古楽器製作家の思うこと いろいろ

昔の楽器製作家がそうであったように、様々な楽器を製作しています。そうすると、いろんな楽器の事が良く分かってきます。特にモダンギターについて考えていることを書かせていただこうと、思っています。

ソルのエチュード 60-1 について

演奏会のリハの時などに、作っていた原稿でブログアップさせていただきます。
すみません、また、調子に乗って、音楽のことです。

それは、ソルのエチュードです。

昔、45年ほど昔。植木先生に習っていた頃、
確か音楽之友社からソルのエチュード全集が出版されていました。

単旋律を歌うことが終わると、ソルのエチュードやほかの方のエチュードでかなり長い間、
2声の曲を練習させてもらいました。

ギター以外でも、20歳前に音楽を始めたものですから、チャンスがあれば、
いろんなところに出向いて、勉強させていただきました。
というか、音を聞く訓練のようなこともさせてもらいました。

最初は旋律を聞くことしかできませんでした。
次にオーケストラで最低音ばかりを探して聞くようにしていました。

西宮に張源祥先生いう先生がいらっしゃいました。
マーラーとブルックナーの当時の最高の研究者だった方です。

当時まだ、マーラーもブルックナーもそんなに有名な作曲家ではありませんでした。
今でも、マーラーは好きではないのですが、ブルックナーは私に合いましたので、
よく研究所にお邪魔してブルックナーを聞かせていただきました。
(張先生が、昔は誰もブルックナーなどは聞いてくれなかった。
こんなにブルックナーを聞く人が増えて、とても嬉しい。と話されていたことを
思い出します)


最低音が聞けるようになると、内声の音や、動きを聞くようにしました。
少しづつですが、だんだん沢山の音が聞けるようになりました。

でも、演奏している最中は、自分の音は聞けません。
ですので、テープに録音して聞きました。

当時、オープンリールのテープデッキから、カセットに変わる頃だと思います。
もっと前かもしれませんが。少なくとも、私はオープンの時代から使っていました。

演奏している最中はかなり良い演奏だと思っても、後で聞くと聞くに耐えない演奏でした。
今は、録画も簡単にできます。もっと活用してもよいように思いますが。

また、話があっちの方に行ってしまいましたが、ソルのエチュードです。
ソルさんが沢山のエチュードを作られましたが、難しすぎると言われ、
だんだん簡単な曲にしていって、最後にOP60の練習曲集を作ったと言われます。

でも、ギタリストにとって、OP60の1番が難しいと私は思います。

とりあえず、譜面です。

img220.jpg
(ブライアン・ジェフリーさんのソルエチュード集からの引用です)

アドレスからまた、ユーチューブに行ってもらわないといけませんが、
次の演奏を聴いていただけますか?( ユーチューブで sor op-60 と検索していただくと沢山出てきます)

https://www.youtube.com/watch?v=GXgcsGGtrQk

よく、初心者やアマチュアのやる間違いというか、正しくないリズムのことです。
(プロでもこのような演奏ですから。多分プロ?)

4部音符の後の8部音符2個、2部音符の後の4部音符2個の場合に起こりやすい音型です。
でも、この方は後の、2声以上の曲はこんなにずれたリズムではないのです。

今までのブログで書かせていただいた、旋律だけを単旋律で正しく弾けるかどうかが問題、
そして難しいということが、よくわかる例です。

https://www.youtube.com/watch?v=CeEdAqRxnjc

むしろ、アマチュアの方でしょう、この方の演奏の方がエチュードとしては、良い演奏だと思います。
ソルさん自身が最初の6曲は始めはゆっくりと自分で弾けるテンポで始めなさいと、
書いているように、もっとゆっくり弾かないとこの曲の練習にはならないように思います。

ちょっと面白い演奏を聞いていただきます。

https://www.youtube.com/watch?v=_bKsaYuHTDc

評価も少ないのですが、ちょうど良い、悪いが半々の評価です。
私はとても良い評価をしたいと思います。

リズムが正確で、旋律はシンセかキーボードなのでしょうが、
ギターで、指先で細やかな表現が出来るギターより、
歌ってくれています。(上手な人の弾くギターと比べてはいませんが)

この演奏に合わせて、練習をすれば、リズムがずれた演奏はできませんので、
エチュードとしては良い使い方だと思います。
この練習で正確なリズムが身についてから、単独で練習すれば、良いように思うのですが、
いかがでしょうか?

