古楽器製作家の思うこと いろいろ

昔の楽器製作家がそうであったように、様々な楽器を製作しています。そうすると、いろんな楽器の事が良く分かってきます。特にモダンギターについて考えていることを書かせていただこうと、思っています。

弦楽器製作法に則ったギター製作の手引き  その1



いよいよこのブログを始めた、当初の目的に入ります。

これまで、材料編、構造編と書かせていただきましたが、これらは
独立したものでなく、特に構造編と製作編は密接に関係するものです。

構造、設計が一般的な、スペインギターのそれとは違いますので、自ずと製作方法も違ってくるのです。

この製作編は実際に楽器を作ってらっしゃる方、特にアマチュアの方とか、
製作を始めて間のない方、これからギターを作ってみようとされる方に役に立つのではないかと思っています。
(自分の楽器製作法を考えるという意味で)

このブログでは、私のギターに対する考えを書かせていただいています。
製作に対しても、一般的にそうしているから、昔からそうしているから、
皆がそうしているから、先生からそう教えられたから、
という考えでは書いていこうとは思っていません。
(お分かりでしょうが)

ギター以外の楽器を35年以上にわたって作ってきました。
特にヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、バロックヴァイオリン、バロックチェロ、
アルペジオーネ、ヴィオロン・チェロ・ダ・スパラ、フィーデル、レベックといった
弦楽器を作ってきた者からみると、今、主流になっている、
モダンスペインギター製作法は一般的な楽器製作法からはかなりかけ離れた、
製作法のように思えます。

ですから、このブログの製作方法で、ブーシェさんのような、ハウザーさんのような、
ラミレスさんのようなギターを作ろうとしても作れないかもしれません。

ちょうど、知っている人は知っているけど、知らない人は知らない
長岡鉄男さんというスピーカー作り、設計の方をご存知でしょうか?
形も,大きさも,構造もユニークな数多くのスピーカーの設計をされた方です。

私の考えるギターは長岡さんのスピーカーのようなものかもしれません。

見た目は市販品とは全然違うけど、音は素晴らしく良いスピーカー、
どんな音楽を聴きたいのか、どんな音で聴きたいのかがはっきりしている人には、
それにぴったりのスピーカーの設計が用意されているように。

今の、アマチュアの方のギターを見ていると、
ギター屋さんに並んでいる商品と同じようなギターを作りたいのかな?と思ってしまいます。
見た目も、仕上げも,材料も、塗装も、プロが作る商品と同じような楽器を目指しているように
思えてなりません。

楽器屋さんにすれば、プロが作る商品と同じような商品が、
安く仕入れが出来て、喜ばしいことかもしれませんが。

ハウザーのギターが欲しいけど、買えないから作るとか、
ブーシェさんのギターが欲しいけど手に入らないから、
同じような楽器を作りたいという方には、私の製作法は合わないと思います。

せっかく作るのだから、自分にあった、自分しか作れないギターを作るのも面白いと思われませんか?

そして、そのギターは有名な名器より、もっとあなたの音楽を豊かにしてくれると思います。
ギター音楽でなく、音楽を楽しめる楽器を作れる方法だと思っています。

次回は製作法で良くあるように,道具から入りたいと思います。









  1. 2014/06/26(木) 00:59:24|
  2. ギター
  3. | コメント:1

ホセ・ルイス・ロマニロスさんの新刊 「Making a Spanish Guitar」について



また、しばらく更新が出来ていませんでした。

演奏会があって、リハーサルの時間に原稿を作ることが出来ましたので、
久しぶりに更新させていただきます。

読んでいただいている方に,楽譜のプレゼントもあります。
(必要の無い人には余分かもしれませんが)




ロマニロスさんが新しいギター製作の本を出されたということで、このようなブログを作っているものとしては、
手に入れておかないといけないと思い、取り寄せました。


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彼の息子さんが取り扱っているということで、直接注文しました。
注文すると、送料が約1万円というのに、少し驚きましたが。
本の価格も1万円です。

そうすると、私の名前も入れてくれた、彼のサインが入った本が届きました。

取り寄せる前から、これは困ったな、と思っていました。

日本人は活字が好きで、(というか、本になるとそれが正しいと思ってしまうようで)権威が好きなので、
その道の権威者が書いた本など出ると、ギター製作の新しいバイブルとなってしまうのでは?
また、このような本の通りにギターを作るのが正当で、本来の姿だと思われそうなので。

丁寧な、素晴らしい本が出ると、考えることを停止して、
その本の通りにしないといけないと思ってしまう人もいることですし。

私が楽器を作り始めた、40年ほど前でも、ヴァイオリンや弦楽器の製作に関する本を集めると、
ダンボール箱いっぱいになりました。

もちろん、ガンバやリュートを作る本はありませんから、それに近い楽器の製作法の本ばかりです。
でも、これが私には良かったようです。

絶対に人には教えてもらわないようにしていましたので、自分で本を集めて、
資料を集めて楽器を作るしか方法がなかったのです。


と言うことで、肝心のロマニさんの本について書かせていただきます。

「Making a Spanish Guitar」 というタイトルですが、ロマニさんのギター製作工程を公開した本のようです。
長年ギターを作ってきて、いろんなノウハウを持っている彼が、自分のものだけにしておかないで,
後進のギター製作家ために公開したのでしょう。

