古楽器製作家の思うこと いろいろ

昔の楽器製作家がそうであったように、様々な楽器を製作しています。そうすると、いろんな楽器の事が良く分かってきます。特にモダンギターについて考えていることを書かせていただこうと、思っています。

新間大先輩のこと

ユーチューブで演奏を聞かせていただいて、またユーチューブ上でのレッスン見せていただいて、
こんな素晴らしいギタリストの方がいらっしゃったのか!と言うのが新間大先輩の第一印象でした。

100本ほどユーチューブにアップされているので、ソルの月光とかのレッスンもありますが、
フェレールのレッスン風景を見ていただこうと思います。

https://www.youtube.com/watch?v=582yzL3kFbA

もう75歳になられる、新間大先輩ですが(先生と書くべきなのでしょうが、普段、先生をあまり良い意味で
使っていないので、こう呼ばせていただきました)まだ、現役で演奏され、またつくばのギター合奏団の
指導もされています。

ネットもいろいろ使われていて、フェイスブックも始められています。

そして、ギターで音楽を色んな方法で表現される、一つの方法として、このような本も
作られています。

img123.jpg

活字だけでなく、DVDで動画も見ることが出来る、とてもわかりやすい本です。


新間大先輩の足跡です。

1967年(昭和37年)にデビューリサイタルをされています。
その内容が、ギターとリュートを半々に弾かれているのです。

日本で最初のリュート演奏会ではないでしょうか?

その10年後にラコート,パノルモと言った古名器7台を使ったリサイタルを2度されています。

テデスコのギターコンチェルトも演奏されるなど(この演奏のCDもいただきました。とても、素晴らしい
演奏です)様々な活躍をされています。

ギター以外にも、けん玉を普及されたり、お父様が最高の鍼灸師だったこともあり、鍼灸師としても
指導をなさっています。

また、絵も描かれるのですが、その絵も素晴らしい絵なのです。

一例ですが


img124.jpg

日本では、色んな事が出来ると、何でも屋さんとすぐ言われますが、どれ一つをとっても
それだけをやっている人よりはるかに、良い仕事をされています。


ギターに戻りますが、私のブログも読んでいただいて、「ギターは和声楽器ではない、
旋律楽器である」との私の考えに共感もして下さいました。

まだまだ現役でがんばっていらっしゃる、新間大先輩を紹介させていただきました。

  1. 2013/09/11(水) 14:18:15|
  2. ギター
  3. | コメント:1

ショートスケールギターのこと、その他

今回、関東方面にボランティアで出かけますので、帰りに名古屋に寄ってきました。

HPや現代ギターの広告で、ショートスケールギターを沢山扱っているギターショップがありましたので。
それと、名古屋のギター製作家にも合いたいと思っていたので。

最初にギターショップに行きました。
製作に専念してから、32年になりますが、初めて楽器屋さんに自分の楽器を持って行きました。
買う気もないのに、お客さんの顔をして、楽器を見せてもらうのは気が進まなかったので。
製作家であることと、自分のギターも持参しています、
と言うことを伝えて楽器を見せてもらうことにしたのです。

出発前にHPで確認していた、61センチと62センチのギターは売れたとの事でした。
でも、アリアの61センチのギターがありました。

とても良く出来たギターで、後で見せてもらった、有名な製作家の63センチの楽器より、私には
はるかに良い楽器でした。

61センチくらいの楽器だと、モダンスペインの構造でもバランスの良い楽器が出来るようです。

トーレスさんが、少しは弦長の短い楽器も作っていたようですが、楽器の大きさだけでなく
弦長もいろいろ試行錯誤して作っていてくれたいたら、もっと弾きやすい楽器がスタンダードに
なっていたかもしれませんね?

