古楽器製作家の思うこと いろいろ

昔の楽器製作家がそうであったように、様々な楽器を製作しています。そうすると、いろんな楽器の事が良く分かってきます。特にモダンギターについて考えていることを書かせていただこうと、思っています。

楽器を選ぶということ その他

楽器を選ぶということは難しいことだと思います。

楽器をどのように使うかにも、よりますし。

このブログでは、演奏のプロで、常に大きな会場で演奏する必要のあるレベルの人の話は、
ここでは関係ないとして、楽しみで弾いてられる、上手なアマチュアの方を中心に考えるのが、
良いかな?と思ったりもしますが、どうでしょうか?

プロの方は、自分で自分の楽器は選ばれるでしょうし、もし選んだ楽器が弾いているうちに
気に入らなくなっても、買い換えたり、新しく買うことも出来るでしょうから。

良い楽器の定義は、人によっても違うでしょうし、どの点を大事にしているかも違うと、
思いますが、音の立ち上がりが良く、音量のバランスも良く、ウルフなどはなるべく小さくて、
和音を弾いても、それぞれの音が別々に聞こえる、分離のよい楽器、そして、しっかり密度のある音
、延達性のある楽器など。

でも、これらは結局弾いている人が、判断してしまうと思うのですが、楽器に精通した先生でも、
先輩でも、プロの演奏家でも、良いのですが、この人と思える人と一緒に行って、楽器を弾いてもらって
前で、その音を聞くと言うのも、客観的に楽器が判断出来て良いと思います。

もちろん、タッチも違うので、買う本人の音とは違うと思うのですが、買い換えると言うことは、
良い楽器に買い換えるという場合がほとんどでしょうから、それまでの楽器より、音楽の幅が
広がると言うか、表現の幅が広がる楽器になると思うのです。

言い換えると、いろんな表現が出来る楽器が良い楽器だと思うのですが、その場合それまで使っていた
楽器では、気にならなかったタッチの違いとか、少しの力の入れ加減で、音が変わるような楽器になると
思うのです。ですから、楽器を持ち替えると、一時的に今まで弾けた曲が弾けなくなったり、
楽器をコントロールできなくなることもあります。

その時期を過ぎれば、タッチも変わって、表現の幅も広がって来る場合が多いようです。

ですから、以前の楽器とは違うタッチ、更に良いタッチになることを想定して、先生、先輩や
プロの方の音を聞かせていただいて、決めると言うのも、ひとつの方法だと思います。

タッチだけでなく、良い楽器を手にすると音楽も変わってきますし。
と言うか、変わらなければ、買い換えた意味が無いように思います。

でも、やはりこれからその楽器を演奏するのは、買う方ですから、買う方が良いと思う楽器を
選ぶことになることが多いと思います。ですから、信頼の置ける、この人!と言う方と
行くことをお勧めするのです。

ヴァイオリンなどで、オリジナルの高い楽器を買う人も、結局弾く人が、音の立ち上がりや、
早いパッセージを弾いても、音が濁らないとか、音の分離や、音の持っている魅力などで
選んでいると思います。そのために高いお金を出していると思います。
(レベルが違うかもしれませんが)

ヴァイオリンでは、オールドの楽器が沢山使われていて、億を越えるような楽器もありますが、
500万とか1000万とか普通に使っている楽器でもそのような値段がしています。

でも、ヴァイオリンの場合はオールドだと、10年20年使っても、値打ちが下がることは無く、
1000万で買った楽器が、10年使っていて、次に売る場合は2000万と言うこともありうるのです。
(1000万で買った楽器が実は100万の値打ちしかなかった、と言う場合もありますが、)

ですから、信頼の置ける楽器屋さんで、先生に楽器を選んでもらうと言うことが多いようです。

ギターだと、ヴァイオリンのように値段と実質の値打ちとかが、違うことは少ないと思うのですが、
楽器ですので、同じ製作家の楽器でも、出来不出来はあります。

これは、名器と呼ばれる楽器でもあると思います。

もちろん、このブログを読んでくださっている皆様は、
先入観やブランドで楽器を選んでいない人ばかりだと思っています。

あと、今の若いギタリストが置かれている立場から行くと、コンクールで優勝でもしないといけないので
難しい曲、とりあえず大きな音の楽器を選ぶということになりそうです。

昔だと、LPでも出してもらうか演奏会を聞きに行かないと、いろんな方の演奏は聞けませんでしたが、
今は、ネット社会で 特にユーチューブは使い方によっては良い武器だと思います。

実際に会場に行って、直接聞かないと分からないと言う方も居られるでしょうが、
売られている、商品化されたDVD でも無い限り、編集も修正もしていませんから、
音響の悪い会場で、また聞く場所も良くないところで聞くよりは、演奏は判断できると思います。

再生回数は少ないけれど、とても良い演奏があったりします。
でも、ほとんど一回聞けば充分と言う演奏が多いと言うのも、私の感想です。

本当に、良い演奏をしていれば、分かる人も増えてくるでしょうし、話題にもなってくると思います。

でも、ユーチューブの演奏でも、演奏の良し悪しを自分で判断できる人は少ないようですね。

特にギターは、ギター音楽になっていたり、器楽、和声楽器としての演奏が多いようです。

それと、左手がフレットの近くを押さえるのは当たり前ということを、コメントで書いてくださった
方もいらっしゃいますが、多くの映像ではそうでもないようです。

セゴビアさん、ジョンさん、ブリームさん、イエペスさんなどの映像も結構残っているのに、
と思います。

この、一因は弦長にあるようにも思います。

指が届かないから、押さえられていないという映像が結構多いように思います。

そんなに届かないなら、もっと簡単に曲を弾けばよいのに、と思ったり。

ということで、弦長61センチくらいで音楽を表現できるような楽器を早く作らないといけない、
と思っています。

あと、ギュンター・ヘルビッヒさんのことですが、彼はガンバしか作りませんでしたから、
一般的な知名度は全然ありません。彼が、ヴァイオリンやギターを作っていれば
もっと名前が知られていたと思います。


今回は、特に取り留めの無い話になったようです。
コメントを読ませていただいて次のブログではこんなことを書こうと、
書き始めるのですが、書いているうちに違う方向に走ったりするようです。

ブログですのでそのほうが面白いことになるかもしれません。
あっちに行ったり、こっちに行ったりするかもしれませんが、
よろしくお願いします。









  1. 2013/03/28(木) 00:50:32|
  2. ギター
  3. | コメント:6

コメントと新しいアイデア

ここのところ、沢山の熱心なコメントをいただいてありがとうございます。

ブログを書く回数も増えましたが、忙しくて、どうしてもコメントの返事とか、
出来ない場合もあると思いますので、そんな場合はよろしくお願いします。

同じ価値観のものばかり集まっていると、あまり進歩が無いとも思います。
そして、皆さんそれぞれ、素晴らしい価値観をお持ちの方ばかりだと思っていますが、
違う価値観や、違う意見の方のコメントは置いておいて、ご自分の意見、お考えを
聞かせていただくと、ありがたいと思っています。

短い文章で、真意が伝わらないこともありますし。

と言うことで、私の文章も伝わりにくい、表現もありますが、
これも、よろしくお願いします。

以前、左手のことを書かせていただきましたが、トリル、スラーと言った難しいテクニックでなく、
単純に左手で、正しく押さえることが出来ていない、ギタリストが目立つようになったな、
と言う感想を書いたつもりでした。

プロやプロでなくても、なるべく難しい曲を弾いたほうが、上手に見えそうと、
弾くのにいっぱいいっぱいの方がいるようです。
左手も右手もとりあえず、音を出すのに精一杯と言う、
演奏は聞きたくないなと思っています。

ガンバはソロ楽器がバスガンバなので、バスガンバから始める人がほとんどです。
そして、バスガンバはテンションがきつくて、フレットの近くでなくても、
正しい位置でなくても、一応音は出ます。
その癖がついているガンバ奏者は、トレブルガンバ(バスガンバの1オクターブ上で、弦長も半分です)
を弾くと、音程がほとんどとれず、悲惨な演奏になる場合が多いです。

バスガンバのときに、正しい左手が身についている、演奏家はトレブルを弾いても、音程も正確で
音も綺麗です。

ギターはこんな機会が無いので、大体のところで押さえていても、長年通用するのでしょう。
でも本来の音程、音は出ていないのですが。

このことに、繋がりますが、コンクールで大きな音を要求された、講評の方の話も分かる気がします。

コンクールだと、体操やフィギアスケートのように、技術点が高い曲を弾いたほうが、得だとばかりに、
難しい曲を弾いて、その楽器のもっている音の全部を出し切っていない、演奏もあるように思います。

レベルの高いコンクールではそんなことは無いかもしれませんが、しっかり弾いて、伝えたいことが
伝わるような演奏をして欲しいという、気持ちもあったかもしれませんね。と考えたりします。

リュートは通る音ですが、エネルギーは小さいと思います。
でも、なるべく聞いている方には、伝えたいことが伝わるような音で弾きたいとは、
思っているのですが。

リュートやギターに比べて、はるかに小さな音のクラヴィコードが楽器として、存在してきた
ヨーロッパのほうが、お琴、三味線、太鼓、笛などの楽器を使ってきた、日本より繊細な
所がある、民族かな?と思ったことはあります。

16世紀日本にキリスト教が伝わり、西洋音楽、西洋楽器が伝わった頃の楽器は、西洋と
東洋の楽器の差はあまり無かったように思います。

でも、明治維新のあと、最初に伝わった西洋音楽は、吹奏楽だったと、この頃の音楽を調べている、
永六輔さんが言っておられました。そして、始めて吹奏楽を聴いた、
日本人はその音の大きさに腰を抜かさんばかりに驚いたそうです。

でも、20世紀になって、日本の和太鼓を聴いたヨーロッパの人が、その音に大きさに驚いたそうですが、
これなど、内の音楽と外の音楽の違いもあるのでしょうが、お互い様でしょうか?


