古楽器製作家の思うこと いろいろ

昔の楽器製作家がそうであったように、様々な楽器を製作しています。そうすると、いろんな楽器の事が良く分かってきます。特にモダンギターについて考えていることを書かせていただこうと、思っています。

展示会などのお知らせ

今回は、お知らせです。

以前、「一生つきあえる 木の家具と器」で私の工房が紹介されましたが、
今回は ほぼ同じ内容で、「丹波 但馬 BOOK」に紹介されました。

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今回の本は、丹波、但馬の観光スポット、お食事所などが主に紹介されています。
その中で少しだけ、物作りの工房が紹介されています。
その数少ない、工房のひとつで紹介されました。

そして、日が迫っているのですが、この本で紹介された作家などが展示をする展示会が

「木人展」 ~ 木工作家フェア ~ として


10月20日(土)から28日(日)ーー午前10時から20時まで(初日 20日は13時から
                   最終日 28日は 15時まで)
大阪中之島の「中之島ダイビル」1階 エントランスホール 
(大阪市北区中之島3-3-23)

で展示会があります。

私は、本の著者の西川さんが25日に講演されるので、25日に行きます。
それと、搬出のために28日に。

これは、「リビング&デザイン 2012展」のシティイベント企画として行われるものです。

私は ギター3台、リュート2台、スピネットなどを展示しようと思っています。

主に展示販売が目的のようですが、私は展示が主です。私以外も沢山の木工家の作品も
見ることが出来ますので、興味のある方はどうぞいらしてください。

会場のダイビル エントランスです。

  

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次に テレビと言っても,「タカラヅカ スカイステージ」というCSの番組です。

「いにしえ逍遥 - タカラジェンヌ」11月15日から30日に毎日複数回流れるそうです。
12月2日には KBS 京都で 30分番組で紹介されるようです。

タイトルのように,タカラジェンヌが名所、お寺、レトロな雰囲気の場所などを訪ねる
番組だそうです。

CS、KBS京都 と言う制約がありますので、見ることの出来る方は少ないでしょうが、
ご覧になれる方は、どうぞご覧ください。

楽器の紹介や演奏などもありますので。


演奏会では、10月20日に 京都洛陽教会で京都リコーダー、リチェルカーレアンサンブルの演奏会が、
11月10日は地下鉄京都山科駅構内で 午後4時から 古くからの友人たちの 
トラベルソ ガンバ チェンバロの ストリートミュジックの様な演奏が。
11日は アンサンブル シュシュ の演奏会が 南港 サンセットホールで。
15日は宝塚ミュージックリサーチ の講師演奏会。
12月22日は 京都文化博物館で 日本ではあまり演奏を聞くことが
出来ない、西垣正信さんの演奏会があります。
今回はいつもの、私が作らせていただいた、ギター、リュートだけでなくチェンバロも
使っていただきます。
同じ22日に神戸ではマンドリンオケと一緒に吉竹百合子さんが チェンバロを弾いてくれます。
12月29日は 神戸西区の アジサイホールで 田村義一さんの門下生の発表会があります。
発表会といっても、リコーダー、歌、ピアノと第一線で活躍しているお弟子さんたちの演奏会です。

そして、1月19日は、私が最高の演奏家の一人と思っている、チェンバロの
三和睦子さんの演奏会が、西宮 旧 甲子園ホテル (今は 武庫川女子大の校舎ですが)
で33年続いた リラックスコンサート であります。(私も幹事です)
今年3月に 大阪音楽大学を退官された藤田隆先生と共演です。
リラックスコンサートは年4回 33年続いたのですが、この演奏会を含めてあと3回で
幕を閉じます。

その他、まだこの秋冬は 沢山の演奏会がありますが、私がチェンバロを運搬して調律する
演奏会の一部です。

興味のある演奏会がありましたら、詳しいことを案内しますので、
コメントなどで連絡いただけますでしょうか?






