古楽器製作家の思うこと いろいろ

昔の楽器製作家がそうであったように、様々な楽器を製作しています。そうすると、いろんな楽器の事が良く分かってきます。特にモダンギターについて考えていることを書かせていただこうと、思っています。

バッハの楽器その他コメントをいただいて

ギターのブログですが、バッハのリュート曲等に関連して、バッハの曲はどんな楽器で
演奏するのが、良いのか?と言う話が続いています。

いろんな意見もあると思います。
バッハの曲はどんな楽器で弾いても、バッハの音楽は表現できる。
という考えの方も、リュートで弾けば、リュートの魅力を。

ギターで弾けば、ギターでの魅力を。
ピアノで弾けば、グールドさんたちのような魅力が。
オルガンで弾けば、オルガンの。
チェンバロで弾けば、チェンバロの。
リュートチェンバロで弾けば、リュートチェンバロの。

そして、クラヴィコードで弾けばクラヴィコードの魅力があると思います。

特に、クラヴィコードはコメントいただいたように、音の強弱も
ビブラートも何でもできる楽器です。
よく出来た楽器で、上手な人が弾けば素晴らしい楽器です。
(でもなかなか良い楽器も上手な人もいないのが問題ですが)
ただ欠点というのが音が小さいことぐらいでしょうか?
(それも、長所だという人もいますが。)

楽器としての素晴らしさは、DVDにはなっていないのですが、
20年ほど前にレーザーディスクで発売された、フリードリッヒ・グルダの
「ソロフライト」というアルバムのなかで、息子さんのリコさんのために
作曲された曲など、ジャズと言うかロックに近い曲です。クラヴィコード
でしか作れない音楽です。それほど、オールマイティの楽器だと思っています。

でも、オールマイティの楽器だから、すべての曲をクラヴィコードで弾くより、
ギター、リュート、チェンバロのように弦をはじく楽器の音の魅力が、
オルガンのように、音が持続する楽器の魅力が、
ヴァイオリン、フルートなどのような旋律楽器で演奏する魅力もあると思います。

平均律など、特にそう思います。
曲によって、クラヴィコードが合う曲。チェンバロに合う曲。オルガンに合う曲。
というか、バッハさんがそれぞれの楽器をイメージして作ったのではないかと、
思えます。(これは昔よく一緒に仕事をしていた、ものすごく頭の良いチェンバリストの方の
考えでもあるのですが)

ということで、バッハさんの曲はどんな楽器で弾いても良いと思いますし、
いろんな楽器で弾けば、いろんな魅力があるということでどうでしょうか?

私は、この曲はこの楽器で聴きたい、弾きたいというのがあるのが、バッハさんの魅力でしょうか?



またまた、本人を差し置いて、西垣さんの話をさせていただきます。

まず、最初にコメントをいただいたなかに、貴重な音源をアップしていただいて、
ありがとうございました。

1000人の教会で、そんなに上手でないオケでアランフェスをマイク無しというのは、
すごいと思います。
昔、とても小編成のアンサンブルで(そんなに上手でない)ギターと合奏をしたことがありますが、
音を落としてもらうのに苦労しました。

今回、西垣さんと合わされたオケはかなり上手だと思うのですが、プロのトップに近いオケとは違い、
ピアノ、ピアニッシモのコントロールは難しかったと思います。
そのオケと合わせて、マイク無しでもこれだけ聞こえたというのは、とてもすごいことだと思います。

確かに3楽章では、マイクを通した音の輪郭は確認できますが。

ということで、本題の本人を差し置いての話をさせていただきます。
(いつものことですがこれはあくまで、私の考えです)

西垣さんはリュートを誰かに習ってはいないと思います。
西垣さんは、ギターでも弦長とか弦幅が違う楽器、弦のテンションが低くても
高くてもどんな楽器でも弾ける方です。

自分で弾いてられるギターの弦長とか、弦幅をご存知なかったりしました。
そんなことは関心なさそうでしたし。

ということで、リュートのようにテンションの低い楽器でも、弾くことが出来る方ですから
習う必要は無かったと思います。音楽については習うこともないでしょうし。

次回は、ギター中心のブログですが、少しヴァイオリンの製作に関して書かせていただきます。
ギターの製作に関連するような。














  1. 2013/04/24(水) 13:56:24|
  2. ギター
  3. | コメント:2

ストラディバリのヴァイオリン メシアについて

自分の専門外のことについて、聞きかじり程度のことを、著作の中で書いたり、
話したりしている人が多いようです。

これは、私も気をつけなければいけない、と常々思っています。

ヴァイオリンは私も作りますが、モダンヴァイオリンは作りませんので、モダンヴァイオリンについては
門外漢かもしれません。

でも、楽器作りとして、ひとつの楽器として見れば、専門外と言うことでもなさそうなので、
このブログを読んで下さっている皆様が興味を持っていただけそうなので、少し書かせていただきます。


以前、マンドリンの張力のところで、ほとんどの人が自分で調べず、考えもせず人の言っていることを
そのまま、自分の考えとしている、と書かせていただきました。

同じような話です。


ストラッドの作ったヴァイオリンの中で、名器とされている楽器のひとつに、「メシア」
と呼ばれている楽器があります。

このメシアについて、ヴァイオリン関係の本を読むと次のような記述がほとんどです。

(一応、ヴァイオリンの修復では世界的第一人者とされている、日本人の本人はヴァイオリン製作家
ヴァイオリンドクターと言っている方の本「ストラディバリウスの○と嘘」と言う本から、
取らせていただきます。この本については、リュート・ギター奏者の竹内太郎さんがブログで
ぼろくそに書かれています。私もそう思っています)

ストラッドがメシアを完成させたのは,1716年彼が,72歳の時です。
素晴らしい楽器だったので,生涯この至宝を手元においていた。
この父の遺志を受け継いで、二人の息子も売らずにいた。
60年にわたって、ストラディバリ家から持ち出されることは無かった。

そして、この二人の息子がなくなると、ヴァイオリンには興味の無かった末息子の
パオロが処分してしまった。

1775年にフィレンツェに住むサラブエ伯爵に売り渡されたメシアを1827年にストラッドの
最初の作品と4000フランの現金と引き換えにタリシオが手に入れた。(今のお金にして200万円
から400万円くらい)このことが記録に残されていると書かれています。

そして、タリシオが亡くなった時も、メシアだけは手放さず、彼が無くなった一室の引き出しに隠すように
遺されていた。

そして、彼の楽器はヴィオームが買い取りその後いくつかの変遷を経てヒル商会にわたり、
現在はアシュモリアン美術館にガラスケースのなかに,誰にも弾かれる事が無く、収まっているそうです。