と書いてくると、なにか私が偉そうなことを書いているように思えてきますが、
思ったことを書いているだけですので、そんなものかな?と読んでくださるほうが、
気が楽ですので。

と言うことで、次の新しいアイデアの話です。

次に作るギターのことを考えているうちに、新しいアイデアが浮かびました。
これだと、私の考えていることが、更に一歩、前進しそうです。

それは、バスバーの配置です。

どうしても、ブリッジの弦の乗っている下にバスバーを3本持って行きたいということで、
サウンドホールに近いところが、窮屈でした。

パノルモさんや、トーレスさんのイメージがどうしても抜けなかったのですが、
なにも、ファンブレースと言う言葉にこだわらなくても、蛸足と言う言葉にこだわらなくても、
良いのでは?と思い、下のようなバスバーの配置を考えました。

これだと、さらに音が表板全体に音が広がります。


UNI_0082.jpg


次に反対方向に、バスバーを流してみました。


UNI_0081.jpg


この場合、どうしても高音側にバスバーを1本足さないといけません。
これで8本となり、まさに蛸足の完成です。

そして、19世紀ギターのラブレボットの図面を見ていて、振動が一番大きい
ブリッジの下に、大きな2本のバスバーを斜めにもって来れば、良いのではないかと思いました。


UNI_0080.jpg


でも、このブログを書いていて、ブリッジ下の小さなバスバーは無くても良さそう、
と思ってきています。

こんなアイデアはどうでしょうか?

これらのアイデアは、私のお弟子さんが試してみたい、とのことで、
4月には楽器になっていると思います。

そして、その楽器は弦長61センチの楽器です。

59センチの楽器は、ドイツの学者のミハエル・コッホさんの言うように、
弾きやすいのですが、私の構造でも、モダンギターとして使うには、
少し19世紀ギター寄りの音になってしまうのです。


そこで、今回は上の図面で61センチで作ってもらいます。

これが、日本人にとって、ベストの大きさ、弦長になると思っています。

今までも、59センチや、61センチのギターは作られてきましたが、
一般的なモダンスペインギターの構造です。
この構造では、楽器として使い勝手の悪いものになっていたと思います。

でも今回作る楽器は、小型で弦長も61センチですが、音楽が表現できる楽器に
なると考えています。




それと、ラティス構造や、ダブルトップのギターの話ですが、この構造を最初に考え
具体化して、楽器にした人には尊敬の念を感じます。

ラティスは、ヴァイオリンやガンバの表板の削り方、厚みに近い構造にするため考え出された
のでしょう。

音色などの点で、私は作ろうとは思いませんが、周りが薄いことから来る、倍音の少ない
音は、倍音だらけのモダンギターよりは、好きです。

ダブルトップのギターも、反応が早く、演奏家の伝えたいことが、伝わるようにと
考え出されたのでしょう。

その点は、素晴らしいと考えています。

現に、そのような楽器を演奏したい演奏家がいて、使っているのですから。

でも、私は音色の問題もあるのですが、100年200年と使えるギターを作りたいと
思っていますので、作ろうとは思いませんが。


それと、リュートを沢山調べられたのは、ギュンター・ヘルビッヒさんと言う
ガンバ製作家の息子さんと書かせていただきました。

このギュンター・ヘルビッヒさんは20世紀のティルケさんと言っても良いほど、
1台1台違う楽器を作られていました。もちろん、注文して作ってもらうのですが、
美しいレリーフや透かし彫りが、ヘッドにあって、その装飾のどこかに注文主のイニシャルが
入っている楽器を作られていた方です。日本にも1台作ったもらった楽器があるはずです。

そして、ティルケさんの本も、現存しているティルケさんの楽器を調べるだけでなく、
その装飾のもとになった、デザインまで調べている素晴らしい本を書かれた方です。
352ページの本で、私は直接ヘルビッヒさんから買ったので、サインをしてもらっています。

そして、その息子さんなのですが、古い論文で人にあげてしまって、手元に無いので、
はっきり書かなかったのですが、当時のニュールンベルグの博物館の館長だったと思います。

どなたか、ご存知の方は教えてください。

と言うことで、またまた長くなってしまいましたが、最後まで読んでくださって
ありがとうございます。










  1. 2013/03/26(火) 23:24:11|
  2. ギター
  3. | コメント:1

音の延達性その他

コメントいただいて、ますます面白くなってきました。

このブログを作っていなければ、このように考えをまとめることや、
他の方の意見を聞く機会は少なかったと思います。

ギターのサウンドホールでの端の処理、と言うか強化はとても厄介で面白い問題だと思っています。
小さなトルナボスをつけているギターを見かけますが、作った方はトルナボスと認識されていますが、
自由端の補強に役立っている場合が多いように思いました。

位相については、ギターどころではない大きな障害を見ているので、あまり意識はしていませんでしたが、
楽器の構造を変えたり、バスバーやその他、大変なことをしても、位相が合ってしまっては、
苦労が水の泡、と言うこともありますので、注意したい点です。

よく、ギターでウルフのことを取り上げる作家がいますが、これもギターではかわいいもので、
ガンバや、ヴァオリン、チェロではもっとすさまじいウルフが発生していている楽器があります。
よい楽器で、良く鳴る楽器ほどウルフも大きくなるようで、擦弦楽器では大問題です。

ということで、位相での大問題が起こるのが、チェンバロです。

実際沢山経験してきました。

チェンバロは2段鍵盤だと、8’の弦が2本張っています。
1段の楽器でも、8’2本の楽器もありますが。

この2本の弦は同時に鳴ると、鍵盤が極端に重くなるので、少しずれて鳴るようにしています。
そして、このずれと調律の関係です。(このずれをスタッガリングと呼んでいます)

かなり、以前の話ですが、関西でも当時トップの調律師でチェンバロの調律でも有名な人でした。

このベテランの方が、調律してベテランの演奏家が弾くと、8’シングルの音より、
8’2本のほうが、音が小さくなってしまうのです。

調律している時に聞くと、8’2本の音は大きいのです。
でも、演奏家が弾くと、音が小さくなってしまうのです。

これは、まさに位相が合ってしまってというか、反転した位相が合ってしまったのです。

調律師の方より、演奏家の方のほうが打鍵のスピードは速いので、そうなったのです。

ですから、この演奏家が良く言っていました。

「時間が無くて、急いで調律してもらうと良いのだが、時間をかけてしっかり調律して
もらうと、音が小さくなる」と。

演奏会も後半になると、適当に調律がずれてきて、音が大きくなりました。

ギターでは、位相についてここまで極端な例はあまり見ませんが、楽器によっては
あるようです。

そして、この位相が合ってしまう例は、オルガンでもあります。

関西のホールに設置されたオルガンで、オルガニストがカプラーを入れると、
音が小さくなってしまうのだけど、音色として変えたいし。と言う話を
良く聞きました。

チェンバロでもオルガンでも位相のことを気にしていない人がいるようです。

と言うことで、ギターの魂柱は、音のバランスをとったり、低音弦のあばれを
押さえたり、位相の反転を防ぐと言う意味がありそうですね。
音の増大よりは。

後、音の延達性では、正弦波は音が通りにくいと、とられてしまったかもしれませんが、
弦の振動の形を言いたかったのです。

楽器によっては、かなり純粋な正弦波でも、音が通ると言うことはあると思います。

これは、cabotinさんがおっしゃているとおりです。

もっと、卑近な例では、リコーダー、それもソプラノリコーダーなどは、まさにそうだと思います。

これが,アルトリコーダーになると、ソプラノよりは音が通りにくくなります、
音域の問題もあるのでしょう。また、聞く人の耳の問題でも。

チェンバロの入ったアンサンブルの録音を聞くと、会場ではあんなに聞こえていたのが、
録音すると小さな音しか入っていない場合が多いです。
また、会場の雑音がしているのが、気になったりします。

これは聞くほうが、耳にフィルターをかけているからだと思います。

リュートを、たまにピアノの発表会で弾くよう頼まれます。
発表会ですから、小さなお子さん、お年寄りもいらっしゃいます。

一番印象に残っているのは、友人の生徒さんの発表会で、神戸国際会館という
大きな会場で、弾かせていただいた時です。

ピアノに比べてはるかに小さな音のリュートを、最後まで皆さん静かに、熱心に
聞いてくれました。友人の指導もよいのですが、小さな音だと、聞こうとして
耳を傾けてくれます。

逆に小さな音だからと,PAを入れると、あまり聞いてくれないこともありました。

フェルメールの絵のように、小さくて少し焦点が合っていないような絵は、
はっきり見ようと、集中するのと良く似ている気がします。

これも少し前の話ですが、京都の演奏会で、cabotinさんが演奏された、何週間後に
オリジナルのトーレスを2台使った、有名なギタリストの演奏会があったときの話です。
同じ会場で、それも響きのかなり良い会場です。

cabotinさんのパノルモに比べて、10分の1くらいしか鳴っていなかった、トーレスの音を
休憩時間のお客さんの話を聞くと「さすが、トーレス、ホール中に響いていたな!」と言われていました。

これなども、フェルメール効果で、集中して聞いた結果、大きな音に感じたのかもしれません。
もちろん、先入観も合ったと思いますが。

何でも、思い込みは良くないようですね。


それと、前回の楽器と演奏で延達性は変わると言う話の続きですが、
左手の、問題もあると考えています。

私は音楽は右手で、音は左手で作る、と思っています。(もちろん、音を作るのですから右手は大切ですが)
左手の使い方、左手がしっかり良い場所で押さえることが出来ていない演奏家は延達性は悪いように思います。
延達性だけでなく、音楽も問題になりますが、ルーズな左手の演奏家が増えてきたように思いますが、
皆さんどう思われますか?