同じ音型の曲は、私たちの世代だとよくご存知の曲、
黛ジュンの「霧の彼方に」があります。
サビの部分が「まーどの、あーかり、とーもして、あの人を待つの」という曲です。
ご存知でしょうか?

器楽曲でなく、歌だと後の4部音符が短くなることは、まずありません。
この曲を弾くときは、黛ジュンさんの曲を思い出すと、リズムは完璧です。

この、黛ジュンさんの曲にソックリなのが、イギリスの古いリュート曲の「What if a day」です。
出だしは。霧の彼方とそっくりというか、同じです。

この曲を弾く場合でも、練習曲でないということもあるのでしょうか、
音型があがっていく音型なので、後の音が短くなりにくいのでしょうか、
後ろの2拍が短くなる演奏はあまり聞いたことがありません。
(リュートでもギターのように後ろの2音が早くなる演奏を聞くことがあります。
ギター出身であまり合わせものをしていないリュート奏者なのかもしれません)

たとえ、簡単な練習曲であっても、単旋律の曲であっても、
歌っていれば変なリズムにはならないという良い例のようです。

この曲を面白くないという方がいらっしゃいますが、この曲を楽譜通りに弾くのは、
不可能なくらいに難しい曲で、面白い曲です。

歌で歌うように弾くということは、前の音が残ってはいけないことです。
モンゴルのホーミーではないのですから、歌うときに同時に2声が存在していはいけないのです。
上手な消音の練習曲とするとよいかもしれません。

また、音が切れてもいけません。

楽譜は単旋律ですが、月光のように2声にしてしまうと、少し簡単になりますし、
1小節同じ和音ですから、一つの和音を分散しただけ、と考えるともっと楽になります。

でも、楽譜通りには弾けません。

OP60の2番は最後に、ソルさん自身が2声にしてしまっているので、
1番もそんなに難しく考えなくても、よいのでは?と思ったりします。

そんな事を考えると、とてもじゃないけど早くは弾けません。私は。
ということで、時間があるときにソルさんのOP60は
順番にユーチューブで演奏をアップさせていただこうかと考えています。

このソルの一番簡単な曲が難しいということで、思い出したことがあります。

今から、30年ほど前に、有名なチェンバロ、オルガン奏者とよく遊んでいた時期があります。
いろんな話をしながら、食事をしたりお酒を飲んでいたりしていたのですが、チェンバロも
そこにあったので、「平山くん何か1曲弾こうか?」と言ってくれました。

そこで、そんなに深い意味や、考えはなかったのですが、「バッハのインベンションの1番を
弾いてくれますか?」と頼んだところ、「そんなに難しい曲は2週間くらい前に言ってもらって
練習してからでなければ弾けない。音楽性やテクニックが全てわかってしまう曲だから」
と言われました。「そんなん。もう音楽性もテクニックもわかっているやん」と言いましたが、
結局弾いてもらえませんでした。もちろん、テクニックも音楽性もものすごい、というか
とてつもなくある演奏家なのです。

簡単な曲ほど難しいというか、恐ろしいということを考えさせられた出来事とでした。
実は他の超有名なチェンバリストにも頼んだことがあります。
(親しくさせていただいていたので)この時も、断られました。
同じ理由です。


練習曲でなくても、弾いている人が多い、スタンリー マイヤーさんのカヴァティナでも、
同じように、短い音符が早くなっている演奏をよく聞きます。プロの方でも。
この曲はアルペジオの伴奏がついているのですが、旋律だけ単旋律で
弾いている感じになるので、早くなってしまうのでしょうか?
短い音符ほど大切にしないといけないと思うのですが。

私などは聞いていて、違和感を感じるほどリズムのズレがあるのですが、
プロの方がユーチューブでアップしているということは、本人はそれを感じていない
ということなのでしょうか?