私のギターも見たいただきましたが、まず最初に弦が古い、との指摘を受けました。
一般的には、新しい弦を張って見てもらうのが普通だと、私も思います。

でも、私は新しい弦の金属的な音が嫌いで、あのギーンとかいう音は、楽器の音でなく
弦の音だと思うのです。
少し古くなって、楽器に馴染んで金属的な音がなくなって、初めて楽器の音が聞ける、
と思っているのです。

それは、ムジカアンティカ湘南さんが扱って下さっている、トロ社のシルク芯の銀巻き線
が最初からそのような音がするのです。

でも、逆に言えば、一般的なギター弦の金属的な音がしないので、弦だけの音がしないので
鳴っているギターを使っていない人には、受け入れにくい弦かも知れません。

でも、そんな事は初対面の年上のギターショップのオーナーに言っても仕方がないことですし、
言っても分かってもらえないと思って、言いませんでした。
これからも会うこともないでしょうし。

でも、61センチのギターは、少しは気に入っていただけたようです。
モダンスペインギターとは,ぜんぜん違うギターなので,分かってはもらえないとは思っていましたので、
当然の結果でしょう。



この後、名古屋の製作家のところに行かせていただきました。

モダンギターなのですが,(19世紀ギターも作ってられます)良い楽器を
作ってられます。でも、なかなか売れないギターを作ってられるようなのです。

私が良い楽器と言うのは,一般的なモダンスペインギターではないからかもしれません。

彼も、楽器が鳴るような構造で作ってられますが、今回面白い楽器を見せてもらいました。

ギター製作家ですから,売れないといけない,と言うこともあって、トーレスコピーで
トルナボスを付けて、6弦がボンボンと鳴る楽器を作っていたのです。

トルナボスの影響で6弦が正常な振動しないくらいなのですが、この楽器は予想通り
評判が良くて、注文が来た、とのことでした。

彼本人が,これは際物と言っていましたが、確かに音楽の表現はし難い楽器です。

でも、このようなギターがギタリストには受けると言うことです。

あと、彼が横板を2ミリにすると,モダンっぽい音がすると言っていました。

確かに,横板を2ミリにすると,横板は振動せずに、モダンギターのような音がする
と思いました。


ちなみに、彼も普通にはもっと薄い横板で、楽器が鳴るように作っているそうです。




名古屋でなく、神戸でもっとショートスケールなギターを見ることが出来ました。

たまたま、フルートの発表会でロッコーマンホールでチェンバロも使うことになったので、
チェンバロを運んで調律しました。そして、ギターを空き時間に見せてもらいました。

6万円くらいの小平さんの59センチのギター、とマルティネスの3万円くらいの58センチです。

これが、とてもよい楽器でした。
うっかりすると、30万円や、50万円の65センチのギターより、音楽的な表現が出来るのです。

小さい楽器なので,楽器全体が鳴っていますし、減衰の長さ,音の表情の付け方など、
とても良いのです。これは、テンションが緩いことが良い方向に行っているのですが、
弦長65センチで,緩いテンションにすると、細い弦にしないといけませんから、
音も細くなります。その点、弦長が短いと、弦の太い音も犠牲にせず、減衰の長さ
なども、有利に働くわけです。

マルティネスは軽く、音のバランスは少し、問題はありますが、楽器全体が鳴っています。

こんな楽器を,アマチュアの方が(もちろん大人の方です)弾いてくれるともっとギターを
楽しめるのに,と思いました。
とにかく、左手が楽で、左手に力が必要ないので(指を拡げるための)右手の力も抜ける
用に思います。

福田さんも,61センチにギターを弾いて、左手がとても楽,だと言ってました。
彼ほどの,テクニックがあっても弾きやすいと言ってられましたから、
普通の人には、もっと、もっと楽に弾けると思います。

本当は,それ以上に音楽的に弾くことを楽しめると思いました。

やはり、弦長61センチや60センチ前後の楽器は、良い楽器が多いように思いました。

これからも、61センチの弦長の楽器をさらに良くしていこうと思っています。





  1. 2013/09/11(水) 00:58:13|
  2. ギター
  3. | コメント:0

ご報告 61センチギター、福田進一さん他

長い間更新が出来ていませんでした。

8月末に関東、名古屋方面に出て行って、帰ってくると沢山の雑用や、コンサートなどがあって
なかなかブログが書けませんでした。

まず、8月24,25日にあった、大阪ギターサマー2013公開マスタークラスと、演奏会です。

たまたま、フェニックスホールでチェンバロを使う演奏会があって、この催しを知ったのですが、
今年でもう4回目だそうです。無料で公開レッスンが受けられ、その後、終了コンサートが
あるのです。

img120.jpg


25日はディヴァインさんの担当だそうで、マスタークラスが終わってから、終了コンサートが始まる
までだったら、あまり時間がないけど、ギターを見たいと言われて、持って行きました。

