の長さ,音の表情の付け方など、
とても良いのです。これは、テンションが緩いことが良い方向に行っているのですが、
弦長65センチで,緩いテンションにすると、細い弦にしないといけませんから、
音も細くなります。その点、弦長が短いと、弦の太い音も犠牲にせず、減衰の長さ
なども、有利に働くわけです。

マルティネスは軽く、音のバランスは少し、問題はありますが、楽器全体が鳴っています。

こんな楽器を,アマチュアの方が(もちろん大人の方です)弾いてくれるともっとギターを
楽しめるのに,と思いました。
とにかく、左手が楽で、左手に力が必要ないので(指を拡げるための)右手の力も抜ける
用に思います。

福田進一さんにギターを弾いて頂く機会があって、
お弟子さんが作った61センチのギターを弾いて頂くと、
左手がとても楽だと言ってられました。
彼ほどの,テクニックがあっても弾きやすいと言ってられましたから、
普通の人には、もっと、もっと楽に弾けると思います。

本当は,弾きやすいだけでなく、それ以上に音楽的に弾くことを楽しめると思いました。

やはり、弦長61センチや60センチ前後の楽器は、良い楽器が多いように思いました。

これからも、61センチの弦長の楽器をさらに良くしていこうと思っています。





現在手元に、
1982年 ぺぺギターS 弦長 59センチ
信濃アルトギター     弦長 55
アリアA-20-58 弦長 58
小平 AST-50L 弦長 63
YAMAHA c-40s    弦長 60

そして、お弟子さんが作った 61センチの弦長の楽器が3台あります。

手元にある楽器は、中古ですが表板が素晴らしいものばかりで、
昨年買った、短い弦長の楽器はすぐになくなってしまいました。
(4台ほどです、小さな楽器を探している人は結構います)

いずれも、今年に入ってから買ったものです。
中古で、綺麗ではありませんが、音はとても良いものです。
15000円から20000円までで買っています。
買ってから、フレットやナットの調整、弦の交換などをしていますが。
(必要に応じて)

遠い所にお住まいでなければ、見ていただいても、と思っています。

直接自分で買われる場合は、アリアの ACE-5S 610 -Spruce- サウンドハウスで43000円か
ぺぺギターの58センチあたりがお勧めです。
ヤマハで15000円くらいで58センチの楽器がありますが、これは全て合板であまりお勧めは出来ません。


無理が無い、左手も、右手も楽なギターで音楽を楽しむ方が増える事を願っています。

(試しに弦長の短いギターを弾く方法は、1フレットにカポタストをはめると、650ミリの弦長の楽器だと、
615ミリくらいになります。これで、左手が楽になるようでしたら、弦長の短い楽器をお勧めします)



  1. 2017/05/12(金) 21:57:51|
  2. ギター
  3. | コメント:0

プロフィール

kogakki

Author:kogakki
ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、チェンバロ
と言った、古楽器を仕事として製作して
30年以上になりました。

最近はギターに興味を持っています。
最初に作った楽器は、ギターです。
昭和42年でした。 18歳の時です。

古楽器製作家 平山 照秋 

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