でも、ありがたいことに ユーチューブで様々な演奏を聞かせていただけます。
いろんな演奏を聴かせていただくと、一流の演奏家はリズムも歌うことも、理論もしっかりしていること
を確認させていただけます。

最後にブリームさんのマスタークラスの映像を見ていただけますか?

https://www.youtube.com/watch?v=v4R82HxBLKo

マスタークラスを受けるくらいですから、プロの方ですし、リサイタルもされているようです。
でも、アマチュアギタリストが犯しやすい演奏の見本のような演奏に思えます。
リズムや細かいところを大切にしていなところなど。


また、演奏のことについて長々と書かせていただきました。すみません。

でも、簡単な曲を正確なリズムで、歌うことがとても大切で、必要なこと、
また、難しいことをなのだということを伝えたかったものですから。

  1. 2014/12/30(火) 01:18:41|
  2. ギター
  3. | コメント:2

近況報告



沢山の方々にブログ訪問いただいたり、コメントを頂いていますが、
なかなか更新が出来ていません。

相変わらず、忙しくはしているのですが、頭がブログに向きません。
楽器を作り出すと、そのことばかりが頭の中にあって、それこそ寝ていても
考えているような感じです。

11月10日くらいにそれまでの様々な雑用を片付け、アルペジオーネにかかりました。
九州行きや、演奏会などで 2週間しか製作期間はありませんでしたが、およそ、12日
間で完成しました。
作っている期間は12日くらいでしたが、それまでに、楽器のイメージを作っていたので、
形にするのに12日というだけで、実際は楽器を作り出すまでの期間が長かったと思います。

イメージが出来れていれば、半分以上出来たことになると思っています。

それまで、雑用と言ってしまっては、失礼な楽器の修理がありましたが、一から楽器を作ることは
修理と違って、楽しいことでした。

九州行きも、一日中運転して、佐賀まで行き、夜佐賀を発って、朝には一台楽器を下ろして、
家でチェンバロを積んで、大阪まで運んで調律、そしてリハ、2日後には本番。
その間に、ガンバを奈良まで届けたり、雑用を片付けながらアルペジオーネを作っていました。

アルペジオーネが完成しても、演奏会などあって、あまり練習もせず、人前でアルペジオーネを
弾かせていただきました。

演奏会が終わって、秘密の楽器1台を1週間ほどで作り(小型のハープです)

更に、1週間足らずで、もう一台秘密の楽器を作りました。
今も、もう一台、作っています。明後日までに作らないといけないのです。

それは、オーケストラで使える、二胡 の製作です。

20年以上前になりますが、素晴らしい 二胡、揚琴、笛の演奏家と知り合いました。
それまで、二胡は好きな楽器ではありませんでした。
いつも、ポルタメントとビブラートがかかっていて、音程もはっきりしない演奏を聞いていたものですから。

でも、彼の演奏はちょうどバロックヴァイオリンの名手のような演奏でした。
音程もきっちり決まり、必要なところだけにビブラートをかけていたのです。

西宮で年4回の演奏会やっていた、リラコンを始め、神戸、篠山、福知山などで演奏をお願いしました。

そうこうするうちに、世界で始めての、中国以外の国での、中国楽器によるオーケストラを彼が作りました。

素晴らしいオーケストラでした。創立1周年のコンサートでは、何か一緒に仕事をしようと言うことで、
舞台監督も引き受けたりしました。

そんな彼から、久しぶりに連絡がありました。

オーケストラでも使える二胡が作れないか?という話です。

ソロ楽器、アンサンブル楽器としての二胡はとても良い楽器なのですが、
オーケストラとなってしまうと、倍音と響きが多い、今の二胡では難しいと
私も思っていましたので、作ってみようと思ったのです。