ほとんどのヴァイオリン関係の本にはそう書かれています。


これに対して、と言うかこれ以外のメシアの話は ラミレス3世しか書いていません。

ラミレス3世が書いている「メシア」の話です。
(ラミレスが語るギターの世界174p)

ストラディバリと同時代の資産家のハンガリア人が美術品収集の一部としてストラッドに注文した。
当然弾かずに、展示キャビネットに納め,何世紀もの間そこにあった。
19世紀の末までその邸宅と美術品は受け継がれ、最後の相続人が毎年パリで過ごすようになった。
その時ストラッドのヴァイオリンを持っていることを話しに出すと、当然のことながらそのヴァイオリンを
パリに持ってくるよう、約束させられた。
でも数年、彼はヴァイオリンをパリに持ってくることを忘れたので、やって来ることが無いというので、
メシアと名づけた。そしてとうとう、その楽器を持ってくることになったとき、最高の栄誉をもって社交界に
紹介され,偉大な芸術家によって、試奏されたが彼らはなんとなく失望した。
もちろん、パリに持ち込まれたときに、モダンの楽器に改造されています。
その後ヒル商会に渡ったと書かれています。


ラミレスさんが書いている本の中には、首をひねる箇所もあります。
ギターの弦の張力が70キロもあるというところとか。〈訳 の時に換算を間違った
ということが無ければ)

でも、全体に良くいろんなことを調べ、勉強もされているのが分かります。

この2つの文章を読んで皆さんはどう感じられますか?

私はラミレスさんが書いたほうが、真実に近いと思います。

楽器を作っていて,よい楽器が出来たから、それを手元においておくことなど、
私には考えられません。ストラッドさんも素人ではないのだから、次の
楽器は更に良い楽器を作ろうとするでしょう。

もし手元に置いていても、次の楽器か,それ以降何年も楽器を作り続けているのだから,
更によい楽器が出来れば,メシアを売ってもっと良い楽器を手元においていただろうと思うのです。

でも、演奏家にそれも素晴らしい演奏家の手元に渡れば,更に良い楽器になるのは
誰でも知っていることです。

非常に美しい楽器が出来たが,音はそれほどでもなかったので、人前に出すのを
嫌ったので,手元においていたのなら,話は分かります。
その可能性も、完全には否定できないと思います。

でもそれだと、メシアを高く売れないから、素晴らしい楽器なので手元に置いておいた、と言うことに
しておいたのでしょうか?



そして、世界的権威と言われている方が書いた文章にこのような、ことが書かれています。

「3分間の曲を演奏するのに3時間かけて調弦した」とか「リューティストをひとりだかえる費用に
馬3頭分の金がかかった」とか書かれています。

誇張された文章をどっかで読んだのでしょうが、ここまで誇張された話は聞いたことがありません。
リューティニスト一人でなく、リュート1台維持するのに必要な費用は馬一頭分くらい、と言う話は
読んだことがありますが。

そして、極めつけは

そして、貴族達は楽器職人をも抱きこみ,彼らは後に弓で弾く”バロックリュート”と呼ばれる
擦弦楽器を生み出していきます。

と書かれています。

どこで、こんな話を聞いたのか、読んだのか分かりませんが、
このような事を自分の本に書くような人ですから
ヴァイオリンについてもどこまで調べたのだろうと思うのです。

竹内太郎さんがぼろくそに言うのも分かります。

ラミレスさんがヴァイオリンは膨大な資料があるのを疎ましいと感じていた、
と書かれていますが、ヴァイオリン関係の本の多くは楽器商や楽器職人の手によって書かれています。

ヴァイオリンがいかに神秘的な楽器で、現代の科学でも解明できない、現代の楽器では
到底到達できない高みにあるのが、クレモナのオールドヴァイオリンである。

ということを刷り込むための本が多いと思います。
またそのような本に書かれていることを、私にとっては,と言うか楽器にとって、
どうでも良いようなことを、沢山の人が知識として持っているのです。

また、演奏するのも選ばれた人でなければならない、とか普通の人が鳴らしても楽器が鳴らない、
毎日弾いてあげて,4時間くらい弾きこむとやっと鳴ってくるとか。

本で調べても、なかなかそういう資料は出てこないのですが、ストラッドと現代の楽器,安物の楽器と
弾き比べたというようなことは,ネットだと直ぐ出てきます。

これらも、演奏した人、会場の音響,弓,弦など色々問題があるのは分かると思うのですが、
遠鳴りするように調整された、名器と側鳴りするように調整された普通の楽器では、普通の楽器のほうが
良いと感じる人は多いとおもいます。
また、極端な私の考えかもしれませんが、スティール弦を張ってしまえば、クレモナの名器も、
安物の楽器でもどっちもどっちと言う感じを私は持っています。

少し上手な、中学生くらいが弾いているヴァイオリンでよい音だと思うときがあります。
楽器も高い楽器ではありません。

魂柱と駒と弦の関係がうまく行っていると安い楽器でも、調整がうまく行っていない、
名器より良い音がする時もあると思います。

楽器ではないのですが、かなり以前日本酒ブームのようなものがあったころ、
日本各地の銘酒を集めている酒屋さんが利き酒会をやりました。地下にエアコンの入った
ワイナリーを持ったような、酒にはうるさい酒屋さんです。

そこで、米はどこそこの山田錦で精米はどう、酵母はどうとか注釈がつくのですが、
驚いたことに、かなりのお酒がアル添されているのです。

アル添されてしまっていては、どんな酒米を使おうが、酵母がどうであろうが、アルコールの
味になってしまいます。

これは、アル添しているのがわかるかな?と試しているのだろうかと考えたりもしましたが、
そうではなかったようです。

集まったお客さんはどの酒がどうの,こうのと話しをしています。

私は直ぐに帰ってしまいましたが。

同じようなことが、楽器でもあるように思います。
アル添の代わりがスティール弦かも知れません。

いろんな実験をやっているようで、これはネットで仕入れたことなのですが、
コンクールに出た人を集めて、クレモナのオールドの名器、普通の高級品、そして
安物ヴァイオリンを目隠しをして弾いてもらって、気に入った楽器を選んでもらうと
安物が結構選ばれたとか。

これも、どの程度まで信用してよいものか分かりませんが、少しは分かるような気がします。
コンクールと言ってもトップの国際コンクールでもなければ、そんなに上手な人はいないだろうし、
普段使っている楽器に近い楽器のほうが弾きやすいと言うこともあるでしょうし、
楽器の調整もどうなのか気になります。
名器でしっかり弾かなければ鳴らないような楽器だと手に負えないかも知れませんし。