と言うことで、私も、思い込みで判断せず、皆さんのお話も聞かせていただいて
柔らかい頭でいようと思います。

また長くなってしまいましたが、これからも、よろしくお願いします。







  1. 2013/03/25(月) 13:04:03|
  2. ギター
  3. | コメント:5

音の延達性について

trioさんから小さい楽器の延達性について、コメントいただいたので、今まで
経験したこと、思っていたことを書かせていただきます。

その前に、前回のブログの修正です。

トーレスさんは2台と同じ楽器は作っていなかった、と書きましたが。
表板の面積の表を見ていて、同じ面積のものが、いくつかありました。

ほとんどは、例えば FE01 FE14 FE21D は面積が 同じ1261cmxcmです。
ですが、大きさを胴体の上から順番に書いていくと、01は 261、239、342そして胴体長468mm
14は260,214,347,480 21Dは263、217,348、476です。測定誤差以上の
違いがあると思います。なので、違う大きさの楽器と言えると思います。

それに比べて、SE28(1882年)SE43(1883年) SE99(1886年)はそれぞれ、
1333cmxcmで、サイズも同じ、なのが 43と99です。 274,235,359,480です。
28は273、233、358、482 と微妙にずれていますが、ほぼ同じ大きさと言ってもよいと思います。

データが分かっていない楽器や、測定方法を統一すると、他にもほぼ同じ大きさの楽器も
出てくるかもしれませんが、それでも、非常に少ない数だといえます。

でも、全て違う大きさと書いてしまったことは、訂正させていただきます。

そして、ブックマッチの楽器は、(もちろん現存して言う楽器でロマニさんの本ではっきり確認できる
ものに限りますが) FE 05,11,16,20,28 そして、SE 49.60の8台でした。
これ以外は2枚の表板のものでも、ブックマッチでなく別々の板だったり3枚、4枚の表板の楽器です。

でも、トーレスを元にギターを作っている、モダンスペインギターの製作家は
こんなことはご存知なのでしょうね。多分。




と言うことで、本題の延達性に入ります。
これこそ、学者さんが研究してくれていても良さそうなことだと思うのですが。

今まで、実際に経験したことを書かせていただきます。

今から、30年ほど前ですが、大きな木工の施設で、木で作っている楽器だから、
展示と演奏をして欲しいと頼まれ、チェンバロ、オッタヴィーノ・スピネット(一番小さなチェンバロです)
リュート、ガンバなどで、展示と演奏をしました。

その中で、近くで聞くと、一番小さなオッタヴィーノ・スピネットが一番良く音が通っていたのです。
弾いている本人が「これで聞こえているの?」と思うほど、近くでは小さな音です。

次は、大阪音大でその当時は、楽器博物館と言われていた、付属の博物館で、博物館収蔵の
鍵盤楽器の演奏会がありました。この会場もホールではありませんので、音響的には
厳しい会場です。
でも、その中で一番良く音が通っていたのは、大きなフォルテピアノでなく、一番小さな
1800頃のスクエアーピアノです。(メーカーは、有名なブロード・ウッド ですが)
弾いてる本人も(大阪音大の先生です)近くでは小さな音ですから、「聞こえていますか?」
と何度も、聞かれました、それに対して、「とても良く聞こえています」と返事したのですが、
どうも、信用されていない感じでした。

次は、2700人収容の大学の講堂でのことです。
これも、25年以上前のことです。

チェンバロを使う講義をするため、1000万円もするチェンバロを運んで、調律しました。
私が運んで、調律もしたので、ついでにガンバやリュートも弾いて、と言うことになりました。
チェンバロはマイクを使って、PAの助けを借りましたが、リュートやテナーガンバはPAを使わなくても
2700の講堂で充分音が通っていたのです。
実はこんなやり取りがありました。
マイクチェックをしていた大学の方が、「リュートPAの音量が大きいよ」と言われて、
「リュートはPA 入っていないのですが」と音響担当の方の返事。
リュートは音響さえよければ、2700人の講堂でも充分音が通ると言うことが分かりました。

ただこの講堂は、席が階段状になっていて、音響的にも良い講堂でした。


これは、楽器だけでなく演奏する人にもよると思います。

日本に帰ってこられるときに、公開レッスンをしていただいている、三和睦子さんがチェンバロを弾かれると
遠くへいけば行くほど、大きな音になっていくのを経験したことがあります。

西宮の多目的なホールなのですが、三和さんがチェンバロを弾いていると、ステージ近くで聞いていると、
そう大きな音ではないのです。ですが、楽器から離れて、ホールの後ろに行くと、
音が大きくなっているのです。そして、ドアを開けてロビーに出ると、
更に音が大きくなった感じがしました。楽器はもちろん私の楽器です。
もちろん、ロビーにはPAは入っていません。

同じような経験が、これもワンフロアーのホールだったのですが、モダンフルートと
モダンオーボエとチェンバロの演奏会でした。近くで聞くと、もちろんフルート、
オーボエの音が大きいのですが、ホールの一番後ろで聞くと、チェンバロのほうがはるかに
音が大きいのです。このことを演奏者に伝えると、あまり信用されていたようでした。
この時も、関西のベテランのチェンバリストの方でした。

逆に、若いチェンバリストで、近くで聞くと大きな音がしているのですが、(あまり綺麗な音では
ありませんが)少し離れると聞こえない、と言う経験は良くありました。

小さな楽器から、話は逸れたようですが、演奏家にもよると、言うことがいいたかったので。
これは、声楽でもよく経験しました。オペラでも。

チェンバロついでに、2段鍵盤のチェンバロだと、8’と言って、記譜と実音が同じオクターブの
弦が2列張っています。ジャックで弾く位置が、下鍵盤が真ん中近く、上鍵盤が少し端に近い場所で
弾いています。

ギターでも、ブリッジよりだと、硬い音になります。

硬い音のほうが、音が立つので、上鍵盤の音はボリュームを下鍵盤の音に比べて、小さくしています。
それでも、良く通る音は、上鍵盤のほうが良く通ります。

と言うような経験をしました。

そこで、少し本題に入らせていただきます。

もちろん弾いている人が気持ちよく弾けるという事も大事でしょうが、音が聞いている人に届く
と言うことも、もっと大事だと思うのです。

ここで、楽器の大きさや種類でなく、上手な人とそうでない人で考えてみます。

チェンバロは特に、弦が細くて、爪もとても小さいものですから、楽器を鳴らすことが
難しい楽器です。(弦に与えるエネルギーはギターの10分の1か20分の1かくらいの感じです)
上手でない人は、音も小さいのですが、まず、音が汚いことが多いです。

これは、側鳴りしていると言うことにも、繋がります。

音が汚く、側鳴りしていると言うことは、弦が不良振動しているのが原因だと思います。
ギターでも、そうだと思います。

弦が不良振動していると、部分的に弦の振動が違っているわけです。部分振動しているとも
言えます。部分振動していると、どうしても倍音しか出なくて、基音は出にくくなります。
波形を調べても、何の音がしているのか分からないほど、基音がはっきりしません。

部分振動していると、楽器も部分しか鳴らずに、(基音の一番大きな振動が、無いわけですから)
エネルギーも小さいので、楽器全体が鳴りません。
当然、遠鳴りもせず、延達性も無いわけです。


何故、チェンバロではそうなるのかと言うと、チェンバロはピアノと違って
(初期のフォルテ・ピアノは近いかもしれませんが)よいタッチで、
良く楽器を鳴らすと、音はほとんど、全部前に行ってしまうのです。
自分のほうには帰ってきません。

ですから、上手な人の横に行くと、小さな音しかしていません。でも、楽器はしっかり鳴っているので、
音楽は作れます。鳴っている実感ははっきりあるのですから。

上手でない人は楽器も鳴っていませんから、側鳴りさせて自分に音がきこえるように
しているようです。
ギターでも少しはその傾向があると思います。


でも、これらは、私がそう思っていることで、そう感じているだけなのかもしれません。



次に小さな楽器のほうが、延達性には有利だという事。

これも、私の考えですので、違う考えをお持ちの方もいらっしゃると思いますが、
長年いろんな楽器を作ってきてまた、弾いてきて感じたことを書かせていただきます。



19世紀ギターのほうが、モダンギターよりも音が通ると書きました。

この理由をかなり前から考えていました。

それは、エネルギーをどう使うかだと思いました。


モダンギターのほうが、大きなボディーで、音も響きも多くて、弾いている人にも気持ちのよい楽器
が多いと思います。

でも、演奏するのは、同じ人で、同じ力で弾くと、弦に与えるエネルギーは同じです。

そのエネルギーをどう使うかだと思うのです。

モダンは、そのエネルギーの一部、あるいは大きな一部を、響きや楽器本体を鳴らすことに、
使っていると思います。

その点、小さな19世紀ギターは、響きも少なく、表板も小さなボデイにもかかわらず、厚い物が
多いようです。また、小さなボディなので、ボデイを鳴らすほうに行くエネルギーは小さいと思います。

これら、使われなかったエネルギーが音になって、飛んでいくように思います。

19世紀ギターのほうが、音に密度があるのは、ご存知のことだと思います。
また、基音もしっかりしている楽器が多いと思います。

密度のある音で、基音がしっかりして、エネルギーがあれば、音は遠くまで届くと思います。

その分、弾いている人には来にくい音になりますが。



モダンと19世紀ギターと大雑把に分けましたが、もちろん演奏家によるのは、鍵盤楽器以上だと
思いますので、19世紀ギターでも音が遠くへ飛ばない人もいるようです。

後、ギターだと、弦を弾く場所、弾く場所でも延達性の差があると思います。

チェンバロで弦の端に近いほうで、弾いている上鍵盤の音のほうが、通ると言いました。

同じことが、ギターでも言えるのではないかと思います。

弦の中央、サウンドホールの上で、柔らかい音で弾いている、演奏家よりセゴビアさんのように、
ブリッジ寄りで弾いている演奏家のほうが、良く通るように思います。

ブリッジよりのほうが、弦にエネルギーを与えやすい、と言うかしっかり弾いても、
弦が受け止めてくれます。


弦の振動については、面白いことがあります。

私は何年かに一度、ピアノの調律士協会の勉強会に、チェンバロの調律と楽器メンテナンスで
呼ばれることがあります。

その時に知りあった、スタンウエイの一番の調律士だと思っている、高田務さんが面白いものを
作られて、我が家に持って来られました。

それは、ストロボと同調させて、その場で弦の振動が見えると言う装置です。

これで、ギターやガンバの弦の振動を見ると、弦の中央部で弾くと、よく弦の振動の
絵で見られる、正弦波になります。でも、少し端に寄ったところで弾くと、弦の振動は
ほとんど、台形になっているのです。ブリッジ近くまで、大きな振幅があるのです。
と言うことは、ブリッジに与えるエネルギーも大きいのではないかと思ったのです。
その結果、音が遠くまで届くのではないかと考えました。