でも、これは非常に難しい楽器なのです。

二胡と同じサイズ、基音もしっかり出て、楽器が多くなってもヴァイオリンのように、
音の厚みが出ないといけないのです。
そして、ヴァイオリンのように指板が付きます。

二胡と同じような楽器で、蛇の皮を響板に使わず、板で作った、板胡という楽器も、
ありますが、これは桐の板を使って、二胡より更に倍音の多い、音の高い楽器です。

形のヒントは、敦煌の壁画に古い二胡の絵が残っていて、それを参考にしたいということでしたので、
ヘッドはヴァイオリンやガンバのようにスクロールです。

でも、あの大きさの響板で、ヴァイオリンと同じ音の高さの楽器を作らないといけないのです。

二胡はヴァイオリンの2弦3弦と同じ調弦です。
高胡という楽器もあって、これは、ヴァイオリンの1弦と2弦と同じです。

とりあえず、最もよく使われる、二胡を作り始めました。

一つのアイデアで1台は20日に出来たのですが、満足のいく楽器ではありませんでした。
そこで、21日から図面を書き直して、26日までに作っているところです。

表板の厚み、削り方、横板、裏板の厚み、材料、ネックの形状、大きさ駒の高さ、
形状その他、決めないといけないことが山のようにあります。

普通だったら、ネックやテルピースに当たる物を作っていて、色んな共鳴箱を作って、
試作しながら、だんだん良い物を作っていくと思います。

でも、私は今まで、試作品を作ったことないので、なんとか最初から使えるものを作りたいと、
頭を絞って、考えて作っています。

似たような楽器は、ヴィオロン・チェロ・ダ・スパラでもありましたが、これはチェロの
10分の1サイズで、フルサイズのチェロに近い響きの楽器を作れば良いことだったので、
イメージは作りやすかったのです。

今回は、ベースになる楽器がないので、今まで、作ったレベックや、フィーデルを参考に
考えて作っています。

明日には、音が出せると思いますので、実際に音を出しながら、表板を削って基音や響きを
調整したいと思っています。

こんな状況です。

こんな仕事しながら、民生委員の仕事も結構有ります。
でも、お年寄りから元気をもらったりしていますので、
良い仕事です。

次回は 年末になるかもしれませんが、演奏会のリハ中に作った原稿のソルの
エチュード op 60-1 の話をさせていただきます。











  1. 2014/12/24(水) 17:33:20|
  2. ギター
  3. | コメント:1

やさしい曲を弾くために

当分、ブログ更新が出来そうにありませんので、演奏会のリハーサルとか、
旅行中のホテルなどで書かせていただいた、原稿で今回、更新させていただきます。

時間を置いて書いてみたり、日が変わると考えも少し変わったりしているのでですが、
とりあえず、原稿どおりでアップさせていただきます。



頂いたコメントを読み返させていただいて

何も、大したことは書かせていただいてないと思っていますが、ギターを作っている人だけでなく、
演奏している方にも、何か役に立てばと思って、書かせていただいています。
演奏や、音楽のことについては、私が書かなくても、とも思っているのですが。

それと、かなり以前にも書かせていただきましたが、
私のことは「平山さん」と呼びかけていただけますでしょうか?
私もトーレスさんとかセゴビアさんと言わせていただいていますし。
平山様とか先生と呼ばれると、自分のことではないみたいですし、とても恐縮します。  

このブログも 演奏会のリハーサル中に書かせていただいて、
続きを九州のホテルなどで書かせていただいています。


ギターは確かに難しい楽器だと思いますが、難しい曲を弾かなければ、
そんなに難しい楽器ではないかもしれません。

リュートやリコーダー、ガンバといった古楽器には、テクニックは簡単でも、
音楽的には満足できる曲が沢山あります。

そんな曲をギターで弾けば、あまり難しく思わなくてもよいように思います。
モダンの楽器だと、(ギターも含みますが)簡単な曲イコール練習曲や、
子供の曲になってしまうと思うのですが、
ルネサンスやバロックの曲では、そうではない曲も沢山あります。

そんな曲を弾くと、ものすごく練習しなくても、音楽を楽しむことができます。
そして、時間や体力、気力のある人は難しい曲に挑まれたらよいのでは?
と考えるのです。

そんな簡単な曲を音楽的に弾く方法の一つを、
演奏の専門家でもない私が書くのもおこがましいのですが、
今まで、教えていただいた先生たちへの恩返しのつもりで書かせていただきます。
(本当に初歩的なことばかりです)