昔,40年ほど前,ギターを始めたころ、私の耳もまだそんなに育っていなかった頃は、
5万円のギターを使っている頃は、5万円以下の楽器の見極めは出来ました。
10万円のギターを使っているときは、10万円以下の楽器は大体分かりました。
30万円のギターを使うようになって、30万円以下の楽器はこれが、5万の楽器、
10万の楽器、20万の楽器というのが分かってきました。
もちろん製作家によって、値段設定が違いますし,同じ製作家でも出来不出来はありますが。
普段安い楽器を使っている人には、100万の楽器か500万の楽器か1000万の楽器か
分かる人は少ないように思います。

ヴァイオリン以外でも、先生が良いと言うから、勧めてくださるから,買ったと言うのなら
話は分かるのですが,その世界で第一人者と言う人がほめると、そのほめられた楽器を、
皆いっせいに買うという,現象は古楽器でもあります。

良くこんな楽器を買うなあ とあきれることも。

これは、ギターにも言えそうですね。
でも、ギターのほうがまだましなような気がします。






  1. 2013/04/19(金) 02:01:40|
  2. ギター
  3. | コメント:3

バッハの楽器について(コメントをいただいて)

バッハの音楽はどんな楽器がふさわしいか?
というような話題になっていますが、肝心の西垣さんを
ほっておいて、外野で話が進んでいるようで、西垣さんも
苦笑いされているかもしれませんね。

ほとんど、好み、趣味の範囲の話をしているように思いますので、
私の思ったことに対して、ご自分のお考えを話されているので、
いろんな考えがあってよいと思います。

西垣さんはバッハ 没後250年の年には、リュート組曲全曲をフランスやイギリスで
沢山 ギターで演奏されています。京都でもCDを出された後、ギターで全曲演奏されました。

昨年もフランスで、ドリニ先生が「今日の演奏会の曲目は決めておいた。リュート組曲全曲」
というような事があったそうです。もちろんギターで。

準備もせず、その場でリュート組曲を全曲弾けるのは西垣さんくらいだと思いますので、
私が聞いているだけでも沢山のギターでのリュート組曲全曲の演奏会をされています。

そこで、新しい試みとして、リュート  使ってみようと考えられたのかもしれません。

これは、本人にお聞きしたほうが良さそうですが。


今から、30年ほど前ですが、朝から晩まで、毎日、仕事をしながらグールドさんのバッハを、
聞いていた時期があります。
そして、カンタータやミサなども。
その時、短調の曲ほどしっかり音を出してくれないと音楽として面白くないな、と思ったのです。

同じ時期、全然ジャンルも違うし、音楽も何もかも違うのですが、ポップスの中島みゆきも良く聞きました。
まだCDが無かったので、カセットに録音して。
同じにしてはいけないかもしれませんが、彼女の悲しく,暗い曲こそしっかり歌い上げてくれなければ、
伝わらないと感じていました。全然関係ないジャンルのことですが、これもあくまで、私の感想です。

実際、チェンバロ,リュートチェンバロで聞く1006a の曲などリュートで聞く曲とは別の音楽のようです。

私の好きな、998 のプレリュードなども、リュートで弾く時バッハさんが楽譜に書いているように、
休符を入れるのは難しいですが、(リュートでバッハさんが入れているような休符を守って弾いている
演奏を私は聞いたことがありません。誰かそういう演奏をしているかもしれませんが)
チェンバロなどで弾くと、この休符がとても意味を持ってきます。
(私は出来るだけ,楽譜に忠実に10弦ギターで弾こうと思っていますが。)
バッハさんがリュートでも,チェンバロでも,リュートチェンバロでも何で弾いても、
良いと思って作曲されていたのだと思います。

西垣さんから聞いた話ですが リュート組曲を19世紀ギターで全曲録音した時、
何故19世紀ギターで弾くのか?との声が聞こえてくるかもしれないと思っていたそうです。
でも、そんな声は上がらず、すんなり受け入れられたようです。

ルネサンスバスリュートでもし録音していたら、いろんな意見が出ていたかもしれませんね。

次回は,気分転換にヴァイオリンの話です。
(ギターにもつながりますので)





  1. 2013/04/18(木) 23:05:30|
  2. ギター
  3. | コメント:1

西垣さんの演奏会について



コメントをいただいて、西垣さんの演奏会について分かりにくい表現をしたようで申し訳ありません。

今回の演奏会を企画された、19世紀ギタークラブの方から
「今回の演奏会では、リュート  使われるようですよ」
と聞いていたので、基本的にギターで演奏されて、
リュートに合う曲をリュートで弾かれるのだと思っていました。

そのように書いたつもりなのですが、全てリュートで弾くと思われた方には申し訳ありません。

また、どの程度リュートで弾く曲があるのか、西垣さんから聞いていないのです。

ということで、ルネサンスリュートでバッハを弾くことについて、書かせていただきます。

これから書かせていただくことはあくまで、私の考えです。西垣さんのお考えではありませんので。
そこの所よろしくお願いします。

最初にリュートを作ってほしいと言われたときに「バッハも弾けるリュートが欲しいが、
バロックリュートでなく、ルネサンスリュートのバスリュートで7コースの楽器」
と指定されました。
私もバロックリュートはあまり弾いていなくて、というか弾けなくて、
あまり関心が無かったのかもしれませんが、開放弦を弾いてニ短調の
響きがする、マイナーな響きのバロックリュートにバッハはあまり合わないという
イメージは持っていましたので。

ダウランドなど、イギリスでは7コースのリュートが用いられていましたた。
7コースを6コースの4度下にすることによって、イタリア、フランスで用いられていた、
9コースの音までカバー出来ます。
9コースの楽器に比べて、右手親指の運動量がかなり少なく出来ます。

そして、最も大切なことは、バスリュートという点です。

ご存知だと思うのですがルネサンス時代、リュートとガンバは同じ調弦でした。
バスリュートはバスガンバと、テナーリュートはテナーガンバと同じです。

そして、リュートはテナーリュートがソロ楽器となり、ガンバはバスガンバがソロ楽器となりました。

バスリュートは、テナーリュートの4度下、1弦から d a e c g d となります。

弦長も長く、減衰も長いです。ギターでよく6弦を D に下げますが、6弦が一音下がっただけで
かなり響きも変わります。イメージとすれば、ギターを全弦一音下げた感じです。