  1. 2012/10/12(金) 02:05:28|
  2. その他
  3. | コメント:0

弦について その2


弦について、前回は弦楽器の弦についてでした。

弦と言えば、もうひとつの弦を沢山使った楽器、鍵盤楽器があります。
特に、ギターと同じように弦をはじく、チェンバロの弦についても書かせていただこうと、
思います。

ギター製作家の方、ヴァイオリン製作家の方には、書けない鍵盤楽器の弦については、
私でないと書けない分野だと思います。 ギターに興味を持たれて、このブログを
読んでいただいている、皆様にもギターの弦、弦楽器の弦にもフィールドバックされると
思いますので、書かせていただきます。

最初に作った楽器は、ギターで18歳の時、約45年前のことです。
次に作ったのは、約40年前23歳の時に、ヴァージナルを作りました。

ルネサンスのアンサンブルをしていて、小さな鍵盤楽器があれば、アンサンブルの幅が
広がると言うことで作りました。フランスのキットを白川総業さんに取り寄せていただきました。

私の作った、ヴァージナルはほとんどヒストリカルでしたが。
その頃のチェンバロというと、Nhkにもドイツのノイペルト社の大きな2段鍵盤のモダンチェンバロ
が入っていて、チェンバリストもほとんどが、モダンチェンバロを弾いていました。
ノイペルト以外にも、アンマーやリンツホルム、シュペアハーケなどのメーカーがありました。
(シュペアハーケはメーカーが私のところの楽器は ヒストリッシェであると言われていましたが)

非常に重い、頑丈なチェンバロです。
バロック時代にチェンバロは廃れたが、ピアノのように現代まで残っていたら、このような楽器に
なっていたであろうと、想像されて作られた楽器だと、その頃は聞いていました。

思い頑丈な楽器なので、弦はもちろんスチール弦で、テンションもきつく、低音弦は巻き線や
硬く丈夫なりん青銅が使われていました。

その後、徐々にヒストリカルの楽器が輸入され、国内でも 堀さん達がヒストリカルの楽器を
作るようになりました。

とりあえず、キットでチェンバロを作る人も多く、
アメリカのハーバード社のキットはよく作られました。
特に、タスカンモデルのフレンチの楽器が多く作られたように思います。

弦は スチール弦に 低音弦は ブラス(イエローブラスですが スプリングブラス
とコイルに書かれていて、とても硬いブラス弦でした)

国内でヒストリカルのチェンバロを作られていた、堀さんはスチール弦とりん青銅でした。

楽器全体のバランス、音のバランスは スチールとスプリングブラス、りん青銅は
硬さも同じくらいで、取れていました。
でも硬い音で倍音が多く、シャラン シャラン した音でした。


その後20年から25年前からくらいでしょうか、本格的にスチールの替わりに
アイアンが使われ始め、柔らかいイエローブラスや比重が重くて柔らかいレッドブラスが
使われ始めました。

切れやすく、メッキもしていないので錆びやすく、値段も高いのですが、音に密度があり
倍音も少なく、柔らかい音なので、使う製作家が増えました。

楽器の構造がヒストリカルなのに、当時使っていなかったスチール弦を張るより、
当時の弦である、アイアンの弦のほうが、当時の音楽には合っているのです。

(そうなると、一番音に影響の大きい爪もカラスの爪を使わないといけない
と言われそうですが、現代の精緻な演奏にはデルリンの爪でも良いかな?
と思っています)

と言うことで、弦にアイアンの弦を使うことによって、チェンバロは変わりました。

やはり、アイアン弦はしなやかで、振動しやすく 基音がしっかり出るのです。
弦も柔らかいので、音も柔らかいですし。

特に、小さいポータブルスピネットは低音の弦長が短く、硬いスプリングブラスを
張ると、全然鳴らないのです。
ちょうど、この春作った ヴィオロン・チェロ・ダ・スパラにモダンも分数弦を
張ったように、硬い弦では、短い弦長の低音弦は全然鳴りません。

長い弦長の チェンバロだと、硬い ブラスでもりん青銅でも鳴るのですが、
短い弦長の楽器だと、弦のその硬さで振動してくれないのです。

これが弦でなくて、木で作られた棒だとどうでしょう。
直径 1センチくらいの丸棒は1メーターくらいの長さでは、簡単に曲がりませんし、
しなりません。
でも、2メーターくらいになると簡単に曲がりますし、しなります。
同じことが弦でも言えると思います。

ポータブルスピネットは弦長 ギターの最低音の6弦 ミ と同じ音では
約 85センチです。ギターでは ほぼ65センチ。
しなやかな弦でないと、本来の音は出ないように思います。