これほど、極端に違うとは思ってられなかったようで、高田さんも驚いておられました。
(高田さんはこう書くと、技術の人みたいですが、めずらしく音楽の好きな調律士さんで、
ピアノ以外の演奏会にも良く行かれ、ギターとかハープ、チェンバロなども演奏会も良く行かれています)




でも、書かせていただいたことは、私の思い込みかもしれません。

文章にすると、ニュアンスが違っているようにも、思います。

また、読んでくださった感想、ご意見などお聞かせ下さい。

よろしくお願いします。









  1. 2013/03/25(月) 02:02:49|
  2. ギター
  3. | コメント:3

トーレスさんについて 楽器の大きさ、弦長

トーレスさんについて、コメントもいただいていますが、
あくまで、私の考えを書かせていただきます。一般的な評価や考えを書いても
このブログでは面白くありませんので。(トーレスさんについては2012年6月8日の
神様はつらいよ でも書かせていただいています)

私も、モダンスペインギターは、トーレスに始まり、トーレスに終わるという考えは、
少しは分かります。少しです。

でも、ギターはトーレスに始まり、トーレスに終わる、とはならないと思います。

それは、お前がトーレスさんのことを知らないからだと言われそうですが、ここで
あまり知られていないと、思われるトーレスさん絡みの話です。

トーレスさんの功績のひとつに、弦長を650ミリと定めた、とよく言われますが、
ここで、トーレスさんの研究では第一人者のロマニさんの本からです。

日本語訳の143pにパヘさんが1815年に、ホセ・レシオさんが1843年に、
イタリアのファブリカトーレさんが1818年に650ミリのギターを作っていた。

そして、パヘさんは1791年に647ミリの、1806年には648ミリの楽器を
作っていたとも書かれています。

では、トーレスさんはどうだったのでしょう?

img017.jpg


これは、現存しているトーレスさんの楽器でデータが分かっている楽器の 
1期といわれている時代のまとめです。

弦長が 650ミリのものは 36台のうちの14台です。

650ミリ以下のものが、16台 650ミリ以上のものが6台です。

そして、トーレスさんが円熟期に入って、トーレスさんらしい楽器を作ったと思われる、
第2期です。


img018.jpg


650ミリの弦長のものが 47台中16台です。

そして、650ミリ以下のものが23台、650ミリ以上のものが 8台です。

確かに、650ミリのものが一番多いのですが、現存しているものの中では約3分の1です。

次にトーレスさんが楽器を大型化して、大きな会場で使えるようにしたと、言われていることですが、
大きな会場、300人、500人1000人、2000人の会場では、パノルモさん、ラコートさんが
作った楽器のほうがはるかに音が通りますし、聞く人の席まで音が飛んできます。

これは、私の実感ですし、事実だと思います。

ということはさておいて、次にトーレスさんが作った楽器はどんな大きさだったのでしょうか?

よく、トーレスモデルとかトーレスレプリカと言われたり、トーレスさんの図面が売られたりして
いるので、ほとんどトーレスさんの楽器は、後の時代のブーシェさんやハウザーさん、アグアドさんの
ように定型化されたモデルがあると考えてしまいますが、トーレスさんの作ったギターは
2台として同じ大きさ、形のものはありません。

死ぬまで、試行錯誤をしていた人、と私が認識してしまうのは、このためです。

img020.jpg


この表は、日本語訳の 106pです。本はもちろんロマニロスさんの「アントニオ・トーレス」です。

現存しているトーレスさんのうち、データが分かっているもの全てです。

全て、表面積が違います。この本で、1台1台のデータが出ていますが、それらを整理するのは
大変なので、この表板の面積が違うと言うことで、全て 大きさが違うと言うことを知って
いただけると思ったのです。

第1期、第2期で主に沢山作られた、楽器のサイズはありますが、皆それぞれ違います。

どの楽器をもって、トーレスさんの楽器だと言うことは出来なさそうです。

ここで、もうひとつ 私の楽器との比較です。

偶然ですが、私の楽器の表面積は トーレスさんが 第1期に最も沢山作られた
大きさの楽器の平均 1258cmxcm に近い、1260 です。

もし彼が、640ミリの弦長を採用していたら、この1期の大きさが、モダンスペインギターの
大きさになっていたかもしれないと以前から思っていました。

第2期の大きさは 最も沢山作られた大きさの平均値は 1329です。

でもこの楽器はライニングが大きく、私の楽器との差(ライニングの大きさの差)を5ミリとすると

トーレスさんの実質の表面積は 1292となります。
私の1260より大きいですが、ライニングが大きいことによって、表板の端は振動していませんので、
実際に鳴っている表板の、面積は私の楽器のほうが大きいと思います。

それなので、楽器は小さいけれど、私の楽器はしっかりした低音が出ると考えています。

そして、楽器が小さいことによって、応力的にも有利ですし、私達日本人にとっても弾きやすい大きさの楽器
になります。

私は、彼が650ミリの弦長を採用したことで、第2期の大きさの楽器になって行ったように、
思えてなりません。

弦長については、後の時代の作家でも、例えばマニエル・ラミレスは646ミリから656ミリの
間で作っていましたし、650ミリ以外の作家もいましたから、現代の製作家のように、
誰も彼もが、650ミリでなくてよい様に思います。

でも、最近は640ミリ630ミリなどの弦長で作られる製作家も出てきましたが、
ショートスケールとか、ラ〇トギターとか、特殊な楽器のイメージで作られるのは、
どうかな?と思います。

モダンスペインギターの神様も650ミリ以外の楽器のほうが多いのですから。









  1. 2013/03/23(土) 02:08:43|
  2. ギター
  3. | コメント:0

楽器の寿命、表板の経年変化

コメントをいただいて、私の考えを書かせていただくという形が増えて来ましたが、
今回もそのパターンです。

と、本題に入る前にお願いがあります。

コメントをいただくと、平山様と書かれているのですが、私もトーレスさんセゴビアさんと
呼んでいますので、「平山さん」「こがっきさん」でコメントやメールをいただけないでしょうか?
このブログはあくまで、私の考えているギターのこと、また、ギターを作る人の何かの参考になれば、
演奏をされている方に、楽器に付いて考えていただく、きっかけになれば、と思って書いていますので、
コメントをいただいて、新しい考えが浮かんだり、更に深く考えるきっかけにさせていただいていますので。

よろしくお願いします。

ということで、本題です。

楽器の寿命のようなことですが、

モダンスペインギターと、今でもオリジナルが良く使われているのは19世紀ギターだと思いますが、
19世紀ギターは1830年くらいまでに作られた楽器を使ってられると思います。
オリジナルの19世紀ギターについては、私が知っている多くの楽器は200年近く経っていますが、
どの楽器も、今が最高に鳴っていると思ってしまうほど、よく鳴っている楽器が多いです。
出来た時は、こんなに鳴っていなかっただろうと、思う楽器も結構あります。

特に、西垣さんの持ってられる、パノルモなどは何でも弾けるし、5年か10年ほど前に作られたのでは?
と思うほど、元気の良い音がします。
もう一台、使われているコッフの楽器は、200年近く立った、経年変化の化け物のような。
ものすごく鳴っていますし、妖艶さは20世紀のギターでは、足元にも及びません。

このように、19世紀ギター以前の楽器はメンテナンスをしっかりやってあげれば、
コピー楽器や、レプリカでは及ばない良く鳴る楽器が多いように思います。

これは、楽器の大きさ、特に表板の面積が小さいこと、楽器の強度が全体としてバランスが
取れていることなどが、取れているからだと思います。

それに比べると、20世紀のモダンスペインギターでは、50年も経つと、あまり鳴らない楽器も
あるようです。 うっかりすると、20年、30年で。

これは、構造の違いが大きいと思います。

話せばまた、とても長くなりますが、簡単に言うと、大きなライニングによって、
表板の周りが鳴らないので、ブリッジあたりをとりあえず、薄くする。
そうすると、基音は出ないが、倍音が多くなって鳴っている感じがするので、
売れる楽器が出来る。売れるので、こんな楽器を作る、それを演奏する人が使う。
という循環で、寿命の短い楽器が出来るのだと思います。

もちろん、名器と呼ばれる楽器は、このような構造ではありませんが、楽器の大きさを
大きくしてしまった、トーレスさんの功罪かもしれませんね。

また、表板の厚みをほとんど変えずに、作っている作家だと、どうしてもブリッジあたりの
強度が不足して、長年の使用に耐えないのだとおもいます。

そして、楽器全体の強度のバランスが悪いと楽器は壊れますし、長持ちしません。
モダンの楽器は、強度が大きいところと、小さいところがあるように思います。

ということで、経年変化で200年300年経った、楽器の修理をすることがあります。

そうすると、夏目と呼ばれる、柔らかいところはサクサクで、脆い感じがします。
これで、学者さんが言っている、経年変化で強度は上がっているのかな?
と疑問を持ちますが、冬目と呼ばれる、硬い部分はとても丈夫になっています。

夏目がサクサクになって、軽く反応が良くなり、冬目で強度が出ていることを感じます。

次に、割れなし、歪なしで100年200年持つ楽器は難しいと思います。

良い楽器を見ると、ほとんど例外なく、完全な正目の表板が多いと思います。
この完全な正目は、非常に割れやすいのです。

音より、割れにくい楽器を作るとしたら、追正と呼ばれる、少し斜めになった正目を使うほうが、
有利です。でも、音は完全な正目のほうが良いです。(理由は私のブログの材料編で書いていると思います)

歪も、無いような楽器を作ると、振動する余裕が無くなり、あまりよい楽器にはならないかな?
と思います。でも、これは一般的な話で、前に書いた、パノルモさんやコッフさんの楽器は
割れも、歪もありません。モダンスペインギターを前提とした話です。


次回は、トーレスさんのお話です。














  1. 2013/03/23(土) 01:09:28|
  2. ギター
  3. | コメント:1

トーレスさん、リュートの構造について

ここのところ年度末と言うこともあって、楽器の修理や製作に励まないといけない時期なのですが、
トーレスさんについて書かれていたので、少し書かせていただきます。このブログの存在意義にも
少しかかわってきますので。

かなり以前読み物として「神様はつらいよ」で書かせていただきましたが、
トーレスさんのしていたこと、考えていたことを今のモダンスペインギター製作家はあまりしていない
ように思っています。

都合の良い一部のところだけ、取り入れて トーレスを神様扱いしているように思います。
その一部とは、表板のドーム形状くらいでしょうか?それにあえて言えば、ライニングの大きさ、
バスバーの配置における軸の設定くらいでしょうか?