減衰が長いだけでなく、音の密度とか重さも加わります。
これは、バッハを弾くときにはとても有効だと思います。

私もテナーのルネサンスリュートでバッハを弾こうとは思いませんし。

また、ルネサンスの曲を弾くときも、カポタストを使うことによって、伴奏なども
自由が利きます。12月のクリスマスコンサートでは、歌手の方と合わせることが
ありましたので、便利だったようです。

いろんなメリットや、理由は分かるが、バッハなのだからバロックリュートが良いのでは?
と思われる方も多いと思います。

お時間のあるときに、この演奏を聞いていただけますか?

http://www.youtube.com/watch?v=TEucyMfl6HI

リュートチェンバロとか、ラウテンクラビーアとか呼ばれていた、バッハが作らせた
チェンバロにリュートと同じガット弦を張った楽器です。
演奏はサルコジさんです。他にもヒルさんの演奏もユーチューブで聞けます。

特に、18分20秒からの所は、リュートではないかと思うほど、リュートの響き、音に近いです。

バッハさんは、リュートはあまり上手では無かったとか、弾けなかったというのが
通説ですが、私もそうだと思います。

そして、リュートの音がするチェンバロを自分で設計して作らせたと言われています。
バッハさん以外で、リュートチェンバロを作らせたり、弾いたりした人はいないようです。

バッハさんが弾いていた楽器は現存していないので、どんな音だった分かりませんが、
このユーチューブのような音がしていたと思います。

そして、バッハさんは自作の曲をこのリュートチェンバロで弾いていたのでしょう。
実際に聴いた人の感想もあるくらいですから。
そして、遺品目録にも 2台のリュートチェンバロがありますので。

もちろん、ヴァイスさんもお友達でしたから、ヴァイスさんをイメージして、リュートの
響きも考えて作曲したとも思いますが、bwv996 などはリュートチェンバロで弾くために
作曲された、とも考えられます。リュート組曲もそうなのなのかもしれません。

リュートチェンバロで聞くと、リュートで聞く曲とはイメージがかなり違います。

リュートもいいけど、バッハさんの曲は何で聴いてもいいな!と思います。

バッハさんが好きだったと言われる、リュートチェンバロで聞くと、なおさらです。

リュートチェンバロで聞くバッハさんのリュート曲は、どちらかというとリュートのイメージよりは
チェンバロで聞くバッハさんのイメージに近いと思います。

そして、低音はオクターブ上がってしまう箇所が多くなりますが、操作性の良い、音楽の作りやすい
19世紀ギターとか、バスルネサンスリュートで弾くほうが、バッハさんのイメージしていた曲に
近い感じがするとも思ったりします。

イエペスさんのように、バロックリュートを習得して演奏するのも良いと思いますが、
バッハさんの頃には、チェンバロにその座を奪われ、バロック時代を代表する楽器ではなくなっていた
バロックリュートより、ルネサンスを代表する、最も大切な楽器だったルネサンスリュートで、
バッハさんの曲を弾いても良いかな?と思ったりします。

誰か、学者さんが言っていて、私もその考えだったのですが、バッハさんはバロック時代の作曲家ではなく、
それまでの、音楽を集大成させた作曲家だという見方。この見方で行くと、バロック以前の楽器でバッハ
さんの曲を弾いても良さそうだ、と思ったりします。


と、思いつくままに書かせていただきましたが、これはあくまで私の考えです。
西垣さんはもっと、いろんなこと、深いことを考えられていると思います。




  1. 2013/04/18(木) 02:15:37|
  2. ギター
  3. | コメント:3

演奏会その他お知らせ

今回は演奏会,展示会のお知らせです。

もっと早く,お知らせしようと思っていたのですが、
一番期間も長く、来ていただき易い、展示会の案内チラシ等
がなかなか来ず、発送したとの連絡で待っていたのですが、
少し詳しい内容が分かったので,案内させていただきました。


とりあえず、まず迫っている演奏会から。

4月28日(日)午後3時から
アンサンブル・シュシュ 第38回定期演奏会
アジア太平洋トレードセンター(ATC)10F
サンセットホール
大阪市住之江区南港北2-1-10

入場 無料

ルネサンスから近代までの幅広い曲を、古楽器からモダン楽器まで使って演奏されます。
とてもレベルの高い演奏会です。

今回は,私が昨年作ったギターで、チェンバロとギターの曲を演奏されます。
チェンバロと合わせると言うことで、ピッチはバロックピッチなので私の楽器だと
半音下げても充分鳴るので,使ってもらいます。
チェンバロはもちろん私の楽器です。曲はボーッケリーニやポンセです。
詳しいことはアンサンブル・シュシュのHPで。

http://w01.tp1.jp/~a114739658/chouchou/index.html


次は、私も展示する木工家の展示会です。
昨年大阪中之島でも行われましたが、5月17日から26日
主な内容は、下記の酒心館のHPでの案内のとおりです。
昨年出版された、「一生つきあえる木の家具と器展    
~関西の木工家たち~」で紹介された作家の展示会です。

場所は 神戸市東灘区御影塚町1-8-17です。




関西在住の気鋭の木工家21名によるオリジナルデザインの作品展を開催いたします。

経験豊富なベテランから期待の若手まで人気と実力を兼ね備えた作家が一同に会するの

は「関西初」ともいえる展示販売会です。

人気の椅子やテーブル、箪笥をはじめ、お皿、茶道具、スプーンにフォーク、楽器やお

もちゃまで木材の良さを最大限に生かした逸品が登場。

毎日の生活に彩りを与えてくれる“大切に使い続けたい”“そばに置いておきたい”

一生ものの家具と器に出会えます。

26日午前11時半から1時間ほど私の演奏もあります。

展示予定は、ルネサンシスリュート、バロックリュート、モダンギター、10弦ギター
などです。


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

一生つきあえる木の家具と器展    
~関西の木工家たち~

日時:2013年5月17日(金)~26日(日)
   11:00~18:00(最終日は17:00まで)

会場:神戸酒心館ホール 【入場無料】

お問合わせ:078-841-1121(事業部)

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


★各種イベントも開催します

■クラフトワークショップ<先着6名様・事前予約要)
5/18(土)木のブローチ・アクセサリー作り/戸田直美
5/19(日)小さなツリーハウス作り/松島洋一
5/19(日)木のバターナイフ作り/川端健夫
5/25(土)木のジャムヘラ作り/山極博史
5/26(日)木のスプーン作り/難波行秀