実際、ギターにシルク芯の低音弦を張ったときに実感しました。

同じ実感が、チェンバロでも特に小型のスピネットでありました。

弦はしなやかでないと、楽器本来の音を出してくれないと、つくづく思いました。










  1. 2012/10/10(水) 00:17:08|
  2. ギター
  3. | コメント:0

弦について

前回のブログで、弦についてはまた書かせていただきます。
と書きましたので、気になっている方もいらっしゃると思います。
(気にしていない方のほうが圧倒的に多いとは思いますが)

と言うか、私自身が気になっているようです。
と言うことで、ここで書かせていただきます。

また、文章ばかりで分かりにくい話かもしれませんが、
よろしくお付き合いください。

モダンヴァイオリン、モダンチェロの 魂柱と駒の調整ですが、最近特に
魂柱と駒の距離が近くなって、倍音ばかりで楽器が鳴っていない調整を良く見ます。
と言うか、ほとんどそうなっています。

バロック時代から何百年もそうだと思うのですが、駒と魂柱の間の距離は
魂柱の直径分か駒の脚の幅くらい離すというのが、常識だったと思います。

そうすると、楽器が最も、良く鳴ってくれて、基音と倍音とのバランスも良いのです。
昔からそういわれているだけでなく、実際そうすると最も良い結果になりました。

ただ、表板が厚くて、鳴りにくい楽器は 少し距離を離さないと、表板が鳴らないまま
魂柱に音を伝えますので、少し離します。

逆に、表板が薄い楽器は近づけます。そうしないと、音もぼけるし、
楽器が(表板が)壊れる恐れもあります。

それが何故、駒と魂柱が近く調整されるようになったのでしょう?

その原因のひとつが、弦にあると、この夏分かりました。

それは、私が斡旋した1815年くらいにドイツで作られた、軽くて
良い材料を使った、良いチェロを久しぶりに見せていただきました。
この楽器も私の手を離れてかなり長い時間が経ちますので、東京の方が調整されています。
やはり、最近の調整なので、駒と魂柱が近く調整されていました。

当然楽器は鳴っていませんし、倍音ばかりです。
そこで、早速 魂柱と駒を離しました。

すると、どうでしょう!

音はぼけるし、音程すら分かりにくい、分厚い音になります。
楽器は鳴っているのですが。

最近、作られた時のコンディションに近いほうが、この楽器らしい音になるかも?
ということで、1弦2弦(A線 D線)はガットでしたが、3,4弦はモダンチェロの
巻き線でした。モダンチェロ用の弦の中では比較的しなやかな弦なのですが。

このモダンの弦を使っていると、駒と魂柱を近づけないと、音の輪郭もなくなり
音程すら分からないという音になってしまいます。逆に考えると、少々音程が外れても
分からないというメリットもあるのでしょうか。

モダンの弦はご存知のようにスチール弦がほとんどです。
巻き線も見た目は同じなのですが、芯線がスチールで、硬いのです。
しなやかでないのです。
もちろん、テンションもきついですし、しなやかでないので音程もはっきりしない
のです。

よく、ヴァイオリンの本を読むと、今使われているモダンヴァイオリンの状態で
ヴァイオリンが発明された、作られたと勘違いしているような本があります。
(最近もヴァイオリンドクターと称する方が書かれた本を読みましたが、
どのような形でヴァイオリンが生まれたか、ご存じないような感じでした)
戦前(第2次世界大戦です)までは一般的に、ヴァイオリン族もギターも
弦はガット弦でした。1930年くらいからぼちぼちスチール弦も使われ始めましたが。
(昔読んだ、カール・フレッシュさんのヴァイオリン奏法の本だったと思うのですが、
1920年代から1930年代にかけて 1弦 <E線> はスチールでも
良いかな? と言う記述があったように記憶しています。)

戦争で負傷した人の手術用にガットが沢山必要になり、ヴァイオリン族は
スチール弦にギターはナイロン弦になったという話を聞いたことがあります。
原因の全てではないかもしれませんが、大きな1因になったと思います。 

話が横道に逸れたかもしれませんが、スチール弦はテンションが大きいので
(チェロで トータル 70キロくらい)楽器が鳴らないコンデションでも、
(魂柱と駒が近くても)鳴るのでしょうが、ガンバやバロックヴァイオリン
、バロックチェロは ガット弦を使っているので、何百年と伝わっている
駒と魂柱との関係がもっとも、よく鳴って、音のバランスも良いのです。

