古楽器製作家の思うこと いろいろ

昔の楽器製作家がそうであったように、様々な楽器を製作しています。そうすると、いろんな楽器の事が良く分かってきます。特にモダンギターについて考えていることを書かせていただこうと、思っています。

関東方面の旅行で そして

今回の 関東方面の旅行で ギターを13台ほど積んで、いろんな方と出会えることが出来ましたし、
楽器を見ていただくことも、また作られたギターや、持ってられるギターなども、見せていただきました。

そして、今回とても良いことがありました。

本来は良いことではないかもしれませんが、25年ほど前に作ったガンバを最近ほとんど弾いていないので、
ちゃんと弾いてくださる人にお譲りしたほうが楽器のために、良いのでは?ということで預かりました。

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こんな楽器です。

自分で言うのも変ですが,良く出来た楽器で、指板の模様は,象牙を埋め込んでいます。
ヘッドも、バッハのイメージで彫って欲しいとの事でしたから、鬘のバッハさんにしました。

楽器製作という仕事をしていて、作ってから20年以上見ていなかった楽器を見ると、
若い頃の自分を見るようで、不思議な感覚になります。

もちろん、楽器のどこを見ても壊れた所や,ひびや欠けもありません。
大事に使ってもらっていたと言うのが良く分かります。

ただ、良く弾いてくださっていたようで、指板や本体の肩辺りは汚れが沢山で
汚れを取るのが大変でしたが。

音も、25年ほど経っているというのもあるのでしょうが、良い音になっていました。

その時代,その時代に出来る最善を尽くしていると、いつになっても
良い仕事をしていたと思えるようです。

そして、コメントをいただいていて、その話題の中に入っていませんでしたが、
CABOTINさんのコンクール審査員のこと。

私がここで言うことではないと思いますが、知っている人は知っているが
知らない人は知らないことなので、少し書かせていただきます。

CABOTINさんはスペインのマリアカナルス国際音楽コンクールの審査員を
1982年からされています。30代前半の若さで、ギターコンクールでない
世界的に有名なコンクールの審査員をされていました。
ロドリゴさんが生きてられた頃は,一緒に審査されていたそうです。

ギターでは、フランスのビラロボス国際ギターコンクールの審査委員長もされています。
その他、様々なコンクールの審査員もされています。(ヨーロッパですが)

そのCABOTINさんが言っておられた、19世紀ギターでその後のギターで見られる、
構造はほとんど考えられていた,ということの1例です。

アーチトップのギターは1820年にフランスミルクールの楽器に見られます。

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フォークギターで良く見られる、X ブレーシングの構造は
1840年のロンドンの楽器に見られます。


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おまけに、皆さん良くご存知の マーチンの おそらくニューヨークでの最初の楽器ではないかと思える楽器です。

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ほとんど、彼が修行していた シュタウファーさんの楽器と同じですね。

ここから、マーチンの歴史が始まったようです。


出典は The Century That Shaped The Guitar by James Westbrook
  1. 2014/05/23(金) 01:27:47|
  2. ギター
  3. | コメント:0

前々回のブログで、ムジカアンティカ湘南さんでアグアドの教則本を買ったことを書かせていただきました。

そうすると、ギターの修理というか調整に来られた、CABOTINさんから、パリで出版されたオリジナルの
アグアドの教則本を借りることになってしまいました。

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ロベール・バラールのリュート曲集を探しておられたのでお貸ししたところ、そのお返しに
ということになりました。

貴重なオリジナルな本ですから、お借りするのはお断りしたのですが、私が持っているアグアドの教則本
と比べたり、調べておいて欲しいとの事でしたので、お借りしました。

たまたま手元にあった、現代ギターの2004年くらいに 坪川真理子さんが原典紹介ということで、
アグアドの教則本を紹介されていましたので、これも参考にあまり時間が無かったのですが、
分かったことや,感じたことを書かせていただきます。

ブライアン ジェフリーさんが編纂された、本は1843年にマドリッドで出版されたものをもとに、
英語訳されて,楽譜も綺麗に打ち直されています。

現代ギターの 原典紹介の本は、このマドリッドで出版されたものです。

CABOTINさんからお借りしている、フランスで出版されたものは、図版がないだけで
マドリッドの本と全く同じでした。

でも、楽譜はマドリッドのものは、印刷が綺麗でなく、付点なども小節の最後に付いていたり、
なかったりしています。

ジェフリーさんのものは楽譜を打ち直す際に、音符の間違いはないのですが、運指が違っていたり、
明らかに間違っている所は,注釈なしに直されていたりします。
(坪川さんのものは ちゃんと注釈で原典の表現と、訂正 両方が載せられています。
やはり、ファクシミリとか,原典を見たいという気になりました)