後はどこを見ても、また、最も大切なところもトーレスを範としていません。

むしろ、トーレスさん以降の楽器を範としている感じがします。

そして、それら範とされている、トーレスさん以降の製作家はトーレスさん以前の楽器も研究して、
彼らの楽器が出来上がったと思っています。あくまで、私の思っていることですが。


そこで、私の楽器です。

4年ほど前にギターを作ることにして、まず原型とした楽器はパノルモさんの楽器でした。
幸い,cabotinさん始め、彼のお弟子さんたちの沢山のオリジナルのパノルモを修理させていただいたり
弾かせていただいて、モダンギターに繋がる、19世紀ギターはパノルモしかないと考えいました。

沢山のパノルモの中から、一番気に入っている楽器のボディを2周りほど大きくして、型を決めました。
それは、私が弾いてみて、最も収まる、弾きやすい、保持しやすい大きさ、形から決めました。

決してモダンの楽器や、トーレスさんのギターからは参考にしていません。

その結果、ウエスト部分のカーブも緩くなり、私の作りたい音が作りやすくなりました。
トーレスさんやモダンギターをベースにしていると、出来ない形となりました。


私はトーレスさんが新しく作り出したことはほとんど無いと思っています。
彼は、モダンスペインギターのデザインを決めたことが、彼の最大の功労だと思っています。

バスバーの蛸足、ファンブレースもパヘさんあたりが考え出し、それを形を変え応用したのが、
パノルモさんだと思います。でもパノルモさん独自の、最も大切なバスバーの配置があります。
それは、私くらいしか使っていないと思うのですが、駒の下にバスバーを持ってきているということです。

これは、パノルモさんの考えだと思います。唯一のスペイン式の制作方法の作家であると、
ラベルに書いていてもスペインではなく、パノルモさんオリジナルの考えだとおもいます。

そして、一般的に言われている、スペインネックもパノルモさんではやっていますし。

楽器の大型化も、イタリアではもっと古くから大型化されていました。


と言うことで、私は19世紀ギターの延長線上のモダン楽器を作りたいと思って作り始めました。

(モダンスペインギターでなく、モダンスペインギターはスペインの民族楽器的な楽器かな?
  と思っていましたので)

トーレスさん起源でない、パノルモさんのバスバー配置やなどは当然使っています。

トーレスさんがやっていて、私がやっていないことはまず、
バスバーの配置方法、そこには一番お尻に近い八の字に配置された2本のバスバーも含めて、
ライニングの大きさ、形状。パフリングやバインディング、スペインネック、響板のドーム形状、
エンドブロックの大きさ、横板の厚み1.0ミリ、エンハーモニックバーのトンネル化、
などです。

モダンスペインギターでは無いモダンギターを作りたいと思っていたのでそうなったわけですが、
トーレスさんがやっていることをやらないほうが、私の作りたいギターに近づいた訳です。
結果的に。

トーレスさんがやっていて、モダンスペインメーカーがやっていないことは沢山ありますが、
一番大きなことは、響板の作り方です。

トーレスさんは、今誰もがやっていて、そうしなければいけないと考えられている、表板のブックマッチは
ほとんどやっていません。現存している楽器でも、その数は一桁です。

2枚でも、ブックマッチで無い楽器も多くありますし、材料の良いところだけ使って、3枚4枚5枚で
表板を作っています。

そして、厚みも中央部分、駒のあたりは厚く、周辺部分は薄くしているのは、ロマニさんくらいでしょうか?
そして、横板も材質に関係なく1.0ミリです。今のモダンスペインギターはほとんど2.0mmです。

横板1ミリと言う楽器はまず見たことがありません。(今回茨木で行われたギターフェスで茨木の福田さんが
横板 1ミリで作られていましたが)

ということで、私には トーレスさんを神様扱いにして、(ギターのストラッドとか、)
でも、大事なところは無視しているように感じます。


ということで、トーレスさんの話は終わります。

次にリュートのことですが、ルネサンスリュートはJバーが付いていますが、バロックや
テオルボには付いていません。

そして、リュートは誰の楽器が範となったかですが、これは分からないと思います。
前回のハンブルグシターンのティルケさんの写真は、ギュンター・ヘルビッヒさんの
本から取らせていただきました。
このヘルビッヒさんの息子さんが、山のような数のリュートを調べてくれて、一定の法則を
見つけてくれました。

最後の平行バー(お尻に近いほうです)から楽器の端までの、3分の1のところにブリッジが
3分の2のところにJバーが来ている楽器がほとんどだったと言うことです。

この論文が発表されて、20世紀のリュート製作は飛躍的に進歩しました。

ルネサンスリュートの場合、この時代の常識としてそういう風に作っていたのでしょう。

バロックになると、後の時代の蛸足、ファンブレースに繋がるバスバーが出て来ました。
そしてJバーは無くなりました。


img015.jpg


これは、ミュンヘンの博物館に収蔵されている、1678年のティルケさん作のジャーマンテオルボ
の図面のコピーです。

バスバーは後の時代に付けられたものではありません。

10年ほど前でしょうか、スペインのリュート製作家がバロックリュートなのに,Jバーを付けて
薄い響板でバロックリュートを作っていましたが、これは例外です。




と言うことで、いつも思うのですが、こんな地味なブログに、真剣に、暑くコメントをいただいて、
ありがたく思います。

自分ひとりでは考えても見なかったことも、コメントいただいたりします。

これからも、皆さんのお考えをコメントいただくと、そして他の方がどう考えているかは
別にして、書いてくださると嬉しく思います。

ありがとうございました。





  1. 2013/03/21(木) 19:21:33|
  2. ギター
  3. | コメント:5

ギターの魂柱について

ギターの魂柱について書かせていただく前に、cabotinさんから指摘いただいた、
今井信子さんの楽器について、誤解が無いように、書かせていただきます。

あの演奏会で私が感じた音についての感想は、あくまで私の感想です。
普段から、ガット弦を張った擦弦楽器を弾いて、聞いている私の感想で、
一般の方の感想とは違うと思います。
演奏はとにかく素晴らしいので、私の感想から、今井さんの演奏会に行かないで
おこうとは思わないで下さい。元々、スチール弦を張った、弦楽器の音は受け付けなかった
私の感想ですので。


と言うことで、本題のギターの魂柱についてです。

この件については、以前からcabotinさんから、課題をもらっている宿題のようなものなのです。
とても難しい、悩ましい問題なのですが、面白い問題だと思っています。


過去のギターに魂柱が立っていたかどうかは、私は調べた事がありませんので、わかりません。
実験的に立てた人はいるかもしれないが、実際には使われなかったのではないかと、
思っていたからでもあるのですが。

魂柱を立てる主な目的は、音の増大です。
駒を通じて、振動が伝わった表板だけを振動させるのではなく、魂柱を通じて、裏板にも
振動を伝え、楽器全体を鳴らそうという目的のために立てるのだと思います。

そのためには、裏板まで振動させる、エネルギーが必要となります。
一般的な擦弦楽器、ヴァイオリン属、ガンバ属では、弓を使っていつもエネルギーを弦に与え続ける
ことが出来ます。

それに比べて、ギターはご存知のように、弾弦時にエネルギーを与えるだけで、後は減衰するだけです。

それから、私はヴィオラ・ダ・ガンバやバロックヴァイオリンも作っています。
そして、中世に使われた、レベック、フィーデルと言った楽器も作っています。


これらの楽器で、ルネサンスガンバやレベック、中世フィーデルは魂柱が立っていません。
擦弦楽器なのですが。

魂柱が立っていないので、音も少し小さく、少しひなびた音がします。
これらの楽器に演奏会で使うため、そして他の楽器とのバランスをとるため、
魂柱を立てると、感覚的に2倍から3倍ほど音が大きくなったように感じます。

ただ、これらの楽器のうち、レベック(木の塊をくり抜いて胴体を作っています)を除くと
魂柱が立つような構造になっていません。

裏板がそうなのです。

ヴァイオリン属では、裏板も表板のように、分厚い木から削りだし、裏板全体が丈夫
になっているので、魂柱を立てても、裏板が支えることが出来ます。
ガンバやフィーデルは裏板が、ギターのようにフラットで、そんなに
分厚くはありません。

その、裏板に魂柱が当たると、その部分だけが凹んだり、音も裏板全体に広がりません。
その結果、楽器全体が鳴ると言うことがないのです。

その対策として、ガンバは裏板に当て板をしています。
材質は表板と同じ、ドイツ松です。

img016.jpg


写真の上の楽器内部が覗けるようになっていると分かりやすいと思いますが、魂柱が来る部分に
バスガンバだと、人によっても違いますが、幅8センチ厚み6ミリくらいの板がつきます。