雨の心配もあったので、標準の64センチと61センチのギターを持っていきました。

以前から、機会があれば、ギターを見せて、と言われていたので、ちょうどよい機会でした。

最初は楽屋で弾いてもらっていたのですが、ホールで弾いてみたいと言うことで、終了コンサートの
準備もあったのですが、ホールで弾いてもらいました。
ディヴァインさんにも弾いてもらって、福田さんにも広いホールでの響きとか聞いてもらいました。

結果、61センチのギターでも、弾いて何の違和感もないし、普通の大きさの楽器を弾いている感覚で
弾ける、と言う感想でした。

モダンスペインギターでない楽器なので、弾き手へのアピールが少ないと思いましたが、
ホールでは、むしろ響きも音量も私の楽器のほうがあるように感じました。

結果、時間が無いと言うことだったのですが、1時間ほど弾いてもらいました。

そして、やはりソフトフロロカーボンの弦は,とても良い感触だったようです。
自分の楽器で試したいということでしたので、直ぐに福田さんのところに送りました。

数日後の演奏会で実際に使いたいと言うことでした。

そして、日が前後しますが、24日のコンサートです。


img122.jpg

私には、面白い演奏会でした。

曲目が使用楽器に合わせてあること。そして、それが年代順になっていることでした。

「福田進一19世紀ギターデビュー」で使われ、その後もレコーディングで使われた
ルネ・ラコートの1840年の楽器で、ソルの曲。

日本で演奏会で使うのはこれが初めて、というイタリアの製作家の作ったトーレスコピーで
タレガとアルベニス。

その後、ディヴァインさんで、バッハ、グラナドス、ブリテンと続きます。

今のギターの傾向なのでしょうか、ソルはグランソロ、タレガはグラン・ホタといった、
技術的に難しい曲が多いように思いました。もちろん、技術があるので、難しい曲を
弾くのは当たり前のことか分かりませんが。

このブログでは、演奏の事は差し置いて、楽器の話をさせていただきます。
いつもの、事ですが、あくまで私の感想です、考えですので。

ラコートは、普通の人が持っているギターのイメージとは、かなり違うので
ロビーでの話を聞いていても、優雅な音とか、渋い音と言う話が聞こえてきました。

トーレスコピーは、私のようにギター以外の楽器を沢山作っている製作家のようで、
福田さんの友達で、データを基に作っているそうです。

私も弾かせてもらいましたが、弾いている本人には、色気があって、艶もある音に聞こえます。
福田さんもそう言ってられました。

でも、私の感想では、響きのよい(私が一番好きな、フェニックスホールの2階席で聞いても)
ホールでも、聞き手にはその色気や、艶は聞こえてこなかったのです。

その後に使われたモダンギターは、レプリカと言ってもかなり、良く出来たトーレスコピーの
楽器のあとでは、低音特に6弦は、ブン、とかボンというだけで、ぼけた低音で、
高音は1弦がかんかん鳴っていた、バランスの悪いモダンギターの典型と言う楽器に聞こえました。

演奏会が終わって、ギター専門店をやっている若い方が、「平山さん、あのモダンギターはどうでしたか?」
と聞かれたので、上に書いたような感想を言いました。「本当に、そうですよね」
との返事。

他のお客さんはどう感じたのでしょうか?

モダンスペインギターに少しでも不満を感じてくれていれば,良いのだけど。
と思いながら、ホールを後にしました。




  1. 2013/09/10(火) 23:52:59|
  2. ギター
  3. | コメント:0

プロフィール

kogakki

Author:kogakki
ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、チェンバロ
と言った、古楽器を仕事として製作して
30年以上になりました。

最近はギターに興味を持っています。
最初に作った楽器は、ギターです。
昭和42年でした。 18歳の時です。

古楽器製作家 平山 照秋 

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