CABOTIN さんがこの本を持ってこられたときに、テンポの表示があるのですが、
とてつもなく早いと言われていました。

確かに、こんなテンポで誰が弾けるのか!
というテンポです。

例えば、弾けそうだと思って弾いてみた エチュードの13番
メトロノームテンポ 四分音符が 104 となっていますが、
16部音符が最後まで続いています。
途中で難しい和音も出てきますし。

16番は 四分音符が 64でアンダンテとなっていますが、
6連譜がふんだんに出てきます。それも、ポジション移動が必要な
音形で。



でも、これも ジェフリーさんの本と全く同じでした。

昔の人はこんな難しいことをやっていたのでしょうね。


楽器を見てもそう思うのですが,昔の人は偉かった、ということでしょうか。
  1. 2014/05/23(金) 00:09:31|
  2. ギター
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お知らせ 

帰ってからも、何とか仕上げないといけない楽器があったり、雑用で追われていました。

今回は,お知らせすることが沢山でてきましたので、とりあえずお知らせです。

その1
ギターの展示会

① 少し先の話ですが、9月20日(土)21日(日)
  と 「ギターフェスタ2014 in 八女」が行われます。
 昨年は大阪のガンバフェスタと重なったため参加できませんでした。
 (今年のガンバフェスタは 9月14日です)

 9月20日は10時から16時が展示。
 21日は10時から15時30分まで展示,その後17時まで
 プロによる演奏会です。
 
場所は:福岡県八女市本町537-2
 八女文化会館 です。

竹でギターを作ってられる、中山さんたちが中心になって展示会が開かれます。

② クラッシックギターフェスタ in 南港 ATC
 
 こちらも先の話ですが、10月18日19日と時間は11時から17時まで
大阪の南港ATC ITM棟で行われます。
展示だけでなく演奏会もあります。

関西の製作家が中心です。


どちらも、ギターは2台か3台展示しようと思っています。
なるべく、見ていただく機会を作ろうと思っていますので、
展示会に参加させていただきました。

また、詳しいことが分かりましたら,順次お知らせさせていただきます。

そして、これは私の展示ではありませんが、名古屋の大西達郎さんの展示です。

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関西の木工家で私も紹介していただいた、西川栄明さんの本に登場した木工家の
方たちの展示会です。
その中に1人大西達郎さんがいらっしゃいます。

名古屋方面で、大西さんの楽器に興味のある方は、どうぞ見に行ってください。

その2 新刊紹介

そして、その西川栄明さんの新刊が出版されました。

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私も 楽器に使う木の事で取材を受けました。
本の中にも、古楽器製作家として私の判断で使う楽器のことなども
登場しています。

この本の素晴らしさはチラシにもありますように,235種類の木を載せていることだけでなく、
普通だったら,平面的な木の写真だけなのですが、実際にろくろで加工した,立体の形
で見ることが出来るのです。その断面や斜めからの景色も見ることが出来ます。

また、ろくろを回した,木工家の河村さんの感想,木に関する固さや加工のしやすさ、
またそのにおいまで書かれています。
例えば、ウエンジなどはろくろ加工では,ゴリゴリと繊維の集合体を削っている感触,で挽きにくい。
硬いストローの束をバサッと切る感じ、とか実際に加工した人間にしか分からない感触を書かれています。

更に素晴らしいのは,その材木の入手先まで紹介されていることです。

まさに、画期的な本です。

木工家だけでなく、木の好きな人,木工作品を好きな人にはお勧めの本です。

アマゾンでも買えますので。

価格は 2600円 プラス 税です。
 
  1. 2014/05/22(木) 22:36:32|
  2. ギター
  3. | コメント:0

帰ってきました

長い、関東方面の旅から帰ってきました。

コメントも沢山いただいて、ありがとうございます。

でも、5月半ばまで,いつもの調子なのですが、ものすごく忙しくなりました。

とりあえず、今回の関東行きの報告をさせていただきます。
少し時間が経ちますが、コメントについてはまた書かせていただきます。

関東方面に行くまでも、大阪で一番古い教会で演奏会がありました。
私のチェンバロを使うということで,いつもの運搬,調律です。

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その後、名古屋でスピネットの調整やその他。

そして、千葉市立美術館でのコンサート 
若いリコーダー奏者と,チェンバロ奏者の演奏会です。

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こちらも古い銀行の建物でした。残響6秒ほどで素晴らしい会場と、演奏でした。