※各回とも13時より約2時間の予定です。
参加費は2,000円。ご予約は、078-841-1121 事業部まで。

古楽器のミニコンサート/平山照秋
5/26(日) 11:30~ 【無料】


■椅子や盆の制作実演/徳永順男(椅子)・森口信一(盆)
5/17(金)・26(日) 随時実演【無料】

■西川栄明(「一生つきあえる木の家具と器」著者)と木工家とのトークイベント
5/18(土) 15:00~ 【無料】


<出展木工家>
・徳永順男(家具)・山極博史(家具・クラフト)・窪田謙二(家具)・宇納正幸(家具)・西良顕行(家具)・岡田光司(家具)・建田良策(漆工芸)・朝倉亨、玲奈(家具)・北島庸行(家具)・永野智士(家具)・戸田直美(家具・クラフト)・桧皮奉庸(家具)・森口信一(漆工芸)・宮本貞治(漆工芸)・富井貴志(器・漆工芸)・佃眞吾(漆工芸)
・新宮州三(漆工芸)・川端健夫(家具・クラフト)・難波行秀(家具・クラフト)・平山照秋(古楽器)・松島洋一(おもちゃ)

<主催>㈱神戸酒心館 
<後援>㈱誠文堂新光社
<企画協力>西川栄明・木と工房家具Jクオリア・ねばや

詳しくは 酒心館のHPで。

http://blog.shushinkan.co.jp/2013/05/post_841.html




次に演奏会の日程から行かせていただくと、

5月18日(土)午後6時開演の西垣正信さんの
演奏会です。場所は 京都文化博物館 入場料 一般 3000円です。

年末のクリスマスコンサート以外なかなか日本で聞くことの出来ない
西垣さんの演奏会です。
そして、曲目が バッハの リュート組曲全曲です。

以前もリュート組曲の演奏会が,CD発売の後ありましたが、
その時はCDで使った、パノルモでしたが、今回は私の作ったリュート
も演奏されると聞いています。

バッハのリュート曲を演奏するためには、ルネサンスのバスリュートが
最も適していると考えられて、20年ほど前に作った楽器です。
テナーの一般的なルネサンスリュートよりバッハの音楽には合っていると思います。


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次は 5月19日に京都産業大学 神山ホール 大ホールで 午後3時開演で
初期イタリアバロックの演奏会です。入場無料です。

35年ほど前に作った私のイタリアンチェンバロを使います。

関東にしばらく在ったのですが、子育てに忙しく壁に長年立てかけていたのですが、
25年を過ぎた頃からものすごく良い音で、また大きい音で鳴って来ました。

弾いていなくても、ガンバとかチェンバロは私の作った楽器だと、25年経てば鳴ってくるようです。
2メーター10センチほどある楽器ですが、重さは12キロほどと一般的なチェンバロの5分の一くらい
の軽い楽器です。部材の当然薄く作っています。もちろん、故障、変形などは全然ありません。


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同じメンバーの演奏会が6月2日にも大阪であります。


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こちらは、入場料1000円です。

その他、5月13日は京都芸大で私の作ったフォルテピアノで公開レッスンがあるようです。
フォルテピアノに興味のある方はご連絡下さい。

次回は、少しだけヴァイオリンの話です。 
  1. 2013/04/14(日) 19:37:38|
  2. ギター
  3. | コメント:2

いただいたコメントについて

沢山の、深くて熱心なコメントをいただいて、ありがとうございます。

皆さんのコメントを読ませていただいて、最近見たユーチューブの話と
関連付けて考えてしまいます。

それは、ダニエル・ピンクの「やる気に関する驚きの科学」
日本語タイトルは、あまり感心しませんが、答えの出やすい
比較的、機械的な仕事だと、報酬が多いほど機能するが、
答えの出にくいと言うか、答えが無いような仕事は、報酬が多いほど、
機能しないと言うようなこと、を話してられます。

いろんな見方や、考えがあると思いますが、なるほどと思うこともあります。

http://www.youtube.com/watch?v=YcJJYQB0mY0

ここで言われている、認知能力の必要な,答えの出ない問題に関して
自主性,成長,目的が必要とされていると言うことが、
このブログを読んで下さって、コメントをいただくような方が
実践されているように思いました。

好きだから、
それが重要だから、
何かの目的のため、

考えてくださったり,文章にして送ってくださったりしていると思います。

それは、私も同じです。

プロですから,売れる楽器を作る,多くの人に受け入れられる楽器を
作るほうが良いかもしれません。

また、多くのプロの製作家はそう思って楽器を作ってられるかも知れません。
(本音は?)

ブーシェさんが,ギター作りはアマチュアでなければいけないと言っておられるのも、
報酬を求めて、楽器作りを始めると、答えの出ないギター作りと言う問題は、
その時点で、問題解決は難しくなる、と考えられたのかもしれません。



私のギターを作るきっかけとなった考えは、簡単に言ってしまえば

「音楽的な表現ができるギターを作りたい。」

「自分が弾きたいと思う楽器を作りたい」

と言うことです。



この間、20年ぶりにギターを弾きたいので,作って欲しいという方が、
このブログにコメントをいただいている方と一緒に来られました。

とても長年ギターを弾いていないとは思えない素晴らしい演奏でした。
最近の若いプロに聞かせたいと思ったほどの、素晴らしい演奏です。

そこで、「平山さんて、年中休みなしで、仕事をされているんですね」
と言われたので、「好きなことをやっているのだけなので、年中、朝から晩まで、
うっかりすると寝ている時も、良い楽器を作る事を考えています。そして、
少しでも自分が作りたい方向の楽器が作れるように、時間を使っているだけです」
と、このようなことを答えました。

これが、ピンクさんの話の要点と合っていると思うのです。


好きなことをやっている。そして、良い楽器を作りたいと言う目的。
それが、大切なこと,重要なことだと思っている。

またこれは、皆さんも同じだと思うのです。

答えの出ない問題を考えている。
そして、報酬も求めていない。

ネットで仕入れたようなことで、考えをめぐらしてもいけないかもしれませんが、
私のブログもネットでの情報ですし、きっかけくらいにしても良いと考えます。

ということで、CABOTIN さんのコメントについて、どうも誤解されそうなので、
私の思っていることを少しだけ書かせていただきます。
ご本人から,的が外れている、と指摘されるかもしれませんが。

CABOTINさんは、沢山の,それこそ山のようにギターを見てこられて、弾いてこられて、
良いギターも沢山、持ってられました。もちろん、今も、良い楽器を持ってられます。

どのギターも私達の基準から行くと、とんでもなく素晴らしい楽器です。

そのような楽器ですから,ウルフ,ヴォルフも楽器の個性。
面白いと言われていると思うのです。

音の立ち上がりも,音の密度も、音の延びも,ただ延びていくだけでなく、
音が広がっていくような延びを。もちろん、和音の分離とか低音高音のバランスとかも。

かなり昔ですが、関西のベテランのギター製作家、(と言えば誰のことか、分かってしまうと
思うのですが)が「CABOTINさんにギターを見てもらうのが,とても怖い。
全部の音域に渡って,全部の音を,一音,一音チェックされるから、
楽器の全てが分かってしまう。」