スチール弦を使っている,ヴァイオリン族の楽器では、倍音だらけの
楽器が鳴っていない、他の楽器の音と溶け合わないし、硬い音に
なってしまうが、魂柱と駒を近づけないと、音程もはっきりしない、
ぼけた音になってしまう、ことになるようです。


また、話が逸れてしまいますが、3月に作った、ヴィオロン・チェロ・ダ・スパラ
の5弦(最低音の C線 ドの音です。)弦長41センチでチェロと同じ音の高さ
で鳴る楽器にしないといけないのです。
いろんな弦を試しましたが、一番鳴らなかったというか、全然鳴らなかったのが、
モダンチェロの分数サイズ用でした。スチールで芯線も硬いスチールなので、
短い弦長だと、振動してくれません。
次にガンバ用の7弦を使いました。弦長 69センチ、70センチで
チェロの C より低い A の音の弦です。
でも、この弦でも芯線が太いガット弦なので、鳴りませんでした。
(試した弦は、短く切ってしまったので、他には使えませんでした。
もったいないですが)
そこで、やっと探したガンバ用ですが、芯線がギターのようにナイロンの
細い弦がしなやかで、短い弦長でも鳴ってくれました。
巻き線だと、芯線のしなやかさがとても大事だと、この時とても感じました。


と言うことで、ギターに戻って。
まだギターは、ナイロン弦なのでヴァイオリン族のようなことはないのですが、
(もっとも、ヴァイオリン族のように、駒と魂柱を離すと言うような調整が
出来ませんので)
やはり、ガット弦を張ると、音の立ち上がりも良く、音の芯もあって、
輪郭もはっきりする。和音を弾いても濁らない。というメリットが沢山あります。

これらは、私が作りたい方向の音ですので、最近はガット弦をよく使っています。
でも、高くて寿命が短いから、実用的には大変だから、使えない。と言われそうです。

私は ハープ用のしっかりコーティングされた弦を使っています。
2ヶ月以上張りっぱなしですが、まだまだ持ちそうです。

日本だと、青山ハープの弦が手に入りやすいですし、通販で簡単に買えて、
値段も安く、品質も良いのが 銀座 十字屋で扱っている、イギリスの
「ボー・ブランド」と言うメーカーです。1弦用の 1オクターブの弦で682円
2弦用の2オクターブで892円、3弦用で1207円です。

あと、4,5,6弦用の巻き線ですが、茅ヶ崎のムジカ・アンティカ・湘南さんで、
最近扱ってくれるようになった、イタリア トロ社の弦があります。

ギターの弦は、ご存知のように巻き線の芯線は、細いナイロンの繊維で作られています。
それに、銀メッキされた銅線を巻いています。

それが、トロ社の弦は芯線が シルクに巻き線が 純銀になります。
芯線がシルクに、巻き線が純銀になるだけで、巻き線の金属音がなくなり、
深いところで鳴るようになります。
細い、細い芯線がシルクに変わるだけで、劇的に変わるのです。

これは、9月21日の 野村先生のところで、ギター製作家の丸山さんと
一緒に弦を張り替えた時に、丸山さんも同じような感想を言ってられました。
6弦をシルク芯に変えると、5弦4弦が金属音に聞こえてきて、「今まで、こんな音を
聞いていたのか!」と叫ぶほど、違っていました。
5弦も変えると、4弦がとても汚く、表面的に鳴っているように思いました。
4弦も張り替えると、とてもそれが自然な音に聞こえました。
本当に雑音も無く、純粋にギターの音だけが鳴っているのです。弦の音でなく。

これも私が理想としている音に近い音になりますので、使っていきたいのですが、
寿命がどの程度なのかが、まだ分かっていませんので、コストパフォーマンスも
考えないといけませんし。

でも、このシルク芯の純銀巻きの 弦をとても良心的な値段でムジカ・アンティカ・湘南さんで
扱ってくれています。興味のある方は、問い合わせてみてください。


また長い文章になってしまいましたが、弦に関して日頃思っていることや、
最近気が付いたことの、一部を書かせていただきました。

お付き合いありがとうございます。







 




  1. 2012/10/04(木) 01:08:09|
  2. ギター
  3. | コメント:2

プロフィール

kogakki

Author:kogakki
ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、チェンバロ
と言った、古楽器を仕事として製作して
30年以上になりました。

最近はギターに興味を持っています。
最初に作った楽器は、ギターです。
昭和42年でした。 18歳の時です。

古楽器製作家 平山 照秋 

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