楽器は,私が一番気に入っている,一台しか作っていないジャーマンモデルのチェンバロです。

次の日に、案内させていただいていた,世田谷の小さな展示会をさせていただきました。

すみません、写真も取る時間も惜しいような,楽しい,また興味深い時間でしたので、
写真がありません。

このブログを読んで下さっている方で、自分の考えで、新しい構造のギターを作られている方。

プロの演奏家の方ですが,自分で楽器を作られている方。見た目でなく、音楽性からの欲求で
作られていて、この演奏家の方が自分の演奏に最適な楽器を作られていました。

そして、その自分の考えで,新しい構造の楽器を作られている方は、楽器をスピ-カーに変えて
しまう、面白い装置も持ってこられました。

これは楽器作りに応用するためですが、ユニークな発想で面白いものでした。


私の作った楽器も、4台ほどありましたので、弾いていただいて感想をお聞きしました。

軽く楽器全体で鳴るように作っているので、気に入っていただいたように思います。
この軽い構造だと、鳴らない音、鳴らない音域,鳴らない弦が無いのも,確認していただけたようです。


次の日も、30日に来れなくて、お会いしたかった方とも、こちらが見てみたい楽器を持ってきていただいて、
お会いできました。

ラミレス・イエペス方式の10弦ギター、では低音が鳴る楽器を見たことが無かったので、
マンホン式の11弦ギターとファブリカトーレのオリジナルギターを見せていただきました。

マンホン式の11弦は低音までよく鳴っていました。少し軽い音ではありましたが。

そして、私の楽器も弾いていただいて、64センチの標準サイズのギターと,59センチのギターを
気に入っていただいたようです。

6弦が鳴ること、またフレットを押さえても、どの音も鳴ることが良かったようです。


でも、色んな話をさせていただくと、やはり彼も、私のギターは 19世紀ギターを普段使っている人だったら、
その良さが分かるでしょう。との考えでした。

私のギターを使っていただいている人の多くは,19世紀ギターを使っていて、近現代のレパートリーのために
私のギターを使っていただいています。

病気その他の理由で,右手に力が入らない方も,私のギターだとリュートのように力を入れなくても、
充分に鳴るので使っていただいていますが。

最初に私の考えるギターを作った時も、「このギターを理解してくれる人は,10人に1人くらいかな?」
と思って作りました。

全ての音がバランス良く鳴る、音の立ち上がりが良い、減衰が長くて歌うことが出来る、
基音成分が多く、音の輪郭がはっきりしていて、声部の弾き分けが出来る。

特に低音がしっかりと基音が出ているので、和音を弾いても転回系のような音がしない。

6弦もぼけた,音程不明な音でなく,音楽が表現できる低音。
3弦の7フレット以上の音が、出ない,鳴らない、ぼけている楽器がほとんどだと思うのですが
(それは、お前さんが良い楽器を見ていないからだと言われそうですが、中には鳴っている楽器も
ありましたが、ほとんどはそうではありませんでした。)2弦,3弦のハイポジションのほうが
むしろ、1弦よりもよく鳴る楽器。

私はこんな楽器で、ギターを演奏したいと思って,作り始めました。

私にとって、理想とは遠いかもしれませんが、かなり理想に近い楽器が出来ても、分かってくださる人は
少ないと思います。

でも、少しずつ分かっていただける方が増えれば,と思って作り続けたいと思っています。


そして、その後、最近ギターにも力を入れ始められた、茅ヶ崎の「ムジカ・アンティカ・湘南」さんにも
行かせていただきました。

イタリアのトロ社のガット弦を扱ってられるということで、古楽器関係の方には,有名なお店です。

もちろん、19世紀ギターですが、普及品タイプと,高級というか、スタンダードのタイプのギターを
見せていただきました。

どちらも、19世紀ギターとして,充分な性能で、レプリカではありますが、ソルやアグアド,ジュリアーニ
などを弾くにはぴったりの楽器でした。

楽器だけでなく、ソルの超初心者用の練習曲集や、ソル,ジュリアーニ,アグアドなどの原典版の
教則本も扱ってられます。興味をお持ちの方は、どうぞHPをご覧になってください。

私はアグアドの教則本を分けていただきました。


1週間以上家を空けていましたので、急ぐ仕事が更に急がないといけなくなりました。

また、次回はいただいたコメントのお話などさせていただきます。


それと、今回の旅で帰りの名古屋近辺で 車の走行距離が 333333キロを越えました。
名神高速が渋滞で,地道を走っている時だったので、少し遅れて気がつきました。



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  1. 2014/05/06(火) 11:40:21|
  2. ギター
  3. | コメント:3

プロフィール

kogakki

Author:kogakki
ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、チェンバロ
と言った、古楽器を仕事として製作して
30年以上になりました。

最近はギターに興味を持っています。
最初に作った楽器は、ギターです。
昭和42年でした。 18歳の時です。

古楽器製作家 平山 照秋 

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