という話をされていました。

ウルフもいろんな種類があると思うのですが、以前にも書かせていただきましたが、
ギターのウルフは本当にかわいいものです。
個性とか,魅力に繋がるものもあると思います。

擦弦楽器だと、ウルフのある音を弾くと、爆発的に鳴って、コントロールが出来ないとか、
逆に全然鳴らないので、音を出すのに苦労するとか、楽器の固体に共鳴して、その音だけ
異質な音がするとか。かなり良い楽器でも、ウルフで苦労することがあります。

ギターの場合,ウルフと言うより、特定の音が出にくい、音が引っ込んでいるので、
使い勝手が悪い楽器を良く見かけます。この方が問題になりそうです。

こんなのは、論外でしょうが。

後、ヴァイオリンについてよく書かれていますが、私もバロックヴァイオリン以外は
あまり興味がなく、ただ,長いこと楽器を作っていますので、いろんな知識や
話を知っているだけなので、コメントの返事と言うか、コメントに対する私の考え
を書かせていただくことは、あまり出来ないと思います。

と言いながら、今の日本のヴァイオリン製作事情です。

あくまで私の,考えと言うか知っている範囲だけで書かせていただきます。
本当に、私の考えていることだけを,書かせていただきます。
そこのところ、誤解が無いようにお願いします。

と念を押させていただいて、

日本でプロが使えるようなヴァイオリンを作っている人は、数人ではないかと思っています。
というか、そもそも、日本にヴァイリン製作家は数人しかいないと思っています。

ギターでは何十人、それこそ百人とは行かないまでも、沢山プロがいらっしゃいます。

それに比べて,ヴァイオリンは修理,調整の仕事が多いので、ほとんど修理や調整で
生計を立てておられて、年に数本値段が高い楽器を作られている人が多いように思います。

オケでも、日本人製作家の楽器を使っている人は少ないと思うのですが,その人たちの
楽器は周りから「何でそんな楽器を使っているの?何か使わないといけない事情でもあるの?」
と言われているのを聞いた事があります。

数少ない,ヴァイオリン製作家の方とも、お付き合いがありますが、彼の楽器でも
日本人製作家の作るギターの、上のクラスの値段です。

彼は,自分の楽器の価値を分かってられると思うのです。
もちろん、プロが使う楽器を作ってられます。

同じ楽器製作家として、書くのが難しいことなので、良く分からないことを
書いている感じがします。すみません。

そして、最後にもう一度、これはあくまで私の思っていることなので。と言うことで。


これもかなり古い話になりますが、新作ばかりを扱っている世界的にも珍しい会社が、
東京にあります。

この会社の創業のひとつの目的は、同じ時代に生きている,外国の製作家の楽器を日本に入れて、
日本の製作家に、昔の名器でなくて、現在でもこんな素晴らしい楽器を作っている製作家がいるのだ。
ということを知ってもらって、日本の楽器のレベルを上げたいという目的もあったと聞いています。

ですから、よく日本のヴァイオリン製作家と言う人が,会社に来るそうです。
そして、ヴァイオリンの話や,自分の楽器は素晴らしい,と言う話しをされるそうです。
でも、その会社の実質的な代表者は「では、あなたの作った楽器を売ってください。
いつでも、いくらでも買いますから」と言っても誰も,楽器を持ってきた人はいない。
誰も楽器を売ってくれた人はいなかったそうです。

古い話なので、今だと違うかもしれませんが。

ですから、私はヴァイオリンは作っていませんでしたが、一緒にドイツの楽器の材料屋さん、
材木屋さんに行ってくれて、良い材料を手に入れることが出来ました。

ヴァイオリンでなくても,楽器を作っている人の応援がしたいということで。

これも、昔の話です。

ヴァイオリンについて、書くのは色々難しいことが多いのですが、
と書いておいて、ストラディバリの作った、メシアについては,
少しだけ書かせていただこうと思っています。

次回になりますが。













 




  1. 2013/04/12(金) 00:55:38|
  2. ギター
  3. | コメント:1

名器について(ギター)

名器についていろんなコメントをいただいていますが、同じ楽器を弾かれても、
弾く人によって、感想が違うみたいに、同じような楽器を名器と認識されている方でも、
言葉の表現によって、違う楽器のイメージになったりすると思います。

ネットで知り合った方の先生ということで、ブログを読ませていただいた、ギタリストの
田中順子さんのギターに関するお考えが、演奏している立場からの名器として、確かに
そうだと思うことを、書かれていらっしゃいます。(田中順子さんのブログより、引用させていただきます)




良い楽器とは?


音が良く鳴って、音の分離が良く、反応が良くて、1弦から6弦までのバランスが良い楽器

良く鳴る=大きい音が出る  ではありません
良く鳴るとは良く通る音がすること
ピアノ(弱い音)でもホールの一番後ろまでちゃんと通る楽器
そんな楽器は不思議と自分で演奏している時はそんなに大きな音には感じない


音の分離とは、和音などを弾いた時、その構成音が全てがはっきりと聞こえる楽器
そしてそういう楽器は反応も良い
反応が良いとは演奏者が思う弱く弾きたい、強く弾きたい、かたい音で弾きたい、柔らかい音で弾きたい等の要求にすぐ反応してくれる楽器

逆に言うとミスも良くわかるし、ウルフトーン(楽器の特色でどうしても出にくい音がある)も出やすいし、安定した演奏が出来ない人には不安定な演奏になってしまう

という風に扱いが難しくなるんですね

それを一般的には「弾きにくい」と言ったりしますが、楽器の特色を日ごろの練習によって熟知していくと、それによって演奏が変化に富み立体感のある演奏になっていくのです←ちょっと難しいかしら?