この板によって、音が裏板全体に回るようになります。
非常に合理的です。

このような板がついていないギターでは、魂柱を立てることを前提に楽器は作られていなかった
と考えても良いと思います。

ストラッドのギターの話がでていましたが、同じ時代にストラッド以上に沢山の美しい楽器を作っていた
製作家がいます。ハンブルグのヨアヒム・ティルケです。

ヴァイオリン、ガンバ、リュート、(テオルボも)バリトン、ダモーレ、クイントン、ハンブルグシターン
などを作っていました。また、同じ楽器が2台と無いように、装飾も1台1台違う楽器を作っていました。

彼の作っていたギターは、ギターラバッテンテと呼ばれる、裏板がリュートのように膨らんだ楽器でした。
このギターに魂柱は立てるのが困難ですし、この頃の楽器には必ず、ロゼッタが付いていて、
サウンドホールから魂柱を立てるということが出来なかったので、ロゼッタを外すか、裏板をはがして
魂柱を立てるしかなかったと思います。

彼の作っていた、ガンバはバロックタイプなので当然魂柱は立っていますし、裏板の当て板もあります。
もし、魂柱が立っていたほうが良いと判断していたら、彼は魂柱を立てていたかもしれませんが。
もっとも、この時代のギターは複弦で、1本あたりの弦のテンションも低かったので、魂柱の必要性が
無かったのかもしれません。

また、バロックギターは今のギターとは違って、ラスゲアード奏法が中心でしたし、
歯切れの良い音のほうが良かったので、魂柱を使って鳴らすという、
発想は無かったかもしれません。


それから、ガンバでの場合です。

ガンバはルネサンスが魂柱無し、バロックは必ずありました。

と言うことで、魂柱の立っているバロックタイプのガンバをピチカートで弾いてみると、
音は鳴るのですが、魂柱に邪魔されて音は、直ぐ減衰しますし、小さな音しか出ません。

ガンバは一般的でないので、チェロとかヴァイオリンのピチカートを想像していただくと分かると思います。
ポンと音が鳴って、直ぐに音が減衰してしまいます。

ガンバの場合、フレットがありますので、チェロよりははっきりした音はしますが、音は大きくありませんし、
直ぐに消えてしまいます。
ところが、魂柱の立っていない、ルネサンスガンバはピチカートだと大きな音がしますし、減衰も長いです。

また、駒の形状が魂柱を立てる構造になっていないので、難しいと言うことがあります。

もしギターで魂柱を立てるとしたら、ポピュラーで良く使われる、アーチトップのテルピースが
付いていて、駒もヴァイオリンのように、脚が2箇所で表板に接触している形だと、
考えることが出来そうです。

同じような楽器が、ティルケさんが作っていた、ハンブルグシターンです。

img013.jpg


img014.jpg


この楽器だと、ヴァイオリンやガンバのように、魂柱は立てやすい、駒の構造です。
(でも、実際に立てるとなると、ロゼッタがあってかなり難しいです)

この楽器でもティルケさんは魂柱を立てていません。

シターンですから、鉄弦か真鍮弦でテンションもガット弦より高いので、魂柱をたてても、
エネルギーはガット弦より大きいので立てても良さそうですが。
(鉄弦も真鍮弦もチェンバロで使われていましたので、一般的な弦です)

音を大きくすると言うだけでなく、その楽器を使った音楽に合うかどうかも、魂柱の採用に
基準の大きな要素だと考えられます。

モダンのギターはバロック期のギターに比べて、1本あたりの弦のテンションは大きいので、
バロック期の楽器と比べても違うと言われそうですが、ガンバは6弦のもので、1本あたり
6キロから7キロのテンションですし、7弦だとほぼ8キロくらいです。
このテンションでも、魂柱が立っていると、逆に小さな音しかしませんので。

小型の19世紀ギターで、弦に与えたエネルギーが音になりきっていない場合など、
そのエネルギーを音に変えるために、魂柱を利用すると言うことは考えられます。
19世紀ギターだと、ロゼッタも無いので、魂柱は立てやすいですし。



次に、音の増大と言うより、音のバランスをとるため、低音弦の暴れを取るためなどに利用することは、
考えられます。

20年ほど前、私が作ったフォルテピアノを弾いていた、ピアニストがどうしても音のバランスをとりたい
と言うことで(他の演奏家はそんな指摘は誰もしていないのですが)
低音側の響板の上に小さな錘を載せて、バランスをとったことがあります。
少し鳴りすぎる音を小さくすることが出来ました。

これと同じような役割を細めの魂柱を立てることによって、鳴る音、鳴らない音のバランスは取れるように
思います。

でも、私のギターでは、裏板が薄く(最近では1.7ミリ程度ですから)魂柱を受け止めることが出来ません。

私の場合は、ライニングや横板、裏板の厚み、楽器の構造、設計で楽器を鳴らすように考えています。


また長くなってしまいましたが、思いつくままに書かせていただきましたが、もっと沢山の
ことを魂柱については考えています。

魂柱 まさに魂の柱ですね。

ちなみに英語では サウンドポスト 音の柱です。






  1. 2013/03/21(木) 12:33:54|
  2. ギター
  3. | コメント:1

新作楽器について

gabotten?さんからコメントをいただいた中から、

鳴らない新作楽器が、弦のテンションに問題があって、
弦を替え、長い間弾き込んで演奏会に使えるようになった、
との話がありました。
製作家が全てベストの状態で楽器を出しているわけではないので、
手に入れられた方が弦の問題とか、ベストの状態にして、引き込んで頂いて
始めて楽器になるという楽器もあります。

ギターで何台かあったのですが、手工の皆さん良く知ってられる製作家のギターですが、
買った方が、「どうも、鳴らない。もっと鳴ってよいはずの楽器なのに」
と私のところに持ってこられたことがあります。

ナットの溝のカーブが、合っていなくて、弦がさわりの状態になっているのです、
おまけにブリッジの骨棒が山の状態でなく、平たいのでの、これもさわり状態に
なっていました。

少し、鑢をかけると、本来の鳴りになりました。
ほんの少しの手間です。

せっかく、長い時間をかけて良い楽器を作っても、最後の調整ができていなくて
楽器が鳴っていないという楽器を沢山見てきました。

と言うより、そんな楽器のほうが多かったように思います。
ヴィオラ・ダ・ガンバやチェンバロでも。

と言うことは、音のことなど考えていなくて、楽器を作っている人もいると言うことです。

少し、弁護すると、楽器を作ると言うことは沢山の作業があります。
また、考えないといけないことが沢山あります。
そこで、楽器が出来上がってしまうと、そこで楽器製作の熱意が終わってしまって
調整まで手が、頭がまわらないという事もあるのでしょう。

なので、製作家が付けている弦が、その楽器に最もあった弦と考えなくても、
良いと思いますし、調整もベストと考えなくて良いと思います。

製作家によっては、製作家が半分その楽器を作って、後の半分は演奏家が作る、
と言っている人もいます。

謙虚な人と採る方もいるでしょうが、どうでしょうか?

良い楽器を作っても、後で悪くなっていく例も結構見ていますので。

アマチュアの方が買われる楽器だからと言うことはないのですが、
安い楽器では、いくら弾き込んでもなってきそうも無い楽器もありますが、
弾き込んであげれば、かなりよい楽器にはなると思います。
鳴らないように作ってある楽器では、いくら弾いてもならないかもしれませんが。
(値段が高くても、鳴らないように作ってある楽器もありますし)

私は、演奏家の手に渡って、直ぐに使える楽器を作ってきたと思っています。

そして、弾き込んでいって更に良くなるように。

そのため、日に干したり、野村先生の還元法による処理をしていただいたり、
100年以上弾き込まれた、ピアノの名器の響板を使ったり、もちろん、
設計、構造でそうなるように、作っていますが。

あと、演奏家だから、プロだから楽器のことも、歴史のことも知っていて当たりまえ。
と言うのは、あまり実感したことがありません。

今まで、数人の演奏家の方は、演奏される楽器のことを良くご存知でした。
ピアニストでも、楽器のことを知っている演奏家は少ないのですが、
楽器のことを良く知っている演奏家の演奏は、私は素晴らしいと思いました。

30年ほど前に知りあった、ピアニスト(男性です)はその頃、スタンウエイとベーゼンドルファーの
ピアノを買ったばかりでした。そして、ピアノの話をするととても詳しい方でした。
その彼が、こんな話をしてくれました。
「半年は弾き込んで、それからヴォイシングをしてくれ、と頼んでしたのに、まだ新しい楽器の
ハンマーに針を刺して、柔らかいヴォイシングをしてしまった。また、
弾き込んでフェルトを固めないといけない。」もちろん彼がいない時に、
調律師がやってしまったことです。

これは、彼がまったく正しいのです。
調律師よりも彼のほうが沢山知識を持っていて、正しいことを知っている方でした。

でもこんな人は珍しいのです。

20年も前でしょうか,NHKの放送でN響が演奏していて、コントラバスが取り上げられていました。

そして、女性が質問して、「コントラバスは裏板が削りだしてなく、平らな楽器もありますね?」
と質問すると、N響のコントラバス奏者は「楽器が大きいので削りだすと、手間も材料もかかるから」
と答えていました。コントラバスは元々ガンバ属のコントラバスが、ヴァイオリン属のオーケストラ
に使われるようになったものです。ですから、裏板はガンバのようにフラットなのです。
バロック時代にすでに、ヴァイオリン属のオーケストラでも
コントラバスはガンバ属のコントラバスを使いなさいと言われていました。
ヴァイオリンのような形のコントラバスも少しは博物館などでは見ることが出来ます。

そして、5弦のコントラバスもありますが、と質問されると「最近の要求で音域を広めるため
弦が増えたのです」と言うような回答でした。

コントラバスは元々ガンバ属のコントラバスだったので、元は6弦でした。
そして、5弦になり4弦になったのです。
古い5弦の楽器も沢山残っています。

一般の方に分かりやすくこう答えたのかもしれませんが、自分が弾いている楽器の起源や歴史を
このN響の方は知らなかったのだと思います。

それに比べて、私が良く参考にさせていただいている、「コントラバスの歴史」と言う本があります。
これは、ウイーン・フィルのコントラバス奏者 A・プラニャウスキーさんが書かれた本です。
ちょうど600ページと言う力作です。