テンプレート(図面から実際の材料に形を移したり、バスバーやブロックの
位置を印をするための薄い板。私は薄いアクリル板を使っています。)も合理的な、
使い勝手の良さそうなテンプレートです。

図面も原寸大で、ソレラの図面も原寸大で入っています。
これなど、そのまま使う人も増えそうですね。

ブリッジの位置決め、12フレットから上のフレットの打ち方、
ロゼッタの作り方などかなり詳しく書かれています。

予想していたより、良い本のようです。
でも、この本を見てロマニさんはこうしているのか、では私はこうしようと、
考える人が増えると、良いのになあ、というのが私の感想です。

ロマニさんが書いた、トーレスさんの本は、肝心のことが書いてなくて、
私にはどうでもよい事ばっかりでしたが、

この本は彼の秘伝とも言うべきところも書いているように思いました。
講習会とか,お弟子さんには公開していることかもしれませんが。

では、楽譜のプレゼントです。

バッハさんの 平均律 9番のプレリュードです。

古くからギターを弾いている人には,懐かしいかもしれませんが、
40年以上前に、クリストファー・パークニングさんが バッハのアルバムを出しました。


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曲目も見て驚きました。こんな曲がギターで弾けるんだ!と。

早速友人がレコードから採譜してくれて,楽譜を作りましたが演奏はかなり難しかったです。

でも今回、原調で編曲できました。そんなに難しくなく。

興味のある方は,どうぞ演奏してみてください。

念のため,ピアノ譜ですが,参考にした,音友社の楽譜もアップさせていただきました。


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ご自分で演奏されて,弾きやすいように変えてくださって結構です。
そのために、ピアノ譜も用意しましたので。


次回は原稿が出来ていますので,製作編にかからせていただきます。

  1. 2014/06/24(火) 13:26:05|
  2. ギター
  3. | コメント:0

演奏会でのあれこれ


本当に、ブログ更新が出来ていなくて、申し訳ありません。

九州に行った時も、「ブログ毎日見ているのですが、更新がありませんね」
との話を聞きました。

いつも、昔から忙しい毎日でしたが、ここのところ特に忙しく、次々と急ぐ仕事が出てきます。

それも、とても急ぐ仕事か、期限が切られた仕事ばかりです。
何とか頑張れば,出来るので何とかしているうちに、更新する時間がなくなってしまいました。

もともと、365日休みなく、ほとんど毎日 朝8時から深夜12時か1時まで仕事をしていました。

それが、2時3時となると、仕事が終わってからブログを書く時間は無くなってしまうのです。

ということで、久しぶりに更新させていただきます。


6月1日にまた、素晴らしい演奏会がありました。

アンサンブル・シュシュの演奏会です。


IMG_20140601_175225.jpg

今回もルネサンスから現代までの幅広い時代の音楽会です。

その中で、現代イギリスの作曲家の曲が演奏されました。
現代の曲なので、スペインの名器を使われていました。

演奏されていた方も素晴らしいテクニックと音楽性を持った方なのですが、
楽屋では、魅力ある音で,細かい細部まで音楽を聞くことが出来ました。

でも、会場で聞くと、1,2,3弦の単音だと,音は聞こえてくるのですが、
4弦,5弦,6弦が出てくると、音は聞こえてくるのですが、何の音がしているのか、
分かりにくいのです。

客席 150くらいの響きの良い会場です。

リュートも、ガンバもチェンバロも普通に,いや普通以上に聞こえています。

でも、ギターはボンボンと鳴っているのですが、何の音か,何の和音か
分からない音なのです。

特に,6弦が出てくると、いよいよ分かりにくい音になってしまいます。
6弦を含んだ和音も同じように、分かりにくいというか,分かりません。

先入観を持っているからだといわれそうですが、私の耳にはどうしても、
はっきりとは聞こえてきませんでした。

同じようなことが、古楽器、を聞いた後で、モーツアルトをモダン楽器
ピアノ,ヴァイオリン,チェロで聴くと、音の中身がなく、響きもない音に
聞こえます。びっくりするほどでした。

その後,また古楽器の演奏に戻りましたら、普通にどの音も聞こえてきますし、
どんな和音かも分かりやすくなります。

もちろん、楽器によっても、演奏者によっても、会場によっても違うと思いますが、
ギターに関しては,モダンギターが大きな会場で使うために、生まれたとする考えには
私はついていけないな、と感じました。



次回から、そろそろこのブログの本題のギター製作編に入っていかせて頂こうと思っています。

その前に、また更新がしばらく出来ないと申し訳ないので、自分で弾くために編曲した、
(演奏会の時間待ちとか,仕事の合間の時間を使って編曲していました)
簡単に弾けて、音楽的でおもしろい曲の楽譜をアップさせていただくかもしれません。
(ユーチューブでアップするためには、少しは練習しないといけないので)

バッハの平均律9番のプレリュード,有名なオルガンのコラールプレリュード、など
なかなか良い編曲が出来たと思っていますので。







  1. 2014/06/18(水) 01:26:26|
  2. ギター
  3. | コメント:2

プロフィール

kogakki

Author:kogakki
ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、チェンバロ
と言った、古楽器を仕事として製作して
30年以上になりました。

最近はギターに興味を持っています。
最初に作った楽器は、ギターです。
昭和42年でした。 18歳の時です。

古楽器製作家 平山 照秋 

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