あと最後に音のバランスですが、低音がしっかり芯があり(難しいな、ぼやけてないというかガツンとしているというか)音量があること、中音もしっかりしていて、高音が芯がありながらも硬すぎない木質感のある柔らかい音<で控え目な音量


ーーーーーーーーーーーーー‐ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


言葉の表現の違いはあるかもしれませんが、まさにそのとおりだと思います。(要約させていただこうとも
考えたのですが、そうするとこちらの主観も入りそうなので、そのまま引用させていただきました)

大きな音でなく、通る音と書いてられるのは、楽器作りとして共感できることです。

これは、最近のピアニストでもよく感じることですが、とにかく大きな音を(側鳴りする音)
を出して、沢山の音を出さないといけないらしく、近くて聞いていると脅迫的な、いたたまれないほどの
音量で弾いているピアニストが多いです。ヴァイオリンでのそう感じますが。

cabotinさんの御尽力で実現された、フー・ツォン先生の3年ほど前のような音は、もう生で
聞くことは出来ないということを、よく感じます。
20世紀の巨匠の演奏は聞けないですものね。

ギターはピアノほどの音量は出ないので、大音量で弾かれる心配はないのですが、
通る音を作ろうとしてられる演奏家は製作家にとって、とてもありがたいことです。

ということで、コメントをいただいている、名器の条件のようなことから。

山人さんが書かれていたことで、弾く場所によって鋭敏に音が変わること、発音が早く3弦が詰まった
音にならない、ウルフが突出しないこと、全てのポジションで明瞭に発音、和音の分離が良いこと、
倍音は極力抑えられていること、などは名器の条件というより、楽器として当たり前の事だと、
思っています。また、私が作る楽器はこれが最低条件だとして作っています。

逆にこの条件が整っていない、モダンスペインギターが沢山あるというのは事実だと思います。
有名な楽器でも、この条件を、最低限の条件を満たしていない楽器も沢山見てきました。

3弦が鳴らない、特にハイポジションが鳴らない、音がぼけている楽器。
フランスの有名な楽器でもあったのですが、何処で、誰が弾いてもほとんど音が変わらない楽器。
特定の音が、ウルフならまだ良いのですが、落ち込んで鳴らない楽器。
和音の分離が悪く、というか音に芯がないので和音を弾くと、何の和音か分からない楽器。
倍音ばかりで、特に6弦が鳴っていない。倍音で音量はあるのですが、本来の基音が出ていないので、
6弦の音が入る和音を弾くと,転回形のような和音になってしまう楽器。
結果、バランスの悪い楽器。1弦ばかりが鳴っている楽器。
でも、モダンギターはほとんどのギターがそうだと思うのですが。


でも、そのことが、私が、私の設計でギターを作るきっかけになったとも思います。
音楽的な表現が出来る楽器を作ろうと。

でも、ハカランダや、フレンチポリッシュ(一例として挙げられたのだと思いますが)は
製作家の目指すものが違えば、ハカランダでなくても、出したい、作りたい楽器に
近づくのなら、ローズでもメープルでも良いと思います。(私はそうですが)
音の輪郭がはっきりしない、基音のはっきりしない楽器を作っている人だと
ハカランダの使用は、適切かもしれません。


そして、演奏のこと、特に右手の指のスピードのことも書いていただきました。
確かにタッチの悪い演奏では、名器でも鈍器でも関係ないかもしれませんが、
程度問題ということも感じます。

反応の悪い、楽器だといくら良いタッチでも、速いスピードで弾いても苦しいものがあります。
(そんなことは、承知の上で書かれていると思うのですが)
演奏は難しい曲を弾いたり、早いぱっセージを弾くことは、プロの方のようにはいきませんが、
タッチとか音の出し方は、ある程度分かっているつもりです。
分かっていなければ、自分の作った楽器の評価は出来ませんから。
その上で、とにかく、立ち上がりの悪い、ぼけた倍音だらけの楽器では、タッチ以前のようにも
思います。


ギターではありませんが、ヴィオラ・ダ・ガンバの演奏家で、長年立ち上がりの悪い楽器を
使っていた人がいます。
私が調整してあげて、立ち上がりは良くなったのですが、それでも、不自然なくらい
音を出すときに、力が入って立ち上がりが良くないのです。
立ち上がりの悪い楽器はギターでも、演奏法まで変えるように思います。

タッチのスピードについては、チェンバロで一番感じます。
力を抜いて、速いスピードで鍵盤を弾くと、そして音が出ればすぐに
更に力を抜くと、最も良い音がします。
これはピアノでの同じように思います。

そして、これは例えにならないかもしれませんが、居合いでござを切るとき、
(と言っても、私たちの流派以外では、3日も1週間も水につけた、大根のように
柔らかいござを切っているので、よけい例えにならないかもしれません)
スピードが一番大切です。
普通硬いござを切るので、(ござを1枚巻いたもので人間の胴と同じ硬さだと言われています)
どうしても力が入ります。力が入ると、切れないのです。
指導させていただく時にも、切れなくて良いから、力を抜いてスピードだけ保って切ってもらうと、
本人がびっくりするほど、楽に簡単に切れます。
でも、切れるとさらに上手に切ろうと、力が入ってしまうのでしばらくは切れなくなると
言うことがよくありました。
分かっていても、力を抜くと言うのは難しいことです。

その点、私たちの宗家は素晴らしい方です。
一見ゆっくり刀を振っているように、見えるのですがござに当たった瞬間のスピード
はものすごく早いのです。
一度、新聞社の取材で高級なカメラで撮影をしてもらったときも、シャッタースピードを上げても
刀を捕らえきれないのです。
そして、切っている瞬間の写真を見ると、火花が出ているのです。硬いござですから。

居合いの話を出したのは、音だとイメージとかあると思うのですが、居合いでござを切ると
スピードがないと切れない、力が入ると切れない、と結果がはっきりしているので書かせていただきました。


最後に、いつも書かせていただいていますが、書かせていただいたことは、あくまで
私がそうだと思っていることを書かせていただいていますので、その点は
よろしくお願いします。









  1. 2013/04/07(日) 10:38:33|
  2. ギター
  3. | コメント:6

演奏会を聞いて

沢山コメントいただいていますが、すこしずつコメントいただいたことについて書かせていただきます。


ということで、最初は演奏会の感想です。

うーーん、と考え込んだ演奏会がこの間ありました。
ルネサンスギター,19世紀ギター(ロマンティックギター)モダンギターを使った演奏会があったのです。
昔から良く知っている演奏家なので、聞きに行かせていただきました。
曲も、良く弾かれる曲でなく、自分で編曲したものや、あまり演奏されない曲も沢山ありましたので。

そこで、うーーーーん、となったのがモダンギターです。
昨年も同じ会場で同じ演奏家の演奏を聞きました。

その時は,モダン楽器は東京から何台かギターを運ぶので、適当なモダンギターを持ってきた、
と思い込んでいました。

でも、聞いてみると昨年も,今年も同じ楽器だったそうです。

その楽器とは,私が最も素晴らしいモダン楽器と思っている、フリアン・ゴメス・ラミレス
の名器です。

一般のお家で弾かせていただいた時は、感激した楽器です。
そして、古いピアノの響板を使った数少ないギターの内の一台かな?と思った楽器です。

それが、オリジナルのロマンティックギターを聞いた後では、音が平板で、どの和音を弾いても
色が変わらず、非常に表現の幅が狭いのです。また、音も沈んでいるのです。

(また、ここで念を押させていただきますが、あくまで私が聞いた感想ですので、
でも、会場で聞いていた、プロのギタリストの方で、ロマンティックギターを弾いている
演奏家は同じ感想でしたが)