分かっている人や、もっと深い考えで演奏されている人には、
そんな分かりきったことは書かなくても、誰もが知っているのではないか!
と言われそうですが、たまに、時々?ガンバやリュートの手ほどきをさせていただくと、
それまで、リコーダーや他の楽器をやられていた人でも、
案外そんなことは教えてもらっていなかった、という方がいらっしゃっいましたので。

ギターのレッスンでも、(ピアノでも?)とりあえず、間違わなければ、
だいたい音符の音が出てれば、次に行きましょう、というレッスンをよく見かけました。

初心者に音楽的な事を言っても、無駄と考えている先生も多いのでしょうか?
ギター以外でも、初歩の方、ある程度弾ける方、(プロでも?)
ただ、楽譜をなぞっているだけの演奏が多いように思います。

合唱でも、普段ルネサンスやバロックの曲をやっていない合唱団が、
ルネサンスの譜面面は簡単なので、ただ、音譜どおりに、ベタっと演奏しているのを、
聞いたことも度々ありました。

美術というか、絵の世界では、(初心者の人でも、)この絵で何が表現したいのか、
何を書きたいのか、はっきりさせている人が多いと思います。

音楽もこの曲で何を言いたいのか、分かるように演奏すればよいと思うのです。
音楽的に難しいことを考えなくても、なぜ、この曲を弾いてみたいと思ったのか、
例えば、旋律がとても綺麗で弾きたいと思ったのなら、旋律を綺麗に歌うことを。
リズムが面白いと思えば、そのリズムを面白いと感じるように弾くこと。

あるいは、その曲のこの箇所が好きなので,弾きたいと、思っているのなら、
その箇所を好きなように弾けば良いのです。
その代わり、ほかの場所は、抑えて弾くとか、目立たなく弾けば、
好きな箇所、聞いて欲しい箇所が出てくると思います。

私も植木先生に出会った時は、禁じられた遊びくらいしか弾けませんでしたし、
好きだったので、弾かせていただきました。
それに対して、植木先生はその曲が好きな事が伝わってくる、丁寧に弾いているし、
歌っているから、とても良いと言われました。

レッスンで新しい曲を弾かなければいけないのかもしれませんが、
好きな曲を弾くことができれば、練習も楽しくなると思うのです。

絵でも、この箇所を見て欲しいと思う箇所は、力を入れて描き、
そうでないところは力を抜いて、ある意味手抜きをして書いています。

ギターの演奏では、すべての箇所を同じように弾いている人が多いようです。
それは、ギターの音量が小さいので、小さな音では聞こえないと思ってらっしゃるのかもしれません。
(少し被害者意識もあるように思いますが)

でも、大きな音という事では、暴力的なピアノには到底勝てません。音の数でも。
ギターはギターなのですから。でも、クラビコードに比べるとはるかに大きな音です。

小さい音で、思い出したことがあります。
植木先生に習って、かなり経った頃です。植木先生が嬉しそうな顔をされて、
「平山君、ピアニッシモの出し方が、やっと分かった。これなら、小さい音でも、
ホールの端まで、飛んでくれる。」と話されました。

当時の私には、完全には理解できないことでしたが、今ならよく分かります。
ピアニッシモで力のある音、ホールの端まで届く音を作るのは、大変なことですから。
ピアノでも、難しいことです。
でも、20世紀の巨匠と呼ばれる、ピアニストは皆そんな音が出せていたと思います。

「アルハンブラ宮殿の思い出」などは、まるで、トレモロ練習曲になっているように思います。
日本ではあまり有名ではないのですが、ギリシャ出身の歌手 ナナ・ムスクーリさん
 のベストアルバムにアルハンブラ宮殿の思い出や、愛のロマンスを歌っているものがあります。

彼女の歌を聞いてもらうと、参考にはなると思います。
以前のブログでも書かせていただきましたが、私が手ほどきをさせていただいている方には、
歌うことの参考に聞いてもらっていました。西垣さんも同じことをされていたと聞きました。