一概に専門家だから、楽器のことは良く知っている、とは思わないほうがよいかもしれませんね。

ギターについては、私のギターを使っていただいている、西垣さんはとても詳しいです。
セゴビアさんも詳しかったと思います。

と言うことで、また長くなってしまいましたが、ギターの魂柱については、また、
沢山書くことがありますので、時間がある時に書かせていただきます。

そして、トーレスさんのことも。








  1. 2013/03/20(水) 02:40:02|
  2. ギター
  3. | コメント:2

楽器にあった弦の選び方

ここの所沢山コメントをいただいて、ありがとうございます。

ひところの、コメントがいただけなかった時期がうそのように感じます。

ということで、コメントにコメントで返事、返答させていただくより、
新しくブログを書いたほうが、このブログを読んでいただいている皆様にも
分かりやすいのではないかな?と思って、ブログで考えを書かせていただきます。

もちろん学校ではありませんので、コメントいただいたこと、質問いただいたことに
答えると言う形では、本来のこのブログの趣旨ではないように思います。
あくまで、私はこう考えています、こう感じています、と言うことを書かせていただいて、
皆様に考える、引き出しや、ねたを提供すると言う形で進めたいと考えています。

と言うことで、適正な弦の選びかたについてですが、

trioさんからもリュートのついての話が出ていますので、ギターから少し離れて
リュートの話をさせていただきます。そのほうが、ギターについても理解が深められそうなので。

リュートと言っても、ルネサンスとバロックでは考え方が大きく違います。
(この場合ルネサンスの代表として、イギリスでよく用いられた、7コース程度のものを、
そして、バロックの代表としてヴァイスなどの曲を弾くための13コースのバロックリュートを
比べさせていただきます)

ルネサンスリュートは、弦長も60センチくらいで、軽く、表板も薄く作っています。
これは、音の立ち上がりが良く、軽く鳴って欲しいから、ですから減衰も短く、明るく
鳴ります。音楽がそのように出来ているので、楽器も当然そうなるわけです。
おまけに、当時は巻き線がありませんから、低音は更に減衰が短くなります。
30年以上前に、巻き線を使わず、太いガット弦で低音弦を試したことがあります。
ペグ穴も大きくして、ブリッジの穴も、勇気がいりましたが、大きくして。
そうすると、いよいよ減衰は短くなり、低音弦の消音などは必要ありません。
昔のほうが低音に関しては演奏が楽だったかもしれません。

それに比べて、バロックは弦長が70センチほどで、表板も厚く作って、音の減衰
を長く取るように考えています。

表板の考えも、ルネサンスはチェンバロのように、弦のテンションがかかって、表板がS字カーブになります。
チェンバロも、ルネサンスリュートもこのように、表板が変形してきて初めて鳴って来ると、言う人もいます。
私もそう考えます。(もちろん、チェンバロでも響板が変形していなくてもよく鳴っている
楽器はありますが)

それに比べて、バロックは減衰を長く取りたいことで、表板も厚くなっていますから、変形することは
余りありません。(ほとんどありません)

ですから、弦の選定も、ルネサンスはS字カーブを形成する程度の、テンションの弦で。
テンションがきつすぎると、振動する余裕が無くなってしまいます。
一度,S字カーブが形成されると、少し細い弦でも鳴る楽器が多いように思います。

チェンバロもルネサンスリュートに近い、響板の考えですから、きついテンションだと、緊張が大きすぎて
鳴らないことが、よくあります。
それは、弦の張ってある、ブリッジを押さえると良く分かります。
適正な弦の楽器では、簡単に指で押さえると、凹むのです。


最近は作っていませんが、日本の大手ピアノメーカーがチェンバロを、作り始めた頃、
楽器を見て欲しいと、お誘いを受けたことがあります。

その楽器が、まさにテンションがきつすぎる楽器でした。
モダンピアノメーカーの発想でしょう。

後年、このメーカーの楽器を使っている演奏家から、楽器を何とかして欲しいということで、
手を入れたことがあります。

九州の楽器では、ほぼ半音下げると、楽器は鳴ってきましたが、このピアノメーカーのものは
半音下げても鳴って来ず、半分ほどの弦を細い弦に張り替えたことがあります。

このメーカーの楽器は、作っている方からこんな話を聞きましたので、構造はヒストリカルに作って
おられたようなのです。
「私のところでは、ヨーロッパの博物館の図面を取り寄せ、100分の1ミリも違わず、
正確に図面どおり作っています」と。
すかさず、私は「材質が違うのに、同じ厚み、構造で作っても、同じものは出来ないです。」
と言いましたが。

と言うことで、オリジナルの楽器は、ドイツトウヒでドイツ松で作っていますが、
このメーカーはスプルースを使っているわけですから、厚くするか、細い弦を
張らないといけないのです。
それが逆ですから、楽器は鳴っていなかったのです。

ここで、リュートに戻って、trioさんの持ってられる、11コースのリュートです。
11コースをもってられると言うことは、初期フレンチのバロックを弾かれているのでしょうか?
楽器もバロックでしょうか?

私も始めて、シェーファー先生にレッスンを受けたとき、シェーファー先生はファンデ・ゲースト
作の11コースのルネサンスリュートを持ってこられていました。
その楽器が素晴らしかったので、私もゲーストさんに直ぐ注文しました。

(余談ですが、その頃は外貨持ち出しが一人1000ドルと決められていましたので、
友人の名前か借りて代金を送金したことあります。今の時代では考えられないことですが)

と言うことで、11コースのルネサンスリュートと言うことも考えられますが、バロックでしょうね?

バロックの場合だと、少しはテンションがきつくても鳴る楽器もあります。
弦の数が多いので、少ししっかり造ってある楽器などは、
少しテンションを上げたほうがよい楽器もあります。

私の周りの製作家では、最初につけた弦のゲージ表を付けていて、演奏家がそれを元に
少しずつ、好みや楽器のコンデション、また使い方によって買えているようです。
スタンダードな使い方だと、製作家の決めたゲージでほぼ合っている場合が多いように思います。

音楽的にも、私も持っているのですが、フランスのCNRSから出版されている曲集で、
最初はルネサンスの調弦で始まり、1弦がファに変わり(ルネサンスリュートは1弦はソです)
その他の弦も少しずつ、バロックの調弦に変わっていくと言う曲集があります。

10コースのルネサンスリュートを作る時は、6コース、7コースのリュートと
違って、少しバロック的な響きも付けたいので、少し響板の厚みも厚くしています。

ルネサンスだから、バロックだからと一言で片付けられない問題もありますので、
結局は楽器を見て、楽器にあった弦を探すしかないと思うのですが、
弦のゲージを探す何かの参考になりましたでしょうか?

ギターの場合は、リュートのように、特にルネサンスリュートのように
表板は薄くは作っていませんので、(でも、表板がほぼ2ミリと言うように薄い楽器も
ありますが)使う方の、考えで弦を選べば良いように思います。

ただ、減衰はテンションが低いほうが長くなりますし、音量はテンションがきついほうが
有利なのは、一般的に言えることだと思います。

まだ、色々弦についてはお話したいことがありそうですが、このあたりで。







  1. 2013/03/20(水) 01:17:10|
  2. ギター
  3. | コメント:1

コメントのお返事と九州の話 その2

すみません、普通のブログによくあるように、九州の旅行記のようなものではありませんので。
また、楽器についてのお話です。(もっとも、このブログを読んでくださっている方はそんなものを
期待してはいないと思いますが)

今回九州に行ったのは、主に天草コレジヨ館の展示されている楽器、
演奏用の楽器のメンテナンスや修理のためです。
その行き帰りに寄り道はしましたが。

展示の楽器も、エアコンが入ったり、夜間は入らなかったり、梅雨時分は湿度が高かったり
エアコンが入ると湿度が低くなったりと、楽器のためにはよい環境とは言えません。

そこで、調整が必要となる訳です。

とりあえず、23年ほど前に作った展示の楽器の中での代表作 ヴァージナルです。

130304_1424~01


製作期間も短い間に、12台ほどの楽器を作らなくてはいけませんでした。
本当に、わずかな縁があって作ることになった楽器です。

当然資料等もありませんが、私のことですから手に入る資料は手に入れて、調べました。

でも、クラボーと呼ばれていた、鍵盤楽器については、「鍵盤に象牙と黒檀を使った、
象嵌され、真珠を沢山使った美しい楽器」と言う記述が残っているだけでした。

現存している当時のイタリアの楽器を調べ、このような楽器になったのです。
実際、白蝶貝で象嵌し、象牙と黒檀の鍵盤、真珠はインドの天然真珠を80個以上使いました。

自分で言うのも何なのですが、いつ見ても綺麗な楽器だと思います。

そして、3年前に作った演奏用のヴァージナルです。

130303_1512~01


いつもはアウターケースに入っていて、この装飾などは見れません。

竹のパイプオルガンの製作に時間がかかって、結局4週間で作った楽器ですが、
沢山の装飾はないのですが、これも美しい楽器だな、と思って見ていました。

その他、フィーデルやガンバ、ハープやリュートを調整していました。

本当に、このコレジヨ館とは不思議な縁で、前回メンテナンスに来た時に、
イランの代表的なサントゥールがコレジヨ館にありました。

どういう経路でこのコレジヨ館に来たのか、分かりませんが、どうも
私が作ったサントゥールのようです。

メズラブといって、弦をたたく撥を見ると、日本の楓で作っています。
日本の楓で、メズラブを作っている人は私しかいませんから、私が
30年ほど前に作った楽器でした。(日本でメズラブを作っている人は他に知りませんが)

そして、今回コレジヨ館に入って、びっくりしたことがあります。

私の家にも来られて、いろんな音楽、楽器のことを話をさせていただいた。
前川先生のコレクションがコレジヨ館にあったのです。

そして、お弟子さんと一緒に来られたのですが、そのお弟子さんは、私の作った
ガンバを弾いてられます。

以前から、沢山楽譜やレコードを持っている学者さんが、本や楽譜,LPをコレジヨ館に
寄付されると言う話を聞いていましたが、まさか京都の前久保先生とは思っていませんでした。