私の好きなイダ・プレスティが弾いていた、(CDでその音も聞けますが)あの、ゴメス・ラミレスが
こんな音だったのかと,驚くとともに、うーーーんとうなってしまったのです。

会場は絵を展示するギャラリーですので、非常に良く響く天井の高い、30人ほどの小さな会場です。

演奏会が終わって、私の楽器を使いたいという,ギタリストの方も来ていたので、私のギターも
同じ会場で音を出しました。(チェンバロとボッケリーニやポンセの曲を合わせるので、バロックピッチ
でも音が出る楽器ということで,私の楽器を使いたいとのことでしたので)
そして、そこでほっとしました。

音の出方,明るさ,和音の分離の良さなど、ロマンティックギターと同じだったのです。
もちろん低音はもっと広がる低音でした。



そこで、良い楽器を探されている方のコメントがありましたが、モダンスペインギターでは
求めても,そこに無いものを求められているのではないかと思ったのです。

音楽的に弾こうと思えば、名器と呼ばれるギターでも、モダンスペインギターでは無理なのでは
ないかと思ったのです。これも、もちろん私の考え、思いです。

音楽的に弾こうと思えば、時代,国,製作家が違えば、いろんな楽器があるロマンティックギター
(19世紀ギター)同じ製作家でも、さまざまな楽器がありますので、この中から選ぶしかないかな?
と、思ったりします。

CABOTINさんのおかげで、たくさんロマンティックギターを見せていただきました。
同じ,ラコートでもモダンギターのような鳴りのギターもありましたし、今CABOTINさんが
使ってられる、パノルモのように、10年前に作られたのではないかと思うほど、
若々しい音がする、元気な楽器もありますし。

それか、私の宣伝はしたくは無いのですが、ロマンティックギターの延長線上の楽器
を探すとか。と言っても、この方向でギターを作っている人は私以外ではいなさそうですが。

ロマンティックギターを作っていて,モダンギターを作っている友人達のギターも
モダン楽器だけを作っている人の楽器に比べると、良い楽器だと思いますが、
はっきり、ロマンティックギターにつながるモダンギターを作りたいと思っては、
作ってられないように感じますし。



それと、ブログメールでいただいたコメントですが、ギターの横板の厚みと言うか、
幅についてです。

かなり以前面白い楽器を見ました。ルイス・パノルモさんの甥の楽器だと思うのですが、
ほぼルイス・パノルモさんの楽器と同じ,大きさ(表面積)で同の厚みと言うか,幅が広い楽器を
見ました。
この楽器は、楽器の大きさは変えずに、胴を厚くして深みのある音を作ろうとしたのだと思うのですが、
胴に音がこもって,前に音が出ていませんでした。

表板からほとんどの音が出ているはずなのですが、サウンドホールから出ている音も大切な要素なのだな、
と思いました。(この楽器特有の問題だったかもしれませんし、胴の厚みだけの問題では
無いかもしれませんが)


逆に、モダンギターですが、何台か,見た楽器の中にあったのですが、ワイス・ガーバーの楽器に
胴の薄い楽器がありました。この楽器は音が良く前に出ていたように思います。



話は変わりますが、同じ時期だったと思います、スタイルと言うか、
胴の形はパノルモさんの形で、表板の面積を大きくした楽器を見ました。
これもパノルモさんの子孫の楽器だと思うのですが、
そんなに大きくはしていなかったのですが、音はロマンティックギターの音ではなく、
完全にモダンのようなぼけた音でした。

この楽器を見て、楽器を大きくしてしまうと,パノルモさんの流れを受け継ぐ人であっても、
ロマンティックギターのような締まった音は出ないのだな、と思ったのです。
もう、15年ほど前でしょうか。それから、ずっと考えていたわけはないのですが、
10年以上、考えていて4年ほど前から、なんとか出来るのではないかと思い、モダンギターを
作り始めたのです。



話は戻って、胴の厚みの話です。

擦弦楽器で魂柱も立っているので、比べるのは違うかもしれませんが、バロックヴァイリンと
トレブルガンバはほぼ同じ音域で、同じような大きさです。(パルドッシュというトレブルガンバ
より4度上の楽器のほうが近いかもしれませんが)
ヴァイオリンは胴の厚みが、3センチと決まっていて、ガンバは色々あるのですが、7センチくらいです。

ガンバとヴァイオリンを比べると,やはりヴァイオリンは音が前に良く出ますが、ガンバは響きが
豊かです。

私の楽器も横幅は、92ミリくらいですが、これで裏板からの音の還りや、位相の問題、響き、そして
弾きやすさ(構えやすさ?、小さくても胴の幅があると楽器を構えるときに,私などは少し無理が
あります。モダンスペインギターを弾いていて、楽器の大きさもあるのですが、どうも厚みも
私には厚すぎるように感じています)も問題が無いので、この厚みで当分は行こうと考えています。

あと、横板に演奏家に音が聞こえやすくする目的だと思うのですが、穴が開いている楽器もありますが
少しは,演奏するほうに音がするように思います。でも、美的な問題から、
私はやろうとは思っていませんが。


ヴァイオリンについては,バロックヴァイオリンは作ったり、修理をしたりしていますが、
このブログでは、簡単に書かせていただいたほうが良さそうですね。
ヴァイオリンに関しては、ギター以上にいろんな考えや楽器がありますので。

でも実際,大昔ですが、東京方面の楽器屋さんが、ノーラベルの100万程度の楽器を見て、
「この楽器だったら、ラベルを貼ったら500万で売れる」と言って買っていったことも、
ありましたし。

ヴァイオリンについてはこの程度で終わりにしたいと思うのですが。

ギターの名器,名器の条件などについてはまた次回以降で書かせていただこうと思います。











  1. 2013/04/07(日) 00:34:19|
  2. ギター
  3. | コメント:1

プロフィール

kogakki

Author:kogakki
ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、チェンバロ
と言った、古楽器を仕事として製作して
30年以上になりました。

最近はギターに興味を持っています。
最初に作った楽器は、ギターです。
昭和42年でした。 18歳の時です。

古楽器製作家 平山 照秋 

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