では、全体が好きだとか、雰囲気が好き、という場合はどうしましょう?
子供ような考え方かもしれませんが、こんな初歩的な考え方でも、音楽は作れますし、
聴く人は納得してくれると思います。(本当に初歩の初歩ですみません)

それは、音が高くなれば、音楽的に緊張して盛り上げる。
音が低くなれば、緩める。

和音が変われば、特殊な和音が出てくると強調する。
作曲家がここは聞いて欲しいと思う箇所に、特別な和音や、臨時記号を使っている場合が多いので。

そして、音が跳躍すると、やはり実際に跳ぶように、エネルギーを使う。
5度やオクターブも上がっているのに、何事もないような演奏だと、
(それがかっこいいとか、スマートだと思ってられるのかもしれませんが、)
何のために作曲家が跳躍の音型を作ったのか、分かりませんし、
聞く方に音楽が伝わらないと思うのです。

逆に、和音も動かず、音の跳躍や、音型の変化が無いところでは、
聞いている人に休んでもらう箇所と考えて、少し抑えて弾く。

付点や、短い音がある場合は、原則として次の長い音に繋いでしまう。
ギターなどの場合は、(器楽はその傾向がありますが)付点は、
ダブル付点のつもりで弾いたほうが良い場合が多いように思います。
もちろん旋律的なところで、ダブル付点にしては不自然なこともありますので、御注意を。

繰り返しも、2回目にブリッジよりの硬い音にするとか、いつもピアノにするとか、
ワンパターンにならずに、工夫すればよいと思うのですが、
ルネサンス・バロックの時代にはリピートは、ディヴィジョンするとか、
装飾するとか、そのために繰り返しがあったのです。

ルネサンスとかバロックの曲を、それも、簡単な曲の時は、
練習がてらリピートの時に装飾を加えるとか、ディヴィジョンするとか、
いろいろやってみると、結構、簡単な曲が楽しい曲になってきます。

思いつくままに書かせていただきましたが、こんな初歩的なことでも、
音楽は変わると思います。

ここに書かせていただいたことに、リズムを守る。旋律を歌う。
休符は意味を考えて守るべきところは守る。

2声の曲は、2声に弾き分ける。3声は3声に。

そして、旋律と内声を分ける、低音の動きなどに気をつけて。

そして、出来ればですが、舞曲だと、様式感を出す。
(有名なタレガさんのアデリタはタイトルのアデリタの横にマズルカと書かれています。
メロディーを歌わせることだけでなく、舞曲のマズルカを意識して弾くと、
タレガさんが作った曲に近づくと思います。
もちろん、分かって弾いてられるギタリストも、沢山いらっしゃいます。
(西垣さんなど)それに、フレーズやアーテティキレーション、
タッチなどを合わせていくと、聞く方が納得する演奏に近づくと思います。

こんなことを考えて弾くと、知らない曲も自分なりの演奏ができます。
むしろ、そのほうが面白いかもしれません。

プロの方なら、一目見て全てが理解できると思いますが、
私たち素人は何回も、何十回も見ないと分からないことが沢山あります。
よく楽譜を見て、よく考えると言うのも大切なことでしょうか。

それと、ギターの演奏でよくあるのですが、弾きやすいところ、
弾きやすいパッセージは早く弾いたり、
大きな音で弾き易いパッセージは、大きな音で弾く。

音楽的に大きな音ではまずいところでも弾き易い、
大きな音が出しやすいところでは、大きな音で弾いてしまう、こんな人をよく見かけます。
有名なプロでもそう思うことがあります。

参考に色んな演奏を聴くことをやっていらっしゃる方もいると思います。
良い演奏もそうでもない演奏も。

感激した演奏を再度聞いて、参考にするのは良いかと思いますが、
あまり良い演奏でない場合や、沢山色んな演奏を聞くと、自分の演奏ができなくなりそうです。

楽器製作に関して、私は絶対に人に教えてもらわないと、決めていました。
自分の目指す楽器が作れないと思っていたからです。

演奏もそんな感じはします。良い先生が見つかれば、習えば良いのでしょうが、
なかなかいないと思います。そんな場合は、自分で考えて、音楽を作れば,
聞く人はその人の音楽が聞けるわけで、その人らしい、その人でなければ、
という演奏に感激してくれると思うのです。