130304_1620~01


この件に関しては、リュート奏者の野入さんも関係があるとお聞きしました。
野入さんは同志社女子の出身ですが、同志社女子のリュートは私が作ったものを
授業で使っていましたので、野入さんが最初に弾かれたリュートはわたしのリュートです。

もっとも、私が31年ほど前に大阪で展示会をしたときに、野入さんも来られていて、
若い頃の野入さんが私のリュートを弾いておられたこともあったように思います。
そして、その時が野入さんが初めて、リュートに触れられた時だと、聞いたことがあります。

不思議な縁の天草コレジヨ館とはこれからも長い付き合いになりそうです。


そして、コレジヨ館の次の日、宮崎まで行きました。

宮崎でチェロを弾いている方なのですが、今までにヴァージナルを3台作られている人がいて、
ヴァージナルばかりより、フレミッシュの1段でよいから、チェンバロを作ってみませんか?
とそそのかした責任がありますので、楽器を見に行ったのです。

綺麗に作られていました。チェンバロは初めてでも、ヴァージナルは3台も作ってられますから。


響板のドイツ松は私のところのものをお分けしたのものです。
でも、楽器を見せていただくと、楽器があまり鳴っていないのです。

白鳥の羽根を使っているのですが、楽器が振動していないのです。
鍵盤も重くて、しっかり弦は弾いているはずなのですが。

試しにブリッジを押さえても、響板が動いてくれないのです。
弦のゲージを聞くと、とても太いゲージで、テンションが高すぎて,鳴っていないようなので
とりあえず、半音下げると、鳴ってきました。楽器も振動してきました。

弦のテンションがきつくて、楽器がカチンカチンになっていた感じでした。

後、ヴォイシングのやり方を説明しながら、ざっとヴォイシングをやりました。

すると、楽器本来の鳴りになりました。

ギターでも、リュートでも弦楽器はその楽器にふさわしいテンションの弦を張ってあげないと
いけないと、実感しました。

その点からも、モダンの楽器で、楽器の限界以上のテンションをかけて、楽器が鳴っていない
状態で弾いている演奏家もいるのを、思い出しました。
魂柱とか駒とかの問題以前の問題ですが。

次回は設計構造の残っていた問題、フレットの大きさについてです。

よろしくお願いします。









  1. 2013/03/16(土) 00:10:48|
  2. その他
  3. | コメント:5

コメントのお返事、九州でのお話

九州から帰ってきたのですが、帰ってからも演奏会や雑用が追いかけてきて、
ばたばたしていて、ブログを書くのが遅くなりました。確定申告も終わりましたので、
少し書かせていただきます。

と言うことで、trioさん、 gabottenⅡさん コメントありがとうございました。

お二人が書かれていたような事と、少し違うことを書きたかったのですが、
このようなことを言っている人間はいないので、もう少し説明が必要かな?
と感じました。

以前、弦のことで、モダンヴァイオリン属、モダンヴァイオリン、モダンヴィオラ、モダンチェロの弦が、
スチールのため、(スチール以外の材質の弦も使われていますが、同じような感じなので)
しなやかさがなく、ヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバが現れて、魂柱の立った時から
数百年、常識とされてきた、駒と魂柱の関係が、崩れていることを、お伝えしたいという、
気持ちがあったのです。

戦前まで、そして数十年前まで、魂柱と駒の位置関係はその間の距離を、魂柱の直径分か
駒の、脚の幅分離すと言うのが、常識だったと思います。
私はそう思っていました。
ヴァイオリンで6、7ミリくらい、チェロで10から12ミリくらい。

ただ、この常識で、スチール弦を張った、モダンヴァイオリン、モダンヴィオラ、モダンチェロ
を調整すると、弦の硬さからくるのでしょうが、音がはっきりせず、音程すらも分からない音に
なってしまうのです。

それで、仕方なく、駒と魂柱を近づけると、音がはっきりしてきて、音程も取れます。
ただ、弦が振動して、駒に振動を伝えますが、魂柱がつっかい棒となって、表板が振動しません、
と言うか、振動しにくくなります。

そして、弦だけの音や、表板は振動していても、部分振動で、倍音ばかりの音になります。
それは、時にチェロやヴァイオリンを聞いていて、ハーモニカのような音に聞こえることがあります。
(決してハーモニカが悪い音、倍音ばかりの音だと言っているのではありません。御喜美江さんのフアン
になった頃から、ハーモニカの崎元譲さんも好きで、お二人が作った、ポエム・ハーモニカという
CDも持っていますし、良く聞いています。スティービー・ワンダーのハーモニカも好きですし、
ただ、ヴァイオリンの演奏で、ハーモニカの音は聞きたくないのです)

そして、その音は私が作りたい、基音がしっかりしていて、その周りに
倍音が、響きが付いている音と、正反対の音なのです。

ですから、楽器がホールの条件に合っていなくて、鳴っていないとか、湿度の問題とか
楽器が良い悪いの問題でなく、弦の問題だと思っているのです。

今井さんも、良い楽器を使われていると思います。
そして、信頼のおける楽器メンテナンスの方に、楽器の調整も任せていると思います。
あれだけの、演奏をされる方ですから。

でも、モダンの楽器のコンディションで、スチール弦を使うと、こうなってしまうのは
無理が無いというか、普通にそうなってしまうと思います。程度問題はあると思いますが。

もっとしなやかな、モダンの弦が現れると、こんな問題はなくなると思います。
ギターの弦のような、フィラメントの芯の弦とか。
どうしてそのような弦が無いのだろうかと思います。

でも探せば、多分あると思っています。しかし、
弦を選ぶ演奏者がその弦を選ばないのだけかもしれません。

このような、ハーモニカのような倍音だらけのヴァイオリンの音は異質な音なので、
客席には聞こえてくるのです。他の楽器の音とも異質なので、溶け合わず聞こえてくるのです。

それが、音が通っている、楽器が鳴っていると勘違いしている演奏家の方もいるように、
感じたことがあります。

いつも言っていることですが、これもあくまで、私の感想です。
私だけが感じていることなのかもしれません。

モダンヴァイオリンの世界に、どっぷりと浸っている、その専門家の方には
普通のことなのかもしれません。

でも、演奏を聞きながら、あと1ミリでも、できれば2ミリ魂柱と駒の距離を離せば、
楽器も鳴ってくるだろうなあ、音程も取れる程度の音のしまりで。と思っていました。

なんども、言ってすみませんが、これはあくまで私の感想、考えですので。



また長くなってしまいましたので、九州のお話は次回にさせていただきます。


  1. 2013/03/15(金) 22:35:44|
  2. その他
  3. | コメント:1

今日から九州です。

今日から九州です。
1週間ほど、ブログが更新できないかもしれません。
よろしくお願いします。

23日の 御喜美江さんと今井信子さんの演奏会の報告をしないといけないと
思っていたのですが、どうしようかと思っているうちに日が経ってしまいました。

忙しかったこともあるのですが。

演奏はとても素晴らしく、お二人で出されたCDの内から選曲され、
バッハのガンバソナタも当然ありました。1曲目です。

そして、これは私個人の感想です。あくまで個人的な、感想ですので。

演奏は素晴らしかったのですが、今井さんのヴィオラの音が、
始めて、生で聞いて、冷たい、くらい何も無い音だったのです。
と言うか、楽器が全然鳴っていないのです。

今井さんクラスですから、楽器は良い楽器をお使いだと思うのですが、
駒と魂柱を近づけないといけない、スチール弦の宿命なのでしょうが、
弦の音しかしないのです。

魂柱が近すぎて、表板が鳴っていないのです。ですから、スチール弦の
スチールの音しかしないので、冷たいのです。

モダンの楽器を聴くことは最近少なくなってきましたが、最近でも
一番楽器が鳴っていなかった演奏だったように思います。

何度も、言いますが、これはあくまで、私が聞いた感想です。

他の方は、違った感想をお持ちだと思います。
演奏会の最中でも、「こんなことを考えているのは、私くらいかな?」
と思って聞いていました。

音楽は素晴らしいのですが、途中で帰ろうかと思いました。
(今まで何度か途中で帰ったこともありますが)

でも、御喜さんのアコーディオンの音は素晴らしいので、結局そのまま最後まで、
音は聞かず音楽だけを聞くようにして、いましたが。


それに比べて、25日 近くのデイサービスで、演奏をさせていただいた時は音に和みました。
楽器が、バロックヴァイオリン2台、ガンバ2台、ギターだったのです。

友人のヴァイオリンを弾いている人がよく、老人ホームなどの慰問をしているのですが、
今回は私も誘われて、一緒にやりました。

ボランティアでモダンヴァイオリンの音は聞きたくないので、彼女と彼女のヴァイオリンの先生に
バロックヴァイオリンをお貸しして、そしてエレキギターを弾いている、若者には
ガンバを貸して、弾いてもらいました。

皆、順応性が高いので、直ぐに楽器に慣れたようです。

曲はグリーンスリーブスに始まって、唱歌や流行歌、古賀メロディーや青い山脈まで
最後はヴィヴァルディの四季の冬で終わりました。

GEDC2698.jpg


楽器を手にして、3週間くらいですが、普段モダンのスチール弦の楽器を弾いている方たちでしたが、
ガット弦の響きはまた違う魅力があったようです。

ピッチは A=415です。

私はほとんどギターでしたが、とても楽しく音を楽しめました。

では、また九州の報告などさせていただきます。


 
  1. 2013/03/01(金) 16:49:10|
  2. 演奏会
  3. | コメント:2

プロフィール

kogakki

Author:kogakki
ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、チェンバロ
と言った、古楽器を仕事として製作して
30年以上になりました。

最近はギターに興味を持っています。
最初に作った楽器は、ギターです。
昭和42年でした。 18歳の時です。

古楽器製作家 平山 照秋 

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