感激までしてくれるのは、難しかもしれませんが、その演奏を気に入ってくれる、
また聞きたくなってくれるかもしれません。

自分らしい演奏があっても良いのではないでしょうか?
音楽的に間違った演奏でなければ。

本当に、厚かましく、演奏家でもない私が、演奏のことを思いつくままに書かせていただきましたが、
今まで、教えていただいた先生方の教えの一部です。(大切なことが抜けているかもしれませんが)

演奏の参考になればと思い、厚かましいことですが、書かせていただきました。

今回も長くなりましたが、最後まで読んでくださってありがとうございます。


  1. 2014/12/09(火) 01:21:20|
  2. ギター
  3. | コメント:0

アルペジオーネ、デビュー終わりました。



12月5日、京都、7日高松の演奏会が終わりました。

西垣さんの演奏は、いつも素晴らしい演奏してくださるので、今までは、スタッフで参加させていただいても、
良いものを聞かせていただいた、と思って帰路についているのですが、今回はプレトークで一緒に
ブルグミューラーとシューベルトのアルペジオーネソナタの第2楽章の冒頭の部分を
演奏させていただきました。
楽器が出来てまだ4日ほどで、練習もあまりしていないのに、アルペジオーネデビューさせていただいたのです。

楽器を紹介するために作ったのですが、楽器ですから音を聞いていただくことが大切なことなので、
機会を与えてくださって、感謝しています。

音はイメージ通りの音ができました。楽器も出来たばかりなのですが、よく鳴っていました。
CDで聞く、アルペジオーネの音よりは、良い音になったように思います。

ガンバと違って、やはり旋律楽器の音です。音の密度も出るように、旋律楽器として使えるように、
作ったのですが、19世紀初頭の響きになってくれたようです。

演奏会の前半は、パガニーニの大ソナタのギターソロ版、アルペジオーネソナタのギターソロ版と、
非常な大曲でしたが、編曲も変化があって、楽しく聞かせていただきました。

後半は、フレスコバルディのリュートソロから、ソプラノとリュート、それにアルペジオーネで
通奏低音をつけさせていただいてフレスコバルディ の歌曲を。

後は、宮本正清先生の詩による歌曲、シューベルトのセレナーデ、アベマリア
そして、きよしこの夜、アンコールは禁じられた遊び 前半は大曲で後半はクリスマスコンサート
の雰囲気で終わりました。


前半は、200年ほど経った、19世紀ギターの名器、後半は、私の作った、リュート、アルペジオーネ、ギター
で演奏会は進められましたが、200年ほど前に作られた楽器と、4日ほど前に作った楽器の合奏もありましたが、
楽器の外見も、音も出来たばかりの楽器ではないようだと、たくさんの方がおっしゃってくださいました。

これもプレトークの話をいただいて、作ってしまおう、と思ったのが良かったようです。

時間がなくて、急いで作った楽器で良く出来た楽器が結構あります。
迷いがなく、失敗できない、と一気に作ったのが良かったのでしょうか?

今日から、実は11日間で2台、秘密の楽器を作らないといけないのです。
良い楽器になることを祈って、ではなく確信を持って作る予定です。

1台は誰も見たことがない楽器、もう1台もほとんどの人が見たことのない楽器です。
また、すこし更新ができませんが、よろしくお願いいたします。


  1. 2014/12/09(火) 00:55:28|
  2. ギター
  3. | コメント:5

プロフィール

kogakki

Author:kogakki
ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、チェンバロ
と言った、古楽器を仕事として製作して
30年以上になりました。

最近はギターに興味を持っています。
最初に作った楽器は、ギターです。
昭和42年でした。 18歳の時です。

古楽器製作家 平山 照秋 

最新記事

最新コメント

月別の記事です

カテゴリ

ギター (331)
演奏会 (10)
その他 (20)

私へのメールはこちらから

名前:
メール:
件名:
本文:

訪れてくださった方々

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR